『俺の恋天使がポンコツすぎてコワ~い。』レビュー
天使しか知らない世界
池上茜先生にTwitterアカウントを通報されて封鎖されたことがあるんだが、理由は「ネタバレ」だの「男主のチンポの長さを泄露した」だの。とはいえ最近のエロゲー業界がマジでアホすぎて、新作が一作ごとにアホになってることを考えると、この横並び比較なら池上茜先生のこの作品は一見の価値ありだ。
『俺の恋天使がポンコツすぎてコワ~い。』
ここの「こわ〜い」は、絶対に伸ばして読まないと効果が出ない。タイトルは以前の「やばい」シリーズと同じ套路で、今回は「こわ〜い」に変わっただけ。タイトルの意味はすごくストレート:
俺の愛神キューピッドがあまりにもポンコツすぎて怖い件。
正直に言うと、このゲームはタイトル見ただけでどんな展開か分かるし、冒頭を読んでさらに吹いた:
男主が道端で「Love Note」を拾い、自称「キューピッド」の天使と知り合う。天使曰く、Love Note に好きな人の名前を書けば、すぐその人と邂逅が発生するらしい。
ああ、男主はこの「Love Note」を手に新世界の神にでもなるんじゃないか。

最初はこのゲームただのネタかと思ってたが、蓋を開けてみると展開はかなり古典的。男主の天使は頻繁にLove Noteを使って恋愛しろと促してきて、これで真実の愛を手に入れたら自分はある任務を完了できるのだと言う。
その後天使はよりよく男主を監督・援助するため、転校生として男主のクラスに入り、「恋見エイル」と名乗って男主の恋愛事情の援助を始める。
攻略可能キャラはなんと7人。中には可愛い男の子もいて、女主一号「恋見エイル」、幼馴染で胸が妙に「乾」いてる「乾依鈴」、学園の高嶺の花「西篠琳果」、四六時中発情してる義妹「佐久真詩」、長らくエロゲーに出演してなくて演技力が落ちた石原舞演じる「幸咲来瑠」、そしてクラスの女教師で毎日OL黒タイツの「峰越琴雛」、もちろんBukiや王さんより何倍も可愛い男の子「沖恒まそら」も外せない。

ルート選択は非常にシンプル粗暴。毎日Love noteに対応するヒロインの名前を書いて、数日間選び続ければそのルートに入れる。ゲームには二つのストーリーロックがあり、まず石原舞の「幸咲来瑠」は女主一号「恋見エイル」ルートの最後で分岐選択が必要。次に女教師「峰越琴雛」のルートはなんと女主一号「恋見エイル」終了後でないとアンロックされない。
実は最初、なぜ女教師が最後なのか分からなかった。もちろん後で分かったけどな。
まずは個別ルートから:
乾依鈴
幼馴染の乾依鈴の話は、子供の頃から男主に好意を抱いていて、個別ルートで告白すると拒否される。理由は回想で、男主が子供の頃乾依鈴を世話して怪我をし、永遠にスポーツから離れたことが明かされる。乾依鈴は自分が男主を傷つけたからふさわしくないと思う。もちろんこんな屁事は何度も話せば解決する。男主もスポーツ界から離れたがオタク界隈に入って、毎日家でVtuber見て発情してハッピーなので気にしてないと言い、最後は二人とも心のわだかまりを解いてカップルになる。

西篠琳果
高嶺の花・西篠琳果のルートは男主が推してるVtuberから始まる。男主は「カレン」というVtuberのガチ勢で、一緒に金莎の『不可思議』を歌うのが好きで、踊るのを見るのが好きで、小作文まで書いて彼女の犬になりたいと思ってた。でもカレンちゃんは猫が好きで、泣いたりもしてた。もちろん後で分かるのは、カレンちゃんの正体はクラスのあの口数の少ない黒髪の女・西篠琳果だということ。ツッコみたいのは琳果の心臓の強さで、日常で起きたことをVtuber配信で喋ってしまい、男主に中の人の存在を確定させてしまう。その後の展開は簡単で、ファン効果で追いかけるだけ。攻略後、琳果は男主に、自分の演じるVtuberが好きだから付き合ったのかと聞く。男主はイキって違うと言い、最初はそうだったけど後は魅力に引かれたとか何とか。

