『アインシュタインより愛を込めて』レビュー
新島夕がまた新作を出した。下半期に突然、Key傘下に新ブランドGlovetyを立ち上げると発表し、以前『恋×シンアイ彼女』で組んだきみしま青、志水マサトシとタッグを組んで、ブランド第一作(そしておそらく最後の一作)『アインシュタインより愛を込めて』を発売する準備を進めている。
アインシュタインより愛を込めて、つまり From Einstein With Love ってことだ。でもこのゲームの英語サブタイトルはそれじゃなくて、The only source of knowledge is experience. なんだよね。「理論は実践から」みたいな意味で、しかもこの英文はアインシュタインの名言 Information is not knowledge. の続きっぽい感じもある。
ともかく、新島夕がまた来た。しかもオタク連中がこぞって愛するきみしま青を連れて、この文芸臭プンプンのタイトルで。阿呆なオタクどもは早くも大興奮、体験版すら出てないのに「聖地巡礼」だのなんだのと気が早い。そして公開されてるたった一枚のポスターからあれこれ要素を分析して、新島夕がどんな話を書くのか予想し始めた。ヒロインの「高IQ」設定と絡めて、「高IQ低EQな奴が恋に目覚める話なんじゃね?」とか「理系男女が恋に落ちてそれを証明しようとする展開?」とか、勝手に脳内補完しては勝手に感動してやがる。発売前からここまで自己陶酔できるのは、柚子厨以外じゃお目にかかれない。おかげで俺のこのゲームへの期待値は下がった。

なんで下がったかって、俺も新島夕なら「低EQ主人公が愛を知らない」話を書きそうだと思ったからだ。これまでの作品はずっとそんなスタイルだったし、体験版の感触もそうだった。もし本当にそんな話なら、まあ「良好」レベルで、最後に「主人公のEQ低すぎて孤独死」みたいな爆弾展開で話題になるのが関の山だろう。
で、ゲームが発売された。俺はあの長ったらしい「桜ノ雲、緋ノ恋」をやってられなくて、気分転換にこっちを先にやることにした。もっと軽く読めると思ったんだよ。ところがどっこい、やればやるほど様子がおかしい。共通√はまあ良かった。個別√に入ると、どんどんワケのわからん内容が混ざってくる。そして最後のGrand Endingで、俺の顔は完全にドイツのあの子になった。は? このゲーム、俺たちが想像してたのと全く違う。むしろ「共通√」(体験版)全体が詐欺……いや、個別√も含めて全部詐欺だ。最終展開はそれまでの内容とほぼ無関係ときた。
序盤はありがちな展開。主人公・周太は頭脳明晰な天才で、毎回学年トップ。だがある日、突然2位に落ちる。1位は有村ロミという女の子。最初は知らなかった男主だが、こいつは只者じゃないと踏んで会いに行く。しかし彼女はほとんど姿を見せず、最終的に「科学研究会」なる同好会の名義で見つける。それでも出てこようとせず、電話で「会いたければ俺の言う通りにしろ」と言う。男主は承諾。有村ロミの要求は一見簡単そうだった。特定の女子を集めろ、一番バカなやつ、一番美人なやつ、一目惚れしたやつ……などなど。数人集めて「科学研究会」を作ればいい、と。

男主は仕方なく街をうろついて人集め。粘り強く口説いて、ボクシングやってる西野佳純、吹奏楽部の後輩・坂下唯々菜、アホっぽい後輩、そして下のコンビニで働く女子大生・新田忍らを確保。
とにかくメンバーが揃い、「科学研究会」が発足。有村ロミが現れて、まず祝辞を述べ、こう言った。「せっかく作ったんだから、この同好会、続けてね。」

そして全員ポカーン。その瞬間からこの会は有名無実化した。
男主は怒って有村ロミに問い詰める。そこで初めて、この「有村ロミ」が子供の頃に知っていた「比村茜」だと判明する。なぜか改名していた。しかも有村ロミは、自分がやったのは全部男主のため、彼の「流星病」を治すためだと言う。
「流星病」とは、数年前に巨大な流星が地球に落下し、その影響で一部の人間の体に原因不明の異常が現れる病気のこと。男主自身も流星病に悩まされ、主治医である叔父のところで治療を受けている。叔父は余命いくばくもないと言い、もっと人と接触して体調を改善しろと勧めていた。有村ロミの治療法もそれだったのかもしれない……

