また大学入試の作文を書いてみた
作文材料:「ある商人が、価値連城のダイヤモンドを持っていた。だがそのダイヤには一筋の亀裂があり、亀裂のところから切れば完璧な宝石が二つ得られる。経験豊富な多くの職人が二の足を踏む中、一人の若い職人が名乗り出て、ダイヤを二つに分け、見事に二つの宝石を切り出した。若い職人の師匠は言った。『時には十分な経験だけでなく、多くの懸念を捨て去る勇気も必要なのだ』」以上の材料を話題として作文を書け。テーマは自由、題名も自分でつけること。
題名:切る
薄暗い灯りの下、杯を酌み交わしながら座っているのは、年老いた彫刻家とその旧友だった。
「まさかお前がそんなことをするとはな」と旧友は酒を一口含んだ。「あの小僧にあの宝石を切らせるなんて。一度でも切り間違えたら、ただ事じゃ済まないんだぞ」
「はは」と彫刻家は楽しげに笑った。「実は前もって手は打ってある。お前はまだまだだな……」
「ほう? つまり、全部お見通しだったと?」
「当然だ」
「つまり、あの小僧ならできると分かっていたと?」
「当然だ」
「まだ二年しかやってないんだぞ。その腕はまだ……」
彫刻家は手で制して、旧友の言葉を遮った。
「『初生牛犢虎を恐れず』ということわざを知っているか」
「知ってるさ。だが恐れる恐れないの問題じゃない。ダイヤを切るってのは、経験を積んだ老練な職人でないと務まらん。あの青二才じゃ、明らかに経験が足りん」
「いいか、うちの業界だがな、手仕事の技量だけなら半年で完全に身につく」
「半年で覚えるのか?」旧友は少し驚いた。
「筋のいい奴なら半年もいらない」
「じゃあ、なんで世間ではこの仕事は十年八年かかると言われてるんだ?」
「お前も言っただろう、経験が必要だと。技は半年で身につく。だが、覚えた技をどう自在に使うか、起こりうる様々な問題にどう対処するか、今ある技をどう組み合わせて新しい技を生み出すか。それがいわゆる経験ってやつだ」と彫刻家は笑って言った。
「じゃあ……ますます分からん」と旧友は頭をかいた。「なんであの青二才にこれを任せるんだ?」
「たとえばだ、お前がこの業界のベテランだとしよう。あの石を切れと言われたら、お前は――」彫刻家は刀を切る仕草をして、「切るか? 切らんか?」
「俺は……切らんな。あれは五分の勝算しかないと聞く。うまくいけばいいが、もし失敗したら……石の持ち主から弁償を求められるだろう!」
「だが持ち主は言ったんだ、腕の問題でなければ、切った者の責任は問わないと」と彫刻家は笑った。
「それでも……俺は切らん。証文もないんだろう……」
「免責書はある。サインすればいい」彫刻家の笑みがさらに深くなる。
「証文なんて何の意味もないさ。石は結局お前の手元で駄目になったんだ。責任を追及しようと思えば簡単だ。その時、証文で言い逃れができるのか?」旧友は何か思い出したように、「今の医者だってそうだろ。手術の前に免責の書類にサインさせる。それでも結局助からなかったら、同じように賠償するんじゃないか」
「なら……聞き方を変えよう」彫刻家は相変わらず笑顔のまま、「もしどうしても切らなきゃならんとして、失敗したらどうなる?」
「そりゃ……笑いものになるだろうな……」旧友は考えながら言った。「持ち主から賠償を求められるかもしれんし、家内や子どもにも手が滑ったと責められる。同業者にも愚かだと笑われる。とにかく惨めなもんだ」
「しかも評判も地に落ちる。石の持ち主は、お前が今まで何個うまく切ったかは覚えていない。誰の石を台無しにしたかだけを覚えている」と彫刻家は笑って付け加えた。「ネットで買い物する時、まず悪い評価を見るのと同じだ。そんな評判を背負ったら、商売なんてできるか?」
「やはりこの仕事は引き受けられんな……」旧友はしみじみと言った。「だからあの青二才に切らせたのか?」
「俺は切らせてはいない」彫刻家の言葉に旧友は少し驚いた。「ただ、こういう仕事があると伝えただけだ。持ち主も、腕の問題でなければ失敗しても賠償は不要と言っている、と。そしたら自分で切ると決めたんだ」
「やっぱり青二才だな」旧友は舌打ちした。
「理屈で言えば、あれを切る技は持っている。石を切るという点では、彼はやり遂げられる」と彫刻家は真顔で言った。「だが我々は他のいろんなことを考える。それは自分に深く関わることだが、石を切ることとは何の関係もない」
「若者は先のことを考えないからな」
「そうとも言えん。若者は血気盛んで、やるとなったらやる。我々のように家族を抱え、これで飯を食っている身とは違う。一度失敗したら、この先ずっと響くかもしれん。若者はいくらでも機会があるから、恐れる必要がないんだ。何事もあれこれ考えた末に、思い切ってやるには及ばない。あれこれ考えて机上の空論を並べ、口先だけで実行しない、それではいかん。時には十分な経験だけでなく、多くの懸念を捨て去る勇気も必要なのだ」
「ということは……」
「だから彼が引き受けると言った時、少し助言してやった。そうしてうまく運んだ。周りが褒めるもんだから、本人は師匠のおかげだと言って回っているよ」
「おみごと!」旧友は手を叩いて称賛した。「さすがは老舗だ!」
「実はもう一つ聞きたいんだが……」旧友は声を潜めた。「もしあの小僧が失敗していたら……どう始末するつもりだった?」
彫刻家はまた手で何かを切る仕草をし、それから肉を切るように手刀を横に払った。
旧友は分かった……笑い声が漏れた。
彫刻家も分かっていた……笑い声が漏れた。
また杯が触れ合う音がした。
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