『将軍様はお年頃 ふぁんでぃすく -御三家だヨ! 全員集合』レビュー
将軍様はお年頃、水戸黄門は童顔不老
最近、多くのエロゲーメーカーが「倒産したいのか?」ってくらい動きがない。たとえばAlcot。
毎日ツイッターで期限切れの抱き枕やイラストを売りさばいてる以外、ほとんど話題がない。去年「正統派ゲーム」と銘打って出した『将軍様はお年頃』の後、ほぼ一年間音沙汰なし。もうダメかと思った矢先……
Alcotが新作を発表した!
で、見てみたら、なんだこれ、新作がファンディスクだと。

正直、最近はファンディスクばかりで吐き気がする。でも多くのメーカーは新作を作れず、旧作の焼き直しでお茶を濁してるんだろう。まあいい、どうせAlcotは終わりだし、ここはひとつ見送ってやろう。
Alcotの新作の名前は『将軍様はお年頃 ふぁんでぃすく -御三家だヨ! 全員集合』。長いけど情報量ゼロ……しかも名前がダサい。貼り紙の広告みたいだ……
まあいい、死にゆく者に文句を言っても仕方ない。とりあえずこのゲームがどんなもんか見ていこう。
ゲームを始めると、いきなり「安っぽさ」が半端ない。OPもプロローグもなく、いきなりルート選択。元キャラのアフターストーリーに加え、このファンディスクには新キャラ・徳河光國が追加されている。

このキャラ、少し調べればわかるが、要するに徳川光圀のことだ。江戸時代の水戸藩主で、ゲームに元からいる徳川吉宗と徳川宗春を加えれば、日本の歴史上の「徳川御三家」が揃うわけだ。だからこのゲームのタイトルが「御三家だヨ! 全員集合」なんだな。
ここで一つツッコみたい。御三家は揃ったけど、歴史上の徳川光圀は後の二人よりかなり年上だ。徳川吉宗が将軍になった頃には、光圀はとっくに死んで十数年経ってる。つまりこの話は、昔の中国で作られたドラマ『宰相劉羅鍋』みたいなもので、時代の違う人間を無理やり集めて、適当に書いただけってことだ。
もちろん時代が違うんだから、ゲーム内でまともな話が書けるわけがない。歴史上の徳川光圀で有名なのは「『大日本史』の編纂」と「水戸黄門の微行訪問」。光圀が有名な理由の一つは、中国で反清復明を掲げた学者・朱舜水と親しかったことだ。だから中国では光圀の逸話が簡単に見つかるし、日本儒学の代表的人物でもある。光圀のイメージといえば「身分を隠して民情を視察」(豚を食う虎)、もう一つは「紀伝体の通史を編纂し国の歴史を記す」(誰だって歴史をまとめたくなるもんだ)。しかも光圀のイメージはたいてい老人で、こんな感じだ:

だが、より自由に話をこじらせ、お前ら豚オタクにパコパコする口実を与えるため、Alcotは(徳河光國こと)徳川光圀をロリキャラに設定した。こんな風に:

まあいい、万物ロリ化、お前が楽しいならそれでいい。このルートがどんな話か話そう。
ルートの冒頭、水戸藩主・徳河光國が諸国を巡り、主人公のところへラーメンを食べに来る。めちゃくちゃイケてるじゃんと気に入り、自分は『大新本史』を編纂しているからラーメンなどにも詳しい、さらには「向こうの大陸の隣人」の流行りの食材を知る友人もいるとか……
主人公は「この人は只者じゃない」と感じる。何を見ても「ちょっとわかる」と言うが、ただのイキリだと思い、深くは突っ込まない。

だが徳河光國は何かを探しているようだった。やがて彼女の「籠印」が失くなったと判明する。(だいたい中国でいう令牌だが、権限は玉璽以上)。そして城内に別の老人たちが「籠印」を持って現れ、徳河光國を名乗り、自分が水戸藩主だと言い張る。そこへ本物の水戸藩主・徳河光國が現れ、身分を証明し、「籠印」を取り戻して見事デビューを果たす。
要するに登場シーンってだけだ……ただ、その登場がめちゃくちゃ面倒なだけで。

さらに徳河光國は主人公に告げる。この「籠印」は「宝具」でもあり、最近江戸城付近に巨大な妖気が発生し、世の「宝具」を奪おうとしている。自分の「籠印」もその一つで、自分には妖気と戦う使命があると。
どう戦うかって? 徳河光國が籠印を取り出し、掛け声とともに眩い光に包まれると、こうなった:

「変身して密かに街の悪の勢力と戦う」設定、どこかで見たな……そう、これ完全に魔法少女じゃねーか!
もちろんこんなのはまだマシな方だ。一番ぶっ飛んでるのは、徳河光國がこんなことを言う。自分の先祖・徳河家康が娶った妻は実は「星の人」で、星から来た者には特殊能力があり、不老不死で「星から来た宝具」を操れる。徳河光國はその血を引く子孫だから当然不老不死で、見た目はロリだが実は老人だ……と。

うん……わかった……
当然、クソなのは徳河吉宗と徳河宗春にはその血統がないこと。泣けるぜ~
徳河光國はさらに、世に散らばる宝物は多く、集めて適切に保管しないと世が乱れると言う。ちなみに主人公たちがタイムスリップしてきたあの鏡も宝物の一つらしい……どうやらこの「宝物収集」の仕事は21世紀になっても終わってないようだ。

ここまで長々と話してきたのは、要するに最終ボスを出すため:蜘蛛。宝を探す高性能メカ怪物だ。こいつの由来はもう忘れたが、どうせ適当にでっち上げたんだろう。徳河吉宗将軍の指揮のもと、江戸城は準備を整え、この巨大メカ怪物「蜘蛛」に立ち向かう。もちろん我らが光國ちゃんも変身して戦うぞ~。愛の衝撃波、StarDust GrandCrossで大怪獣メカ蜘蛛を撃破し、世に平和が戻った。

物語の後半、主人公はあの照妖鏡……おっと魂の鏡を通じて現代に戻ると言い出す。徳河光國は名残惜しそう(設定上何度もパコってるから、クセになったんだろう)。そして主人公が現代に戻ると……テレビで徳河光國が魔法少女に変身して怪獣と戦うのを見かけるだけでなく、道端で本人にまで出くわす。

徳河光國は不老不死の宇宙人魔法少女だから、江戸時代から現代まで生き続けて、主人公と一緒にいるってわけ……

めでたしめでたし……
あーもう勝手にしろよお前ら! 好きに書けよ!
ゲームのメインストーリーはだいたいこんな感じ。正直、一部の会話ネタを除けば、徳川光圀と何の関係があるのかさっぱりわからん。完全に魔法少女モノの話で、不老不死の女ボス展開とか、慣れれば新鮮味ゼロ。でも徳河光國のCVはなかなかで、昔マシュマロで先輩役をやってた人。声は甘い。ただ、どう聞いても頭に浮かぶ言葉がある:
「こいつ歴史上はジジイだぞ~こいつ歴史上はジジイだぞ~」

まあいい……ツッコんだら負けだ。
新規の徳河光國√以外、他のキャラ√はごく普通。完全にアフターストーリーの埋め合わせで、中にはアフターストーリーとも言えないものもある。たとえば主人公と妹の√。
原作では主人公が宝具の鏡を通じて、江戸時代の兄妹と身分を交換し、タイムスリップする。このアフターストーリーは、つまり主人公と交換した兄妹の視点の話だ……

内容も簡単。昔の人が現代に来て、現代はめちゃくちゃイケてる、地主や奴隷の抑圧もない、自由で民主的で調和と富強と敬業まである、最高じゃんと。妹は「もう帰らなくてもよくない?」とまで提案する。

現実はすぐに二人の顔をぶん殴る。江戸時代の妖刀「村正」が現代でも妖気を放ち、原作主人公√と同じく、この村正も主人公とその佩剣を斬ろうとする。最後は当然戦闘の末、邪は正に勝てずハッピーエンド。兄妹も自分の時代に帰ることを決める。だいたいそんな話。
簡単に言えば、Alcotのこのファンディスクは少し雑に見える。背景の多くはLoveRec.からの流用だし、エロCG以外に新規CGも少ない。新しいOPやEDもなく、古い曲を声優でカバーし直しただけ。それでも一応メインストーリーを書いてはいる。まあ歴史上の本人とはほぼ関係ないけど……
それにしてもAlcotがよく徳川光圀をエロゲーに使おうと思ったもんだ。このキャラは日本文化でほとんど「青天大老爺」みたいなもんで、ドラマ『水戸黄門』は1000話以上放送され、無数の悪者を倒してきた。コナンより多い。そのジジイが突然ロリで、しかもヤれるとか、しかも現代まで生きてるとか、テレビ見てる人の気持ちを傷つけないのか?
このゲームをやるなら、徳川光圀の話をよく知らなくても、普通の魔法少女モノとして見ればいい。ドラマを見るのはやめたほうがいい。じゃないと俺みたいに、この顔を見て:

この顔を思い出す:

まさに「将軍様はお年頃、水戸黄門は童顔不老」ってわけだ。
最後に奇妙な文章を共有:
http://www.jnocnews.jp/news/show.aspx?id=91604
Alcotが潰れるかって? ないと思う。なぜなら『白恋サクラ*グラム』をやったから。倒産まではまだまだ遠いな、Alcotは。
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