『きまぐれテンプテーション』レビュー

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『きまぐれテンプテーション』はホラー系で知られるSilkyplus wasabiの新作だ。これまでの作品はどれも陰惨でグロくてオカルト色が強いものが多かったのに、今回は意外にも萌え抜きっぽく見える。最大の理由はメイン絵師がきみしま青に変わったからだろう。

しかもこの作品、エロゲーとしては値段がやたら安い。遊んだ萌え豚たちが「地雷」と叫んでいる。俺が前に言った通り、「萌え豚が地雷と言うゲームは絶対に面白い」。だから俺も見ることにした。終わってみると気分は複雑で、「特別に凄い」わけじゃない。むしろ「意味不明」という印象のほうが強い。というわけでこのゲームを解剖して、思うところを書いてみる。

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Q:『きまぐれテンプテーション』はどんな話?

A:話はすごく簡単にまとまる。あるシェアハウスで、住人4人が全員不審な自殺を遂げた。しかも腹を切る形で。主人公は陰陽師で、そのアパートに乗り込んで降霊で調査する。最後に分かるのは、住人たちが自殺したのは女大家が自作の宗教で「自殺すれば天使になれる」と煽ったからで、要するに悲劇だ。ひと言でいえばカルト信者の殉教行為である。

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Q:でもこのゲームの表紙にはずっと巨乳の女がいる。あれは何?

A:表紙の巨乳は、主人公が陰陽師としてその事故物件に来て出会うやつだ。自称サキュバスで、調査にも協力してくれる。だが最後にはこの「サキュバス」こそ、あの「殉教者」たちが自殺後に儀式で呼び出した存在だと分かる。黒幕の一人ってところか?

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Q:理屈は分かった。じゃあなぜこのホラーゲームがこんな「巨乳」を表紙に使うんだ?

A:ここが俺にもよく分からない。このゲームはちょっと「統合失調」していて、一方ではコンテンツ資源を極端に「巨乳」に寄せている。Emotion技術を提供し、衣装も何着もあり、表情も極めて豊かで、CVの演技もエロい。なのにこの巨乳は物語的には「敵側」寄りで、「表情崩壊」「背筋が凍る」ような歪んだCGまである。この巨乳に比べて他の脇役は悲惨すぎる。CGもCVもあるのに、一人につきCGが一枚だけ。そう、巨乳以外の脇役は全員CG一枚きりで、まともな立ち絵すらない。このゲームが「ホラー」を売りにするなら、なぜ資源の80%を「媚び売り」の敵に注ぎ込む? 他のサスペンス部分は省けるだけ省く? 困惑するしかない。しかも「探偵」要素を際立たせるため「調査」機能まで追加しているが、この機能が……マジでアホ。順番にクリックしていくだけでいい。多くの場合、CGにいくつかクリックできる領域が増えただけで、調査の体験なんて全然ない。入れないほうがマシだ。

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Q:「ホラー」が売りと言うけど、ホラー氛围はどうなの?

A:雰囲気は悪くない。キャラの表情の歪みや画面転換、BGMの配置はよくできていて、普通に「ビビる」。制作陣に経験があるのは分かる。ただ物語そのものは全然「ホラー」じゃない。穴だらけだし、不合理な点も多い。ゲームではシェアハウスの「女大家」が、子供の頃に親から虐待され捨てられたせいで「家族」を渇望し、大家になると入居者に「今日からみんな家族よ」と言い、自分の「家族」理論を押し付ける。「家族なら整然と、一緒に食事をして一緒に過ごすべき」とか。しかも大家はある女の入居者に利用される。その女がカルト一式を作り、全員に「法名」を割り当て、麻薬密売に関わっていそうな入居者を使って薬物を強制注射して幻覚を起こさせ洗脳し、「言うことを聞かない」入居者たちを従わせて「家族」にする。で、最後はやりすぎて集団自殺になり、自殺後にはあの巨乳サキュバスが召喚される、と。話全体としては悪くないが、「もっと上手くできた」。まず「入居者」という設定自体が不合理だ。「発狂した母親」が自分の「四人の子供」を殺した、に変えたほうがいい。こんな狂った大家を見て逃げない入居者なんて理解できない。この点についてゲームの説明は「大家は胆が小さくて洗脳を受け入れそうな入居者を選ぶ」だ。おい、一目見ただけで相手が洗脳を受け入れるか分かるのか? お前凄すぎるだろ。それに主人公の設定もマジでアホで、無理やり「陰陽師」にしている。日本の「民族的自信」のためか知らないが、ゲーム内で主人公がやっていることはむしろ「牧師」に近い。怨霊に「お前は悪くない、赦された」と繰り返し諭す。明らかにキリスト教っぽいのに、無理やり「陰陽師」にされている。実際、刀を持って格好つける以外、陰陽師の要素なんて全く見えない。

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Q:じゃあこのゲームの話はどのくらいのレベル? 隠し要素はある?

A:中国大陸の「蓬萊鬼話」板に置くなら中より下のレベル。しかも尻切れトンボだ。ゲームの最後はおまけを置く形で、主人公と「サキュバス」が契約済みで話はまだ終わってないと告げるだけで、まともな結末はほぼない。他にも隠し要素があり、同会社の過去作『なないろリンカネーション』や『あけいろ怪奇譚』のキャラとのコラボがある。あと「最終的に大家が惨死する」こと。大家自身も可哀想で、カルトを作った一号入居者に利用されただけ、とか。だがゲーム全体の質が上がるわけじゃない。

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Q:つまり話自体は普通。じゃあこのゲームが流行って見える理由は?「ギャップ萌え」? それとも「プレイヤーに糞を食わせる」から?「地雷」だから?

A:SilkyPlus Wasabiについて少しでも知っているプレイヤーなら、このゲームを「ホラーじゃない」とは思わない。内容から見ても、プレイヤーに糞を食わせる理由はないし、悪意もない。唯一の問題は、この製品のマーケティングが「二種類の層」を狙ったことだ。一つはストーリー重視のストーリー勢。もう一つは「キャラが可愛いから買う」萌え豚。日本に「キャラが可愛いから買う」層が大量にいて、ゲーム売上の半分を支えているのを俺も見たことがある。だからSilkyplus Wasabiも売上を考えてこうしたんだろう。ただ彼らは忘れていた。ゲームを「やらない」プレイヤーでも、ネットで「やるプレイヤー」が買ったゲームをどう評価しているか見る。ホラーCGばかりのゲームを見て騙されたと感じるのは当然で、逆効果だ。もう少しシナリオを磨き、資源を全部巨乳一人に寄せず、均等に配分すればもっと良くなったはずだ。

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Q:このゲームに良いところはないの?

A:あるよ。巨乳だ! それからOP。小春めうの新曲で、完全にメロディラップっぽい感じで、Trapっぽい編曲。『日本の新ラップ』に進出できるぞ。もちろんこのゲームに興味があるなら、速効性の救心丸を少し用意しておくといい。CGの切り替えが結構ゾッとするからな。巨乳だけに興味があるなら、OPを見て巨乳のHCGを見ればおしまい。結局そこがゲームの精髄だからな。

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