『放課後シンデレラ』レビュー
放課後シンデレラ:HOOKが教える女の子の落とし方
本来この記事は直男のTwitterのあの子をネタにいじってやろうと思ってたんだけど、よく考えたらあの子已经很可怜了,追い打ちをかけるのはやめようと思って、元のスタイルに戻して書き直した。
ただこのゲーム、実用性はかなり高い。いや、そっちの「実用性」じゃなくて、「恋愛の仕方」を教えてくれるという意味での実用性だ。HOOKSOFTとSMEEはこの分野でずっと良い仕事をしてきたんだけど、残念ながらほとんどのオタクは「恋愛コメディ」のネタ製造機としてしか見てない。本当にもったいない。
ここ数年、HOOKSOFTとSMEEの間では妙な「立場の入れ替わり」が起きている。前者はSMEEの「恋愛シミュレーション」路線に走り、後者は設定で遊ぶファンタジー路線に突入した。まあ大半の人にとってみれば、どうせ両ブランドは同じ親から出てるし、絵柄もどんどん近づいてるし、ブランドの血統の純度なんて誰も気にしてない。将来ひとつに統合される可能性だってある。
今回HOOKSOFTが出してきた作品のタイトルは『放課後シンデレラ』。設定は「放課後の帰り道の選択によって、偶然の出会いから恋が生まれる」というもの。

共通ルートでテーマははっきり語られる。主人公は地方から転校してきて新学期を迎え、新しい始まりに胸を膨らませる。幼い頃に会った幼馴染と再会し、いろんな新しい女の子と知り合い、ふらっと歩いてたら妙に面白い人にばかり出くわす。共通ルートはヒロイン候補を全員紹介し終えたところで、ヒロインの口を借りてゲームの主旨を言わせる。
帰り道にたまには違うルートを選ぶと、思わぬ出会いがあるかもしれない。
とはいえ、タイトルの「シンデレラ」が一体何なのかはよくわからない。「放課後」はわかった。でも「シンデレラ」とこの「帰り道の偶然の出会い」に何の関係があるんだ? シンデレラって貧しい娘が魔法で一時的な輝きを得る話で、特徴は馬車とガラスの靴だろ。この放課後の偶然の出会い……貧しさと魔法に絡むか? せいぜいOPに出てくるあの無理やり感満載のガラスの靴くらいか。

それとも、これといった言葉が思いつかなくて、ただ「シンデレラ」がCooolに見えただけなのか?
まあ細かいことは追及しないで、ゲーム本体の話をしよう。
システム面では「放課後の帰り道選択」に合わせて、見た目はめちゃくちゃイカした「ルート計画システム」が用意されている。放課後に自分でルートを自由に組めて、どこを通るか選べる。その場所でしか目当てのヒロインに偶然会えない。難易度を下げるため、主人公の親友の「占い」機能で各ヒロインが放課後にいそうな場所を推測できる。場所は明言されず、ヒントから当てる必要がある。大半のヒントはすぐわかるが、中には頭を使うものもあって、なかなか面白い。しかも親友の占いを通過するときに全ヒロインの好感度を確認できて、それに合わせて調整できる。このあたりで他の同系統のギャルゲーよりちょっと遊べる作りになってる。

とはいえ、このシステムも結局は中身を変えただけの「選択肢」だと言いたい。
まず、放課後に4つのルート選択が与えられるけど、それは4つの地点をランダムに選ばせてるだけで、システムが選んだ地点を自動でルートとして繋いでくれるわけじゃない。しかも地点の順番は偶然の出会いに一切影響しない。ヒロインがいそうな場所を選べば、先に行こうが後に行こうが関係ない。場所を間違えてもどうでもいいNPCの小イベントがあるけど、見てもいいし、見たら他の地点のイベントを逃すだけ。まともな頭してたら選び間違えないだろ、普通。

話の構造はかなり昔のSMEEゲーのパターンに近い。まず共通ルートで全ヒロインの紹介、次に日常ネタ→親友の占い→放課後ルート選択(ヒロイン個別ルート)→日常ネタ、この無限ループ。好感度がカンストするか、20数回の選択チャンスを使い切るまで続く。おかげで話の感触がすごく「モジュール化」されてて、体験として連続性がない。まあSMEEのゲームをやってれば自然と慣れるし、この手のゲームの正しい遊び方はずっと「4コマ漫画」として読むことだ。ストーリーを真面目に研究してる人なんてほとんどいない。

