『その花が咲いたら、また僕は君に出逢う』レビュー
言ってしまえば、このゲームもかなり前からHHDに放り込んでホコリをかぶってたやつだ。俺はずっとこのゲームに対して矛盾した状態だった。
- やりたいと思ったのは、設定と絵柄がなかなか良かったから
- やりたくないと思ったのは、やる前から展開が分かってしまうから
このゲームはすでに倒産して身売りされたブランド・Campusのものだ。このCampusってのはつまりlightの子ブランド。小品ゲーで金を巻き上げるために作られたようなもので、大体はそこそこの絵師を捕まえて、単線か二線の小品を出して、低予算でちまちま売ってlight本体の体力回復を狙う、という魂胆だった。
ていうか、Campusがこの手のゲームで回収しようとしてる意図はあまりにも露骨だった。信じられないなら見てみろ、どのゲームも「マルチプラットフォーム」で、iOSもAndroidも出せるものは全部出してた。しかも非18禁の無料版まであって、18禁の内容だけ課金だった。完全に「ゲームは儲けじゃねえ、友達付き合いだ」ってスタンスで、自分のゲームの質は硬いと信じてるから、プレイヤーかエロ目的のオタクが実物を買ってくれるはず、そしたら逆転ホームランで本社を救い、旧都を還して見せる……って算段だ。
しかし現実はそうならなかった。lightは死に、Campusも売られた。
なんでかっていうと、まあ分かる。Campusというブランド名がゲームの立ち位置を決めてるからだ。lightの連中がどんな頭のおかしいこだわりを持ってるのか知らないが、Campusの下で出すゲームには理解不能な設定を入れたがる:
- 必ず全部同じ学園で起きる話
- 必ず「魔法」の概念がある
- 必ずヒロインか何かが「魔法使い」
- 必ず「魔法設定」に関するクソどうでもいい概念が山のように出てくる
ほら、普通「超能力」設定のゲームを書くなら、ヒロインか主人公が偶然から時空を超える力とかを手に入れる、みたいな流れになるだろ。でもCampusは違う。ヒロインは魔法使いだと平気で言い出すし、図まで描いて「X系、X系、X系」の魔法が使えます、みたいに相生相克まで説明しようとする。でもお前RPG作ってないじゃん、そんな話して何の意味があるんだ?むしろゲームをワケ分からなくしてるだけだ。話を語れよ、話を。使えもしないクソ設定を並べ立ててどうする。

前に『はるうそ』『なつうそ』『あきうそ』『ふゆうそ』って四つのシリーズの魔法設定には度肝を抜かれたもんだが、まさか絵師を変えて、またしても帰ってくるとはな!
というわけで、この『その花が咲いたら、また僕は君に出逢う』でも、いつ「魔法使い」が出てくるかと身構えていた。
しかし意外なことに、このゲームは最初からそうじゃなかった……

ゲームの話は、ヒロインの永瀬優希が学校で主人公と出会い、360度シームレスに主人公にべったりしていく、というもの。しかもべったりする過程で、ヒロインは毎晩ちゃんと総括してる。まるで計画的なアプローチみたいなのに、最後にはヒロインと主人公がついに何かしちゃったとき、主人公は突然気づく……ヒロインがどこかの部屋で魔法を詠唱していることに……

あああああ、来たああああああ、魔法使いまた来たよ!
そしてヒロインは自分の秘密を主人公に見られたかのように、一気に魔法をかけて、自分だけ消えてしまう。一緒に消えたのは、主人公の中のヒロインの記憶もだった。

そのあと主人公は普通に学校に通うが、何かが欠けてる気がする。自分も含めて全員が、永瀬優希なんて人間がいたこと自体を覚えていないからだ。
でも主人公の永瀬優希への想いが強すぎて、最終的に次元の壁を突破し、消されたヒロインを見ることができて、二人はまた恋人になる。
ゲームはついでに、ヒロインがなぜ自分を消したのかも説明する。もともとヒロインは子供の頃、引きこもりの見習い魔法使いで、そこで主人公と幼い頃に出会って、友達になって引きこもりが治った。でもヒロインのミス(魔法だったか何だったか忘れた)で主人公が死んでしまい、最終的にヒロインは「主人公から自分への記憶を消す」を代償に、主人公の復活と引き換えにし、自分は正式な魔法使いに昇格した。

