『慰愛の詩』レビュー

慰愛の詩:ゲームとは言えない「ゲーム」

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去年、ある同人ゲームが俺の目を引いた。それがこの『慰愛の詩』だ。

惹かれた理由はただ一つ、ヒロイン視点のBLゲームだから……

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もちろん俺はホモじゃない。このゲームをやったのはBLだけじゃなくBGもあるからだ。

BLゲームでGLをやるなんて、笑い話にもほどがある。だが出てしまった以上は現実で、ゲームとして俺の目の前に現れた。

同人作品ながら珍しく全ボイス付き。ただ残念なことに、このゲームには立ち絵がない。

まずは声優陣を褒めたい。とても良い。特にヒロインの造形が深くて魅力的だ。男二人には興味が持てないが、まあ無難な出来だ。それにしても立ち絵がないのはかなり痛い。絵師が見つからなかったのか、背景も実写写真をPSしただけのもので、予算が相当厳しかったのは間違いない。

では物語の話をしよう。

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話はシンプルだ。ヒロインは子供の頃、骨折で入院し、そこで心臓に問題を抱える主人公・令二と出会う。二人は真夜中の庭で会い、意気投合する。

やがて令二が心臓発作を起こし、そこに伊佐治という別の男が現れる。彼は令二とより親密な関係にあるらしく、すかさず救急搬送する。その後、ヒロインに治療を遅らせたと責める。

時は流れ、ヒロインは学校に通う年齢になった。

一人暮らしで新しい街に来たヒロインは、偶然にも大学の門前で、子供の頃に見たあの……令二と再会する。

令二はなんとヒロインを覚えていて、9年前に病室で出会ったことも覚えていた。

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二人はすぐに想いを通わせる。令二があまりにイケメンすぎてヒロインも抑えきれず、家に連れ帰って即、干柴烈火の大炎上、めくるめく展開に突入する。

その後ヒロインは令二に深く夢中になり、アパートで際限なくヤリまくる。そこへ別の男が現れるまで。

その男こそ伊佐治、子供の頃に令二を救いヒロインを責めた相手だ。ヒロインは彼が嫌いだが、向こうは自分に気づいておらず、令二との関係も知らないらしい。だからヒロインも気にしない。

だがすぐに様子がおかしいと気づく。令二が書いた詩、内容はラブポエムに見えたが、ヒロインが読むとそれは伊佐治に宛てたものだった……

ヒロインは、令二と伊佐治が友情を超え、恋愛にまで達した関係にあることを知る。

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ヒロインは令二に自分を愛しているのかと何度も問う。返ってくるのははぐらかす答えばかり。令二はヒロインを美しい、魅力的だと褒めて、すぐにセックスしてヒロインを夢中にさせ、自分を忘れさせる。愛しているとは一度も言わない。

やがて問い詰められ、令二は言う。確かに伊佐治が好きだ、でもヒロインも好きだと。

「二つの愛は違うんだ。」

令二の理屈はいつも完璧で、ヒロインはイケメンの顔を見るだけで信じる気持ちでいっぱいになる。

だがすぐにヒロインは、自分が令二にセックスのオモチャとして扱われているだけだと気づく。令二自身、誰が好きなのか分かっていないようで、あまりに余裕ぶり、あまりにやりたい放題だった。

怒ったヒロインは令二と縁を切る決意をし、セックスの後、疲れて眠った令二に、包丁を持って殺しに行く。

だが刃を下ろす直前、令二が目を覚ます。殺されそうになっても慌てず、逆に淡々と告白を始める。これが本心だと自称する言葉を並べ、自分の性指向は分からないが、ヒロインを愛していることに間違いはないと。

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ヒロインは自分の醜さを恥じ、扉を飛び出して雨の夜へ走る。物語はそこで終わる。


というわけで、この話は人によって見方が変わる。

俺のようなストレートの男なら、大半は令二をクズ男と見るだろう(実際その通りだ)。口がうまくて顔が良くて、ヒロインと男友達の間をふらふらしながら二重に旨みを享受している。

だがゲーム中の台詞はあまりに誘惑的で、令二の言葉は女性への杀伤力が大きすぎる。さらにイケメンなら、純情な少女はまず抗えない。

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だからこのゲームの見どころは文章力だ。韓国や日本の文芸映画のような話を語り、音楽も声も文芸映画の雰囲気。

ただこれだけはギャルゲーにもビジュアルノベルにも見えない。

むしろこの脚本は短編映画にすべきで、ゲームにするべきじゃなかった。

いや、この物語自体がゲームに向いていない……

そう、これはゲームとは言えない「ゲーム」だ。

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