『思い出抱えてアイにコイ!!』レビュー

幼馴染が統合失調症だった件

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前置きすると、実はこのゲームはやりたくもなかった。Hookにはもうがっかりしていて、高凝集低結合の流水線モードで開発されたシナリオを見るだけでうんざりするし、あの万年変わらない最大解像度720Pが合わさって血圧がMAXだ……

でも「地雷」があると聞いたので突っ込んだ。わかるだろ、俺は「地雷」を遊ぶのが大好きなんだ。これが「ドM」の一種なのかは自分でもわからん。しかももっと気まずいことに、このゲームを遊んでしばらくしてから原稿依頼が来た。

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だからわかるだろ、すでにこのゲームについてそこそこ長い商業稿を書き上げたところで、もう一度このゲームについて語れと言われると、正直めちゃくちゃ疲れる。しかもこのゲームはシナリオ面で本当に語るところが少ない。無理に言うなら、ゲームの「立意」と「翻車」ポイントから話してみよう。

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まず今回の『思い出抱えてアイにコイ!!』が押し出しているのは「幼馴染」、つまり俺たちがよく言う「青梅竹马」だ。そしてほとんどのゲームと同じように、テーマを一つ選んだらそれを最後まで貫く。だからこのゲームでは攻略可能なヒロインが5人もいて、全員が主人公の「幼馴染」だ。

物語もわかりやすい。主人公は子供の頃にこの5人の女の子と遊んでいたが、家庭の事情で転校して遠くへ行き、何年も経ってから古巣に戻ってきて、再び転校してきて、子供の頃に手を出したあの娘たちと再会する。まるで乾いた薪に火がついたように情熱が再燃してからのお話だ。

「幼馴染」という属性をさらに際立たせるためか、Hookは今回思い切ったことをしてきた。共通ルートが二つある。そう、聞き間違いじゃない。このゲームには共通ルートが二本ある。一本目は子供時代の主人公と5人のヒロインの幼少期の物語、二本目は大人になった主人公がヒロインたちと再会した後の日常だ。

理屈で言えば、何年もを跨いだ再会のシナリオ展開なら何か書けそうなものだが、残念ながらHookは何も作れなかった。まず子供時代のパートだが、四文字で表すなら「臭くて長い」。子供の無邪気さを表現する章なのに、気まずすぎるギャグが大量に詰め込まれていて、SMEE級のBGMに、くすぐったいような演出が合わさって、しばらく完全に見ていられなかった。そして「再会編」に入ると、一部のヒロインが大人になって子供の頃との違いを見せる(特にあのダイエットに成功した太めの娘)以外にこれといった見どころもなく、ゲームを「ごく普通の学園日常恋愛」に仕立て上げてしまい、「幼馴染」という設定を忘れさせる。

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個別ルートなんかも割と平坦だが、まあ「幼馴染」属性とある程度関連しているのは救いだ。「ヒロインが主人公を好きなのは、主人公が子供の頃に何を言った/したから」と教えてくれる。うちの主人公は本当に旗を立てる名人だと感心せざるを得ない。もちろんこういう套路はギャルゲーでよく使われるし、ヒロイン全員が幼馴染ということを考慮すれば、全員にこれを一遍やらせるのは奇妙に感じても理不尽ではない。

そこでこのゲームのとある個別ルートが浮かび上がってくる。栗山兎鞠の物語だ。後半でプレイヤーにいきなり下馬評を食らわせてくる。

そもそも「栗山兎鞠」というキャラは物語の中での地位が明らかに他のヒロインより高い。厳密に言えばゲームの最初の選択肢は彼女に関するものだし、ゲーム序盤で唯一主人公に告白した疑惑のあるヒロインでもあり、再会編が始まってから最初に現れて主人公に挨拶するのも彼女だ。あの銀白色の髪も相まって、まるで主流ギャルゲーのヒロイン一号テンプレートじゃないか。

ところが運の尽きはこの「お墨付きヒロイン一号」のルートにあった。プレイヤーは彼女のルートで急速に恋愛関係を進めるが、物語の後半で、この「栗山兎鞠」が子供の頃の記憶を失っていたことが判明する。