システムと話の構造の話はここまでにして、ゲームのストーリーについて。標準的なSMEE風の話なので、全体の筋としては正直言うことはない。攻略から恋愛、最後にいちゃついて終わり。でもSMEE風の継承として、ストーリーにはオタク全員が真面目に学ぶべき内容がたくさんある。
たとえば現在人気最高のキャラ、幼馴染の「長南陽佳」。設定はこんな感じ。
- 主人公の幼馴染で、当時はすごく「地味子」だった
- 再会したら雰囲気がガラッと変わっていて、すごくおしゃれで、見た目はかなりギャル
- 化粧が大好きで、ネイルも好き。出没する場所は街の小さな商店街エリア
こういう性格の子は現実でもよく見かける。周りにいなければTwitterに絶対いる。ネイルを見せびらかして、タピオカ飲んで、スイーツ食べて、化粧が好き、みたいな。よく言う「可愛いお姉さん」の類だ。
そんな子を落とすために、うちの主人公は何をしたか?

ここでゲームの会話攻略の設定を補足しておこう。「偶然の出会い」の後、ヒロインと一緒に帰る道すがら雑談する。雑談で話題を選んで、正解を選ばないと好感度が上がらない。ここがこのゲーム一番面白いところだ。
長南陽佳に対して、主人公が守った原則は基本的に3つ。
- 可愛いと褒める
- ネイルを褒める
- ファッションの話、女の子が好きな話題をする。自分の好きな話題じゃない
- よく商店街で一緒に飯を食ってデートする。彼女の友達まで奢る
これを何回か繰り返せば、ほぼ自然と成就する。もちろん主人公もそう酷い顔じゃダメだ。ギャルだって「顔」に無頓着なわけがない。
個人的には長南陽佳のルートが一番「現実の恋愛」に近いと思う。大半の人の「女の子の落とし方」は基本このパターンだ。心を救うとか、世界の終わりのフラグとか、めちゃくちゃな特殊イベントとか、そういうのはない。あるのは放課後に図々しく偶然を装って会いに行くことと、会話の中で少しずつ好感を勝ち取る方法だけ。それとくれぐれも、女の子は可愛いと褒めること。ここ数年で一番の実感はこれだ。
女の子の「綺麗でいたい」への執着は誰よりも強い。女装の兄貴たちだけが、女の子が美しさを保つのにどれだけの代償を払ってるか理解できるのかもしれない。
SNSで見かける可愛い自撮りだって、その裏には女の子が30分かけて丁寧に化粧して着飾った結果がある。大半のオタクが執着するスマホや3080 Tiは、女の子にとってのSK-IIや下地クリームみたいなものだ。ネイルにそんな金かけるなとか、香水やアイクリームが高すぎるとか言うのは、女の子に「そんな金かけてグラボ買うとか頭おかしいんじゃない?」と言うのと同じ。絶対の地雷だ。だから好きな子の好感度を上げたいなら、必ず可愛いと褒めろ。エロゲー主人公みたいに間抜け面して「可愛い」だけ言うな。日本語で女の子を「可愛い」と褒めるのは、それ自体が綺麗という意味を含んでるんだから。

ましてや公の場で「女は面倒くさい、もう十分優遇されてるのに」なんて言うな。はっきり言うけど、この世界で女性が背負ってるものは多すぎる。大衆が一番嫌う「フェミ」だって、女性にさらなるプレッシャーを増やしてるだけだ。
主人公と長南陽佳の恋愛ルートは、このゲームで一番胸に響く内容だと思う。淡々とした恋愛に見えるし、告白もベタで凡庸だけど、ゲームの中で一番「現実的」で「リアル」な存在でもある。現実で白衣を着た変わり者で学年トップの高IQ女子に出会う確率は限りなく低いし、階下のコンビニの巨乳のお姉さんにセクハラして通報されずに連れて行ってもらえる確率もほぼゼロ。いわゆる一目惚れした子を騙して自分のアホなサークルに入れるなんて、夢の中にしか存在しない。もし「現実」にまだ完全に絶望してないなら、自分自身に絶望してないなら、現実で一生連れ添うパートナーを見つけたいなら。

長南陽佳のルートを必ず予習しておけ。そのエッセンスを掴めば、お見合いやナンパは保証できないけど……
少なくともTwitterでおしゃれ好きのお姉さんを落とすくらいなら問題ないはずだ。
よく考えたら、HOOK/SMEEって本当にオタクの「脱オタ」のために心血を注いで懇々と説いてくれてるんだよな……
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