主人公は子供の頃のヒロインのことを忘れているから、学校で再会しても、ヒロインは「忘れたならもう一回やり直せばいいじゃん」と思ってた……のに、よりによってヒロインが魔法使いだってことが主人公にバレてしまう。
なにせヒロインは主人公の自分への想いを犠牲にして魔法使いに昇格した身。この秘密がバレたら、主人公が子供の頃のことを思い出すかもしれないし、自分が復活させられたこともバレるかもしれない。そうなったら全部無効になるかもしれない、だからヒロインは逃げることを選んだ。

もちろん最後は愛がすべてに勝る、ハッピーエンドだ。
ゲームには別売りのアフターストーリーもあって、そこはエロ画像まみれ。こういうのはお前ら見たくないだろうから言わない。

で、このゲームをどう評価するかっていうと、言えるのはこれだけだ:
ヒロイン本人はなかなか可愛く描かれている。

それだけ。
ヒロイン以外はみんな奇形児みたいな絵だからな。ほら、自分で感じてみろよ?

ゲーム内の「魔法使い」の設定については、正直ワケ分からんと思う。でもちょっと調べたら、この「ワケ分からん」ものには実は由来があった。
例えばゲームの幕間で「使い魔」二匹の会話パートが入る。内容は「素敵な恋が始まるよ、すぐ終わるけどね」とヒロインを皮肉るもの。でもこの幕間は二、三回出てきただけで消える……ワケ分からん。ただこの二匹の使い魔、実はCampusの過去作に出てきたキャラで、ここではただのネタとして出してるだけ。俺はもう言葉も出ない。

ゲームではヒロインが魔法使いに昇格する代償は「主人公の自分への想いを犠牲にすること」と説明されるが、実は正確じゃない。ヒロインは「失恋」を手に入れたから魔法使いになった、という設定で、これもCampusの過去作、あの「初恋症候群」に出てきたもの。これもネタ。俺はやっぱり言葉も出ない。

ゲームは倒叙+回想の手法を使っていて、最初は主人公が子供の頃、ヒロインとコスモスの花畑に来た話。ヒロインはここはまだコスモスが咲いてないと言い、あのタイトルを回収するセリフを口にする:
「花が咲いたら、ここでまたあなたに出逢うから。」
ゲームの結末もこの設定に対応していて、首尾呼応になってはいるんだが、なんかこう、引っかかるんだよな……
本来この設定はもっとシンプルで、もっと感動的にできたはずだ。例えばヒロインと主人公は子供の頃恋人同士で、主人公の死によって、ヒロインは主人公の自分への愛を犠牲にして、主人公復活の魔法を手に入れる。この魔法には制限があって、主人公をもう一度自分に恋させることはできない。そうしないと復活魔法が失敗する。だからヒロインは主人公と再会したとき、わざと避ける。でも最後は愛の力が偉大で、二人はまた恋人になるだけでなく、呪いも解ける、と。

なんてシンプルで純粋な話なんだ。なんでクソ魔法使い設定を足すんだ?まさかCampusの他の作品の売上を伸ばすためか?物語に「魔法」や「超能力」を出すことはあるが、大抵は触媒の役割で、主人公たちが偶然不思議な力を手に入れて歴史を変え、ハッピーエンドを迎える。この力は普通コントロールできないからこそ、「運命」や「流される」感じが出るんだ。
か弱いヒロイン自身が逆天改命の大魔法使いになった瞬間、このゲームはちょっと味気なく感じる。
もちろん、ヒロインの絵はなかなか可愛い。60点の価値はある。
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