『鍵を隠したカゴのトリ』レビュー

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1年以上も発売延期した「カゴの鳥」

Cabbit。Skyfish傘下の、俺がなかなか面白いと思う会社だ。一連の「サスペンス系」ゲームを出していて、最初の『翠の海』、後の『空の花』、それから『箱庭ロジック』なんかがある。設定はいつも面白くて、最初から謎だらけだが、最後にはなかなか良い結末が用意されている。Cabbitにとって最大の特徴は実は「サスペンス」なんかじゃなくて、「サスペンス」の裏にある「恐怖」を容赦なく見せることだ。過去作では血みどろのシーンや、ヒロインが壊れていく設定がよく出てきて、霧に包まれたゲームの筋書きと相まって、いつも大きな衝撃を与えてくれる。

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Cabbitの裏方プロデューサーはたぶん御厨みくりだと思う。彼はこの会社に所属していないが、過去作には全部関わっていて、しかも多くは「企画」を担当している。御厨みくりのスタイルは俺もよく分かっていない。大手の作品にも協力参加しているが、目立った個人の特色は見えない。ただCabbitの過去作と比べれば、少なくとも彼なりに実力はあるんだろうと推測できる。

そうして2年近い沈黙を経て、Cabbitは昨年新作『鍵を隠したカゴのトリ』を発表、発売日は2019年8月30日と決まった。

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そして思いもよらなかったのは、この(クソ)ゲームがまさかの1年も延期したことだ。途中でいろんな原因があって、最初はゲームが完成していなかったのかもしれない。その後年末には新型コロナにぶつかり、プロデューサーが入院して病気になったという話まで出た。とにかく延ばしに延ばし、飛ばしに飛ばし……

19年08月30日⇒10月25日⇒12月20日⇒20年02月28日⇒04月24日⇒6月26日⇒8月28日

そして1年後の2020年9月25日、このゲームはついに発売された!

多くの人がこのゲームに期待していた。俺も含めて。しかし1年の延期の後、俺たちはほぼこのゲームのことを忘れていて、突然の発売はむしろ不意を突かれた感じだった。エロゲーの歴史には「延期が長いほど神ゲーの可能性が高い」なんて説もある。実際、黒く染まる前のBlizzardもそうだったしな。

ゲームはようやく発売された。誠意を込めて、俺は今月発売の大作を全部差し置いて真っ先にこれをやった。このゲームが何かしら驚きをくれることを期待して。

正直に言うと、このゲームは確かに俺に大きな「驚き」をもたらしてくれた。


自らを閉じ込めるカゴの鳥、わけの分からないメロドラマ

ゲームの設定はとても正統派で、Cabbitの匂いも十分だ。主人公は幼い頃に母親から虐待を受け、その後今の祖母に引き取られた。その間、同じく捨てられた子供である「孔雀石透子」の助けも受けて、彼女とはよく知った仲だ。主人公にとって「透子」は恩人である。

しかしある日突然、「恩人」が警察に連行された。街で殺人事件が起きたのだ。最大の容疑者は「孔雀石透子」。

主人公は自分の「恩人」が人を殺すなんて信じられない。一体どういうことなのか聞こうとしたその時、「透子」は証拠不十分で保釈され、あるアパートに軟禁されて外出を禁じられた。証拠が集まった頃に、あらためて有罪を宣告するという。

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軟禁された後も、透子はずっと自分が人を殺したと認めている。しかし警察はやはり証拠を見て話をしなければならない。主人公は透子を気遣って、このアパートに入居した。そこには他にも関係なさそうな二人がいて、一人は透子のファンの「みおん」、もう一人はクラスの委員長、さらにはあまり授業に出ない不良少女もいて、みんなわけもなくこのアパートに入居してくる。

透子は本当に人を殺したのか。真犯人は誰なのか。なぜ透子は殺人を認めるのか。誰かをかばって罪をかぶっているのか。最終的な真実は明かされる……はずだった。

…………

そして殺したのは実は委員長の母親だった。委員長の母親は離婚後、年下の彼氏を作ったが、その彼氏と喧嘩別れして殺してしまった。しかも自分の娘に罪をなすりつけようとした。娘が気に入らないからだ。娘は自分に似ず、元夫に似ているからだ。透子は委員長と仲が良かったので、彼女をかばうために自分が殺したと認めた。もう一人の不良少女は透子と委員長をかばうために、透子の身代わりになってもいいとまで言い出した。

あの「みおん」に至っては、ただのファン。それだけだ。

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そしてゲームはそこで終わり。理論上、最終的な真実はだいたい10分ほどで説明できてしまう。なのにこのゲームは25時間ものプレイ時間がある。大部分は何を話していたのか?