そして共通√は終わり。意味わかんねえだろ? いや、意味不明なのはここからだ。
共通√が終わると個別√へ。まず三人のヒロインを攻略しないと有村ロミ√が解放されず、有村ロミ√クリアでようやくGrand Endingに行ける。
このルート構成、すごく「初雪桜」っぽい。ただこのゲームにはSaga Planets伝統の「大地図からキャラ選択」はなく、非常にシンプルなキャラアイコン選択になっている。
西野佳純
話は至ってシンプル。男主がボクシング女子・佳純の試合勝利を手伝う内容。佳純は練習を重ねても他校の有名選手に勝てない(毎回優勝はしてる)。最後に男主の尽力で佳純は雑念を捨て、試合に全力を尽くし、「準優勝」を手にする。自己突破だ。
しかし佳純の試合当日、男主は会場に行けない。「彗星病」で体調を崩し、謎の「彗星組織」に連れ去られ、治療と訓練を受ける。最終的に男主の「彗星病」は治るが、元の高IQと記憶を失う。

記憶を失った男主が戻り、佳純に出会っても分からない。だがドロドロの展開を経て、二人は再び運命的に巡り合う……
終わり。
展開が意味不明なのは分かってる。焦るな、この先もっと意味不明だ。
坂下唯々菜
男主が同好会設立の際、メンバー選定条件に「一目惚れした人を選ぶ」があった(新島夕、どんだけ『一目惚れ』にこだわってんだよ)。その時男主が最初に「一目惚れ」したのが坂下唯々菜だった。
坂下唯々菜は学校の吹奏楽部の後輩。見た目も可愛く、男主は厚かましくも部活に通って待ち伏せ。根負けした彼女が男主をラーメンに誘う。とにかく男主はすぐに、一目惚れした女神もただの普通の子で、なんで一目惚れしたのか疑問にすら思う。だが二人の関係は急速に進展し、坂下唯々菜は突然悩みを打ち明ける。
「自分の存在感がどんどん薄くなってる。」
毎日周りから忘れられる感覚。朝起きても実の母も弟も自分が誰だか分からず、一瞬固まってから思い出す。ほとんどの時間、周囲は自分の存在を忘れている。非常に不可解だ。

後に有村ロミの指摘で男主は理解する。坂下唯々菜の症状は「彗星病」の一種「テレパシー」。今見えている「坂下唯々菜」はただの幻影で、本物はどこかで昏睡している。彼女はテレパシー能力で大部分の人の「集合記憶」を書き換え、自分が存在すると認めさせていた。存在感が薄いのは、元々実体のない存在が能力の弱体化で正体を現し始めたからだ。そして坂下唯々菜は男主と小笠原諸島旅行に行く約束をした途端、忽然と消える。
実は坂下唯々菜という人物は存在せず、テレパシー能力者が作り出した幻影だった。その真の姿はどこにいるのか分からない。

ここから展開がアホになる。男主は突然「星」という女に屋上に拉致され、男主には強大なエネルギーがあると言われる。「星」は自分は「彗星機関」の者で、協力して研究所に来て研究させろと要求。男主は拒否し、それより坂下唯々菜を気にする。その後、坂下唯々菜が天使の翼を生やして現れ、男主は抱擁した瞬間にテレパシー能力をコピーする……
その行為が彗星組織の「星」を怒らせ、男主は連れ去られ、不明な場所へ。
坂下唯々菜も男主の消失で覚醒したらしく、いつかある年、一人の少女が小笠原諸島に来てテレパシー能力を発動し、周太という少年を救出。二人は太平洋へ逃亡を始める……

終わり。
もっと意味不明だろ? 大丈夫、しっかり座れ、まだ先がある……
新田忍
「科学研究会」設立後、活動は一切なくなり、男主は自宅に戻って元のオタク生活に戻る。
そこで下のコンビニのお姉さん・新田忍とついにいい感じになる。年上の新田忍にとって、男主のような若造は負けじゃない。二人はワインでデートし、酒の勢いで関係を持つ。
その後は「言葉にできない」曖昧な恋人関係に。男主は新田忍が父のコンビニを継いで店長をしていることを知る。そして男主が余計な知恵を出したせいでコンビニの仕入れ先にトラブルが起き、食品安全事件に発展、店は閉店の危機に。

