『TrymenT ~今を変えたいと願うあなたへ~』レビュー
変わりたくないあなたへ
日本人について少しでも知っているやつなら分かるはずだが、日本人は物語を語るとき「やたらと感傷的」だ。
この「センチメンタル気取り」は骨の髄まで染みついていて、たぶんスケールが小さくて視野も狭く、くだらないことでいちいち感傷に浸るレベルってことだ。実はこの手の特色には日本語にもピッタリな言葉があって、「もののあわれ」がそれ。中国語では「物哀」と書く。簡単に言えば、何を見てもわけもなく物悲しくなるってことだ。
文芸系の小僧っ子にはこれでもいいかもしれないが、ずっとこの一本調子じゃ、さすがに手詰まりって感じがする。
「物哀」の表れは、よくある筋書きの中だけにとどまらない。むしろ日本人の語りの作法そのものに染みついている。すぐに感傷的になり、憂いを帯び、話が百回も曲折して、百回りも遠回りしたあげく、元の地点にすら戻らない。読んでいるこちらは焦れてくるし、しかもその「遠回り」の果てに待っているのがこれといった特徴もない結末だと、かえって腹が立ってくる。
そう、また私は逆ギレした。王さん、私のイタリア炮を持ってきてくれ、砲撃を開始する。
もう4年近く前になるが、RASKという会社が『Re:LieF ~親愛なるあなたへ~』というゲームを出している。あれは長所も短所もやたら目立つ作品だった。良いところはグラフィックと演出がしっかりしていて、音楽もなかなか。OPもEDも金かけて作ってある。悪いところは話がクサすぎる点。最初は「人生をもう一度」という設定を掲げておきながら、最後のTRUE ENDはそれとほとんど関係ない。
あのゲームは何を語っていたのか? つまり、主人公は交通事故で脳死してしまい、主人公の母親は科学者として A.I. と仮想現実世界を造り上げ、その中で主人公の意識を生き永らえさせた。主人公の脳の活性を取り戻して復活させるため、母親は会社を立ち上げ、対外的には「人生やり直しプロジェクト」と称して何人もの人間を引き込み、実際にはその「仮想現実世界」に入れて主人公や A.I. と一緒におままごとをさせる……

このゲームのメインストーリーはこうだ。息子を溺愛する母親が、バーチャルリアリティと人工知能を使って脳死した息子を復活させようとする話。ただし彼女は外に対して嘘をつき、自分の「人生やり直し」プロジェクトに参加した通りすがりの人々を利用した、それだけのことだ。そしてゲームの物語の最後、人工知能を管理するヒロイン「アイ」が暴走し、主人公を守るために全員をその仮想世界に閉じ込めてしまう。もちろん、いろいろと感傷的なやり取りを経て、結局その考えは捨てることになる。
あのゲームはメインストーリー的にはまあまあ良かったんだが、語り方が冗長すぎる。序盤はやたらポジティブな雰囲気を出しておいて、後半で「前半とは何の関係もありません」と平気で言ってくる。世界が仮想だってことを伝えたいのは分かるけど、わざと濁して言わないから、プレイしててすごくもやもやする。おまけにあのゲームの真っ白けの背景配色とフォント、視覚と心のダブル拷問だわ。個人的にはあまり好きじゃない。まあ十人十色で、こういうセンチメンタルなのが好きな痛い系の連中——特に日本の地元の死んだオタクども——はあのゲームが大好きで、そのせいであの会社 RASK は一作で一気に飛躍して高い評価を得た……

そしてそのまま姿を消した。
RASK は続編とファンディスクを出すと言い続けていたが、もう丸4年近く経つのに、影も形もない。
今年の年明け早々、TrymenT っていう制作チームがひょっこり出てきてな、「TrymenT ~今を変えたいと願うあなたへ~」っていうゲームを出すと言い出したわけだ。設定を見た瞬間、思わず噴いたわ。これ、完全に前の「Re:LieF ~親愛なるあなたへ~」じゃねえか。まさか続編ってことなのか?
RASK はもう長いこと沈黙していたし、4年以上かけて続編を出してくるのも当然といえば当然。しかも続編を出すとは本人たちも言っていたし、今回はなんと中国語版が同時発売!
マジですごいじゃん~でも待って……