最後のクライマックスは、男主と琳果が付き合った後、琳果の両親が彼女のVtuber活動に反対していたことが分かる。「こんなもんに将来性はない」と。琳果はVtuberは自分の夢で、ここで注目と達成感を得た、不真面目な事業じゃないと言う。最初は琳果の両親が理解してないのかと思ったが、後で父親の反対理由を見て:
「Vtuberは青春飯だ。一生配信できるのか?」
「Vtuberは一時の流行で、すぐ廃れる。」
「今のVtuberの爆発的人気は資本の介入にすぎない。一芸がなければ資本に淘汰される。」
「確かな能力がなければ、市場のバブルが弾けた後、お前は何でもなくなる。」
聞いててこの父親マジで正しいわと思った!しかし展開は男主と琳果が未来の岳父に会い、琳果の未来は男主が背負うという考えを述べる。岳父は「お前は何様だ、琳果の化粧品すら買えないくせに」と嘲笑。男主は次の試験で高得点を取れたら自分が人材だと証明できると言う。

結果はもちろん男主が成功し、琳果という彼女も得て、許可も得る。皮肉なのはその後の人生ルート。男主は事業に打ち込み、琳果はVtuberを諦めて家業の不動産会社を継ぎ、幸せな生活を送る。
結局お前も真香かよ、何が「夢のために家産を捨ててVtuberを選ぶ」だ、ぺっ!
佐久真詩
佐久真詩の義妹ルートはもう套路すぎる。妹が全方位で兄に倒貼り。ただ声優がこのルートで全開の火力を出してるせいで、意外と面白い。妹の恋愛展開も書き古されたもので、最初は二つの家庭が合併して二人が喋らないとか、後である事件で兄がかっこいいと気づいて全面倒貼りとか。最後の展開は男主と妹の恋愛進展が満点まで行かず、結局死んだ親族の前で拝んで報告してから実現する。兄と妹の恋愛劇としてはまあよく書けてる方だ。

恋見エイル
ここから本題、恋見エイルの個別ルートに入る。その前に一言、他のヒロインのルートに入ると、恋見エイルは物語の中でアシスト役で、ずっと恋愛を助けてくれる(よくミスするけど)。そして各ヒロインのルート終了時にエイルが登場し、多少なりともこの「エイル」は天使ではなくどこかにいる実在の人間で、どうやら何かの病気で入院しているらしいと示唆する。

だから展開は想像しやすい。きっとエイルはどこかの病院で昏睡していて、魂が抜けて天使になったんだろうと。
エイルルートの展開も期待を裏切らない。男主はLove Noteに他の誰も選ばず、エイルの名前を書く。エイルは仕方なく男主と偽のカップルを演じて恋人の感覚を探る。その後当然のように嘘が本当になる。Love Noteの好感度が満タンになりかけた時、エイルはこれはダメだと気づく。自分はアシスト役なのに自分が参戦するわけにはいかないと。そして失踪する。
その後男主は調査を重ね、ついにエイルの正体を見つける。名前は絵里(仙台恵理じゃなくてよかった)、とある病院で長年昏睡しているピンク髪の女の子。聞くと交通事故で何年も昏睡し、目覚めていないらしい。

後の展開は明白。あの天使「恋見エイル」は、事故で昏睡したピンク髪の女の子の魂が抜け出たもので、なぜか「天使長」(ゲームに登場するイケメン)の世話を受け、もう一度青春と恋愛を楽しむ機会を与えられた。他人をアシストするか自分が恋に落ちることで、再び目覚めることができる。

