『アオナツライン』レビュー

あなたが欲しかった青春 Feat.王小姐 / Pockies Wili

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「青春」って言葉はよく見かけるけど、それって一体何なんだろうな?

よくこういうのを見る。

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「XXXってドラマが終わった。俺の青春も終わった」

「XXXってアニメが終わった。俺の青春も終わった」

「XXXが結婚した。俺の青春も終わった」

もし「青春」が若い頃の単なる一状態にすぎないなら、それは年齢と共に終わるもんであって、特定の誰かやアニメやドラマに左右されるもんじゃない。

人によって「青春」の意味は違う。

破先生にとって、青春とは夏に小中学校の階段のあたりをうろつき、たまたま何気なく見上げて階段上のJKのスカートから覗く黒タイツの眺めを、警察署と生活指導の説教のなかで反芻し、青臭い笑みを浮かべることだ。

王小姐にとって、青春とは雨上がりのキャンパスを散歩し、頬にはさっき鳩妹の唇の温度が残り、このあと女性教師のオフィスで彼女といちゃいちゃするときめきの期待感。

そして俺にとって、青春とは……ずっとエアコンの効いた部屋にこもってゲームをし、手元には飲み切れないコーラ、自分の脂ぎった腹を眺め、仕方なくMyIE2を開いて掲示板を見つけ、キーボードを狂ったように叩いて難癖つけては叩きまくっていたことだ。

レベルが違う人間は「青春」の演じ方も違う。そう、若い頃にどんな暮らしをしていたか、それがそのまま青春なんだ。あんたが懐かしむ「青春」なんて、もう一度若返りたいだけにすぎない。

だから「青春」という題材は映画やドラマ、小説、アニメ、そしてゲームにも引っ張りだこなんだ。虚構の世界なら、いつだって「青春」への憧れを満たしてくれる。

じゃあ完璧な「青春」ってどんなものなんだ?

破先生なら「夏、JK、お姉さん」と言うだろう。

王小姐なら「キャンパス、夜、後輩女子」と言うだろう。

そして俺なら「夏和小、夏和小、夏和小」だ。

これらの要素のバランスを取ったのが、この『アオナツライン』というゲームだ。

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このゲームの話は簡単で分かりやすい。主人公と幼馴染の男女、海希と千尋が一緒に新しい高校へ進学し、そこで古臭いお姉さん「仲手川結」や、学校の不良グループにいじめられている後輩「椎野ことね」と知り合い、小さなグループを作る。夏休みが近づき、みんなで「夏の計画」を立てる。要は夏休みに何かやろうって話だ……

だが、そんな簡単に事が運ぶわけがない。

まず最後にグループに加わった後輩ことねには、いろいろある。

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ことねは高校に入って仕切り直して、学校で名を売ろうとしていたのに、すぐに学校の不良のボスに目をつけられる。ボスはことねを手厚く世話するが、言うまでもなく、それは友情でも同級生の情でもなく、身体目当てだ。

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もちろんことねも善人ではなく、あの手この手でボスをやんわり断る。ボスは面白くなくて、「駆け引き」を決行。まずことねを追い出し、子分に噂を流させて学校に居づらくし、自然と自分の元に戻ってくるはずだと考えた。

ところがことねは主人公に横取りされ、主人公のグループの一員になる。ボスは当然面白くなく、さらに難癖をつけに来る。

そこで主人公はことねを自由にするため、ボスと交渉することに。するとボスが出した案は、

「お前と、お前の友達の千尋でバスケの1on1をやれ。勝ったらことねにはもう絡まない」

そして演出のために雨まで降り出し、ボスは校舎の窓辺で悠々と眺めている。

このシーンを見るたびにこの画像を思い出す。

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正直この展開は理解できない。ボスと対決する話なのに、なぜ主人公が友達と対決するんだ?ボスとやるべきだろ?

しかも友達が手加減すれば問題解決じゃん。友達のプライド云々が心配なら、友達は堂々と「ボス」を侮辱してから華麗に手加減すればいい。「ことねを助けるためだ、バスケの腕なんてクソ食らえ」と。イキりつつ女も口説ける、いいことずくめじゃないか?