ゲームのあらすじをよく読んでみたんだが、どう見てもこれは続編じゃなくて前日譚に思える?いや違う、前日譚でもない。「人生のやり直し」を目指して島に集まった連中を描く話で、島にいるのも前作と同じ面々、管理人のA.I.もまだいるし、前作の主人公もいる。って待てよ、前作のあの日向子モブ、こいつもなんでまだいるんだよ?
ここで俺は疑問にぶち当たった。このゲーム、前作と何が違うんだ?まさか前作をもう一回書き直しただけじゃないよな?
そしていよいよゲームが発売。Steam ではもう大絶賛の嵐で、あちこちの人が持ち上げてた。まあ中華圏だからね、どんなギャルゲーでも初回から中国語対応ならとにかく持ち上げるのは当然の流れ、別に驚くことじゃない。ただ、このゲームが公開した一部の CG を見て、俺は思わず吹き出した:
キャラは前作のままなのに、どうして絵柄がこんなに安っぽくなった?
同時に、このいわゆる「新作」についてネットで悪い声もいくつか耳にして、それが余計に好奇心をそそった。ところがこのクソゲー、誰も流出させやがらない。偉大な Linux カーネル開発者のプログラマーに一つ送ってもらおうとそそのかしたのだが、彼女はホモゲーしか送ってくれず、これは送ってくれない。自分で買おうにも、俺は呉老二のように金持ちじゃないから、この値段にはとても手が出ない。ましてや買ってみたらクソだったら気分が悪くなるだけだ。何せ前作は70点くらいだと思っているし、続編がまた前作以下だったら、それこそ完全にバカじゃないか?合格すら危ういぞ!

幸いなことに、俺には兄貴がいて、こいつがこのゲームの完全版を手に入れてくれたおかげで、ようやく中身を確かめられるようになった。
このゲーム、思ってたよりずっとずっとずっとずっとずっとずっと~~~~~~~長い~
このゲームを耐え終わったあと、これがまだ「上巻」で、しかも「下巻」があることに気づいた。oh Fuck、こんなクソはさっさと消えてくれ。今になってようやく、RASK がなぜ後に TrymenT に改名したのか、なぜこのゲームを出したのかが分かった。このゲームのシナリオを批評する気すら起きない。小見出しの形で、このゲームに対する俺の感想を簡単に述べるだけにしておく。
RASK と TrymenT ってどんな関係?
俺が思うに、まさに元のメンツそのままで、何人かの絵師が抜けたあとに別の看板を掲げたスタジオって感じだ。公式サイトの言い分によれば、「ビジュアルノベル」作品を作るのであって、昔ながらの「恋愛エロゲー」ではないらしい。見た目の格好はなかなかイキってる。ただ、俺の予想では、この TrymenT を作り終えたら新しい内容は出てこないんじゃないかと思う。

この『TrymenT』と『Re:LieF』はどんな関係なのか?
要するにこれはゲームで、ただ『TrymenT』が『Re:LieF』の物語を三人称視点で語り直しただけのものだ。ついでに何人かモブが追加されているが、そのモブたちはコアな内容には一切影響しない。ピアノを弾く少女「菖蒲」——彼女はかつて自殺で全てを失い、この「仮想現実世界」に救済を求めて加わったという設定だ。主人公の設定とよく似ているように見えるが、これはあくまでこの「菖蒲」を通して、RASKの過去作をプレイした古参プレイヤーに少し新鮮さを感じてもらうためのものにすぎない。物語が進むと、すぐに「菖蒲」は放り出され、ゲームは即座に主人公とあの「アイ」との会話に戻り、この世界は仮想現実なのかどうかを探り始める。全てが元に戻った。おかげで「菖蒲」の物語は、原作の二次創作みたいになってしまっている。

しかもこのゲーム、終わったあとに「まだ終わりじゃない」とか言って次巻への期待を煽ってくる。
内容のリメイク版ということは、この『TrymenT』は『Re:LieF』よりずっと優れているってこと?
何が「優秀」だ、各方面から金がないオーラしか出てないじゃん。2つのゲームで同じ構図のCGをいくつか使い回してるけど、それ以外はもう惨状。キャラの立ち絵の彩色も描写もとにかくヒドい。見てられないレベルで、主人公に至っては最後まで表情が2パターンしかなくて、まるで知的障害者みたい。しかもゲームは最終局面の種明かしで原作の良き伝統をしっかり受け継いでくれて、延々と匂わせるだけで何も語らない。シナリオの進みは遅々として進まず、見てると眠くなってくる。音楽方面もできる限り節約していて、ピアノ曲でイキってる感はあるものの、ずっと「愛の挨拶」のリミックスを繰り返してるだけ。どうせクラシック曲なら金かからないしな。

