『恋愛×ロワイアル まり&汐音&蒼 ミニアフターストーリー』レビュー

最後の節操

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今年はコロナのせいなのか、ギャルゲーの作品数が急減していて、しかも老舗ブランドが制作への熱意をどんどん失っていく。例を挙げるならHOOKSOFTだ。今年のHOOKSOFTとSMEEは新作の企画をかなり出してきたけど……その新作は正直一言では言い表せない出来だった。

例えばHookの『ゆびさき』は完全にSMEEの作品って感じで、SMEEの新作はむしろMoonstone Cherryっぽい。ただこの2本(まだ発売してないHookのアレも含めて)は、宣伝のスタイルから公式サイトの紹介文まで、驚くほど似通っている。はっきり言えば、この3本は「ものすごく露骨に量産ラインの痕跡がある」。

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俺は昔ゆずソフトの作品を批判した時から「量産品」に強い嫌悪感を示してきた。そりゃ「量産ライン」は作業効率を上げ、コストを下げ、発売速度を速め、収益を伸ばせるだろう。でもゲームは冷たい供給品じゃない。物語性と文化を伝える媒体なんだよ。そんなものを量産ラインで作れば、コストは下がり、速度は上がり、収益も伸びるかもしれないが、ゲームそのものが当然つまらなくなる。

もちろん「量産ライン」が全部ダメだと言ってるわけじゃない。長所も短所もある。少なくとも作品の「監督」の管理のもとで、長所をできるだけ伸ばして短所を抑えるのが正しい使い方だ。今振り返ると、あの頃俺が叩いたゆずソフトの「量産ゲーム」がむしろ良い基準になっている。みんな本当に年々クオリティが下がってるんだなと痛感する。

HOOKSOFTとSMEEの新作が立て続けにコケた後、俺は自分がAsa Projectの去年の作品のFandiskも買っていたことを思い出した。これもHook系ゲームの常套手段で、後から超低コストのFandiskを2本出して、少しでも回収する。Asa Projectも例外じゃない。

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その結果、この「低コスト搾取作」が俺の中で最近のHook系ゲームで一番良い作品になった……何しろ「元の味そのまま」だからな。

『恋愛×ロワイアル まり&汐音&蒼 ミニアフターストーリー』、名前の通り去年の『恋愛×ロワイアル』のFandiskだ。ルートは2本。推しヒロインのまりと、ゲームのストーリーを動かす腹黒メイドの蒼……そして彼女の白髪のご主人様・汐音とセットのルート。

納得いかないのは、俺がMVPだと評したメイドの蒼が、なんで元のルートで汐音とセットにされなきゃならないのか。彼女なしじゃツッコミもできないってことか?

まあ作品自体の質は担保されている。というか元の作品の水準を維持している。何しろ原作のpunchlineの大半はメイドの蒼から来ているから、このFandiskでは濃度がさらに高くて、より味わい深く感じる。

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お馴染みのツッコミ、お馴染みの毒舌、お馴染みの顔芸、そこに新規HCGも加わって、プレイ時間は短いのにこのFandiskは完全に元が取れる内容になっている。少なくともプレイし終えて確信した。うん、やっぱりお馴染みのAsa Projectの味だ。

それに比べてHookの他の作品は、盲目的な変化の中で俺に錯覚を起こさせる。これ、本当にHook / SMEEのゲームか?

理屈は分かる。変則通、通則久。変化は活力をもたらすが、変化は破滅ももたらす。自分の製品のコアバリューを理解しないまま、めちゃくちゃに変えれば、待っているのはお陀仏だ。

それに比べれば、何も変えず、マニュアル通りにFandiskを出すAsa Projectの方が、むしろ最後の節操になっている。

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