全部「同居生活」に使われていた。

そう、一同が入居した後、誰も透子が人を殺したとか殺してないとか、真犯人が誰だとか気にしない。みんなで楽しい同居生活を始める。いちゃつき、飯を作り、雑談し、ソシャゲをやり、王者栄耀(『Honor of Kings』)をやって大盛り上がり。よくあるギャルゲーの水増し展開だが、このゲームはほぼ95%が水増しだ。全然緊張感がない。これだけ発売延期したことと合わせて考えると、このゲームは脚本がそもそもちゃんと書けていなくて、最後に大量の同居生活で水増しして長さを稼いだんじゃないかとすら疑う。

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もちろん水増しは理解できる。今どこのクソエロゲーが水増ししてないって言うんだ? でもこのゲームは水増し以外に、シナリオロックまでかけている。これはちょっとやりすぎだ。

つまり最後の結末を見たければ、4ルート近い水増しに耐え、最後まで頑張って、ようやくFinal Endingにたどり着けるということだ。

もちろん各個人ルートに重要な情報が全くないわけではない。委員長のルートでは、委員長が家で母親から虐待されていること、しかも委員長の母親は家におらず、自分はよく母親の肛交……おっと剛交の彼氏と一緒に住んでいて、男一人女一人同じ部屋にいるのはなかなか危険だということが明かされる。主人公も委員長とその母親の問題解決を手伝う。みおんのルートでは主人公と一緒に芝居がかった事件調査をして、その後はパコパコに戻る。その間、主人公が幼い頃の透子との関係や、主人公の祖母が入院しているなどの背景も語られる……

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しかしこれらは本筋とはほとんど関係がない。

むしろ真犯人の殺人動機も数行で適当に語られただけだし、ほとんどのプレイヤーは真犯人を知っても平然としていると思う。透子が人を殺すなんて疑う人はいない。透子は自分が殺したと言い続けているのに。ヒロインたちの誰も人を殺していないのはみんな分かっている。俺たちが期待しているのは、最後にモブの身代わり役が全部の罪をかぶって、それで終わることだ。

その上、このモブの身代わり役には立ち絵すらない。

唯一ゲームタイトルに沿う内容は孔雀石透子の演説だ。主人公はずっと透子の疑いを晴らして、早くこの軟禁されたアパートを出て自由になりたいと思っている。しかし透子には全くその気がないようで、彼女は言う。外から見れば、ここには自由がないように見えるかもしれない。でもほら、ここには食べ物も着る物もあって、ネットもあるから何でもできる。このまま続けたら結構楽しいんじゃない? 出る必要ある?

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まさにタイトルの通り。「透子こそがカゴの鳥で、彼女はカゴの鍵を隠して、自らを閉じ込め、外に出たがっていない」。

しかしFinal Endingでは結局透子も外に出る。エマ、真香!(※注:結局前言撤回)

全体から見ると、このゲームの主な内容はむしろ「四人の女の子の同居生活」で、長ったらしいメロドラマに近い。いわゆる「サスペンス」や「真犯人は誰か」にはほとんど内容が割かれておらず、少量の議論があるだけで、「推理」は皆無だ。過去のCabbitのような「サスペンス」スタイルを目当てにプレイしたなら、失望に加えて、よりわけの分からない感覚を抱くに違いない。