しかも原作でなかなか面白いと思っていた伏線もかなり消えている。原作では仮想世界ならウィンドウの周囲に緑の枠が見え、現実社会ならその枠はない。ゲームはその「枠」で何が「仮想世界」で何が「現実」なのかを区別していたわけだが、このいわゆる「新作」では三人称視点のせいか、この小さな伏線もなくなっていて、ゲームがより一層凡庸に見えてしまう。

同じく『Re:LieF』も、このゲームは情緒的すぎるけど、それでもストーリーを進める部分では『TrymenT』よりずっとマシだ。前者は前半が水増しで、最後にジェットコースター。後者は最初の90%が水増しで、最後の10%がジェットコースター、しかも「次回を見てください」だと。思うんだが、お前、RASKのあのゲームをやってない人をバカにしてるんじゃないか?
それじゃあ『Re:LieF』をやっていない場合、『TrymenT』をいきなりプレイしてもいいのか?
この設定に本当に強い興味があるなら、『Re:LieF』を直接やることを勧める。話はきちんと完結しているし、作画も音楽も立ち絵も後者より一段上で、しかも分巻でもなければ18禁でエロCGもある。『TrymenT』をやる理由が本当に思い浮かばない。日本語が読めない場合を除いては。もちろん、どうしても翻訳版をやりたいなら、『TrymenT』である必要もない。翻訳版だとしても正直かなり退屈だと思う。
『TrymenT』って中国語版が先に出たんじゃないの?まさかクオリティ低いとか?
『TrymenT』ってゲーム、最初は日本語でプレイしてたんだけど、話が退屈すぎて中国語に切り替えたんだよ。で、中国語で読んでもやっぱり退屈だし、内容はさらに意味不明。適当に流し読みしてたら、中国語訳がけっこう抜けてることに気づいた。しかも原文の日本語はやたら気取った華麗な言葉遣いなのに、中国語になるとすごく乱暴で、最後のほんのちょっとの余韻が消えてる。結局のところ、外国語を学ぶのはめちゃくちゃ大事だよね。



『Re:LieF』をプレイ済みなら、『TrymenT』はまだやる価値ある?
不值得!俺がその一人だ。ゲームの最初から主人公たちがバーチャルリアリティの世界にいることは分かっていたし、白髪のヒロインの一人がAIの管理者だってことも、前作の主人公が交通事故で脳死したことも知っていた。なのにこのゲームはこっちが何も知らないかのようにずっとったらしく勿体ぶってて、見ててマジでじれったい。前作とは違う設定や伏線が来るんじゃないかって、ちょっとは期待してたんだよ。

しかし、それらは一切ない!『TrymenT』は『Re:LieF』の「劣化分割版」と言えて、これを勧める理由が本当に思い浮かばない。
で、『TrymenT』ってゲームについてどう思う?
要するに『TrymenT』というゲームは、RASKが以前の『Re:LieF』という作品を二つに分割し、長さを水増しして無関係などうでもいい要素を大量に詰め込み、上下巻としてあるべきボリュームに合わせて無理やり話を引き伸ばし、さらに作画や音楽、キャラ立ち絵などのコストを削減したうえで、簡体字中国語を最初に出す翻訳チームを見つけてSteamで金を巻き上げようとしている代物だ。
確かに、ギャルゲーをほとんどやったことのない初心者には、このゲームが「グラフィックが華やか」「内容が充実している」「設定が現実に触れている」などと映るかもしれない。だが、RASK の原作をプレイしたことがある人間なら、残るのは怒りだけだ。

それに原作も別に大したことないと思うんだよな。
しかもさらに皮肉なことに、ゲームのタイトルは『~今を変えたいと願うあなたへ~』ときた。“今を変えたいと願うあなたへ”だって。この焼き直し制作陣が言うから余計に皮肉に響くじゃん。いっそ『Remake:今を変えたいと願うあなたへ』にでも改名すればいいのに。

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