最後の結末も想像しやすい。恋見エイルの本体が再び目覚め、男主と恋人になる。

峰越琴雛
学校の女教師・琴雛のルートは恋見エイルの個別ルートクリア後にアンロックされる。これは理解できなかったが、後で分かった。エイルは交通事故で昏睡していて、実はもう何年も昏睡している。エイルの個別ルートで琴雛はエイルを見ると親しげで、恋愛してるのを見ても喜ぶ。知り合いのようだ。

この謎は琴雛のルートで解ける。最初男主は女教師を見ると積極的に追いかけるが、女教師の友達、つまり男主がバイトしてるレストランのオーナーが「琴雛は恋愛しない、もっと大事なことがあるから」と警告する。
この「もっと大事なこと」とは何か。最終的に琴雛は話す。以前学校に仲のいい友達がいて、その友達は将来教師になりたかった。二人の関係も良かった。しかし後でその友達が自分の誕生日を祝うために来る途中で交通事故に遭い、それから病院で目覚めなくなった。

だから琴雛は自分のせいで友達の悲劇を招いたと思い、代わりに教師になり、ずっと償おうとしてきた……
その「友達」が誰かは明白。魂が抜け出た恋見エイルだ。

最終的な結末も簡単。恋見エイルと琴雛が対話を実現し、自分は一度も恨んでいないと伝え、二人とも心のわだかまりを解く。男主も琴雛と良い結末を迎える。ついでにエイルも入り込んで3Pしようとしたり……
幸咲来瑠&沖恒まそら
ゲームには他に二人のルートがある。石原舞の幸咲来瑠は完全にオマケで、このキャラは存在する必要すらないと思う。もう一人の沖恒まそらは罠で、最初は女の子みたいな服で、CVも女で、名前も特に問題なさそう。不注意で彼の名前を選んだ時だけ、会話の細部からこの人が実は男の子だと教えられる。

しかも男の子なら避けられると思うなよ?ルート選択で迷いすぎたり、誰も選ばなかった場合、最後は彼とのエンディングに入る……

彼はさらに挑発的に「お前は完全に分かってないね」とか言ってくる。
後記:
全体的に見ると、『俺の恋天使がポンコツすぎてコワ~い。』はかなり俗っぽい。展開には既視感しかない。冒頭のLove Noteは完全に『Death Note』のネタだし、後で恋見エイルが実は魂が抜け出て再び恋愛青春を楽しむ展開は、去年のSaga Planetsのあれと一一対応してる。女主の髪色まで同じだ。ましてやこういうタイプの話は漫画でもよく使われてる。

それでもこのゲームはおすすめできる。理由は女性の可愛さがよく引き出されているから。池上茜は僕を通報したことがあるし、曹露女士に負けない黒歴史もあるが、このゲームの絵はまあまあだと思う。会話とCVの力演がこのゲームをあるべき上限に達させている。キャラ売りのラブコメに必要なのはまさにこの効果。女の子は可愛く美しく、CVは火力全開。OPは聞きづらいがEDは耳に心地よいDuca。シナリオにも感動的な部分も色っぽい部分もあり、雅俗共賞。雅だけど俗、俗だけど雅。全体的に楽しげに見える。この作品にしては十分優秀だと思う。

もっと重要なのは、最近のギャルゲー市場がこれだけ低調だから、このゲームの強さが際立つ。
ところでこのゲーム、Death NoteとSaga Planets以外に思い出した作品がある。ゲームで恋見エイルが男主の前に降臨し、突然契約を結び、男主が3ヶ月以内に相手を見つけられなければ……永遠に勃起できなくなると言う。

その後恋見エイルのドジっぷり、男主が各ルートで対応女性を攻略した後の恋見エイルの失落ちぶり、そして背後にいる天使長。どれも若木老賊のあの漫画を思い出す。恋見エイルの性格とドジな特性もエルシーにそっくりだ。そういえば若木老賊も何年も学園恋愛を描いてないし、彼の大好きな東山奈央もギャルゲーに出るようになった。前回若木老賊の漫画を読んだのも10年前だ。いろいろ考えて本文のタイトルでこのゲームを表すことにした。
最後に:このゲームの女教師に騙されるな。彼女はTrue Endだけどな。
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