『さくらの雲*スカアレットの恋』レビュー

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『さくらの雲*スカアレットの恋』は発売前からかなり注目していた。なにせ「キャベツ」前作があまりにもクソすぎたからだ。

シナリオは冬茜トム。いくつもの Lump of Sugar とキャベツのストーリー重視作品に関わっていて、今回の捆枝とのタッグも初めてではない。

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ゲームが最初に発表されたときの設定にはちょっと面食らった。主人公が100年前の日本にタイムスリップして、そこから未来に帰る方法を探すという。

完全に起点文学のレベルで、しかもかなり質の悪いやつだ。

シナリオへの信頼を頼りに、それでもゲームを開いて、クリアまでかなり時間がかかった。家の用事が忙しかったのもあるし、このゲームの序盤から中盤がとにかく退屈だったのもある。ただ最終章はなかなか面白くて、しかもテンポがよく、前半のだらだらした冗談の顛末をあっという間に語りきってくれた。

日本人はこれを「伏線回収」と呼ぶ。

まあ、そういうことにしておこう。それじゃあ、このゲームについて詳しく話していく。

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共通線

主人公の風見司は2020年の少年で、ある事情から100年前の日本、ちょうど1920年、世に言う「大正時代」にタイムスリップする。

タイムスリップした主人公は桜の木の下で金髪碧眼の外国人に出会う。彼女はイギリス人を自称し、日本で探偵業を営み、探偵事務所を構えている。主人公はその「所長」に拾われ、助手になる。しかもこの所長は守銭奴で金が大好きなのに、貧乏だった。彼女の「大正時代」の事件——主に人探しや物探し——の解決を手伝い始める。その過程でたくさんの人と知り合う。大富豪の令嬢・不知出遠子、そのメイドのメッリサ、猫を飼う「蓮」という少女、それに大正時代の警部や画家、博物館の館長、古典技術マニアの眼鏡オタクなど……

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もちろん、主人公の最大の疑問は自分がタイムスリップしたことそのものだ。彼は幽霊のような少女アララギにも出会う。少女は主人公に、ここにタイムスリップしたのは「歪んだ歴史」を修正する必要があるからだと告げる。つまり今の歴史は、主人公が存在する世界線の歴史とは異なっている。修正しなければ歴史は平行世界へと向かい、主人公も未来には帰れない。

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その歪みをどう修正するのか、アララギは自分は言えないと言う。だが彼女は一通の電報を主人公に渡す。「別の世界線のあなたから送られたもの」だという。電報の文字はとても汚いが、全部カタカナで、いくら見ても意味がわからない(たぶん漢語のピンインみたいな感覚だろう)。その後、アララギは消えてしまう。

そして主人公はもう一人の奇妙な人物、加藤大尉に出会う。

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日本軍人である彼は、一目で主人公の異常さを見抜いたらしく、「未来人」の話を聞いてからは、事あるごとに「未来人」を口に出し、軽蔑した態度で主人公をからかう。だが主人公は、この加藤大尉もなかなかの人物らしいと耳にする。一連の神がかった立ち回りで出世したらしいが、どうにも凶暴な印象だ。

次は探偵事務所を手伝って二つの事件を解決する。怪盗ヘイスト事件と、不知出遠子の家の怪奇現象事件だ。


怪盗ヘイスト事件

簡単に言えば、街に怪盗が現れた。博物館の物を盗むだけでなく、妙ちくりんな物——大砲とか——まで盗む。主人公は所長と一緒に調査するが、これといった手がかりは見つからない。唯一わかったのは、不知出家の令嬢・遠子がこの怪盗の残した謎に強い興味を持っていて、解読もかなり得意だということ。

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最後に怪盗が現れる。中世のペスト医師のような格好だ。誰も怪盗を捕まえられず、怪盗は妙に盗んだ物を返却し、事件はわけのわからないまま終わる。

不知出遠子の家の怪奇現象事件

不知出遠子のメイド、メッリサが最近よく幽霊に遭遇すると言うので、主人公たちは調査に向かう。大富豪の家に着いてまず目にするのは、不知出家がご先祖の宝の地図を見つけたと言って、家の前で宝を掘っている光景。掘れはしないが、所長は大興奮。金好きだから、見つけたら半分もらえるんじゃないかと考えたわけだ。

