2015

『1/7の魔法使い』レビュー

マイナーなものに触れると優越感が湧く。ギャルゲーも同じだ。 だから僕はずっと、TVアニメのような尺に縛られた窮屈なパイプライン工程に比べて、ギャルゲーのシナリオ表現のほうがずっと自由で、出来もいいと思ってきた。それにオリジナルアニメの比率はそんなに高くなくて、大半はラノベや漫画の改編、あるいはギャルゲー原作だ。少なくともシナリオのオリジナル度でいえば、ギャルゲーはTVアニメよりちょっとだけ有利なはず…… でも例外はある…… まさかギャルゲーがラノベと同じ路線を選ぶとは思わなかった…… しかもパクリラノベ路線だ……

『晴のちきっと菜の花びより』レビュー

Quoraのキーボード評論家たちが議論していた問題がある。 ギャルゲーは文学か? 実はこの問題自体が問題だ。ゲームが文学かどうかを聞くのは、「人間」は「変態」かと聞くようなものだ。確かに人間には毎日舐めないと気が済まない変態もいれば、俺のようにそういうことに全く興味がない正常人もいる。 ギャルゲーはやはりGameだ。Gameである以上ストーリーがある。ただ大多数の非抜きゲーギャルゲーではストーリーに重点が置かれているだけの話で、ここに「文学」の要素が多少あるかもしれないが、それだけで文学とイコールだと言えるわけがない。 では「文学的要素」を持つGameジャンルとして、ギャルゲーにはストーリーで何とかしようとする作品が多い。このご時世、伏線も神展開もなければ「つまらない」と叩かれる。だからこそ「虐めてみたり」「死なせてみたり」「飛ばしてみたり」しないと神シナリオと呼ばれず、日常重視のものは見向きもされない、という風潮がある。 これについては2007年の中国の大学入試国語の作文のお題がすごく好きだ。「意料之外、情理之中」――予想外だが、もっともな話。 つまりどう展開しようが、どれだけ飛んでも、脳洞がどれだけ広かろうが、筋が通っていて「予想外だけど納得」と思わせられれば、その物語は成功だ。たとえ日常描写でも、生き生きと書けて、各キャラの性格が「意料之外情理之中」に達していれば、それもまた成功だ。少なくとも物語自体にハラハラ感があり、理解しやすく、無茶苦茶とも思われない。 もっと露骨に言えば、どう書くにせよ、最低限論理は必要だ。これが基本。 論理がなければ物語はちんぷんかんぷんになる。まさに『晴のちきっと菜の花びより』のように。

Blue Ever Blue BEB X1001 レビュー

Blue Ever Blue、略してBEB。このメーカーのイヤホンは聞いたことがなかった。ただの好奇心とちょっとした嫌な予感で、Hi-PDAで試聴キャンペーンをやっているのを見て、取り寄せてみた。 届いた型番はBEB X1001。パッケージはやや安っぽく、中身は収納ケースとイヤホン本体だけ。ケースには予備のゴム製イヤーピースが入っていた。 イヤホンなんてものはパッケージで判断できるものでもない。もっと酷いパッケージも見たことがある。結局は音だ。というわけで、早速BEBをSony D100に挿して聴き始めた。 2分後、私はイヤホンを置いて首を振った。 どう言えばいいか。濁っている、籠っている、ドンドン来る。このイヤホンを形容するならこの三つだ。私はエージングという話をあまり信じていないのだが、試聴用の品だし、そうそう酷いことにはならないだろうと、人の言う通りにD100に挿してエージングを始めた…… およそ48時間後、再試聴……
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『花の野に咲くうたかたの』レビュー

『花の野に咲くうたかたの』に注目した理由は二つ。脚本の桐月と、彩色の画風だ。 桐月は『黄昏のシンセミア』(黄昏の禁忌の薬でも黄昏の大麻でも好きに呼べばいい)を書いた人で、ゲームの彩色は [Clover Day’s] 1 を思い出させる。『黄昏のシンセミア』と同じ絵師なのに、彩色のスタイルは旧作よりずっと良くて、女の子が可愛くて瑞々しい。 実は最初はこのゲームをやる気はなかった。『黄昏のシンセミア』も未プレイだし、ただ多くの人が絶賛しているから、まともな作品を書いた脚本家ならそう酷くはないだろうと思って、ちらっと画風を見て、それがとても好みだったから、プレイしてみた。 一言で評価するなら、これは軟らかい女の子が丹精込めて淹れた工夫茶みたいなものだ。味は淡泊で、コーヒーや烈酒のような即効性はないけれど、少なくとも不快にはさせない。じっくり味わえば、独特の発見もある。

