2019
去年、とんでもなくヤバいゲームがあって、俺は大プッシュした。それが『春音アリス*グラム』だ。
そして今年、その続編が出た。『白恋サクラ*グラム』。プレイし終えて星空を見上げると、いろいろと波紋が広がる。よく言うだろ、日本は「エロゲー戦国時代」。各社が海に飛び込んで血みどろの潰し合いをやってて、生き残りと売上のために奇策を繰り出すが、それでも死傷者は続出している。
そんな神々が頭を絞って「どうやってオタクに金を出させるか」を考えている中、偉大なる Nanawind はやはり俺を裏切らなかった。『白恋サクラ*グラム』で満足のいく解答用紙を提出してきたわけだ。
エロゲーが生き残るには売れなきゃ話にならない。そして『白恋サクラ*グラム』は商業化の面で極端に成功している。ああ、むしろ「教科書通りの成功」と言ったほうがいい。
最近、多くのエロゲーメーカーが「倒産したいのか?」ってくらい動きがない。たとえばAlcot。
毎日ツイッターで期限切れの抱き枕やイラストを売りさばいてる以外、ほとんど話題がない。去年「正統派ゲーム」と銘打って出した『将軍様はお年頃』の後、ほぼ一年間音沙汰なし。もうダメかと思った矢先……
Alcotが新作を発表した!
で、見てみたら、なんだこれ、新作がファンディスクだと。
正直、最近はファンディスクばかりで吐き気がする。でも多くのメーカーは新作を作れず、旧作の焼き直しでお茶を濁してるんだろう。まあいい、どうせAlcotは終わりだし、ここはひとつ見送ってやろう。
Alcotの新作の名前は『将軍様はお年頃 ふぁんでぃすく -御三家だヨ! 全員集合』。長いけど情報量ゼロ……しかも名前がダサい。貼り紙の広告みたいだ……
まあいい、死にゆく者に文句を言っても仕方ない。とりあえずこのゲームがどんなもんか見ていこう。
誰にでもある種の錯覚があるはずだ。ある人に出会ったとき、あるいはある瞬間に、頭の中に「この情景/この人、夢で見たことがある気がする」という考えがふとよぎる。
この現象については多くの人が研究し、論証してきた。大半がたどり着く結論はいくつかの可能性だ。記憶のズレか、似た場景による錯覚か、あるいは潜在意識にある場景の曖昧な記憶か。シュタインズ・ゲートのゲームに至っては「異なる世界線の既視感」と説明していたりもする。そして最後に、確証はないが排除もできない要素がひとつ残る。夢だ。
つまり、あり得る話として、あなたが出会った馴染みのある出来事は、確かに夢で見たものかもしれないのだ。
夢は面白いものだ。人間は自分の夢を決してコントロールできないが、その夢はその人自身が作り出している。すなわち、私たちが夢の中で冒険しているとき、その夢は私たち自身が編み出したものなのである。「自分と自分で遊んでいる」感覚がちょっとある。
普通の人間は毎晩眠るときに一〜三つの夢を創造していて、成長の過程でさまざまな夢が積み重なるとその数は恐ろしいほどになる。それらの中には現実で出会う情景に近いものが一、二つあってもおかしくない。だからいわゆる「既視感」が生まれる。この方法で人間の「いつも夢で見た気がする」感覚を説明するのが一番信頼できるはずだが、そんな冷たい現実より、私たちはロマンチックな解釈のほうを受け入れたいと思う。
「あなたと私の間には天が定めた何らかの繋がりがあって、だからこそ私たちはとうに夢の中で出会っていて、夢の中の情景が現実での出会いへと私たちを導いた……」
ロマンチックに聞こえるだろ? uh?
親が使ってるRedmi Note 3もそろそろ2年くらいになるかな、その間にも何度か修理して延命してきたんだけど、最近また親父が画面を割っちゃって。
もう延命する気力もないし、Redmi Note 7も発表されたことだし、これに買い替えるか。
いつも通りの一日、いつも通りに妹が起こしに来る。
「お姉ちゃん、朝ごはんできたよ、起きて」
俺は男なのに、妹はずっと俺を「お姉ちゃん」と呼ぶ。
「なあ、ずっとそう呼ぶの、いいのか?」
妹が出て行った直後、横から人影が現れて、黒髪の女の子がそう聞いてきた。
実はこの「女の子」は猫で、しかも「猫神」、その猫神は俺の命の恩人でもある。
すべては二週間前にさかのぼる。
業界の癌ことminoriがついにゲーム事業からの撤退を決めたと聞いて、嬉しさのあまり一日中何も書けなかった。
minoriといえば『悠久の翼』だの『Eden』だのといった「神作」を作ったことがあるわけで、それなりの知名度のある大手が突然「倒産」した(ゲームを作らなくなるだけだが)と聞いて、なぜか物悲しくなる人も多いだろう。だが俺はあえて言いたい。ギャルゲー業界がここまで悲惨なことになったのは、こうした死ぬに死ねない「老舗の頑固ジジイ」どもと大いに関係があると。
遥か昔を思い返せば、当時はまだギャルゲーという概念すら存在せず、あるのはいわゆるエロゲーム、その名の通り正真正銘の「エロゲー」で、内容のすべてはエロを提示するためのものだった。それが時代が下るにつれ、いくつかの老舗が参入したことで、エロゲーのエロ比率はどんどん減り、「物語性」がどんどん増えていった。業界の発展とともに「エロゲー」の中身は「三分ストーリー七分エロ」から、次第に「七分ストーリー三分エロ」へと変わり、中には「十分ストーリー、エロなし」という、まさに本物のビジュアルノベルと化したものまで現れた。コソコソとエロゲーをやっていたオタク連中も胸を張れるようになり、自分がこれをやるのはエロ画像を見るためではなく、純粋に物語を読むためなのだと主張し、さらにはオタクの中のエリートモンスターともなると、「エロゲーをやること」を「芸術的行為」にまで高める始末だった。
