『クロスコンチェルト』レビュー
前から思ってたんだけど、日本のエロゲー業界はそろそろ新しい姿勢を学ぶべきだ。たとえば新しいゲームスタイルを試すとか、インタラクションシステムを強化するとか、設定や世界観を広げるとか、販売チャネルを増やすとか。Steamで出すとか、最初から簡体字中国語に対応させるとか。売上も伸びるし、質も上がる。
ところが物事はいつも想像通りには進まない。日本のエロゲー業界は前者だけ覚えて、後者は捨てた。
つまり、売上と利益ばかり気にするようになった。質を上げる? そんなの存在しない。たまに「良心的大作」っぽいものが出ても、結局は意味不明な気まぐれ作品で、脚本が勝手に暴走して、最後は爆死。ブランドごと消える。
こういう「気まぐれ」と違って、大半の「負けられない」老舗ブランドは堅実に……金を巻き上げる道を選んだ。
だから分巻販売やSteam販売が増えて、同時にありとあらゆる単純粗暴なゲーム設定も増えた。物語がどうかなんて気にしてない。売れて金になればそれでいい。
こんな金の稼ぎ方ですぐに「ちゃんと物語を語る」会社は瀕死になった。でも一部の会社は新しい手を覚えた。「クラウドファンディング」だ。

エロゲーはクラウドファンディングにすごく向いてると思う。どうせいいゲームを作っても一群に海賊版で遊ばれるだけなら、値段を決めてクラウドファンディングで予約販売したほうがいい。少なくとも元は取れるし、ちょっと儲かる。
そうして2017年、もう自分の力ではやっていけないと感じた会社「あっぷりけ」がクラウドファンディングを始め、『クロスコンチェルト』を作ることにした。
このゲームは実はかなり早くにプレイしたんだけど、その後しばらく放置した。理由は簡単。つまらなすぎる。
設定自体は最初から見れば単純だ。兄妹がいて、兄は右手がない。妹は左目がない。兄の右手は機械腕で、妹の左目は義眼だが「未来を予見」できる。

兄妹は山奥を出て、この学校に来て学ぶ。鏡花というメイドを連れて。
そして学校生活の中で、妹の瑠璃は自分の「未来予知」能力を使って問題をいくつか解決する。同時に兄に警告する。同じ学校の西条美加という女子生徒が将来自殺すると。
兄は西条美加を救うため、調査に介入する。自分の機械腕も使って、西条美加が飛び降りたとき、落下地点に鉄パイプを投げ、落下速度を緩めて命を救う。

その後OP2が入って、物語はつまらない段階に入る。というか「何を言ってるのかわからない」段階だ。ゲームは先に「端の脇役」を攻略させ、次に「脇役」、最後に「主役」を攻略させる。ご想像の通り、主役は妹の瑠璃だ。
このゲームの各支線は「雲の中」としか言いようがない。極めて断片的で、唯一確かなのは「ヒロインと関係を結んだらエッチしてED」だけ。コアな本筋に触れる内容はまったく理解できない。ここでまとめておこう。
- 兄妹は以前、山奥の村にいた。妹は一族の「預言者」で村で大きな権力を持っていたが、兄は「捨てられた者」で、預言者に生贄として捧げられそうになった
- 兄妹が通う学校には「未開発区域」があり、以前は「西条家」の場所だったと言われる。中には廃屋や神社、鳥居もある
- その廃墟には「荒御魂」が存在する。荒御魂は日本の神怪の一種で、まあ「悪鬼」みたいなものだ
- その荒御魂はもともと穏やかだったが、最近頻繁に問題を起こす。たとえば普通の人を引き寄せて生贄にする。男主も引き寄せられたし、各サブヒロインも多かれ少なかれ荒御神に影響されている。個別ルートも結局は荒御魂の問題を解決するだけ
- ゲームにはもう一つ疑問がある。兄妹はもともと村から出られなかったのに、どうやって出たのか
- 最終ルートの前、妹の瑠璃と男主は荒御魂に直接挑み、返り討ちに遭う。妹は荒御魂の穴に落ちて死ぬ。死ぬ瞬間、妹は気づく。この荒御魂の能力は、巻き込まれた人間の記憶を吸い取ることだと