新田忍は家伝のコンビニを閉店させ、実家に帰ろうとするが、男主に引き止められ、二人は恋人関係を確立し、一緒にコンビニを立て直すことを決意。

男主の存在が新田忍の両親を田舎から呼び寄せ、義父母と対決の末、婿として認められる。
そこで新田忍が男主に言う。「妊娠した。」

男主は父親としての責任を取ることを決意し、子供を産ませるため、金儲けの研究を始める。その時、あの「星」が再び現れ、男主は「世界の敵」だから放置できないと言う。「彗星機関再教育キャンプ」で労働改造を受けろ、従わなければ周囲の人間を人道破壊すると脅す。
男主は新田忍を離れたくない。ましてや妊娠中だ。だが強制的に連れ去られる。
その後、男主はとある「彗星機関」で改造を受け、「戦闘テスト」だの部隊の戦闘訓練支援だの、何をやってるのか分からない日々を送る。

とにかく何年も経ち、男主はようやく解放され、「もう世界の敵ではない」と言われる。男主は元の場所に戻り、新田忍のコンビニがまだ営業しているのを見る。そばには小さな子供がいて、それが自分の息子なのだろう。
新田忍は男主を覚えていて、こう言った。「おかえり。」
終わり。
これでシナリオロックのない個別√は全部終了。なんだこれ、めちゃくちゃじゃねえか!
俺もだよ!
「彗星機関」って何なんだよ!
男主はいつ「世界の敵」になったんだよ!
テレパシーってなんだよ!
女の子が超能力で小笠原諸島の軍事基地から男主を救出して太平洋逃亡って、なんだこのハリウッド映画!
ここで有村ロミ√が解放される。これで真相が明らかになると思った?
甘い!
有村ロミ
有村ロミはメインヒロインだから、男主と深い物語があるはず。しかしそうではない。展開は相変わらず平淡。ただ男主が有村ロミに全ての重心を置き、しつこく付きまとうようになる。
ところが有村ロミは逆に仲人役を買って出て、男主に他のヒロインたちと付き合えと紹介しまくる。内容はあるものの、以前の「個別√」の縮小版程度で、各ヒロインの状況、特に坂下唯々菜のテレパシー能力などを簡単に紹介するだけ。

その後、ゲームは退屈な恋愛パートに入る。
退屈というのは本当に退屈で、こんなに「気まずい」恋愛をするギャルゲーは久しぶりだ。大半が強引なピンク展開に頼り、最後まで二人の関係は確立されない。
ただ、男主が子供の頃の有村ロミとの記憶を思い出し始める。二人で小笠原諸島に行き、海辺を歩き、偶然爆発を目撃し、その後何が起きたか分からないが、男主は「彗星病」になった。

過去の影を求めて、二人は再び小笠原諸島へ。地下研究基地を発見するが、そこにあのアホな「彗星機関」が再び動き出し、男主を「世界の敵」と認定、誘導ミサイルで爆破しようとする。男主はワケの分からん超能力を発動し、自分を燃やして有村ロミを救う。
そして終わり。

そう、これがアホな有村ロミ√のエンディング。男主は爆死、灰燼と化す。
次に待つのは最終Grand Ending。
Grand Ending
時は7年前に遡る。男主は頭脳明晰な天才で、知らないことなど何もない。当然の学年トップ。
男主の父も著名な科学者で、「魂存在説」を提唱。人の魂は実在し、肉体と分離して考えられ、魂の移転すら可能だと主張していた。
しかし平穏な生活はすぐに破られる。男主の学年トップは比村茜という少女に奪われ、父は「学術不正」の渦に巻き込まれる。
男主は不快だ。比村茜ごときが、なぜ俺より賢いのか。彼女に勝負を挑むと、彼女は特別賢いわけではなく、ただ努力家で、分からない問題は納得するまで食い下がる。実は比村茜は母親から「バカ」扱いされていた。

男主は比村茜を慰め、君はバカじゃないと言う。一方、父はさらに大きな危機に直面。記者が家に押し寄せ、同級生たちは父の噂で男主を避け始める。ただ比村茜だけは離れなかった。
男主は父が不正をしたとは信じない。父の研究的努力を見ていたからだ。そういえば叔父が小笠原諸島で「彗星病」の研究をしていたことを思い出し、叔父なら力になれるかもと、そこへ行くことを決意。比村茜も同行する。

しかし二人が小笠原諸島に着いて叔父に会う前に、海辺で大爆発に遭遇。男主は吹き飛ばされ海中へ。そこで巨大なクジラに出会う。クジラはなんと喋り、「新世界を開く鍵」を男主に渡す。そして男主の脳に膨大な文明と知識が流れ込む。その知識は宇宙の外の高次文明のもので、男主は一瞬で超賢者となる。

