『恋爱Xロウイアル』レビュー
大吉大利、今夜はチキンを食え
Asa Projectの去年の作品はここ数年で一番の出来だったと思う。理由ははっきりしていて、これまでの「バカみたいな恋愛関係の設定」を捨てて、ゲームの中身を「至近距離でのマウント合戦」の肉弾戦に振り切ったからだ。主人公がヒロインの一人を攻略した後でも、敗犬になったはずの別の女の子がずっと出てきて主人公を引っ掛けようとするシーンが普通に見られる。一般的なギャルゲーなら、主人公がルートに入った瞬間に他のヒロインは全員消えるものなのに……
この珍しいマウント合戦のおかげで、去年のAsa Projectにはちょっとした「純愛」っぽさが出た。女の子たちと主人公の愛憎劇というマリオネットな内容に、多くのオタクが久々の「ラブコメ」のフィールを感じたわけで、当然評判も良かった。
だからAsa Projectは自分に合った新しいパターンを見つけたんだろう。少なくとも「間接恋愛」「交換恋愛」「遠距離恋愛」「三角恋愛」とかいうバカバカしいものをやらかしていた頃よりはよっぽどマシだ……そして日本の資本家の醜悪な本性が露わになる。Asa Projectの今年の新作が発表された。『恋愛Xロウイアル』。どういう意味かというと、つまり『恋愛 X Royale』。個人的にはここの「Royale」は完全に「Battle Royale」の省略だと思うので、俺は直訳して『恋愛バトロワ』と呼びたい。
バトロワといえばみんな分かるだろ、PUBGやってるだろ、全員が最後まで戦って勝者は一人だけ。これはもうヒロイン同士が殺し合うまでマウントし合うゲームだと明らかだ。

設定はすごくシンプルで乱暴だ。主人公は最初から「自分は普通の男だ」と言い張る男の子。家には極度のブラコンでヤンデレの妹がいて、学校では親友とくだを巻いて、「お前絶対彼女できねえだろ」とツッコまれ、メンタルをやられる。主人公は思う。自分はせいぜいデブのオタクでもないし、コンピュータサイエンスをやってるわけでもない、Archlinuxを使ってるわけでもない、ましてやPythonを書いてるわけでもない。彼女ができない理由はないだろ、と。だから興奮した主人公は学校で生徒会長に会い、見た目が女だったのでいきなりナンパしてちょっかいを出した。まさかそのちょっかいが生徒会長という痴女を興奮させてしまい、会長はあっさり主人公に恋に落ちてしまう。

会長をからかった後、授業に出た。クラスにピンク髪の転校生がやってきた。このピンク髪はいきなり自己紹介で主人公に攻撃を仕掛け、自分は主人公の婚約者で結婚すると宣言する。一気に大騒ぎだ。朝は「自分は誰からも相手にされない」と嘆いていた主人公が、一瞬で引く手あまたになってしまった。ピンク髪はまりと名乗り、子供の頃に主人公と将来を誓い合ったと言い、今こうして主人公と結婚するために戻ってきたのだと言う。

もちろん主人公は子供の頃にこんなピンク髪を知っていたとは言わない。子供の頃、女の子とよく遊んでいたような記憶はあるが、それがこのピンク髪かどうかは忘れた、と。(そう、俺たちはみんなコイツがピンク髪だと分かっているし、主人公が忘れることも分かっている)

それでもこのピンク髪は図々しく主人公の家までついてきて、しかも泊まっていき、文字通り同居を実現してしまう。当然、主人公は動じず、心の中では依然として底辺を目指している。親友に最新のローカルアイドルグループを見に連れて行かれると、主人公はグループの二人の女の子、茶髪と紫髪を見て、特にあの紫髪を見て心の中でほくそ笑む。

