『日向千尋は仕事が続かない』レビュー
一、
先日、うちの職場でそこそこハードな残業があった。
内容自体は大したことじゃない。システムのアップグレードで、俺たちの仕事はメインシステムのアップグレードが終わった後に、それと連携するソフトやインターフェースの動作確認をするだけ。終わればもうお役御免だ。
見た目はすごく簡単そうなんだが、問題はメインシステムのアップグレードが必ず深夜に行われて、しかも何時間もかかること。
おおよその見込みでは午前2時にメインシステムのアップグレードが完了、俺たち連携側は午前2時以降にようやくテストを始められる。終わる頃にはだいたい午前3時か4時だ。
最初の計画は土曜にアップグレード、日曜に利用者が少ないのをいいことにテストして、問題を見つけて潰して、月曜を迎えるはずだった。
ところが問題はすぐに来た。土曜のアップグレードはめちゃくちゃ順調じゃなかった。
午前2時に終わるはずだったアップグレードは結局朝6時までズレ込み、最終的に失敗が宣告されてデータはロールバック、全部パー。ただ、失敗の原因はようやく判明したので次はたぶん大丈夫だろう。だから同時に、日曜もアップグレード作業を続行すると告げられた。つまり、午前2時の悪夢をもう一度、である。
土曜に一晩寝ず、日曜にもう一回。もう死ぬ。
結局日曜の夜のアップグレードは割と順調で、確かに午前2時に全部終わり、その後のテストも進んで、朝4時頃には全作業完了、帰って休めると告げられた。
4時半に家に着いたとき、逆に眠れなくなった。スマホを開いてX(旧Twitter)を眺めると、また大阪の黒鲨オタクが発情してエロ画像をリツイートしていて、小倉唯の新しい自撮りも見えて、俺がフォローしてる秘密アカウントが発する色んな青春の脚……
ところが驚いたことに、自分はそれらに全然なんとも思っていなかった。いつもの高ぶる性欲はどこにもなく、ただ横になって何もしたくない。
あの瞬間、自分はドロドロの泥になった気がした。泥に性欲はない。
二、
先日飯を食っているときに、ある話を聞いた。
同じオフィスの女の子が結婚するらしい。結婚式は5月下旬。さらに驚いたことに、相手はオフィスのもう一人の人間だという。
つまり二人は同僚で、同じオフィスの人間同士で結婚する。しかも不思議なことに、二人は普段まったくの他人同然で、付き合っていることなんて誰も気づいていなかった。
後で奥さんが教えてくれた。これがオフィス恋愛の気まずいところで、毎日顔を合わせる。もし万一この恋愛が終わったら、片方が告白して断られたら、毎日顔を合わせるのがめちゃくちゃ気まずい。
まあ幸いこの恋は実を結びそうだ。
こういう「同じ職場での恋愛」は実は俺も経験がある。昔、同じ職場の女子を追いかけたことがあって、後でわかったのは彼女に凧揚げされていたということ。最後はいい人カードをもらって、そして気づいた。ああ、俺はずっと彼女の財布だったのか、と。それ以来あの部署には二度と行かなくなり、あの部署の方角をいつも無意識に避けるようになった。
もちろん今はもうどうでもいい。あの当時俺を振ったやつがこんなブスになって、BL本を読むのに翻訳待ちしなきゃいけないのに、俺は生のBLドラマCDだって余裕で聴ける。優越感でいっぱいだ。顔に直接嘲讽してやりたいくらいだ!
ただ、こういう「距離の近すぎるオフィス恋愛」はあまりにも気まずい。成功しても失敗しても気まずい。ちなみにうちの職場のあの二人、交際が発覚した後も毎日他人みたいに過ごしていて、息が合ってるのか、それとも彼らの恋愛が特別にプラトニックなのか、さっぱりわからん。
だから時々思うんだ。もしカップルがオフィスで恋愛して、一緒に996残業したら、その感情はどうなるんだろう? 最終的に性欲のない同棲生活になるんじゃないか?
すぐに一つのゲームがその答えを教えてくれた。『日向千尋は仕事が続かない』(日向千尋は要失業)だ。
三、
『日向千尋は仕事が続かない』の内容はとてもシンプルで乱暴だ(最近ずっとこういうことばかり言ってる気がする)。主人公が何年か後に小さな饭店で幼なじみの日向千尋と再会し、その後この日向千尋が饭店をクビになったことがわかり、二人は突然干柴烈火、わけもわからずくっついて、さらに同棲までしてしまう。
しかも主人公にも住処があればヒロインにも住処があって、二人は二つの炮房を往復する。マジでぶっ飛んでる。

後で主人公は自分のセフレである日向千尋を自分の会社(たぶんソフトウェア会社)に紹介し、二人は同僚になる。
その後の話は二人が同僚として一緒に残業し、一緒に996するというもの。いや違う! 996じゃなくて、よく午前2時まで残業して帰る、新番の生放送にも間に合わないような高強度の残業だ。その後も二人はこの関係を続け、セフレから恋人に発展して、最終的に結婚する。

どう見てもこの物語はとても励志的だが、実際はとても現実離れしている。
ゲームの中の主人公とヒロインはよく午前2時まで残業した後、家に帰ってからもパコパコを続ける。しかも高強度残業の合間にもパコパコできる。さらには残業が終わった週末に家に帰ってもパコパコできる。
oh God、俺は残業を経験したことがある。あの帰宅感はまったくパコパコしたくない。性欲なんてほぼない。ゲームの中の主人公とヒロインがどうやってそれをやっているのか、俺にはわからない。この地球上で高強度残業をしながら旺盛な性欲を保っている人間を、俺は「許子靖」しか知らない。他には誰も出会ったことがない。
しかもこのオフィス恋愛、ゲームの中では全然隠していなくて、二人はオフィスでそのままイチャイチャしている。本当にいいのか?

このゲームに書かれている大部分がまあまあな内容だとしても、高強度の残業と高強度のパコパコがシームレスに交差するというだけで、俺には理解できない。
ほとんどのオタクは社畜で、毎日仕事に疲れて、恋愛する暇もない。そんなゲームはオタクの一連の幻想を満たすためのものだ。仕事の合間に艶遇があって、しかもその艶遇と同時に実を結んで、人生を満たすという幻想を。

それでもやっぱり違和感がある。この小品抜きゲーの脚本はやはりSMEEのあの人で、半ば本気半ば嘘の恋愛観の中で、偽りの都市恋愛ポルノ物語を描いている。ゲームの世界なら、日向千尋と主人公の間で隙間を縫って肉欲を注ぎ込めるのかもしれない。
しかし現実では、主人公と日向千尋は高圧的な仕事に直面し、生きているだけで精一杯で、とっくに性欲のない抜け殻になっている。
そうじゃなきゃ考えてみろ。日本はなぜ出生率がこんなに低いんだ?
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