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結局、怪奇現象もさんざん無駄なことをした末に判明する。不知出家の門の前の穴掘りが原因で住宅が共振し、窓から変な音が出て、メイドのメッリサが幽霊だと思い込み、眠れず幻覚まで見るようになったというだけだった。

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そして最後の「宝の地図」も、主人公の鑑定で空騒ぎだったとわかり、事件は終わる。


共通線の結末:関東大震災

共通線の中で、主人公はずっとアララギの言葉に従って「歴史の歪み」を探していたが、ほとんど何も見つからなかった。しかもその間に何度か「歴史と異なる」事件が起こる。未来で大活躍する政治家が早くに暗殺され、一部の怪しい団体が早くから暴動を起こし、歴史に存在しないテロを起こす。こうした出来事は歴史がすでに変えられていることを示している。

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この大正時代は奇妙なことが多すぎる。日本は東西文化の交わる中心で、まさにありとあらゆる魑魅魍魎が登場する。主人公は一時期、「超能力者」が存在するのではないかと疑い、アララギに尋ねる。彼女の答えは曖昧だった。「私の知る限り、大正時代に超能力を持っているのは一人だけよ。しかもあなたも会ってる。もちろん誰かは言えないけど」

それに、この時代の最大の歴史的事件は「関東大震災」だ。あの地震が「大日本帝国」を徹底的に変える始まりだった。関東大震災で国内が不況になり、日本軍国主義が復興し、中国侵略と資源略奪を決め、第二次世界大戦の枢軸国に加わり、その敗戦で大日本帝国は消滅し、今ではアメリカの属国に成り下がり、独自の軍事力すら持たず、自衛隊だけが残っている。

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共通線の最後、1921年、日本で2年早く「関東大震災」が発生する。東京全体が一瞬で地獄と化す。そしてあの加藤大尉が地震のその場で呪文のように地震をどんどん強くしていく。まるで地震が彼に呼び出されたかのようだ。主人公はあの「唯一の超能力者」を思い出し、加藤大尉に問い詰める。いったい何をしたいのかと。


加藤大尉は、地震の中で日本を再び団結させる、「帝都再建計画」を始めると言う。Make Japan Great Again だと。しかも彼は早くから地震のことを吹聴していたため、周囲の評判はこの時点で非常に高い。加藤大尉は大地震を予言したことで預言者となり、日本唯一の希望にもなる。そして加藤大尉は今回の地震を利用して邪魔者を排除し、多くの人を殺して、その責任を地震の中の暴徒に押しつける。

男主は加藤大尉を前にして深い絶望を覚える。そこへアララギが現れ、この共通線は終わる。

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アララギは、この世界線はもうダメだが、別の世界線なら救えると言う。別の世界線の自分に電報を送ってほしいと。主人公は最初に受け取った電報を思い出し、どういうことかも理解する。そして加藤大尉に超能力があることなどを打電する。共通線はここまでだ。


不知出遠子線:

主人公はタイムスリップの最初に戻る。だが今回は電報を二通受け取っている(共通線のあれだ)。主人公は持ち前の鋭い直感で、共通線の一連の事件の中で歴史を修正する。政治家の暗殺を防ぐなど、正しい歴史を少しだけ進める。だがすぐに、主人公はまた『さくらの雲*スカアレットの恋』の歴史を歪めてしまう。

そう、主人公がヒロインのルートに入った時点で、歴史は当然歪むのだ。

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不知出遠子は不知出家の令嬢で、「未来人」を自称する主人公に興味津々。主人公が本物の未来人だと知ると、遠子はさらに主人公に接近する。その後、探偵事務所が怪盗事件を処理しているとき、遠子が突然現れ、銀の指輪を探してほしいと言う。見つけたら1000円払うと。

そして主人公は遠子と一緒に探すのだが、どう探してもその指輪は見つからない。

最後に主人公は調査を通じて、遠子がその指輪を持っていないことに気づく。遠子の依頼は、主人公をこの件で忙しくさせ、あの「怪盗」の裏の事情を調べさせないようにするためだった。実は遠子と「怪盗」には関係があるのだ。

