『Japanese school life!』レビュー
とても抽象的なゲーム
海外のオタク層が持つ巨大な潜在力と財布の中身に気づく日系メーカーが増えたおかげで、Steamで配信されるギャルゲーはどんどん増えている。さらには「Steam専用」とでも言うべき作品まで登場していて、企画の段階から海外市場だけを狙い、国内は完全に切り捨てて売り上げを伸ばそうとしている。
ただ、そういうゲームの大半は全然売れない。日本人の「人に迷惑をかけない」というメンタリティのせいなのか、彼らはいつも自分たちの考えだけで海外ユーザーの心理を推し量る。『日本的すぎる』『硬核すぎる』内容は海外ユーザーには理解されないと決めつけ、海外のオタクが日本に求めるものは「忍者」「桜」「JK」「学園祭」あたりだと一方的に思い込んでいる。こうした思い上がった迎合はだいたい「気まずすぎる」結果しか生まない。ピンとこないなら、日本が海外市場でやらかしてきた「ローカライズ」を思い出せばいい。中国語ユーザーは日本の二次元キャラが中国語を話すのを見たいはずだと信じ込み、専用の中国語テーマソングまで用意し、中には海外ユーザーのためにシナリオを書き直したゲームまであった。結局どれも誰にも買われなかった。当時の日本人には、なぜあれほど多くの中華圏ユーザーが日本語をまったく理解できないのに日本語ボイスにこだわるのか、理解できなかったのだろう。聞いてわからないのにいいのか、と。
一方で海外進出作品のローカライズがあり、もう一方では日本がローカライズされた作品に海外要素をこれでもかと詰め込む。どの学校にも北欧からの留学生がいて、やたら長いカタカナがどこかのヒロインの名前欄に必ず現れる。外国人なのにいつも流暢な日本語を操り、身元を疑われる心配も皆無。そういう外国人はごく自然に日本社会に溶け込み、あらゆる日本文化を手放しで絶賛する。セリフには必ず「日本が大好き」が入る。見ていてちょっと「日本の伏拉夫」である。
「本音は海外に見せたくないのに、外国人の口を借りて自分を褒めちぎる」この姿勢はいつも矛盾しているように感じるし、妙に奇怪で抽象的な気分にさせられる。

だから、名前からしてあまりに直球な『Japanese school life!』にも同じ奇妙さを覚えた。タイトルと設定を見ただけで中身はだいたい想像がつく。それでも暇で仕方なかったから遊んでみたら、予想以上に抽象的だった……
ゲームのシナリオは短く、あらすじ通りだ。主人公は海外からの留学生として日本の高校にやってきて、二人の日本JKに連れられて春夏秋冬を過ごし、日本生活を満喫する。序盤の主人公はバカみたいに何にでも物珍しがり、日本に対してかなり強いステレオタイプを抱いている。日本のアニメを相当見てきたのだろう。転校生として学校に来るなり、あれよあれよと美少女たちが寄ってきて話しかけてくる。しかも好感度が最初から高めだ。
二人の美少女は日本の交通ルール、24時間営業のコンビニ、エスカレーターは片側に寄る作法、カラオケ、夏の学園祭、海、文化祭、日本風に魔改造されたハロウィン、そして日本独自のホワイトデーまで案内してくれる。最後には二人の美少女のどちらかを選んで愛を伝えることまでできる……
印象に残ったのは主人公のセリフだ。称賛ばかりで埋め尽くされている。「コンビニ、いい!エスカレーター、いい!夏祭り、いい!カラオケ、いい!ハロウィン、いい!……日本、大好き!」
作りは決して精巧とは言えない。メイン絵師のぴこぴこぐらむが描くキャラはエロいのだが、このゲームではなぜかkaroryに限りなく近づいている。塗りのせいだろうか。OPもEDも特にないあたり、予算は全部二人の声優に回したのだろう。
最初は期待していなかったが、クリアしてからよく考えると、このゲームの立ち位置は要するに「日本文化ガイド」だ。二人の美少女をイメージキャラクターに据えて、日本で遊ぶ際に必要な知識を教えてくれるだけのもの。
そして主人公のあの感慨は、どちらかといえば「伏拉夫」的な自己満足に近い。ゲームで日本留学一年を追体験できる、という意味ではなかなか悪くない作品だ。
もちろんゲームは現実の日本が抱える問題を避け、あれこれ美化している。一番耐えられないのはあの「満員電車」で、経験した者ならあの苦しさを知っているはずなのに、ゲームは「特別な体験」の一言で流してしまう。日本社会に存在する営業スマイルや人と人との距離の遠さにも触れていない。
一番ひどいのは、最後に主人公へ恋愛のチャンスが与えられることだ。バレンタインデーに美少女を一人選んでプレゼントを渡せる。もっとも、この選択で結末が変わるわけではなく、あくまでオープンな尻切れトンボ。将来また日本に来る機会があれば、二人の間に新しい物語が生まれるだろう、という示唆だけを残す。
まあ、ここは鯊鯊に聞くのが一番早い。欧米の外国人が日本の高校に交換留学生として来たら、美少女のほうから寄ってくるなんてあるだろうか。さすがにないのでは? というか、このゲームの物語そのものがフィクションだ。
だがある日、山東大学のニュースを見た。山東大学は「学伴(バディ)」制度をさらに充実させ、留学生全員に1〜2人の美少女が付き添うことを保証するという。しかもバディがパーティー後に緊急避妊し、その後中絶したという話まで飛び出した。
そう考えると、この一見嘘っぽいゲームが急に現実味を帯びてくる。というか、より抽象度が増した気がする。

そうそう、実績は6個しかない。二人のヒロインの個別ルート(そんな呼び方ができるなら、だが)を両方通せば埋まる。中国語非対応で、英語と日本語のみ。 ちなみにこの制作チームcode.jpの別作品はかなりまともで華やかだった。ただ変わらないのは、「欧米海外市場」に向けた「好みに合わせた」が「余計なお世話」でもある制作方針である。
コメントは中国語の本家サイトで受け付けています。このミラーは閲覧専用です。