なんと、そのうちの一人は主人公の元カノ、あの紫髪だったのだ。
それは寒い冬のことだった。主人公はこれまた親友に連れられてアイドルのライブを見に行った。実はアイドル什么的には興味がなかったのだが、初めて見るアイドルのライブで、アイドルの美しさを感じてしまった。
ライブがはけた後、主人公は女の子に出会った。紫髪の子だ。よく見ると、さっきのライブのアイドルだった。アイドルの方が声をかけてきて、ご飯に誘ってきた。しかもマウント女のノリで「こんな庶民的な食べ物、初めて食べた。こんなに美味しいなんて、付き合ってくれてありがとう」とか言い出す始末。そのうち二人はLINEを交換し、あれよあれよという間に告白。その後、この紫髪アイドルがなかなかの肉食系で、毎回自分からべったりくっついてきて、自分の姐妹、つまりアイドルグループのもう一人の茶髪の子にも紹介してくる。
紫髪ともう一歩進もうとしたところで、キスしたら次はパコパコだろ? 主人公は紫髪の顔を見ているうちに、子供の頃に一緒に遊んだあのピンク髪のイメージが頭に浮かぶ。子供の頃、ピンク髪と将来を誓い合ったことを思い出し、一瞬でEDになってしまい、紫髪とパコパコしたくなくなってしまう。

紫髪は主人公の異変に気づき、どうしたのかと聞く。主人公もバカで、正直に話してしまう。彼女を見ると子供の頃の女の子を思い出す、と。紫髪は主人公がまだ初恋を忘れられないのだと思い、別れを告げ、それきり連絡は途絶えた。
これが主人公の「元カノ」の来歴である。
さて、ゲームは本題に入る。子供の頃の幼馴染のピンク髪、ブラコンでヤンデレの黄色髪の妹、学校で偶然ナンパしてしまった白髪の生徒会長、そして再び主人公の前に現れた元カノの紫髪、さらにその紫髪の相方で、いつも紫髪の彼氏を奪おうと考えている茶髪。五人の女が、主人公という一人の男をめぐって、非道な奪い合いを繰り広げる。学校には、クリスマス後の夜に木の下で告白すれば二人は永遠の恋人になれるという伝説があり、五人のヒロインは一斉に闘志を燃やし、最終決戦に臨む。

主人公のどこがいいのか俺には分からん……どう見てもクズ男だろ?
ただゲームはシンプルで乱暴な分岐選択に入る。基本的にクリスマスの夜にヒロインが一人ずつ主人公に告白してきて、誰を選ぶかで決まる。一人をパスすれば次を選べる……
ピンク髪:花丸まり
ゲームでの主人公の「スタメン」幼馴染で、宣伝イラストではC位、さらにゲーム内で主人公の最初の「初恋」の相手。クリスマスの夜に白髪の会長のツンデレなお願いを二回続けて断ると、ピンク髪の花丸まりのルートに入れる。

このルートは実に語ることがない。なぜなら主人公はルートに入った途端、脳がオーバークロックしたかのように、子供の頃に自分は花丸まりと繋がりがあったこと、しかも二人は将来を誓い合っていたことを思い出す。ただ花丸まりが引っ越すことになり、主人公を振ったので、主人公は腹を立てて彼女を認めなくなった。それが再会しても知らないふりをした理由でもある。心の中ではまだ怒っているからだ……

この理由を信じるかどうかは別として、俺は……一応信じた。
そして物語は、花丸まりが自分の彼女としての地位を固めるため、主人公とパコパコすることに。しかし予想外なことに、花丸まりの普段の言動があまりにアホすぎて、見ていると低能児そのもの。主人公はその低能児の顔を見て……EDになってしまう。
そして花丸まりは主人公のEDを解決するため、なんと元カノの紫髪に愚痴りに行く。「あんた、なんでちゃんと躾けてなかったのよ!」と。

俺の表情はまさにパンダに日された顔だった。そしてXの民衆の同意も得た。
最終的に物語はあまり進展しない。花丸まりが各ヒロインとマウント合戦を繰り広げ、正宮の座を守ろうとし、最後はなんとか結婚する。
それだけ……

俺が見た中で一番バカなヒロインルートだ。女のアホをC位に据えたのを初めて見た。
白髪:梁染汐音
ゲームのツンデレ担当、花痴女。わけもなく主人公が好き。ゲーム内で言う好きな理由は、あの朝に主人公が腹いせに声をかけたから、ただそれだけ。なのにこんなバカみたいな行動が彼女を主人公に夢中にさせ、俺には理解できない。

みんなおなじみのツンデレタイプで、主人公が好きなのに無理にイキってしまう。ただそばには家の黒髪メイドがいて、いつも腹黒くツッコんでくるのが、逆にゲームで一番面白い部分になっている。