男主が目覚めると海辺に倒れていた。比村茜と一緒に家に帰ることに。しかし家に着くと、父は首を吊って自殺していた。
そして男主は7年前の夢から現実に戻る。

現実では男主はすでに死んでいる。だが男主の前にsigmaという少女が現れる。彼女は自分はある異星文明のガイドAIだと言う。その文明は滅び、文明の火を保存するため、文明の結晶をクジラの形にして地球へ導き、何年も前に流星として地球の海に落下し、隠れていた。適した人間が発見するのを待っていたのだ。
その流星の落下で一部のエネルギーが流失し、周囲の人間に特殊能力を与えた。人類はそれを「彗星病」と呼ぶ。
男主は何年も前に海底でクジラを見つけ、その鍵を手に入れた。つまりその文明の全てを継承している。今男主ができるのは選択だ。「新世界の扉を開くか、開かないか。」

「新世界の扉を開く」とは、このクジラがもたらした高次文明を地球の全人類に拡張すること。大部分の人間は死ぬかもしれないが、残るのは「新人類」であり、新文明を持ち、地球の文明を数千年単位で加速できる。開かなければ新文明を封印し、現状維持。
最終的に男主は開かないことを選ぶ。有村ロミの身を案じたからだ。
sigmaの助けで、男主は自分の魂を家にある「アインシュタイン」という小さなロボットに注入。そのロボットを操って歩き回ると、ちょうど「彗星機関」が有村ロミを捕まえようとしているところだった。彼女を宇宙人と関係があると見なして。男主は間一髪で現れ、相手を撃退。だが相手も気づく。この「アインシュタイン」ロボットの中にいるのは、先日爆発した「周太」だと。

次に「彗星機関」は様々な人間を送り込み、男主を滅ぼそうとする。彼らは男主を「世界の敵」と断定。無理もない。男主は鍵を持ち、新世界の扉を開けば地球は再構築され、どれだけ死ぬか分からない。
戦闘の先鋒はメシアというロボット。見てみると、それは招安された坂下唯々菜だった。二人はしばらく戦うが決着はつかない。「彗星機関」がさらに人員を投入して男主を始末しようとした時、突然sigmaから連絡が入る。「新世界の扉」が誰かによって開かれた、と。

男主は驚き、急いで「彗星機関」の一行と共に小笠原諸島へ向かう。扉を開いた大ボスは他でもない、男主自身だった。
実は今「アインシュタイン」の中にいるのは「周太」の分身の魂で、本物の男主は「新世界の扉を開き、地球を再構築する」ことを選んでいた。彼はとっくにこの醜い世界に愛想を尽かし、壊して作り直したかった。最終的に、分身男主とヒロインたちの口撃と連携攻撃で、大ボス男主は倒れ、分身男主だけが残る。

最後に男主の善良さを示すため、有村ロミは実は男主の善意を感じていたと言う。彼はわざと分身を作り、その分身が皆を導いて自分を止めてほしかったのだ……とか何とか。『ウォークラフト』でアーサスが最後に洗白されるパターンに似ている。男主の最後の良心が、皆に彼を倒す機会を与えたのだ。
ともかく分身は残ったが、肉体はもうない。だがそこに叔父が現れ、男主の肉体は残っていると言う。爆発の時、灰にはならず、叔父が回収して保存していた(そんな趣味かよ)。望むなら魂を肉体に戻して復活させられると。

しかし復活した男主はまず叔父に問い詰める。なぜ父を殺したのか、と。
実は父は自殺ではなく、叔父に殺されていた。叔父は「巫女」の指示に従っただけだと言う。元々「彗星機関」は地球の「彗星病」問題を解決するために設立され、異星文明も発見し、その強大な力を感じていた。研究が進むにつれ、「彗星機関」は問題解決のために人工知能を作った。それが「巫女」だ。やがて「巫女」は強大化し、「彗星機関」の首脳にまでなり、研究所の外に出たがり、7年前の爆発(男主が海に落ちてクジラを見たあれ)を引き起こした。その後「巫女」は完全に「彗星機関」の支配者となり、男主の叔父も彼女に従順になった。「巫女」は男主の父が地球の敵だと言った。魂の存在を発見したから、消す必要があると。叔父はそれに従った……

最後に男主は叔父と対峙し、さらに「巫女」とも対峙する。しかしそこで叔父は気づく。男主の父は完全には死んでいなかった。その魂が警告を発していた。「私の息子に手を出すな」と。