超低予算、欠けた雰囲気、謎の題材

あらゆる面から見て、『鍵を隠したカゴのトリ』は失敗だと思う。ゲームシナリオの「脱線」以外にも、予算が本当に少なすぎる。

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ゲームの背景画像と一部のCGは全くレベルが違う。最後のスタッフ情報を見ると、メイン絵師のゆき恵が自ら彩色と色調整に関わっている。これはもう人がいない証明だ。絵師自らがやっている。ゲームの一部の背景画像は明らかに安っぽい3D CGで生成したように見え、メイン絵師が一手に引き受けたCGの質とは程遠い。しかも多くの場所でゲームシナリオと矛盾している。ゲームではアパートには施設が充実していると言っているのに、空っぽの室内背景が表示され、妙に皮肉に見える。

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ゲームの声優も実はひどい。透子を含む全CVの演技が非常に普通で、特に委員長のCVは彼女の顔と合っていない。委員長の声があのキャラの口から出ているとは今でも想像できない。違和感が半端ない。ついこの間まで金がないのに小倉結衣を呼んで場を締められたCabbitが、今は小倉結衣すら呼べない。本当に貧乏なのか、それとも小倉結衣が帰って出産でもしたのか分からない。

ゲームの特典はエロ画像の販売以外、「ゲームオリジナルサウンドトラック」の…………ダウンロードコードだけ。ダウンロードしてみると……………………やっぱりMp3形式。ああもう、これはもう貧乏の極みだ。せっかくゲームEDはなかなか良いのに、将来LittleWingの同人CDでしかロスレス版は買えないのか?

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ゲームの題材は宣伝を見る限り本当に問題なさそうだ。『翠の海』の匂いがして、一同がわけもなく一緒に閉じ込められて……

待てよ、そもそも閉じ込められてないじゃないか。透子以外はみんな楽しく外出できる。厳しさは新型コロナの隔離以下だ。ゲームの大部分はくだらない話で、本題についての議論は一切ない。日常を見るのが好きなプレイヤーなら楽しめるかもしれないが……

このゲームのタイトルと紹介で、日常目当てのプレイヤーを惹きつけられるのか?

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そうして俺たちサスペンス好きだけが惹きつけられて、しかも猿芝居をさせられた。ゲームにはサスペンスの雰囲気が皆無だ。かつての『翠の海』を思い出そう。あれも日常生活を描いていたが、その日常生活全体が「陰惨で恐ろしい雰囲気」に覆われていた。みんな記憶がなく、どうやって来たのかも分からないのに、ここで生活しろと言われ、未来も分からない。そうした不確実性が、ややホラーなBGMの中で日常生活をより恐ろしく感じさせていた。

全体から見て、このゲームの題材はこの点で本当に意味不明だ。いっそタイトルを同居に変えた方がまだ良かった。実はこのゲーム自体、一同がとある理由で同居を始め、最後に問題が解決して同居も終わるという話だ。その理由が殺人事件かどうかなんて、誰が気にする! 細かいことは気にすんな。何しろ同居こそがゲームの本体で、シナリオの割合は90%超なんだから!

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もちろん、これらの要素は『鍵を隠したカゴのトリ』には全くない。みんな透子が犯人じゃないと分かっているし、みんな自由に外出できるし、ゲームのBGMも予算の都合で非常に少なく、見どころはない。しかもCabbitの伝統芸「血みどろCG」も今作では完全にない。最初から最後まで見どころを失っていて、タイトルと紹介から受ける印象以外は何もない。


おそらくCabbitの遺作

Cabbitの新作は1年以上延期してようやく出てきて、しかも質の保証もない。むしろ「苦労してやっと作って納品した」という感じだ。こういうことは多くのギャルゲー会社に起こっていて、どれも同じ結末を迎えている。倒産だ。

去年はFengが倒産した。今年はCabbitの番かもしれない。Cabbit自体はSkyfish傘下のブランドにすぎないが、Skyfishももうすぐ2年ゲームを出しておらず、ゲームをSteamに並べて日銭を稼ぐような感じで凌いでいる。Skyfishの新作と言えば、某アメリカブランドとコラボした縫い合わせゲームの猫カフェくらいだろう。

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とにかく、2020年はみんな厳しい。Cabbitはあれだけ延期して、こんなクソみたいなものを出してきた。もう安心して息を引き取っていいだろう。

もちろん、このゲームは最初からお蔵入りにでもしてくれた方がマシだったと思う。madosoftをやる時間を無駄にした。

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