彼女のルートに入っても特に語ることはない。相変わらず日常で各方面に焼きもちを焼いているだけだが、このルートには分岐があり、汐音が自分が彼氏を作ったことでメイドに申し訳ないと感じる小芝居が挟まれる。ついでに回想シーンで、メイドが子供の頃にどうやって汐音の家に引き取られたか、二人は姉妹のように育ったとか、そういう話が入る。

汐音は自分の罪悪感を解消するため、とんでもない提案をする。姉妹で彼氏を共有しよう、と。
そして主人公は汐音の黒髪メイドと一発やってしまい、最後は主人公と汐音が結婚して物語は終わる。

正直このルートは話としてはバカバカしいが、一番面白い。主にメイドのツッコミがゲームの楽しさの90%を占めているからで、俺が一番おすすめするポイントでもある。

黄色髪:小町乃々香
主人公がクリスマスの夜にピンク髪と白髪を断り、さらに二人のアイドルの学校でのライブも見に行かないと、寂しく家に帰ることになる。「妹でもいいと思うか」という選択肢が出て、受け入れると妹ルートに入る。

多くのゲームでは妹ルートが主力だが、このゲームでは妹はまるで脇役で、主人公にとっては完全に「他に選択肢がないから妹を選ぶしかない」という感じ。たまにヤンデレっぽい口調で主人公を脅してブラコンをアピールする以外は、ほとんど存在感がない。
妹ルートの話はもっと簡単。主人公は子供の頃にピンク髪に振られ、その後恋愛しても紫髪に振られた。妹はそれが可哀想で、兄を温めたいと思い、さらにブラコンが加速。挙句の果てに兄に追跡盗聴器を仕掛け、毎晩こっそり兄が何をしているか観察し、ついでに自慰までする。まさに女の変態の中の豪傑だ。

このルートは特に何もない。せいぜい、主人公が妹を選んだことに周囲が驚くくらいで、最後には妹との間に生まれつき顔芸ができる娘が生まれる。あ、そうそう、妹は自分の兄を親友にもシェアして、兄に彼女の処女を捧げさせる。もう誰にも止められない。

ちなみにこの妹ルートのCVは杏子御津で、声が本当に聞くに堪えない。彼女からこんなに歪んだ声を聞いたのは初めてだ。

茶髪:天ヶ峰蓮菜
主人公がクリスマスの夜にアイドルのステージを見に行くと、実は元カノを見に行くことになるのだが、茶髪の蓮菜が紫髪より先に主人公に告白してくる。それを受け入れるとルートに入る。

このルートはどう言えばいいか、比較的「真面目に物語を書いている」ルートだが、その話が本当に一言では言い表せない。なぜならこのルートでは、天ヶ峰蓮菜という女の子がリアルで、しかもとても演出臭い人間だということが分かるからだ。
天ヶ峰蓮菜は子供の頃テレビを見てアイドルになりたいと言った。すると蓮菜の母親は金持ちだったので事務所を立ち上げ、アイドルの原石(つまり紫髪の輝由奈)を見つけてきて、自分の娘をアイドルに育てさせた。蓮菜は毎日由奈と一緒に過ごし、見よう見まねでアイドルになり、二人はユニットを組む。ただユニットで人気があったのはずっと由奈の方で、蓮菜は由奈の踏み台だと陰口を叩かれていたのだろう。蓮菜もそれが不満で、いつも由奈を超えたいと思っていた。そんなある日、由奈が突然彼氏ができたと言い出す。蓮菜はその彼氏(つまり俺たちのバカ主人公)を見て、羨望と嫉妬でたまらなくなる。その後、由奈が彼氏と別れたと聞くと、蓮菜は内心ほくそ笑み、彼女の彼氏を奪ってやろうとさえ思う。

俺が感じたのは、この蓮菜という女は完全に子供の思考回路だということ。他人が持っているものは自分も欲しがり、しかも他人から奪い取らないと気が済まない。さすがは隣の芝生は青いというやつだ。

最終的には当然結婚する。由奈は自分の元カノ什么的を全く気にせず、ゲームは芝居がかって由奈と蓮菜が主人公を争う最終決戦を演出するが、どう見ても由奈の完勝で、主人公の選択も相変わらずバカだ。ただ一番潔いのは由奈で、彼女はアイドルを続けず、芸能界に進んで女優になる。
紫髪:輝由奈
由奈は主人公の元カノで、クリスマスの夜に彼女を選ぶと復縁できる。
そして話はとてもお決まり。主人公はもうEDの問題もなく、あの低能なピンク髪を思い出すこともないので、そのままパコパコできる。二人には朝までヤり続けるHCGまであって、おいおい、俺は大声でおいおいと言ったぞ!
告白後の話は蓮菜のルートとほぼ同じ。蓮菜は由奈が復縁したのを見てガラスのハートを砕き、最後はめちゃくちゃな感情劇の末、ようやく由奈を祝福する。