『灰色的乐园』レビュー

『グリザイアの果実』には続きがある。2作あって、ひとつは『グリザイアの迷宮』、そして完結編の『グリザイアの楽園』だ。 『グリザイアの果実』はすでにテレビアニメ化されている。『迷宮』と『楽園』のアニメが今月12日に放送開始予定だから、ネタバレが嫌なら見ないほうがいい。

『花咲ワークスプリング!』レビュー

ゆずのサノバウィッチを遊んでいた頃、筆者は『花咲ワークスプリング!』という作品の存在を知った。SAGA PLANETSの新作である。このブランドの作品はなんと2本遊んでいて、初雪桜と如月金星だ。前者はなかなか良かったが、後者はかなりアレだった。特筆すべきは、初雪桜が良かったのは音楽とシナリオ構成の加点によるところが大きく、如月金星こそがこのブランドの平均値なのだということだ。 だから廃萌オーラ全開のこの作品を遊ぶかどうか、30秒ほど迷った。CV表に沢澤砂羽の名前を見つけて、そのまま飛び込んだ……。

『11月のアルカディア』レビュー

『11月のアルカディア』は3月の新作。今月は遊べるゲームなんてないだろーと思っていたところにOPを観てしまい、ミステリー&ストーリー重視っぽかったので体験版をやってみた。すると主人公にCVが付いているじゃないか。誰かは分からないけど、中村悠一っぽい声だ。 「エロゲーで勇気を出して主人公にCVを付ける作品は、シナリオが坑爹なことにはならない」という原則に従い、迷わずプレイ。 結果、期待を裏切らなかった。『紙の上の魔法使い』以来、完全に手放しで称賛できる作品である。

『鯨神のティアスティラ』レビュー

最初は『鯨神のティアスティラ』をやるつもりはなかった。設定が退屈で、肩甲骨で考えても分かる通り、ヒロインにクジラの設定を適当に被せただけだろうと思ったからだ。ところが後日、暇に任せてOSTを聴いてみたところ、EDの「神様いつかこの想い」と「瑠璃色」が異常に良かった。 そして夜、暇で仕方なくCan’t help myself touching my body な気分の時に、このゲームを引っ張り出してきてプレイし始めた。 先に結論を言うと、このゲームは各方面がかなり良い。シナリオを除いては……

Edifier H690 の正直な感想

毎日あちこち持ち歩くカバンのことをEDCと呼ぶらしく、Every Day Carryだか何だかの略らしい。つまり毎日持ち歩いてるってことだ。そういう意味では俺にもEDCバッグがあって、中には仕事用のThinkPadやら何やらを詰め込んでいる。それに加えてノートPCに繋いで使う用のポータブルヘッドホンも一緒に持ち歩いている。 最初に選んだのはAKG K420だったが、後に家族に取られて使われた。その後JVC SR500に買い替えた。ぶっちゃけJVCのはK420に劣る。ポータブル性ひとつとってもダメで、折りたたむと妙にぐらつくし、音にもこれといった良さがない。高音も抜けが足りない。 そしてJVC SR500が1年半働いた末、ついに壊れた!(なんで「ついに」なんだろうな) 後継者探しの任務が降ってきた。条件は:1、ポータブル。2、音質はそこそこ。3、装着感が快適。4、予算200元以内。5、密閉型。 で、Edifier H690を買った。
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『ぼくの一人戦争』レビュー

我的一人战争(ぼくの一人戦争)はAB2の新作だ。この作品に惹かれた理由は単純で、シナリオライターと原画担当がそれぞれ『車輪の国、向日葵の少女』と『G線上の魔王』という二大傑作を手掛けた組み合わせだからだ。どちらのギャルゲーも結末はやや強引かなと思ったけど、中盤の光っている部分は間違いなく見どころで、高等人試験での各ヒロインの性格造形しかり、G線での心理対決の描写しかり、今でも結構影響を受けている。 だから『ぼくの一人戦争』が発表されたのを見たとき、胸の高鳴りを隠せなかった。新しい名場面の描写があるはずだと期待してしまった…… 残念ながら、そうはならなかった。 先に言っておくが、今日は慎重にこのゲームをディスらせてもらう。慎重に、というのは、このゲームの日本語が半分も理解できなかったからだ。話の流れと大体の意味はつかめたけど、細部や含みのある表現までは分からない。ただ、俺が十分に理解できた範囲で見ても、このゲームには欠点が山ほどある。俺に残ったのは、訳の分からなさと、果てしない失望だけだった。