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結局、隠し通せず遠子の計略は暴かれる。

あの「怪盗」は、ある地下カジノにいる中国人女性「李梅」。そしてあの「怪盗」の盗みは遠子の指示だった。昔々、「李梅」の本名は「肖蓮」といい、中国から日本に流れ着いて絵を学び、最後は金がなくてカジノで働くしかなくなり、支倉という奇妙な痩せた男に奇妙な物を盗むよう要求される。そこで「肖蓮」は不知出家の女主人「蘭花」のコレクションに目をつける。蘭花はコレクターで遠子の母でもあり、家には物がうなるほどある。だから肖蓮は盗みに入る。盗みは蘭花に見つかるが、彼女はむしろあまり怒らない。生活のために泥棒をした肖蓮に同情したのか、蘭花は物は好きに持っていけとまで言う……肖蓮のほうが恐縮してしまう。

最後に肖蓮が最後の品を盗もうとしたとき、蘭花がちょうど体調の問題で息を引き取る。その場面を蘭花の娘・遠子が目撃してしまう。遠子は肖蓮が母を殺し、コレクションを盗んだと思い込む。遠子はその後、カジノで「李梅」と名乗る「肖蓮」を見つけ、殺すつもりはないが、かつて遠子の家から盗んだコレクションをすべて盗み返してほしいと要求する。李梅はもともと遠子に申し訳ないと思っていたので、贖罪のために怪盗になって再び世に出る。これが、街の怪盗がいつも妙ちくりんな物を盗む理由でもある。

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もちろん遠子も最後には李梅と自分の母の関係を知り、これまでの誤解だったとわかる。だから李梅に怪盗を続けさせるのもやめる。母がコレクションを望んでいないなら、なくしたって別にいい。

そして問題は解決し、このルートはもう語ることもない。ナンパ劇だ。アララギが現れ、主人公はもう歴史を完全に変えてしまい、戻れないと言う。主人公は彼女ができたので、戻れないなら戻らないと言う。

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もちろん主人公は別の世界線の自分に電報を送るのを忘れない。ルート終了。


蓮ルート

蓮のルートは話しやすい。やはり主人公は共通線の最初に戻り、並行世界からの電報を受け取り、革命の指導者の暗殺を防ぎ、歴史の正常を確保する……

そしてまた歪む。そう、主人公はまた恋愛をする。今回は蓮だ。

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ただ、このルートでの「蓮」の恋愛劇はおまけみたいなもので、いくつか後の小さな伏線につながる話もある。ドイツのバームクーヘンを作るとか、狼をやるとかいう話だ。だが本当の話は「永久機関事件」。成田という資産家が探偵事務所に依頼してくる。最近の南極調査で特殊な磁石が発見され、この技術で永久機関が作れるという。その技術を手に入れれば、当然大量の富が得られる。

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もちろん未来人である主人公は、いわゆる「永久機関」が存在しないことを知っている。所長もわかっている。だが資産家が大金を積んで探してほしいと言うなら、調査するしかない。

そして結末も特に意外なことはない。いわゆる永久機関は存在せず、むしろこの資産家がなぜ執着して永久機関を探すのかがわかる。彼は軍の加藤に要求された(脅されたようなものだ)と言う。大量の資金を集めなければならず、永久機関を作って技術を独占すれば金が一番早く手に入る。だからそうしたのだ。

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さらに成田は、軍の最近のリーダー加藤は非常に「先見の明」があり、未来のことを正確に予知することもできると言う。軍は将来起こりうる災難に備え、帝都を再建するために大量の資金を集めている。軍のリーダー加藤は大分県で地熱発電をやっていて、成田は永久機関をやったほうが地熱発電よりはるかに将来性があると思ったが、話しても無視されたという。

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もちろん最終的にこのルートは、主人公が大正時代に残り、蓮と恋愛して結婚するという結末で終わる。ただ個人的には、最大の意味は「永久機関」という手がかりを明かしたことだけだと思う。