そして由奈はもうアイドルをやめて芸能界に進み、海外に留学するので、主人公と離れ離れになるかもしれない……と言う。

主人公は同意し、二人は最後の時間を過ごす。その後、由奈は女優として成功して帰ってきて、物語は終わる。
正直に言うと、Asa Projectの今回のゲームはストーリーで語ることはできない。魅力は物語やストーリーではなく、ネタとマウント合戦にある。ゲーム内のヒロイン同士の内輪揉めこそが一番見どころで、その中でも最大の光は二人のツッコミ。一人は黒髪メイド、もう一人は主人公の緑帽……おっと緑髪の親友だ。

メイドと親友が出てくる場面はMVPだと言える。彼らが出ているシーンは絶対に退屈しない。しかも多くの人がAsa Projectを「顔芸社」と呼ぶが、俺に言わせればそれは適切じゃない。今回の作品では、Asa Projectは各ヒロインにたくさんの顔芸を用意している。この誇張された表情は、むしろ「ギャグ漫画」のスタイルだ。青春恋愛をシミュレートする他の写実寄りのギャルゲーとは違う。今回の『恋愛Xロウイアル』をギャグ漫画を見る目で見れば、中のポイントが分かるはずだ。そして多くのギャグ漫画と同じく、主人公は最後まで一人のヒロインを明確に選ばないことが多い。しかしこれはギャルゲーで、ルートが必須だ。だから『恋愛Xロウイアル』は前作の経験を活かし、主人公があるヒロインを選んでも他の女性は消えず、むしろ戦意を高めて積極的にマウント合戦に加わり、より大きな喜劇効果を生み出している。

『恋愛Xロウイアル』はコメディ面で大きく進歩した。それに反して恋愛は薄い。主人公がヒロインを徐々に好きになる描写はほとんど見られず、口で「好き」と言えば即「好き」になる。まるで恋愛が「ゲーム」になってしまったようだ。個人的にはこのゲームを「恋愛シミュレーション」として遊ぶのは全くおすすめしない。むしろ笑いを重視すべきだ。落語を聞いて純粋な恋愛を聞かないのと同じで、『恋愛Xロウイアル』にも恋愛の感動はない。今回のゲームで真実の愛を探そうという奴には失望しかない。とはいえ、Asa Projectのゲームで恋愛を語る奴がいるか? 以前Asa Projectはその方向に努力したことがあるが、成功したことがあるか?

要するに、ギャルゲーをやって笑いたいだけなら、『恋愛Xロウイアル』はとても向いている。マリオネットな恋愛を見たいなら、きっとお前は女一号のピンク髪と同じで、頭に問題がある奴だ。

ちなみに、『恋愛Xロウイアル』はギャグ恋愛作品として、パロディ面でも極限までやっている。すべてのサブヒロインとサブキャラを攻略できる……あの白髪の会長も、二人の親友も含めて。


あ、そうそう、一人の親友は攻略してみて初めて分かるが、可愛い女の子だった。しかし本物の親友は決して裏切らない。すべての女の子を断った後、緑髪の親友と一緒にエンディングに入ると、自分だけのHomo Happinessが待っている。

そう、ギャグのためにゲーム内の全キャラの表現はテンプレ化が激しいが、黒髪メイドと、最後のTrue Endの緑髪の親友だけが、このゲームで唯二のまともな人間だ。
ゲームのタイトルが恋愛は残酷なバトロワだと言っているなら、勝者の「大吉大利、今夜はチキンを食え」の宣言は、誰のルートが本当のTrue Endかを教えてくれている。
ゲーム内で攻略可能なキャラは親友を含めて全部で9人。チキンを持っているのは親友だけだ。考えてみろ?
あ、そうそう、Asa Projectシリーズで最も重要な先祖伝来のカフェシリーズ(さらに先祖伝来の商店街、先祖伝来の空、先祖伝来の……)の背景画像がまた戻ってきたぞ!




興奮するか? 驚くか?
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