『ハーレムキングダム』レビュー
「お見合いゲームメーカー」SMEEが「ハーレムゲーム」を作ると聞いた時はマジで驚いた。SMEEはずっと「純愛」を、しかも「現実寄りの恋愛」を推してきたメーカーで、俺もその路線を何度も褒めてきた。なのに褒めたそばからこれである。しかも面白いことに、親会社のHOOKSOFTと「キャラが入れ替わった」ような状態になっている。
つまり、設定をめちゃくちゃこねくり回すHOOKSOFTが純愛をやり始め 純愛一筋だったSMEEが設定をこねくり回し始めた
もちろんSMEEもHOOKSOFTも、これまで色々な設定やら「段階攻略」だの「友達の友達」だの「社畜のお見合い」だの「攻略する側とされる側」だの、見た目は盛りだくさんな要素を散々やってきた。だがそういうのは全部どうでもよくて、残る印象はいつも男主と女主の言い合いだけだ。
だからSMEEと、今や「SMEE化したHOOKSOFT」のゲームの核はもう「カップルの漫才」になったんだと思う。どんな話を語るかなんて誰も気にしてないし、ぶっ飛んだ展開なんて誰も期待してないし、「回想シーン」があるなんて誰も思ってない。核はいつだって「小競り合い」で、みんなが観たいのもその「小競り合い」なんだよ……いや、その「小競り合い」を舐めちゃいけない。上手くできるメーカーはそう多くない。これが俺がSMEEを褒め続ける理由の一つでもある。
もし俺がこのSMEEの社長だったら、男主と女主の名前を固定するね。毎回「モテない男主が突然モテ期に突入」みたいなテンプレをコピペするのも疲れるし、だったら一つの名前で通せばいい。たとえば「呉老二」とか。毎回ゲームに男主の名前を入れて、『呉老二の田舎大冒険』『呉老二のお見合い珍道中』『呉老二と王お嬢様の宇宙大冒険』『呉老二と異世界の王』とか……この路線で行けば、売上どころかSMEEが一躍有名になって劇場版まで作られて、国民的IPになる可能性だってある。
でもなんかこのパターンどこかで聞いたことある気がする……あ、そうだ。「異世界」と言えば、今回SMEEは確かに「異世界転生」の設定をぶち込んできた。タイトルも露骨そのもの、『ハーレムキングダム』。男主が突然異世界に飛ばされてそこの国王になり、しかもハーレムがついてくる話だ。
今になっても思う。この設定、SMEEすぎないだろ!と。
ただ中身はめちゃくちゃSMEEだった。
設定は転生だが、男主だけが飛ばされたわけじゃない。幼馴染の「光」も一緒に異世界へ。そこで男主は「聖なる石に召喚された新たな国王」と告げられ、国王なんだからとハーレムも用意される。周辺国が公主を献上して国王の妻にし、宰相も「嫁は多ければ多いほど良い、国の命運がかかっている」と言う。

どうやらこの国の国王は定期的にその「聖なる石」に魔法をかける必要があり、鉱産物だろうが各種魔法石だろうが、全部国王が自分でやって、自分で陣頭指揮を執らなきゃいけない。つまり何から何まで「自分で」やるわけで、当然体力の消耗が激しい。だから補給が必要で、その補給方法が「嫁をたくさん娶って魔力を補給する」というわけだ。
ていうか嫁が多いと本当に魔力補給になるのか?むしろ光法のマナ流出にでもかかってるんじゃないのか?
まあ、そこは本題じゃない。
このゲームはハーレムものだが、会話はやっぱりSMEE。男主が異世界に来たばかりの時のツッコミや、女主「光」とのやり取りがゲーム前半を支えている。よく考えれば、このまま「異世界珍道中」として、ハーレムと非ハーレムの狭間を歩き、最後にひと騒動の末に現実社会へ帰る、というのも良いルートだった気がする。新鮮味もあるし、COOOL~って感じで。

ところがこのゲームは逆を行く。……ストーリーの謎解きと展開を始めたのだ。
そう、あのSMEEのゲームが回想シーンで話を膨らませ始めた!母ちゃんびっくりだよ!
ゲームは、実は男主が元々この異世界の国の人間だったと説明し出す。前々任の国王と娼婦の間の隠し子で、今の宰相である姉がいる。隠し子は郊外に何年も隠れ住み、姉に世話されていた。ある日、隠し子は別の国に残された唯一の王女Tinaと出会い、意気投合する。すると突然空から緑の光が降り注ぎ、二人は吸い込まれて日本へ転生。二人は孤児になり、隠し子が男主、Tinaは「光」と名付けられ、別々の家庭に引き取られて幼馴染になったというわけだ。

前任の国王は何かって?話によるとゲイで、王お嬢様のように深いクローゼットの中にいるらしい。女を抱くのを拒んで、石に搾られて死んだそうだ。
男主と「光」は何しろ日本の原住民じゃないから、国が最大の危機に陥った時、宰相が召喚儀式を行って二人を呼び戻した……
それが物語冒頭の転生の始まりだったわけだ。

で、結局この設定が何の役に立つのか最後まで分からなかった。「ストーリー重視」をアピールしたいのか?それとも「筋が通ってる」と示したいのか?でもSMEEの核はそんなもんじゃないだろ、前半の「夫婦喧嘩」だろうが。
実際、ゲームの大部分はその「夫婦喧嘩」に割かれている。ただ後半は「5人の女が夫を奪い合う」内容が増える。

ここでSMEEのルート設定に触れておく。ゲーム自体はハーレムを謳っているから、個別女主を選ぶ意味はなさそうに見える。でも実際には女主ルートもあって、ただどのルートも「ハーレム」の過程を経る。ハーレムにも「和やかなハーレム」「内紛ハーレム」「男主中心ハーレム」など種類があり、しかも「異世界風味」の設定が各要素に付いてくる。

要は「どんな宮廷ドラマが見たいか」で選べばいい。俺はこういうルート分岐に特に文句はない。ただ……
「男主が現世に戻ってまた異世界に戻って、宰相は実は男主の姉」みたいな設定は余計で退屈だし、「異世界転生の新鮮さ」まで失わせていると思う。

どうせ「ハーレム世界」でSMEEのゲームなんだから、いっそ開き直ってパロディ全開で、ネットドラマみたいに最後まで楽しく突っ走って、最後に真実の愛(SMEEのHCGは実用性低いけど)で締めて、めでたしめでたしで終わればいいじゃん。
総合的にはSMEEの今回のゲームに肯定的だ。挑戦は毎回応援したい。 「異世界ハーレム」は別に新しくもない設定だが、SMEEにとっては確かに簡単な話じゃない。コンフォートゾーンを出て新しいことに挑むのは評価すべきだ。

ただSMEEには長所を伸ばして短所を隠してほしい。 「転生」をやるからって、わざわざ設定を全部埋めなきゃいけないわけじゃない。しかも設定を補完したせいで……ゲームにあった「没入感」を失ってどうするんだ?
これまでの男主はリア充じゃない奴で、オタクでも自分の名前を入力して男主を演じられた。

今作の男主は最初から異世界の国王の子孫だ。この男主の名前に俺が入力できたのは「竹牛逼(チュー・ニウビー)」くらいだ。この身份にふさわしいのはこいつしかいない。
そうそう、この記事のタイトルについて。国内の某有名漢化組がこのゲームの漢化を始めて、Harem Kingdomを「後宮皇帝」と訳したらしい。

実に竹牛逼(チュー・ニウビー)スタイルの英訳だ。ゲームで男主を竹牛逼と名付けた記念に、この記事もこのタイトルにしておく。
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