家庭ネットワーク改造(上):低消費電力・低騒音のNASを作る
先日引っ越しをして、新居のネットワークをあれこれいじった。新しいルーターを入れたり、新しいNASを組んだりしたので、記録しておこうと思う。新しい機材を触った感想と、踏んだ地雷の話も含めて。記事は上中下の三部構成で、NASの話、ルーターの話、そして二拠点のネットワークを繋いで共有する話になる。
もともと家にはそこそこ良いGen8 NASがあって、何年も安定稼働していた。ただ嫁さんが前からファンの音が大きいと言っていて、それに今回引っ越すこともあって、こいつは新居に持っていき、元の家には新しくNASを組むことにした。そこでNASへの新たな要件はこうなった:
- 騒音が低い
- 消費電力が低い
- 安い
- syncthingの同期とplexの再生、Sambaのファイル共有ができればいい
この条件を踏まえてあれこれ考えた末、家にホコリを被っていたRaspberry Pi 3が一台あるのを思い出し、そういえばRaspberry Pi NASってものがあったなと……Raspberry PiでNASを組むことにした。
ネット上にはRaspberry PiのNAS事例が山ほどある。ただ大半はUSBで外付けHDDを繋ぐ方式で、Raspberry Pi自体にSATAなんて無いのは分かっているが、USB外付けの見た目があまりにもダサすぎる……
そこで探しに探して、「比較的マシな見た目」のUSB外付けを見つけた:
X830というRaspberry Pi NASキット

このキットには鉄製のケースのオプションもあって、組み上げるとこんな感じになる。
まあこのキット、特別なものは何も無い。3.5インチHDDを固定して、USB-OTGでHDDに繋ぎ、外部電源でマシン全体を賄い、小型ファンを内蔵して、ついでにスイッチも付けた、というだけの代物だ。
とはいえここまで「見られる」形にするのもかなり手間がかかっているわけで、購入した。
**ここで言っておきたいのは、俺がこのNASを組んだ当時、Raspberry Pi 4はまだ発表されていなかった。なのに俺はRaspberry Pi 3のキットを買ってしまったのだ。**Raspberry Pi 3の性能でNASが務まるのかも考えた。海外のフォーラムでの議論の結論は「遅いけどできる、使えないこともない」というもので、しかも手元にRaspberry Pi 3が元からあるなら、それベースで組んだ方がむしろ金が浮く。だから俺は信じた。
というわけで以下を購入:
- X830キット
- Western Digital 4T 赤HDD
- DC電源
一番高いのは当然HDDで、全体の予算は500ぐらい。Raspberry Pi 3自体は元から持っていたからね。
組み立て自体はすんなり終わった:




公式のraspbianで起動してみると、HDDは認識されていた。使ったのは4TBのWestern Digital赤HDDで、パーティションを切れば使える。

もちろんraspbianをNASとして使うつもりはなく、使い慣れたOMV、Open Media Vaultを使う。

ネット上にはRaspberry Pi 3向けのOMVイメージがあって、書き込んで起動すればそのまま使える。ただ注意なのが、Raspberry Piはネットワーク給電の安定を保つためか、イーサネットポートをデフォルトで100Mに制限しているらしく、自分で1000Mに変更する必要がある。
1000Mには変更できるが、Raspberry Piは1000Mの速度は出せない。理由は以下:
- Raspberry Pi 3のイーサネットはUSB経由
- Raspberry Pi 3のUSBはUSB 2.0
- USB 2.0自体の最大速度は480Mしかないので、Raspberry PiのギガビットNICは実のところ大して役に立たない
しかもギガビットNICを使うにしても、「給電を確保」しなければならない。給電が足りないと、あっという間にネットワークが落ちる。

計測した最速で20MB/s、しかもそれは最高速度で、大半の時間は12M前後。まあ使えればそれでいいか……と思っていたが、Raspberry Pi 3でNASをやるのは想像以上に深刻な問題があると分かった。
- ネットが遅すぎる。ピークで20MB/sだが大半は10MB/s、しかもNASの稼働時間が長くなるほど遅くなっていく
- 性能が低すぎる。syncthingのファイル解析と整理に平気で二日かかる
- plexは動くが、データベースを構築し始めた瞬間にマシンが固まる
Raspberry Pi 3でNASを組んだことをめちゃくちゃ後悔した。ジャンクのAtomで走らせた方がよっぽど速いと分かっていたのに、しかもケース一式まで買ってしまった。もっと馬鹿なのはこのタイミングでRaspberry Pi 4が発表され、このケースはRaspberry Pi 4に非対応だということ。絶望しかない。
絶望していたところ、メルカリの店員が教えてくれた。このX830のケースは、Raspberry Pi 3だけでなくRock64にも対応していると。ただしケースの電源ボタンによるシャットダウン機能は非対応で、手動で電源を切る必要がある。
そこで即座にメルカリで一番安いRock64のボードを買った。性能不足が心配で4Gメモリ版にした。届いてすぐ組み始める。

しかもRock64のボードはeMMCモジュールに対応している。昔Pinebook用に買ったeMMCモジュールを取り出して、嬉々として装着。この速度はアホみたいなTFカードよりよっぽど速い。
しかもOMVはRock64向けのイメージも提供している。システムをeMMCに書き込んでインストール、起動、設定と進めると速度が大きく改善した:

Plexのキャッシュと同時の書き込み速度:

何より大事なのは、もう平気で固まることが無くなったこと。性能は本当に強い。
ここまででこのNASはほぼ完成。残りは新居のルーターを用意して、このNASとあの古いNASの間でファイル共有をできるようにするだけだ。
最後に地雷をまとめておく:
- Raspberry Pi 3でNASを組むな。性能がクソ
- Raspberry Pi 4も様子見。確か放熱もクソだったはず
- Rock64はマジでイケてる。安くて大盤振る舞い
- ネイティブのギガビットNICは本当に大事
ただこのRock 64 NASにも欠点があって、RTCが無い、つまり電池で時刻を保持できない。次はここをいじるつもりだ。
まあ要するに、非X86アーキテクチャでNASを組むならRock64を検討してくれ。Raspberry Piは考えるな。頼む。
ところで余ったRaspberry Pi 3B+の使い道が分からない。何かいい案があったら教えてほしい。
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