『響野さん家はエロゲ屋さん』レビュー

おそらく地球上で唯一黒字のエロゲ屋

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Sonoraという会社は、あの有名な金儲け企業CUFFSの系列だ。前にも書いたけど……CUFFSのゲームはブランドをいくつも分けていても基本は同じノリで、でもSonoraという別ブランドで出しているのはちょっと違うところがある……

Sonoraのゲームにはひとつの世界観が作られている。

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つまり何かというと、Sonoraから出た3本のゲームが同じ世界観の物語になっていて、別のゲームのキャラ同士が相互に顔を出すのが見られるわけだ。なんか妙に馴染みがある感じがする。

この手口、やっぱりちょっと効くんだよな。前の作品をやったあと、次の作品で前作のヒロインが顔を出して参加してくれたりすると、妙に親近感が湧いて、「開発陣はプレイヤーのことをちゃんと考えてくれてるんだな」みたいな錯覚を起こさせる。もちろんもっと大事なのは、ゲームの背景画像を描き直さなくていい、使い回せる、また金が浮く!

というわけで今回話すのはSonoraの新作、『響野さん家はエロゲ屋さん!』だ。

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タイトル通り、今回の話は「ギャルゲーを売る店を営む」話で、あらすじはすごく簡単。響野家の元の店が立ち行かなくなり、店の主である響野家のおじいちゃんも失踪して山にこもってしまい、残された響野家三姉妹は潰れかけの店を前に途方に暮れる。そこで長姉がキモウタなもんだから、いっそエロゲー専門店にしようと提案する。

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他の二人は「それはさすがに無茶でしょ」と思うけど、長姉の熱意がすごくて、仕入れ先まで手配済みとあって、しぶしぶ同意する。なにせ家計の足しになるし、家の収入の主な源でもある。稼げるに越したことはない。

こうしてこのエロゲ屋は動き出し、主人公――響野家の次姉と幼い頃から知り合いの遊び相手――も、このエロゲ屋の経営に巻き込まれていく(実際は次姉の手伝いと、男としての意見を言うため)。

ゲームのシナリオは大きく三つに分けられる。エロゲ屋の日常経営と業界の動向、エロゲ屋に対する世間の誤解と理解、そして個別√の恋愛話だ。

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エロゲ屋の経営がメインの内容だから、経営パートもこのゲームの見どころだ。これらの内容はだいたい長姉と次姉・三姉の会話による解説で分かるようになっていて、これがなかなか面白い。少なくともギャルゲーマーとして業界の動向をいろいろ知れる。特にほとんどのギャルゲーマーが一番知らない「宣伝」の部分がね。

ここで印象に残った内容を話しておくと、このゲームをやって初めて分かったのは、多くの店がゲームを仕入れるのは予約数で決まるということ。あるゲームの予約数が少なければ仕入れも少ないし、多くのゲームショップは予約なしでは買えない。仕入れの多い店なら別だけど。店がどう仕入れるかは店長がこのゲームが売れるかどうかを判断するしかなく、その判断の最大の理由は「エロいかどうか」「性癖に合うか」「絵師が有名か」で、「脚本やシナリオがいい」は完全に最後に考えること。ほんと……業界のリアルってやつだ。

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それに店の経営は毎月の発売日頼みだとしても、最大の敵がいる。発売延期だ。今月発売と言われて展示スペースも用意したのに、結局延期になって、店長としてはこの月は西北の風を飲むしかない。このゲームでは解決策も語られていて、自店のSNSやブログを運営して店の動向を更新するほか、オンラインのギャルゲー販売と提携してDMMのキャッシュバックリンクを貼ったりして、オンライン販売の配当で稼ぐ。まあ広告を足してもいいと思うけど。ここで、クソみたいな批評空間や誠也部屋がどうやって儲けてるのかも分かる気がした。(いいなあ、俺もブログにDMMのキャッシュバック貼りたい)

それにギャルゲー販売店には、各大会社ごとの「運営マネージャー」みたいなのもいる。今の中国でよく言う「グリッド化管理」みたいなものか。会社には各ゲーム店を担当する営業がいて、営業と仲良くしておけば「店舗限定特典」なんかをもらえて売上が大きく伸びる。小さな店なら「サイン会」を開いて絵師や脚本家、声優(まあ無理だろうけど)を呼んでサイン会をやるのも売上を押し上げるし、そういうイベントは大きな店と資源を奪い合うことにもなる。