メッリサルート

メッリサルートの内容はちょっとおかしい。ゲームは突然、全員が招待状を受け取り、列車に乗って知らない場所へ向かうという。ゲームのほぼ全キャラが列車に乗っている(あのアララギも含めて)。そして列車が走っている途中で殺人事件が起こり、資産家の成田と李梅さんが相次いで殺される。探偵事務所の主人公が当然捜査を始める。このルートはまさにコナンだ。もちろん最後に犯人が誰かはどうでもいい。重要なのは、このルートで主人公が成田の記録帳からあることを知る。「予知女」がかつてある山村にいた。姓は茅野で、未来を知ることができる。その後この女性は村を離れ、街に来た。そしてこの列車に乗っている可能性が高い。これだけの人を列車に乗せたのは、この女を探すためだったのだ。

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もちろん最後にこの女はメッリサ本人だと明かされる。フルネームは茅野メッリサで、肩に月の痣がある。そして最後にメッリサは、主人公の問題解決を手伝うと言う。メッリサは未来が見えるし、主人公がこの時代の人間でないこともわかる。自分の力で主人公の歴史修正を手伝い、悲劇を止めようと言う。そこでこのルートは終わる。もちろん、電報も残る。

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簡単に言えば、このルートの狙いは、列車殺人事件のような探偵劇をでっち上げて、メッリサが超能力者だという点を引き出すことだ。

そして以前のアララギの主人公への言葉に対応している。「この時代の超能力者は一人だけ、しかもあなたたちも会ってる」

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ゲームはずっと超能力者は「加藤」だと思い込ませるが、実は違う。ミスリードだ。


所長ルート

ゲームの最終ルートが所長ルート。主人公はやはり最初に戻り、すべての電報を手に入れ、すべての秘密を知る。列挙しよう。

  • 加藤は大分県で地熱発電を大掛かりに進め、何かの施設を作ろうとしている
  • 加藤は多くの場所で「先んじて知る」ことで、多くの信頼と声望を得ている
  • 加藤は各所の資産家から大量の金を集めている(だから成田は永久機関を作ったり予知女を探したりして、早く金を得ようとした)
  • 加藤は関東大震災の到来を知っているらしく、大地震の後に自分の声望と金で「帝都再建計画」を実行しようとしている
  • 加藤は元々の名前が「支倉XX」らしく、かつてカジノに出入りし、カジノの李梅に遠子の母のコレクションを盗むよう唆した
  • メッリサには超能力がある

そして主人公は一つの推論を立てる。

加藤もこの時代の人間ではなく、未来からタイムスリップしてきた。そして日本を軍国主義に導こうとしている。彼を止める鍵はメッリサの能力だ

支倉、いやここでツッコミたい。最初から加藤が未来人だって見抜けたのは俺だけか? 彼の言葉、態度、時代を超えた文学の理解、どう見ても「大正時代」の人間じゃないだろ。なぜゲームは最後まで勿体ぶってから教えるんだ?

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もちろん加藤のことを推理した後、所長も、今の歴史は主人公と加藤という二人の未来人の介入で「歪んでいる」と理解する。所長は主人公を自分の時代に帰そうとし、独立して調査を始め、この「歪み」を消そうとする。

さらに所長は、あの「オタク書生」万斎が「タイムマシン」を研究中で、かなり進展しているらしいことを知る。ただし彼は同時に「小夜子」という娘とお見合いをしていて、プロポーズの準備をしているため、タイムマシンの開発が少し遅れている。

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だが調査の結果、所長は疑問を抱く。主人公には「未来に帰る」つもりがまったくなく、ずっと消極的に見えるのだ。

最終的に所長に問い詰められ、主人公は仕方なく認める。自分は確かに未来から来た。2020年の日本、当時の年号は「桜雲」。第三次世界大戦が勃発し、主人公は軍人として戦争で深く傷つき、偶然タイムマシンで100年前にタイムスリップした。最初は歴史を変えようと思っていたが、ここはなかなかいい。本当に歴史を修正して2020年の「桜雲」に戻っても、第三次世界大戦は存在する。それなら100年前で安心して女の子を口説いて真面目に生きるほうがましだ。

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これは三つの情報に解釈できる。

  • 主人公のいる2020年は、我々の知る「令和」の時代とは違い、「桜雲」と呼ばれる。おそらく平行世界だ
  • 「桜雲」時代には第三次世界大戦があり、ペストの再流行などもあり、世界は生き地獄と化している
  • 軍人である主人公が100年前にタイムスリップし、実は帰りたくないし、歴史も修正したくない。修正してあの生き地獄に戻って何になる?