主人公が引っ越して間もなく、栗山兎鞠は事故に遭って記憶を失い、子供の頃の主人公との思い出もすべて失っていた。そして主人公と再会した後、栗山兎鞠は実は目の前のこの人を知らないのに、それでも必死に主人公と親しいふりを演じていた……二人が恋に落ちるまで。

ここでゲームは気まずい局面に直面する。主人公が栗山兎鞠を好きなのは子供の頃から知っていて思い出があるからだが、今の栗山兎鞠は再会した時に新たに知り合って恋に落ちた相手だ。二人の感情は対等ではない。では栗山兎鞠の主人公への愛情は、本当の愛なのか、それとも主人公が彼女を好きだから作り出された幻なのか。

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このゲームのシナリオが哲学じみてきたその時、ゲームは突然とんでもなくクソみたいな展開をぶち込んでくる。栗山兎鞠の体内には二つの人格があるという。一つは子供の頃の記憶を継承した人格で、記憶喪失によって封印されていたが今は目覚めている。もう一つは現在の人格で、再会してから出会い恋に落ちた方だ。同時にプレイヤーに選択を突きつける。子供の頃の記憶を持つ栗山兎鞠を選ぶか、今の彼女を選ぶか。

難しい選択だと思うだろ? だが違う。どちらを選んでも、最後はゲームが勝手に今の栗山兎鞠を選んでくれる。子供の頃の栗山兎鞠の人格は灰のように消え去り、主人公は前を向いて今の栗山兎鞠と一緒になる。

ここでまず言いたいのは、主人公が今の栗山兎鞠を選んだなら、ゲームであれだけ長く「幼馴染」と「子供時代編」を積み上げてきた意味はどこにあるのか。幼馴染を書くゲームだろ、お墨付きヒロインのルートで逆に幼馴染と一番関係ない話を書いてどうするんだ。何を考えてるんだ。

ましてやこのルートで多くのHookファンが爆発した。誰も思わなかっただろう、Hookのゲームでまさかこんなことをやるとは。みんなHookのゲームに深みはないとデフォルトで思っていて、くだらない与太話の中の恋愛の感じが良かったのに、なんで今回は深い恋愛なんか持ち出してきたんだ。

しかも「深い恋愛」も中途半端で、栗山兎鞠のどちらの人格を選んでも、Hookはにこりと笑って「俺がお前の父ちゃんだ」と言わんばかりに、用意したルートを歩ませる。

じゃあ選択肢を出した意味は何なんだ。嘲笑か?

正直に言って今回の『思い出抱えてアイにコイ!!』にはこれといった見どころはない。みんな「幼馴染」と「子供時代編」に惹かれるだろうが、実際の効果は良くない。ある意味では、「子供時代編」を切って意味のある断片だけを残し、ヒロインたちと主人公の絆を強化して、再会編でもっとノスタルジーを与えた方がキャラが立つと思う……

もちろんHookにこんなことを言っても意味がないのはわかっている。みんな知ってる通りHookのゲームは「モジュール化」で開発されたシナリオの寄せ集めで、全体の一貫性がない。ここ数年でHookとSMEEの違いがどんどん曖昧になっていく……いや、今のHookはむしろ昔のSMEEみたいで、逆に今のSMEEは変な方向にどんどん遠ざかっている。あの発表された新作の画風を見てみろ……

とにかく『思い出抱えてアイにコイ!!』は普通のこれ以上ない普通のゲームだ。唯一の特徴は「統合失調症」のヒロインを出して業界をリードしたこと。そのネタの出来については、少なくともHookの熱狂的なファンは吓跑了(逃げ出した)だろう。俺みたいな楽子人(野次馬)の方がこういう設定を受け入れやすいのかもしれない。

ああそうだ、このゲームにはもう一つの意味がある。おそらく花澤さくらが引退前に演じた最高のゲームだろう。残念ながらもう彼女の声は聞けなくなる。結婚後は幸せでいてほしい。


末尾:

このゲームの長編記事は商業稿として書いた。興味があれば買って読んでほしい。このゲームをこき下ろした(つもりだ)。もう一度罵れと言われても面倒で罵る気にならない。

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