『ごほうしアクマとオシオキてんし』レビュー
ご奉仕悪魔とお仕置き天使
2021年の年明け一発目の大作、いきなり盛大に吹かされた。「QUINCESOFT」の『ごほうしアクマとオシオキてんし』、漢字で書けば『ご奉仕悪魔とお仕置き天使』。つまり「メイドになる悪魔と、罰を受ける天使」だ。

この作品が俺に与えた衝撃があまりにもデカすぎるので、ゲーム本体の話は後にして、まずは「QUINCESOFT」というブランドがどうやって生まれたのか振り返ろう。
「QUINCESOFT」はもともと「Lump Of Sugar」の「姉妹ブランド」として設立された。俺が把握している業界の流れだと、姉妹ブランドを作るのは当然なにか違うことをやるためで、実際その第一作として「QUINCESOFT」は『もののあはれは彩の頃。』という完成度の高い作品を出してきた。ゲームはなんとシナリオ重視の作品で、絵師は萌木原ではなくななろば華。しかもこのゲーム自体にはちょっとした仕掛けがあって、たとえばルート選択はサイコロをクリックして行う。以前「Lump Of Sugar」が『運命線上のφ』や『Magical Charming』みたいな「ゲームシステム」のある作品をシリーズで出していたこともあって、当時俺はこんなことを言っていた。
『もののあはれは彩の頃。』の制作元である QUINCE SOFT は糖塊社 Lump of sugar の子会社で、Quince はマルメロ、独特な果物で「気軽に食べることはできない」という複雑な特性がある。子会社を QUINCE SOFT と名付けたのは、糖塊社がもともと出していた「ある程度遊べる複雑なゲーム」シリーズを独立させて独自ブランドにしたかったから……
当時はこの「QUINCESOFT」は「Lump Of Sugar」の市場細分のための作品群で、以前の複雑なシステムのゲームを全部ここに分類し、本社は安心して萌木原のケモミミ娘を描いて、プレイヤーの需要を満たすんだろうな……と思っていた。
そして一年後、「QUINCESOFT」は続編の『あにまる☆ぱにっく』を発表した。
このゲームを見てちょっと困惑した。絵師が変わり、純粋な萌えゲーになっていて、しかも……システムは全然複雑じゃないし、シナリオにも深みがない。ただ萌えとエフェクトを売るだけ。これで第一作から俺がやってたブランド分析は単なる空論になっちまった。
後でわかったのは、このゲームは制作に金がかかっていないわけではないらしく、エフェクトは全力で、本家の「Lump Of Sugar」よりも豪華だった。
このゲームは制作面で金がなさそうに見えるけど、開けてみるとわかる:全然金がある。 ゲーム内の女の子は全員しゃべるとき口が動くし、OPではヒロインたちが口パクまでやっている。さらにすごいのは、「魔法少女」ゲームなのにヒロインたちの変身が全部アニメーション! おいおい、ここは角砂糖の子ブランドのゲームだぞ、本家の角砂糖は「ケモミミアニメ」すら切ったっていうのに!
そこで当時は、この「QUINCESOFT」は「Lump Of Sugar」の実験場で、新しい技術をいろいろ試すんだろうなと。多分岐、全アニメーションとか、うまくいった要素は本家にフィードバックするんだろう……と。
そして2021年1月、「QUINCESOFT」の新作:『ごほうしアクマとオシオキてんし』。このゲームの画面を開いた瞬間に吹いた。ゲーム本編はさておき、公式サイトを見てくれ:

一言で言うと:醜い! Android 12 より醜い。
この巨大なフォントはなんなんだ?
この歪んだカテゴリナビゲーションはどうやって作ったんだ?
Lump Of Sugar 本家のデザインですら、お前より何倍もマシだぞ!

ゲーム容量も結構あって、しかも Unity で開発されているのに、Unity の良さが全く出ていない(Unity 製のギャルゲーって良さが出ない気がする)。ゲーム内は相変わらず巨大で歪んだフォント、一番耐えられないのは、ゲームに「ディスク読み込み」が必要なことだ。

おいおい、俺はエロゲーを何年もやってきたけど、クソみたいな戯画以外で読み込みが必要なゲームは初めて見た。しかもこのゲームの読み込みは「本当の読み込み」で、つまり「しばらく待つ」必要がある。ヒロインと少し会話して、シーンを切り替えるときに「ロード」を待たされる。もうたくさんだ。
ゲームの話は死ぬほど単純で、主人公がある日神社に行くと、雷が落ちて天使が一人と悪魔が二人降りてくる。天使は失敗して人間界に流刑になったと言い、責任としてこの二人の悪魔を連れて再教育キャンプで労働改造させ、成功したら天界に帰れる。悪魔も更生できるという。

で、その労働改造はどうやるのか?
ちょうどいいことに、主人公の幼なじみの家が温泉旅館をやっていて、一行はそのまま温泉旅館に連れて行かれて従業員として働くことになる。天使一人に悪魔二人のご奉仕が始まる。

ゲームの選択は超単純明快で、誰の名前を選ぶかでそのまま決まる。最終エンディングにも驚きはなく、主人公もヤリまくり、ヒロインも改造に成功して天界に帰る。天使は天界に帰ってもまた主人公のところに守護神として派遣され、二人は永遠に一緒にいられる。
このゲームは天使が元の場所に戻るエンディングへの伏線として、最初に主人公の住む小さな島には昔守護神がいたけど、その神が去って席が空いていて、そこをこの天使がちょうど埋める、という設定をわざわざ入れている。

ゲームのシナリオはこれだけ単純で、絵柄は相変わらず奇妙。呼ばれた絵師はみんな Twitter でオタクに人気があるけど、総合的に見ると脳性麻痺みたいな仕上がり。特にるび様、最近金に困ってるのか知らないけど、いろんなゲームで見かける。でも彼の絵柄はこの作品では他の人とあまりにも合っていない。特にあの「駄天使」とは完全に別世界の住人だ。あの天使は可愛く見える CG も少なくないけど、崩れてる CG もあって、特にあの歪んだ Jio、画面越しに匂いがしてきそうだ。さらにあの水みたいな薄いシナリオ、クソすぎる Loading、美的センスの欠片もない UI と巨大フォント。全体として俺には「悪くない素材」で作ったゴミにしか見えない。シナリオは読むに堪えないし、抜きにも使えない。こんなもん作ってどうするんだ。

ここまで来ると「QUINCESOFT」の位置づけがますますわからなくなる。この会社は一体何をやりたいんだ? シナリオ作品か? それとも新技術の実験場か? 問題はこの作品にシナリオも新技術もないってことだ。まさか Unity エンジンのテストのためだけ? あのクソ Loading の時点で上手くいかないのは明白だろ。

それともこの「QUINCESOFT」はただの「Lump Of Sugar」のゴミ箱なのか? 誰も要らない端材を放り込んでゲームにして出す? 俺の推測が外れてることを祈るよ。
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