『パニカル・コンフュージョン』レビュー
帰りましょうよ、お姫様
最近性欲が爆発していて、しかも「ヒロインが可愛い」ゲームをずっとやっていなかった。目の前にあるのは絵柄が好みじゃないうえに、シナリオも異常にクソなゲームばかり。そんなとき、ある考えが浮かんだ。
萌え抜きがやりてえ!
というわけで、積んだままのゲームのフォルダをかき回して見つけたのが、この『パニカル・コンフュージョン』だ。
実はこのゲーム、かなり前に落としてはずっとやっていなかった。日本のオタク連中からの評価が悪くて、「キャラの絵がいい以外は何もない」と言われているのがほとんどだったから、優先度も低かった。
でも今の自分は昔とは違う。求めているのは「ヒロインが萌えでヤれればそれ以外何もなくていい」萌え抜き、そして白もち桜が描く女一号だ。
だからこのゲームを開いた。

ゲームの流れは長くないが、なぜか考え込んでしまった。理由は単純で、このゲームが想像よりずっと良かったからだ。
むしろ良すぎるくらいだ……
このゲームのメインシナリオはわりと単純。主人公の塚原剣二は魔法使いで、「魔法使いが存在する裏世界」に住んでいる。そして幼馴染の花菱ほのかは、生まれつき巨大な魔力を持ち、一族の称号「エルミシア」の後継者にまでなる。だが、このほのかは自分が背負う未来の重任にまるで自信がなく、それに加えて遊び好き。他の女の子たちみたいに学校へ通い、友達を作り、綺麗な服を着て、みんなで遊びに行きたいと思っている。なのに魔法使いの修行はつらくて仕方ない。だから彼女は決めた……家出だ。

ほのかは「魔法使いが存在する裏世界」から抜け出して外へ来ると、魔法使いの身分を隠してある学校に紛れ込み、普通の高校生として過ごす。ほのかが逃げ出したことは主人公の耳にも入り、彼は魔法使いの一族を代表して、ほのかを連れ戻すことにした。
もちろんほのかはすぐ学校で見つかるが、戻るのを拒否し、魔力を行使して主人公に何発も大火球を放ち、撃退する。結局主人公は連れ戻すのを諦め、残って説得することにした。

だが、ほのかが暴走したことでじきに騒動が起きる。体内の魔力が大きすぎるせいで、学校で異常現象が始まったのだ。主人公の周りに妙なモテ期が訪れるとか、そういうのも含めて。それにほのか自身の魔力が勝手に大火球を出すこともしょっちゅうで、誰もたまったものではない。
最終的に「普通の女の子」をやろうと、ほのかは主人公の励ましを受けて、自分の魔力を制御することを主人公から学ぶ決意をし、少しずつ成果を上げる。ところが主人公の師匠が現れてこう告げる。もしほのかが魔力の制御に失敗すれば、今回の家出が魔力の失衡を招き、主人公まで魔力を失うかもしれない。しかも「魔法使いの裏世界」の状況もこれまでとは変わってしまう、と。

もともと自信なんてなかったほのかは、自分の家出がこんな連鎖反応を引き起こしていると知り、臆病な彼女はそのまま引きこもってしまう。落ち込んで主人公と話す気にもならず、最終的に逆に体内の魔力を制御できなくなり、もう一度暴走する。
もちろん主人公は再び現れ、暴走したほのかを救い、自信を与えて立ち直らせる。主人公とほのかは無事に魔法使いの裏世界へ戻り、ほのかは後継者となり、最終的には羨ましい魔法の伴侶となって、ゲームはエンディングを迎える。
もちろんこのゲームには他にも攻略できるヒロインが何人かいるが、実は本筋とはほとんど関係ない。「主人公がほのかを探しに出たのに、最後は別の女の子とヤっちゃって、自分が何をすべきか忘れてしまった」というだけの話で、攻略のために攻略させている感じがする。
このゲームがくれた最大の驚きは単純なシナリオではなく、ヒロインの見せ方と恋愛の感触だった。

よくある廃萌え抜きと違い、このゲームのヒロインは性格の作り込みがしっかりしている。特にほのか。彼女は「ちょっと自惚れ屋で臆病、でも親しい人にはちょっと小悪魔」な女の子で、こういう子は現実にも確かにいる。ほのかの造形はとても生き生きしていて、セリフもそうだし、CVの演技も印象に残る。小倉結衣ももうおばさんだが。
ゲーム内の男女の会話には、濃厚な「恋愛の感触」が漂いやすい。ほのかが甘えてくる姿や怒る姿は、現実の女の子とほぼ一致している(どうして知ってるのかは聞くな)。しかもゲーム内の告白も文学的で、皆がよく言う「月が綺麗ですね」が使われる。そして恋愛は主人公の片思いの甘い言葉だけではなく、ほのかのほうからもやりとりがある。

一番印象に残っているのは、主人公がよく臆病なほのかを励まし、強くあれ、自信を持て、自分は偉大な魔法使いになれると信じろと言い、さらに「ほのかは俺の中でずっとすごい」と言う場面だ。
するとほのかがこう返す。「お?そうなの?すごいって言うなら、どこがすごいの?」
主人公はただのお世辞のつもりだったので一瞬言葉に詰まる。するとほのかが小悪魔な微笑みを浮かべる。このやりとりが本当にやめられない。
考えてみれば、萌えを売りにするゲームとして、キャラを可愛く描きつつ「恋愛」の内容もきちんと作れている時点で、十分褒められる。

もちろんこのゲームに残るものはそれだけではない。宣伝時は抜きゲーとして売られていた。シナリオもキャラも主流ゲームの水準に達しているのに、抜きゲーとしての刻印がこのゲームのあちこちに残っている。しかも悪趣味な部分もある……
しばらくすると主人公の「色っぽい事件」が起きる。たとえば女の子のパンツが見えたり、黒タイツがちらついたり。そこで選択肢が飛び出すのだが、これがふざけていて、大体は二択。一つは「正人君子」、もう一つは「偽善的変態」。たとえばヒロインの黒タイツがちらついたとき、「注意を促す」か「もうしばらく見ている」かを問われる。これらの選択肢はエンディングに完全には影響しないが、見ていてなかなか面白い。自分が選んだのが全部「偽善的変態」だなんて言わないよ。

2015年のゲームとして、当時の日本のオタクは要求が高すぎたようだ。実際、このゲームが2020年に出ていたら、少なくとも80点の水準はあると思う。もちろん女一号のほのか以外のキャラがイマイチな分を引いてもいいが、決して50点60点のレベルではない。女一号のルートだけで期待を超えている。
ああそうだ、このゲームのOPも触れておく価値がある。演出が派手なだけでなく、メロディも良く、珍しく歌詞がゲーム内容と関係している。もちろん、ほのかについてだ。
こんなに遠くの街にやって来たんだから (こんなに遠い街までやって来たんだから)
一緒に悩みを乗り越えて (一緒に悩みを乗り越えて)
帰りましょうよ、お姫様 (さあ一緒に帰りましょう、お姫様)
この曲を聴くと頭の中がほのかでいっぱいになる。ゲーム内で彼女は確かに「お姫様」として存在している。久しぶりに心が動かされるゲームだった。ほのか姫と一緒に帰れるのは、本当に幸せなことだ。
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