最終的に所長の口撃で、主人公はようやく目を覚まし、自分はやはりこの時代の人間ではなく、歴史を左右すべきではない、帰るべきだと気づく。

だが帰るには、当然この世界に存在する「歴史への歪み」を消さなければならない。そこで新たな調査と洗い出しが始まる。今回、主人公は未来を見ることができるメッリサを連れてくる。彼女の目は未来を見るだけでなく、人物の背後にある紫色の光——歴史の歪みの程度——も見える。その歪みを消せばいいはずだ。

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そして忙しく歴史を修正するが、どう修正しても完全には消せないことがわかる。致命的な理由がある。歴史の歪みは加藤だけでなく、主人公もだ。この二人はそもそもこの時代の人間ではない。来たらどうなる?

そこへ所長がさらに深刻な問題を発見する。オタク書生の万斎が加藤に連れ去られ、地下の神秘的な施設に入れられたのだ。

神秘的な施設は加藤が建設したもので、地熱発電技術を利用している。主人公たちが駆けつけると、中はもうヤバすぎた。なんと一本の桜の木のゲートがある。加藤はこれが伝説のタイムマシン、コードネーム「アララギ」だと言う。

そうか、あのアララギという少女はタイムマシンそのものの化身だったのか。どうりで歴史を修正するはずだ。タイムマシンの自己デバッグ機能だったわけだ。

タイムマシンの開発者は誰か。あのオタク書生の万斎だ。万斎は加藤からすごい論文をたくさんもらい、読んで目が開けたので、タイムマシンが急速に開発できたという。本来の歴史でも万斎はタイムマシンの理論を発見するが、大正時代の技術水準では作れなかった。今回はちょっと手伝っただけだ。

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加藤は最後に、自分は実は2110年から来たと言う。その時代の日本も戦乱に苦しんでいたので、タイムマシンで大正時代に来て、自分の力で歴史を修正し、日本があの悲惨な道を歩まないようにし、新しい大日本帝国を築こうとしたのだ。

加藤は主人公よりさらに後の時代から来ていたのか。

だが今の主人公には自分の考えがある。所長と同じで、自分や加藤のような「未来人」は自分の未来に帰るべきで、歴史に干渉してはいけないと考える。もちろん加藤はもうこの考えを認めない。彼は新しい歴史を創造し、2110年の悲劇の歴史を避けようとする。

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加藤は誇らしげに、自分は未来の論文を持ち、地熱発電のエネルギーを組み合わせ、書生の万斎を利用して何年も早くタイムマシンを発明したと言う。このタイムマシンで年代を後ろにジャンプし、2110年まで歴史を修正し続けるつもりだ。一年ずつ過ごすのは遅すぎるし、寿命も足りない。タイムマシンのほうが便利だ。

タイムマシンができたばかりで、主人公のような「歴史に存在しないはずの人間」を実験台として使いたい。どうタイムスリップしてもパラドックスが起きないからだ。

主人公が脅されていると、所長が現れる。彼女はアララギを使って書生の万斎に手紙を渡す。書生が手紙を読むと、加藤は突然激しい苦痛に襲われ、まるで体が消えていくかのようだ。

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所長が万斎に見せた手紙は、お見合い相手の小夜子が書いたものだった。小夜子は万斎が約束を破ったので、二人はもうダメだろう、別れようと書いていた。

なぜ万斎と小夜子が別れると加藤が消えるのか?

そう、お察しの通り。加藤は歴史上、万斎と小夜子の子孫だ。本来は万斎と小夜子が結婚し、子孫を残し、その後で加藤が生まれる。だが加藤はタイムマシンの建造を加速するため、万斎を連れ去ってタイムマシン作りに専念させ、小夜子とのお見合いを逃し、二人は当然結婚しない。祖先がいなくなれば、自分も存在しないはずだ。

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加藤の姓は支倉ではなく、伏倉。書生のフルネームは伏倉万斎。

最後に加藤は消え、陰謀も終わる。それでも歴史はすでに変わっているが、アララギは主人公はまだ2020年に帰れると言う。彼自身が「大正時代の歴史における最大の歪み」だからだ。

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主人公は桜の木の下で所長と別れを告げる。所長は自分は頑張って生きて、未来で主人公と会うのを待つと言う。