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当然、この展開への疑問は破先生に突っ込まれた。彼は色々と言ってきたが、詳しくは覚えていない。概ね「これが日本の青春文学の定番だ」「友達には重い過去がある」「友達の性格なら絶対手加減しない」「これ、アホみたいな渦巻社のシナリオよりずっと中身があるんだぞ、分かってないな」「とにかく俺はこの展開を理解できる」「だから言っただろ、クソゲーばかりやってないで忠臣蔵をやれって」

「忠臣蔵」と聞いて思い出した。破先生にSteamギフトで『忠臣蔵46』をもらったんだった。もらってしまった手前、しかもあのゲームを延々と勧められて服従させられるのは御免だから、認めるしかない。

いずれにせよ、主人公は友達との1on1に辛勝し、ボスも筋を通してことねを解放する。

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こうしてことねは正式に主人公のグループの一員となり、主人公のハーレムの一人にもなる。

実は主人公はずっと前からことねを狙っていた。俺もだ。彼女のCVを聞いて身体を狙い始めた。あのボスの気持ちも分かる気がする。多分彼も俺と同じ声豚なんだろう。

主人公とことねが街を歩いていると、スカウトに声をかけられ、アイドルに興味はないかと聞かれる。

ことねは実は虚栄心が強く、カラオケで歌うのも好きで、アイドルなんてなりたいに決まっている。かくして「夏の計画」は、みんなでことねをオーディションに合格させるためのものに変わる。

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ことねは顔も良く(韓雪みたい)、声も(天使のように四季ナツメ風に)良い。スカウトは歌手系のアイドル路線を目指せるという。

かくして主人公たちの助けで、ことねはオーディションに合格し、見習いアイドルになる。将来は練習生になるらしく、2年練習生をやったあとバスケを習わなきゃいけないらしい。それはまた後の話だ。

主人公もこの機を逃さず、ことねを落とす。ある偉人が言った。「恋愛において、先輩は天然の媚薬だ」と。だから俺は主人公のこういう行為を非常に不愉快に思っているが、どうしようもない。画面に飛び込んでぶん殴ることもできず、ひとり身の男がことねとパコパコしているのを見ているしかない。

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もちろん俺がもっと気にしているのは、

ことねはアイドルになるのに、アイドルに彼氏がいてもいいのか?

俺はことねが絶対にあのバカ主人公と別れると信じている。

ところがスカウトと事務所のマネージャーが言った。

「彼氏がいてもアイドルには影響ないよ」

ふざけんなよ~

とにかくことねはこうしてアイドルの道を歩み、主人公はその後をついてくるだけ。現実の厳しさがことねを堕落させるのか、そのとき主人公との関係がどこまで続くのか、俺にも分からない。

ことねの話は終わった。俺の青春も終わった。

しかしゲームはまだ終わらない。ほかの二人のヒロインの話が残っている。

正直に言うが、この「仲手川結」は現実に存在する人間には全く見えない。話し方はゆったりしていて、いつも笑裏蔵刀、誰にも通じない古いネタをひけらかしたがる。見るからに負け犬体質だ。前回の似たキャラは『恋愛・選挙・チョコレート』の木場美冬だった。こんなバーチャルのキャラをなぜこの話に入れたのか分からない。もっと現実的な人の話をしよう。

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つまりこのゲームのC位に立つ(鳩妹)向坂海希だ。

海希は小さい頃から主人公と遊んでいて、当然彼に好意を抱いていた。本来二人だけの世界だったのに、そこに第三者が現れる。主人公よりイケメンで、主人公より金持ちで、才能もある男二号・千尋。

普通に考えれば海希は千尋の方が好きになるはずだ。だが忘れちゃいけない、これはゲームだ。多くの人が海希と千尋をくっつけようとするが、海希が好きなのはやはり主人公だ。千尋も「負け犬は負け犬らしくいろ」という良人体質を貫き、平然としたイキった態度で海希の告白を手伝うことを決める。

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そして幼い頃のある夏、海希と主人公はこっそりプールに来て、夏の花火を見に行こうと約束する。海希は主人公に聞く。花火は横から見るの?それとも下から見るの?

