『ゴッドシスターズ』レビュー
抽 象 孝 子
今回語るのは『ゴッドシスターズ』というゲームだ。

ゲームが始まると、主人公のもとに妹から家書が届く。父が危篤だから帰ってきてほしい、という内容だ。
で、帰ってみると問題はかなり深刻だった。父が危篤で、父の経営する喫茶店は誰も切り盛りしておらず、四人の妹たちはそこで途方に暮れている。
ここで主人公の複雑な家庭環境に触れておこう。両親の仲は悪く、離婚している。主人公は息子ということで母親に引き取られ、残りの四人の妹は父親に引き取られた。父は喫茶店を営んで生計を立てていたが、体調不良から経営がうまくいかなくなり、妹が兄を呼び戻して家業を継がせようとしたわけだ。

病床の父は主人公にこう告げる。斜向かいのマネージャーがこの喫茶店を高値で買収しようとしているが、ここには思い出が多すぎるから手放したくない、だからお前がこの喫茶店を続けてくれ、と。
主人公はなぜか父親をひどく憎んでいるのだが、四人の妹のために一応考えてみることにした。

その夜、長女の小西 亜美が主人公のところにやってきて、自分は続けてほしいし、兄ならできると信じていると言う。そして長女はぽつりと呟く。「私、これ以外何もできないから、お願い!」
そして服を脱ぎ、主人公(実の兄)と何度もヤってしまった。
翌晩、次女の小西 离子も主人公のもとに来て、頑張ってほしいと告げ、長女と同じように何度もヤった。
三晩目、三女の小西 優も主人公を訪ね、自分は兄が大嫌いだけど、長女と次女に負けたくないからと、これまた何度もヤった。
四晩目、末妹の小西 莉亜が主人公のところに来て、いきなり何度もヤった。
四日間の熟考の末、主人公は父の旗を継ぎ、喫茶店を運営することを決意する。
そこへ届いた知らせ――父がくたばった。

喫茶店の運営は順調に進んだ。昼間は適当に話を合わせ、夜は妹たちとセックスするだけで簡単にこなせたからだ。店の売り上げが回復してきた頃、買収を持ちかけてきた斜向かいのマネージャーが、今度は主人公の母親を連れてやってきた。
母は、息子がここまで自立したのはすごいと認め、理解を示した。主人公はますますこの喫茶店で奮闘する。母もまた元夫を許し、時々店に顔を出すようになった。

ゲームは終了……
とまあ、みんな気づいたか? このゲーム、妙なところが山ほどある。ストーリーは単純というか、むしろ頭が悪いくらいなのに、よく考えるとゾッとするポイントが潜んでいるんだ。
まず、主人公の両親は仲が非常によくないと言われているのに、なぜ仲が悪いのに5人も子どもを作ったのか? しかも全員髪色が違う。
次に、離婚の際、なぜ主人公は母親に、四人の娘は父親に引き取られたのか?
そして最も重要なのが、主人公の母親がなぜ父の喫茶店を狙う斜向かいのマネージャーと一緒に現れたのか?
ああ! そう考えると物語が繋がってくる。
自分が主人公の父親だとしてみよう。結婚して間もなく、妻は斜向かいのマネージャーとできていて、自分は寝取られた。そして関係が壊れ、離婚を望むと、妻は息子を連れて出て行き、自分は喫茶店を守りながら四人の娘(実の子かどうかも怪しい)を一人で育てることになった。斜向かいのマネージャーからは常に妨害され、妻も裏でマネージャーを操って自分を追い詰めていた。そしてついに重病に倒れ、家書で息子を呼び戻す。しかし自分は病床に伏したまま、息子に喫茶店を続けてくれ、斜向かいの奴に渡すなと頼む。

ところが息子は、自分が息を引き取る前に階下で娘たちとヤりまくっていた。全員ヤった。そして自分は怒りで死んだ。死後、息子は喫茶店を立て直したが、かつて自分を追い詰めた元妻が戻ってきて、斜向かいの男を連れ、口では許したと言いながら結局は店を乗っ取った。すべては他人の手に落ちたのだ。
これ、めちゃくちゃ悲しい話じゃないか?
このゲームは、倒産間近だったMMEが寄せ集めで作った抜きゲーだ。タイトル『ゴッドシスターズ』は要するに『God Sisters』で、典型的な「萌え抜き妹萌え」のパターンに見えるが、予算が低すぎる。メイン原画にKakaoを起用しているものの、多くのCGは崩れまくっているし、背景は5枚しかない。女主角以外は立ち絵なし、非HCGもなく、ただHのためだけに存在するゲームだ。それなのにHCGも実用性が低い。キャラが崩れているんだから使えるわけがない! 唯一いいのはOPくらいで、Route 66 は本当にいい曲だ。歌詞はゲームと一切関係ないし、OPすらない、タイトル画面で流れるだけ。MMEの前作 Suite Life にも劣る。もはやこのゲームは曲を売るためだけに作られたとしか思えない。当時MMEは倒産寸前で、このゲームも一枚売るごとに一儲けしようという感じだったんだろう。俺はこのゲームのOSTだけ買ったんだけど、これって精华を取って糟粕を捨てたってことになるのかな?
ゲームのコストが非常に低いのはいいとして、一番の問題はシナリオがあまりにも滅茶苦茶なことだ。批評空間でも日本人がこのゲームを口を極めて批判していて、その要点は「主人公がとにかく不孝だ」ということ。まあそうだよな、父親が階上で息を引き取ろうとしているのに、長男のお前が階下で実の妹たちを一人ずつヤってるんだから、親父が知ったら怒りで即昇天するんじゃないか。(実際即昇天したようだ)

俺は主人公の父親に本当に同情する。妻に寝取られ、妻とグルになって喫茶店を追い詰められ、挙句に産んだ息子が大切な娘たち全員とヤり、自分が死んだら喫茶店は仇の手に渡る。まさに死んでも死にきれない。
そして我らが主人公、その長男こそ、新時代の抽象孝行息子なのである。
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