エンディング:令月風和

最終的に主人公は2020年へ戻り、未来が変わっていることに気づく。そこはもう「桜雲」なんて元号じゃなくて、新しい元号「令和」だった。

桜の木の下で、所長にそっくりな小さな女の子を見つける。その子は所長の子孫で、主人公に一通の手紙を渡してきた。2002年からの手紙、つまり所長の遺書だ。

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遺書の中で所長は、自分は一生懸命生きて、ようやく主人公の誕生を待つことができたけれど、もう長くは持ちこたえられずに死んでしまったと書いていた。所長が遺書を残した日、主人公はちょうど生まれた。2002年生まれの主人公は、2020年でちょうど18歳。

主人公と所長の間のこの感情は100年をまたいでいるのに、結局二人は本当の世界で会うことはなかった。

我生君未生、君生我已老。恨不生同時、日日与君好。

「桜雲」と「令和」をまたいで、この百年の恋も歴史になっていく。

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ゲーム終了。

……待てよ、「百年の恋」? いや、このゲームの恋愛描写があまりにもアホすぎて、俺は完全に無視してたわ。


感想:

まず結論から言うと、個人的には:

『さくらの雲*スカアレットの恋』は今年のギャルゲーの中では結構戦えるほうだけど、前作の『アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-』には及ばない。

理由をいくつか挙げる:

1、ろくな恋愛描写がないのに、HCGが大量に入っている

前作『アメイジング・グレイス』は個別ルートに明確な恋愛描写がなくて、純粋な物語作品だった。HCGはクリア後の後日談に置かれていて、これはいいやり方だと思った。物語全体が「恋愛」に縛られない。何せこれはストーリー重視の作品なんだから、全員に無理やり理由をつけてヤらせるような陳腐な展開に落ちちゃいけないだろ。

でも『さくらの雲*スカアレットの恋』はその陳腐さに落ちてる。各ヒロインの個別ルートでいかにも無理やり恋に落ちて、すぐにヤる。ほとんど理由もなく、突然発情して、突然始まる。こっちだって性生活ある人間なんだが、このHCGの出来に加えて、くわえ枝先生のあの性冷淡な画風、見てるだけで拷問だろ。

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しかもゲームの「恋愛」要素が物語全体を大きく足を引っ張っていて、多くの箇所がクソ長くて、メイン筋とも関係ない。ただ、HCGが逆にある箇所では伏線になっている。列車編で予知女を探すくだり、予知女の肩に月のアザがあるっていうけど、それはメイドの裸のHCGで確認できる。でもほとんどの人は気づかず、後から見返してる。これも伏線ではあるけど、このCGがわざと肩のアザをわかりにくく描いてるのも原因だろ。

ゲームの恋愛の無理矢理感のせいで、最終エンディングでも所長と主人公に何か愛情があるとは感じられなかった。100年をまたぐ恋がもたらすはずの感動が、自分にはむしろ「戦友の友情」に思えた。感動できるっちゃできるけど、ゲームが狙ってるものとは違うだろ。

2、伏線は多いけど大半は使い道がなく、本当の伏線は最初から感じ取れる

このゲームは伏線と回収がめちゃくちゃ多い。本文には大量に書かなかった。一つはプレイして自分で感じてほしいから、これも楽しみの一つだし。もう一つは……

これらの伏線が複雑すぎて、俺には説明しきれない。

ほとんど全キャラの裏に伏線がある。中国人の李梅も、佐々木小次郎に似たあいつと一緒に絵を学んでた奴だ。李梅が泥棒だった時にとおこ家と関係があって、成田も全員の裏の物語と関係がある。ゲームで見る「わけわからん」内容のほぼすべてに、最後にはそれっぽい説明がつく。これが日本の若者が好きな「伏線回収」なんだろうけど、年を取るにつれて俺はこういう公式化したものが逆に苦手になってきた。物語を公式に当てはめて式を立てるようにしちゃって、現実にそんな偶然そんなにあるかよ。