主人公の頭の中は友達のことでいっぱいで、海希は絶対友達のことが好きで、自分じゃないと思っていた。

こうして幼いあの夏、海希の告白は失敗する。

それから海希はこの気持ちを胸にしまい、内心を偽って、バカみたいに……おっと、楽天家のように振る舞う。だが実際は内面が脆く、ちょっとしたことですぐに落ち込む。新しい高校に来て、また海希と千尋ができているという噂が流れる。何せ美男美女だ。そして主人公はというと容姿もダメで、色塗りすら終わっていない、見るからに安っぽい底辺男。

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最終的にはあの小グループの「夏の計画」に戻る。千尋は主人公を呼び出し、海希のことが好きなのかと問い詰める。ところが主人公はこう言うのだ。「海希はお前のことが好きなんだろ?」

竹を割ったような……いや、IQもEQも足りないこの発言が、海希をまたもや閉じこもらせる。

もちろんその間に無数の瓊瑶ドラマを経て、海希はようやくもう一度告白し、子供の頃に言えなかった悔いを晴らす。

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そして主人公は「口に運ばれた鴨はもらわない損」の原則を貫き、この告白を受け入れてリア充になる。幼い頃からの幼馴染が、ついにカップルとなった。


全体として『アオナツライン』は、制作は決して精巧とは言えない。

まず立ち絵があるのは四人だけ、主人公すら描き終わっていない。他のシーンは省けるところは省き、シナリオも長くなく、選択肢も単純明快。しかも映画のようなエフェクトを多用してコストを削っているが、かえって同類のゲームを超える効果を上げている。

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このゲームの巧さは、多くの「ギャルゲーマー」の「痛点」を突いていることにある。

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退屈な「日常水増しゲー」はもう見飽きている。『アオナツライン』には内容の水増しがほとんどない。多くの展開は不自然で、現実離れしていて、感傷的すぎると感じるが、物語は確実に進んでいく。このテンポは台湾の青春アイドルドラマと同じだ。

多くの伝統的な「ギャルゲー」は「共通ルートが十分長い」ことを誇りにしている。『アオナツライン』のように共通ルートを簡潔にまとめた作品は本当に珍しい。これならプレイしていてとても心地よく、のめり込み、いつの間にか物語は大きく進んでいるのに、飽きが来ない。

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素材は日本の青春文学で最もありふれた「夏の淡い恋」。正直、出来は良くない。書店で日本の青春文学を適当に一冊開けば、このゲームより映像が浮かぶし、情感の物語も深い。しかも大方「花火は下から見るか横から見るか」の映画を「パクった」(オマージュ?)と言わざるを得ない。ヒロイン1のルートはほぼ70%がそれと重なり、しかも役に立たない瓊瑶芝居を大量に足している。

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それでもこのゲームは「心地よい」と感じさせる。

なぜならどの面も「ちょうどいい」からだ。ゲームのBGMや画風も含めて。

そう、BGMは最高ではないかもしれないし、画風も最も精細ではない。だがこの二つは確かにこのゲームに最も「合って」いる。

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同様に、素材も文章も最も俗っぽく、格を上げるためにわざと色々な「ネタ」を引用し、某映画のパクリの疑いもある。しかしこれらが融合して、奇妙な化学反応を起こしている。

だからこのゲームは2019年第一四半期のダークホースと呼ばれ、多くの死宅に好評を得た。破先生も持ち上げて、「渦巻社のクソを完封する」と言った。考えてみれば、Steamで彼からもらったゲームもあるし、忠臣蔵の件で追い回されるのも止めさせたい。だから反論はしない。

ただ一つ認めるのは、このゲームが確かに一種の「青春」を表していることだ。

ただこの「青春」があなたと私の「青春」なのかは、分からない。


我々が青春を懐かしむのは、若い頃の日々を懐かしんでいるからで、みんなもう一度若返りたいのだ。

しかし残酷な事実がある。もしもう一度若返ったとして、我々の青春は変わるのだろうか?

破先生のように、たとえ青春を取り戻しても、彼はやはり変質者として学校の生活指導に連れて行かれるだろう。

王小姐のように、たとえ青春を取り戻しても、彼はやはり鳩妹と女性教師の修羅場の間で、自分の巨根が分身の術を使えないことを嘆くだろう。

俺のように、たとえ青春を取り戻しても、やはりエアコンの効いた部屋にこもってキーボードを叩き、ゲームして人を罵るコーラ太りデブオタクだ。

ある人は言う。「青春の形は生まれた瞬間に決まっている」と。

ある人は言う。「青春は一度きりだ」と。

だとしたら、この「金持ちでイケメンの友達と三人の美女で小グループを作り、しかも友達は彼女を奪わず進んでお前をくっつけて、夏に童貞を捨てて人生の勝ち組になる」ような青春は、一体誰のものなんだ?

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少なくともそんな青春を送る人間は、このゲームをやるまでに落ちぶれないだろう?

死宅がこんな「完璧な青春」にため息をつくのは、自分には永遠に手に入らないからにすぎない。

所詮これは他人の青春で、あんたのものでも、俺のものでもない。

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