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エロゲ屋が仕入れるゲームはゲームの「ブランド」を見るのではなく、その背後にある会社を見る。つまりCUBEのゲームもSonoraのゲームも、店から見れば同じ一社だ。ゲームの中でも、なぜ一部のエロゲ会社が次々と別ブランドを立ち上げるのかが説明されている。ユーザーの差別化のためで、萌えが好きな繊細な人もいれば凌辱が好きな人もいて、一社でより多くのユーザーに好かれようとすればブランドを分ける。まあ常識だと思うけど、分かってない人もいるし、ゲームで語ってくれるのはいいことだ。

とにかくエロゲ屋の運営は全然簡単じゃないし、エロゲーが好きだからといってうまくやれるものでもない。本質は商業マーケティングの管理で、チャネルも宣伝も在庫も普通の店と何も変わらない。

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ゲームの中で、主人公と響野家三姉妹がエロゲ屋を運営していることはすぐ学校の他の連中に知られる。もちろん最初はみんな驚くけど、そのうちだんだん受け入れていく。なにせエロゲ屋を開くだけだし、日本では性産業も合法だ。未成年がエロゲーを売るのが違法かどうかは知らないけど。響野家の次姉の説明によれば:

「こんなものを売るのはちょっと恥ずかしいけど、うちの主な収入源だし、生活のために仕方ない。それにちゃんと経営もしてるし」

その後は他のキャラにも理解される。でも現実ではこんなにうまくいかないだろ、絶対。

個別√の選択も相変わらずの王道で、無理やり学園祭をねじ込み、学園祭の前にもいろいろな選択肢がある(どれもわかりやすいキャラ攻略の道しるべ付き)。選択肢に従えば、最終的に好きなヒロインと一緒になれる。

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個別√はもう「エロゲ屋の経営」とは関係なく、相変わらずの告白、パコパコの類だ。個別√はほぼ見どころなし。恋愛の描写は明らかに不足しているし、ゲーム自体も個別√をちゃんと書く気がないようで、使う手はどれも極端に不自然で極端に使い古されたものばかり。ヒロインが唐突にオナニーしたり、唐突に発情したり。しかも表向きは物静かで高嶺の花的な女神が実は痴女だったり……

個人的にはHCGも実用性はないと思う。ゲームの中でも言われている通り:

なぜHCGにHが必要なのか?ちゃんと物語を語ればいいじゃないか?

Hがあるから選択肢ができる。物語を見たければHを飛ばせばいい。

だから飛ばした。

いや、このゲームの話自体もそこそこ普通だ。唯一見る価値があるのは共通√のエロゲ屋の運営や業界の動向の部分くらい。個人的には前作の「小姑」√には全然及ばない。ついでに言うと、ゲームには前作と前前作のヒロインが登場するのに、小姑だけ出てこない。石原舞が配信でハイになってゲームに出たくなくなったのかね。

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そういえばこのゲーム、「エロゲ屋の経営」を「火鍋屋の経営」に変えても成り立つ。メインは響野家三姉妹が生活のために店を開き、最終的に主人公が手伝い、ついでに三姉妹の一人を連れて行く話だ。でもこのゲームに話題性があるのは、まさに「エロゲ屋」という設定を選んだからだろう。エロゲームでエロゲームを習う、このゲームの面白さはまさにそこだ。


このゲームは「エロゲ屋」の経営の道を教えてくれるけど、現実的な話もしておきたい。日本国内にはもうゲームの中のような「エロゲー専門店」はほぼ存在しない。ほぼ全滅だ。わざわざ調べたけど、生き残っているのは「総合店」、つまり「エロゲーだけでなく、ほとんどは漫画やラノベを売り、ついでにエロゲーも扱う」店だけ。今のエロゲーの主な販路はAnimate、Melonbooks、とらなどの大きな二次元系販売店で、しかもエロゲー自体は彼らの全部でもなく、この売上に完全に依存しているわけでもない。

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俺が見つけられた日本最高の「エロゲー専門店」は2017年頃に閉店した。店長はかなり思い入れのある人で、エロゲー歴27年と自称していた。結局店は儲からないから閉じて、店長はオンライン販売を始めたけど、それも続かなくなって、ブログを細々と更新して、店長がまだいいと思う作品を勧めるだけになった。ほんと感慨深い。

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ギャルゲーなんてものは、中国語に翻訳してSteamで中国人に売るくらいしか金を騙し取れないのかもしれない。本当の日本国内の専門実店舗はもう全滅で、ゲームの中の『響野さん家はエロゲ屋さん!』なんて存在しないのかもしれない。もし本当に存在するなら、それはきっと地球上で唯一黒字のエロゲ屋だろう。

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