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無駄な伏線が多すぎて、中盤前半の展開が異常にクソ長い。さっきの無理矢理な恋愛と合わさって、見ててつらかった。最後の章だけはかろうじて面白いけど、こっちはもうヘトヘトだ。『アメイジング・グレイス』は「天啓」の悲劇的結末を変えるループ方式で、プレイヤーが入り込みやすかった。要するに引き込まれる。今回のゲームは失敗が一度だけで、明らかなループの痕跡もない(ループではあるけど並行世界なだけ)。他のルートは失敗と関係なく、完全にサイドストーリーって感じ。共通ルートの結末でずっと気になってたのは、早まった関東大震災の問題なのに、ゲームは水増しと恋愛まみれのルートを3本もやらせる。しかもルート自体が「道具」みたいで、いくつかの手がかりと要素を引っ張り出すためだけ。マジで忍耐を削られる。ゲーム自体は単一ルートで、一本クリアすると次のルートを強制される、いわゆるルートロック。ただロックがちょっと雑すぎる。

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その上、ほとんどの伏線は大して役に立たない。本当に注意すべきは「加藤大尉が未来人」って一点だけ。このゲームを簡単に言えば、二人の未来人が大正時代にタイムスリップして、一人は歴史を変えたくて、一人は歴史を守りたくて、最後は守った方が勝って、変えた方が負けた。しかも偶然にも悲劇的な未来を変えてしまった。それだけ。このゲームの本当の伏線は当然加藤大尉なんだけど、俺は思う……

誰が見ても未来人だとわかるだろ?

これ、伏線って言えるのか?

加藤大尉の言動とゲーム内の各種の暗示で、彼がタイムスリッパーだってことは明らかに漏れてる。なのにゲーム内の全主人公は知らないふりをして、部屋の中の象を見て見ぬふり。ゲームは最後まで引っ張ってから「あ、加藤は本当に未来人だったんだ」と教えてくる。

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アホすぎ、マジでアホすぎ。

インパクトは前作『アメイジング・グレイス』で全員が字を読めないって点には完全に劣る。

3、いろんな要素でこのゲームは飽きやすく、面白い部分までたどり着くのが難しい

前の二点以外にも、プレイしててつらい要因がある。BGMはsolfaがやってるのは知ってるけど、単調すぎる。いつも同じフレーズが共通ルートと日常で切り替わるだけで、聞いてると頭が痛くなる。

しかも前作『アメイジング・グレイス』が物語に集中しすぎてヒロインのかわいさを描かなかった欠点を補おうとしたのか、日常の掛け合いを大量に増やしてる。でもこれがマジで「理科系」で「EQ低い」感じ。Twitterでヴィンセントみたいなプログラマーがアホな会話してるノリで、つまらないし生活感がない。もちろんこういうのが好きな人もいるだろうけど、俺は嫌い。

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ある章はクソ長すぎる。あのキメラ感満載の「列車編」を名指しで批判する。完全に各種探偵作品の寄せ集めで、最後の推理も面白くない。メイドが実は「予知女」だったという爆点を引っ張り出すためだけ。そしてゲームはここからようやく面白くなる。


まあ、『さくらの雲*スカアレットの恋』で俺が一番不満だったのは、「物語が面白くない」「脚本が恋愛を書けない」「伏線のためにテクニックをひけらかしすぎ」の三点で、これがゲーム全体の体験を大きく損なってる。不要な脚本を圧縮して、役に立たないエピソードを省くか(あるいは非必須ルートに変える)、「二人の未来人の対立の緊張感」を増やせば、このゲームはもっと良くなったはず。

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こんなにツッコんだけど、『さくらの雲*スカアレットの恋』がダメだとは言ってない。「前作『アメイジング・グレイス』より良くないし、もともともっと良くなれた」ってだけ。

それにこのゲームは完全に「テクニック系伏線回収作品」と呼べる。ISLANDみたいな感じ。大好きとは言えないけど、こういう作品の一部が面白いのは認める。わかる人にはわかるだろ。

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ともあれ、「主人公が最初から令和時代の人間じゃない」という伏線の隠し方はかなり驚かされたし、脚本の脳内はすごいと感心するしかない。最後の「令和時代」は並行世界について考えさせられた。

2020年はこんなに厳しいのに、並行世界は存在するのか、世界はウイルスや戦争で滅んでしまったのか? 俺たちのいる世界線こそ、ウイルスに勝てたごく少数の一つなのか?

まあ、冬茜トムの次回作に期待だ。

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