『ハミダシクリエイティブ凸』レビュー

甘々オタクの幸福な妄想

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正直な話、『ハミダシクリエイティブ』は前にプレイした時からずっと謎だらけだった。

まず何よりシナリオが理解できない。「二次元に浸りながらブラコンで、しかも金持ちだから廃人になった兄を養ってやる気満々の妹」、「エロ絵を描くのが好きで、オタクとべったりするのは大好きなのにオタクみたいに気持ち悪くはなく、しかもオタクと付き合いたいと思っている二次元絵師」、そして「クールで毒舌で自己中心的なくせに、オタクに貢ぐためにツンデレと女王を交互に演じる黒髪ロング」、さらには「どう見ても普通レベルで、V界隈なら1ヶ月で卒業するタイプなのに、なぜか罵倒も下ネタもなしで人気王になり、しかもオタクに貢ぐVtuber」……

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このゲームの世界では、女はみんな主人公を見た瞬間にヤりたくなるらしい。彼女たちの罵倒はただのツンデレ、拒絶はフリ、そして「NO」は実は「YES」、口では嫌がって体は素直、心の底では四六時中主人公に征服されたいと思っている……世界中に男が一人しか残っておらず、交尾した女しか生き残れないという設定でもない限り、こんなシナリオにリアリティを感じることはできない。

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他の恋愛ゲームも確かにハーレムだけど、せめて回想シーンや設定でストーリーを婉曲にごまかしてはいる。『ハミダシクリエイティブ』はそんなごまかしすらせず、オタクのぶっ飛んだ妄想をこれでもかと直接書き出している。だからこそ大勢のオタクが前作のシナリオを気に入るのも無理はない。

そこで気になった。このゲームの脚本は誰だ。こんなに非主流で、しかも頭がイカれてる。調べてみたら、有名な精神異常者・王雀孫の弟子だった……まあ、それなら納得だ。

シナリオと台詞にはいつも不快感を覚えるが、まどそふとの制作力は健在だ。まだ過労死していない看板絵師の画風も、ゲームのBGMも、業界ではトップクラス。このゲームは最低限のクオリティは確保している。特に、大阪で暮らしながら一日24時間オナニーしているような人間にとっては。

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前作の売れ行きが良かったおかげで、『ハミダシクリエイティブ』の続編も予定に上がった。ただし、多くの人が思うような「続編」ではなく、単なるファンディスク的なものだ。名前もいかにも会社らしく『ハミダシクリエイティブ凸』。このファンディスク自体がもともと企画の一部だったのは間違いない。なにせ原作には攻略できなかったキャラが何人も残されていたからだ。唯一の常識人に見える「金髪の天梨」もその一人。

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天梨の個別ルートは彼女の性格と同じく、ごく普通だ。普通すぎて逆に現実味がない。前述の通り、このゲームのストーリーはあまりにも「嘘」っぽいので、天梨のような王道恋愛ゲームのヒロインが出てくると、かえって大きな違和感を覚えてしまう。だが、それは考えすぎだった。天梨ルートの異常さはすぐに露呈する。

天梨は建築の研究が好きな女の子で、土木が大好き。

うわ、信じられるか? 女が土木好きなんて! 俺が土木業界の女性を見たのは、前回はAVの中だった。しかもそのAVのヒロインは、土木業界に女性が少なすぎるせいで、現場でヘルメットをかぶった肉便器に成り下がっていた。

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だから話の展開はとても魔幻だ。主人公は天梨とデートして天守閣に行き、二人は建築のあれこれについて延々と語り合う。

しかもこの「建築談義」はあくまで表面的で、会話の中に建築設計の実用的な内容はほとんど出てこない。脚本家自身も建築には詳しくなく、キャラ設定に合わせて無理やりこじつけただけなのが見て取れる。

実際、この「建築愛好家」二人の会話は、俺が女性教師と大阪城に行った時の話より内容が薄い。俺も日本の古建築に行ったことがあるが、内部の宣伝の多くはよく分からなかった。内容が悪いわけではないが、どこか「話が盛られている」感じがする。

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その後、主人公は「建築談義」をきっかけに天梨と出来てしまい、二人は付き合い始める。しかし何回かヤったところで、ルートはあっさり終わってしまう。

そう、これがファンディスクなのは分かっている。だが、いくらなんでも適当すぎる。

では、新キャラ以外の元のルートはどうなのか。俺の大好きな秋野花のルートを一目見て、目が潰れた。

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この「お下げ髪を後ろから引っ張って自転車を漕ぐ感覚でヤる」体位は何の高等テクニックだ? ここでタイ式マッサージでもやってんのか? そう、他のキャラのルートも相変わらずのイカれ具合で、誇張された妄想とデタラメが満載だ。元の味はそのまま、何の処理もされていない。わざとやっているのが一目で分かる。

俺個人の『ハミダシクリエイティブ凸』の体験はここまでだ。このゲームがどんなものかはもう分かっている。原作と同じく、王雀孫の弟子が執筆し、気持ち悪いオタクの女性に対する白濁した妄想を、可愛らしい女の子たちの体内に注ぎ込み、声優の口を借りて誘惑する声で嬌声として吐き出させる。

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タイトルに付け加えられた「凸」(とつ)も、ただ勃起したチンコを見せびらかしているだけ。以前使っていたOver Clockとかいう表現に比べて、マジで地の底までダサい。

このゲームのヒロインに共感するオタクは、現実でも女性に相手にされないだろう。そしてこのゲームで最も人気のあるヒロインの一人に声を当てている柳ひとみ(戸田めぐみ)は、Twitterでフェミニストで、たびたび過激な発言をしている。とにかくこのゲームは、外からも中からもひたすら抽象的だ。

もう一つツッコミたいのは、中国の漢化組の翻訳だ。例の黙示というバカな組が先陣を切ったのか知らないが、多くのゲームの中国語タイトルは、画面越しに脂が滲み出てくるような「油っこさ」がある。『ハミダシクリエイティブ』は「灵感满溢的甜蜜创想」と訳されている。

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マジで言いたい。「ハミダシクリエイティブ」は「ハミダシ Creative」とも書けて、まどそふとシリーズの命名規則にぴったりだ。日本の俗語と外来語の組み合わせ。そして「ハミダシ」は日本語では「組織から外れ、集団生活に従おうとしない人」を意味し、ゲームのヒロインたち——学校に行きたがらない「問題児」たち——のキャラにぴったり合っている。このゲームはまさに、そんな「問題児」たちが「クリエイター」として生きる姿と状態を描いている。

なのに「灵感满溢的甜蜜创想」という中国語タイトルを見て、翻訳者がタイトルを「Honey dash」と勘違いしたのかと思った。幸い、Steam公式版の翻訳『常轨脱离 Creative』でようやく軌道修正された。

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でも後から考えると、この翻訳も間違いではない。ただ数文字変えて『甘々オタクの幸福な妄想』とするのが適切だ。俺が成長したからか、それとも本当の女性と接したからか、このゲームはもう俺の共感を呼ばない。ゲーム内の現実離れしたヒロインたちより、土木好きの女の子のほうがよほどリアルに思える。

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