だから多くのメーカーが「全年齢」ゲームを出したがり、清廉潔白な日の光の下で「品物は出ていけ、人は入ってこい」を実現し、自社の産業が毎日AVと隣り合わせになることもなく、真のゲーム開発会社になろうとした。
聞くだけなら、新たな芸術の発生と萌芽みたいな話に聞こえる……しかしギャルゲーの受け手はもともと大衆ではなく、「乳を見せろ、尻を見せろ」というオタクどもなのだ。
だから全年齢路線に走ったKIDは死に、その衣鉢を継いで全年齢を目指した5Pb.は、今も偶然成功した『Steins;Gate』にしがみついて離さない。Keyも全年齢ゲームを出してはいるが、どうにも稼働頻度は止まっているようにしか見えない。minoriも全年齢路線を試したが、傷を大きく広げる結果となり、その後は必死に乳と尻を売って生き延びようとした。
「オタクは本当に気持ち悪い。ゲームは物語を読むためだなんて偉そうに言っておきながら、18禁じゃないと買わないと言い出す。結局エロ画像が見たいだけじゃないか」と批判する声は常にある。俺も何年も前はそう思っていた。だが今は違う見方をしている。
何か奇抜な前置きを書こうかと思ったが、どうせ奇抜に書いたところで誰もじっくり読まないのでやめた。ゲームの話をしよう。
今やWin10タブレットがそこら中を走り回っていて、しかもスペックも悪くないわけだが、2005年頃にはすでにソニーが似たようなデバイスを出していた。
当時のデバイスには俺も印象がある。少なくとも『大众ソフト』で見たことはある。ただし広告とレビューを見ただけだ。なにせこいつはクソ高かったし、当時はデスクトップPCの性能でもDOOM3の要求を満たせなかった。ましてやこんな高くて低スペックの「阉割ノートPC」なんて論外だった。
しかし古人も言う。「旧時王謝堂前燕、飛入尋常百姓家」。14年前にこんなすごい、金持ちしか遊べなかったものが、俺の手元に落ちてきたのだ。
ここは锤粉にして成金の段爺のサポートに感謝しなければならない。段爺のデジタルへの情熱は匠の心に満ちていて、天生驕傲である!
『絆きらめく恋いろは』は発売当時、これといった亮点がないように見えたのに、最終的な売上は意外なほど良く、しかも……評価も高かった。
評価が高いのはゲーム本編がどうこうというわけでも、ヒロインの女一号の造形がどうこうというわけでも、あのメインシナリオがどうこうというわけでもない……
ひとえに女二号、つまり椿というキャラが可愛くて萌えるからだ。
で、その椿のルートが何かというと、本人は一族最大の栄誉と資源を持ちながら、ゼロから成り上がった連中にことごとく叩きのめされ、最後はかろうじて尊厳を保っただけ。こんな筋書きのどこが褒められるんだって話だが、それでも大衆は椿を可愛くて萌えると感じ、そのルートで俺が唯一いいと思った心理描写や努力と奮闘のあれこれは完全に無視された……
トニカクカワイイ、要するに可愛ければいいのだ。
ふざけんな! またか! またか! シナリオが萌えに負けた!
そして今回は萌え勢に配慮して、このゲームはファンディスクが出た。主役は元の主役ではなく、ルートも元のルートではなく……椿だ。
タイトルも『絆きらめく恋いろは -椿恋歌-』になった。
非著名エロゲー開発会社のLASSは2018年5月に完全に息を引き取った。社長の剣技マナは「5月1日以降の業務は全てDMMに移管する」と宣言し、LASSの主力ライターだったLEGIOんもDMMへと移り、新作の開発に参加した。
そうして下半期になると、新会社Fluoriteが現れ、新作『ソーサレス*アライヴ! ~the World’s End Fallen Star~』も現れた。このゲームのスタッフロールに、俺は見慣れた名前を見つける。LEGIOん、そしてもう一人の見慣れた絵師、早川ハルイだ。
この「LEGIOん」とは、実は俺もやり取りしたことがある。彼の生活はあまりうまくいっていないようで、LASSが倒産した後は流れに身を任せているような雰囲気があった。会社が潰れ、母親も亡くなり、まるで蚁族のように生きている。俺はTwitterで彼に「頑張って」と伝え、彼も返信してくれた。しかし驚いたことに――
彼は中国語ができるのだ!
しかも恐ろしいことに、彼はしばらく前から俺のTwitterをフォローしていたらしい……つまり、俺が毎日あそこでグダグダ文句を言い、この会社はバカだと罵り、あのライターはバカだと罵っていたのを、恐らく全部理解されていたということだ。
だから『ソーサレス*アライヴ!』が発売されたとき、俺はこっそりXに移動してツッコミを入れた。一つには、制作陣に「お前が遊んでるのは海賊版だ」とバレるのはさすがにまずい。もう一つには、本人を目の前にして「このゲームはクソだ」と言うのは…………あまりに失礼すぎる。
で、このゲームは実際クソなのか?
少なくとも最初に体験版を触った時点では、そうだった。
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