だから最終ルートの前、断片から読み取れたのはこれくらい。理解できるのは「街の郊外に荒御魂がいる」ということだけ。天朝的にわかりやすく言えば「郊外の幽霊屋敷に幽霊が出る」だ。妹は前の結末で死んでいる。最終ルートはどうやって編むのか。

その後、意味不明なOP3が入って、ようやくTrue Endに到達する。だがこのTrue Endも何と言っていいのかわからない。相変わらず断片的だが、少なくとも問題は解決する。

- 妹の瑠璃の「未来予知」能力は子供の頃からあった。子供の頃に自分の一生を全部見ていた
- 妹は将来兄と村を出る未来も見ていた
- 妹が見る未来は「動的」で、現状の変更に応じて変わる。たとえば王さんが明日お見合いに行くとして、前日に鳩子ちゃんに告白されたら、「王さんが明日お見合い」の未来は「鳩子ちゃんとエッチする」に変わる
- 最終True Endの物語は別の世界線で起きる。この世界線で妹は荒御魂の能力を吸収し、荒御魂が集めた様々な犠牲者の記憶を得ている。当然、別の世界線や異なる世界線での男主「つまり兄」と女主の間の出来事もわかる
- 最終的に凄まじい妹は荒御魂と戦い続け、荒御魂が作った幻想からも抜け出し、最終的にあれを鎮める
荒御魂が鎮まり、ゲームは終わる。兄妹はまた一緒にいられる。

要するにこのゲームは……街の郊外に鬼がいて、よく人を害する。超能力を持つ妹が、様々な世界線でその鬼に挑んで失敗する人々を見抜き、最終的に唯一成功する可能性を見つけて、それを従える。
ならなぜこんなに単純な話を、こんなに長くて臭くしなければならないのか。

しかも一番重要なのは、最終章の妹の話だけが本当にゲームの様々な疑問を解決するということ。それ以前のすべての伏線は、つまらない無駄話だ。そしてそれらの「最も重要な内容」には、立ち絵も演出も声もない。ただ生硬な画面いっぱいの文字だけ。予算が尽きたんじゃないかと思った。
ここで話を戻そう。忘れちゃいけない、このゲームはクラウドファンディングで開発された。
ゲームのクラウドファンディングページを見ると、この画像がある。 http://uneedzone.jp/info.php?type=items&id=I0000043

このゲームは最初、企画ではヒロインが二人だけだった。ただ後からクラウドファンディング参加者が多くなり、「脇役ヒロイン」の档位が増えた。最終的な「前作ヒロイン外伝」は実現しなかったが、まあゲームは作れた。
ここでなぜこのゲームの物語構造がこんなに奇妙なのかがわかる。
もともと設定は妹だけに関係していた。そしてクラウドファンディング時の宣言を見てみよう。

「以前売ったゲームで一番人気の内容を全部入れました。しかも『安心感』のある作品です。皆さん、クラウドファンディングに参加してください」
得られた情報を総合するとこうだ。このゲームは大雑把な寄せ集めで、君たちが見たいものを書く。しかも地雷は絶対にない。安心してお金を払ってくれ。
そうしてこんなゲームができた。平坦如水の共通ルート、意味不明な個別ルート、そして最後はやや投げやりだが当然すぎて驚きのないTrue End。

しかも最終ルートはとても省エネだ。2500万円を使い切ったのかもしれない。ここで指摘したいのは「桐月」の文章スタイルで、本当にどんどん老害化している。多くの内容が読んでいて明らかな「困難」と「頑固」を感じる。脚本が何歳か知らないが、もうすぐ50歳なんじゃないか。以前G+に桐月吹きがいたが、このゲームを見てどう思うだろう。

このゲームにはかなり時間を潰されたし、「前作」『コンチェルトノート』もやっていない。それでもこのゲームが作れたこと自体、かなり大変だったと思う。クラウドファンディングの話からすると、これがこの会社の最後の作品だろう。やっていけなくなったから。

どうせ潰れるなら、最後まで走り切ってからにしよう。ゲームが粗くても、物語が混乱していても、少なくとも結末は美しかった。そうだろ。
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