男主も父からの愛を感じ、最後に「アインシュタインより愛を込めて」、つまり父の愛が明かされ、ゲームは幕を閉じる。

最後には男主と有村ロミは本当の恋人にはならず、有村ロミが男主に宛てた手紙で感謝と「好き」を伝える。
ゲーム全体がこんな感じで意味不明に終わる。
感想:
このゲームの感想は正直難しい。
詰め込みすぎなんだよ。初雪桜の共通線、魔女恋日記の個別√、あとは……Robotic Notesみたいなグランドエンド。
序盤の個別√はわりと良かった。“頭のいい連中は人の心がわからない"的な雰囲気がちゃんとあって。ところが個別√に入ると、もうすっごく手抜き。どの√も短いし、最後にワケのわからないもんが付いてくる。例えば、さっきまで恋愛してたのに、急に中二感満載の"地下組織が世界を救う"みたいな話になる。しかも一番感じるのは「これ、新島夕が書くもんか?」ってこと。“SFゲー"によくあるパターンって気がする。

グランドエンドまで進んで、ようやく話が全部つながるんだけど、そこで気づくわけ。このゲーム、最初に作ってた"頭のいい連中は人の心がわからない"みたいな雰囲気とは真逆の方向に行っちゃってて、まるっきりの"Robotic Notes"の劣化版になってるって。
なんで劣化版かって、戦闘にお金かかってないし、すっごいケチってるんだよ!機体もかっこよくないし、なんだよもう!
とにかくエンディングまで来て、物語が最初に想定してた内容とまるで違うものになってることに気づいた。宣伝の時点でわざと詐欺ってたのか、それとも新島夕本人がこういう"超展開"をやりたかったのか。いくらなんでも、最初の宣伝文句見て、最後が宇宙人vsロボットの大戦になるなんて想像するか?

たぶん新島夕は自己突破を図って、燃えるSFを書きたかったんだろう。でも忘れちゃいけない、それは彼の得意分野じゃない。彼が得意なのは"男女の感情についての反省"で、例えば初雪桜のヒロインが主人公を救う話とか、魔女恋日記の”一目惚れ“とGalgameプレイヤーへの映しと風刺とか、あと以前のシンアイ彼女の男女の感情の繰り返しの果ての余白とか。
要するに、新島夕の話はいつも何かを考えさせるし、反省させる。しかも一気に書き切らず、余白を残して、あとは自分で補完しろってやつ。それが彼の物語の魅力なわけで。彼の恋愛話は最終的に100%のハッピーエンドにはならないけど、確かに回味のあるグッドエンドなんだよ。
それに引き換え、このゲームはなんなんだ?
グランドエンドの怒涛の超展開についてはまず置いとく。あれ完全に"超展開のための超展開"だし、SFとしても同じように余白を残してるんだけど、この"余白"はもう"話が説明しきれてない"欠陥になっちゃってる。しかも余白なしで完璧に語り切ったとしても、“主人公が突然新世界の神になって地球を滅ぼそうとして最終決戦でボスに勝つ"みたいなクソ展開なんて、毎年エロゲーに何本もあるし、みんな見たことある。見終わった後はせいぜい"スカッとした"“燃えた"って程度で、あとには何も残らない。

このゲーム、新島夕の立意に沿って考えても、彼がやりたかったことを達成したとしても、せいぜい"アニメ映画みたいな燃え映画”。良く言えば"特効映画”、悪く言えば"ポップコーン作品”、見たら忘れるやつだ。
ましてや新島夕はこのゲームをそこまで上手く作れてないし、エロゲーとしてあるべき恋愛やエロ要素に至っては、ほぼない。
もちろん、新島夕の"余白"が完全に無意味ってわけでもない。日本の友人はその辺を見抜いてた。
例えば、ヒロインが最後に主人公へ宛てた手紙にこう書いてある:

「君のありかたが、私は好きです」
ここでの「が」が強調してるのは……たぶん前の「君のありかた」だけ。
つまり「私が好きなのは君のありかただけ」。
つまりヒロインは主人公を全然愛してなくて、ただ恩返ししてるだけだったってこと。
そしてこのゲームの本当の主役、主人公を救ったのは、父性を帯びた"アインシュタイン"ロボットにすぎない。アインシュタインより愛を込めて、アインシュタインからの愛、それはつまり父性愛だったんだ。

そう考えると、ゲーム開始時の「人の気持ちはわからない」なんて宣伝文句、全部クソみたいなもんだ。
新島夕の現在のピークは、間違いなく『魔女恋日記 PSV』だろう。
コメントは中国語の本家サイトで受け付けています。このミラーは閲覧専用です。