『アルカナ・アルケミア』レビュー

アルカナ・アルケミア:一人のキャラがゲーム全体を押し上げた良作

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「糖塊社」(Lump of Sugar)から『アルカナ・アルケミア』という新作企画を見たとき、思わず笑ってしまった。

いまどき、まだこんな伝統的な「錬金術」ものをやるのか。

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「錬金術」と聞いてまず思い浮かぶのは「人体錬成」だ。せめて錬金術が現代医学・哲学・化学の先駆けだとか、そういう話をしてくれてもいいのに。後でゲームの設定を見てみたら、案の定「獣耳の生命体を錬成してしまった」という話で、わざとなのかうっかりなのかもわからない。

十二月末にゲームが出てからというもの、「サメ」を見ると大阪の黒い服のオタクを連想して、そこからさらにアレな連想が働いてしまい、どうにも居心地が悪い。なのでまずはこのゲームを優先して触ってみたのだが、これが意外と悪くない。それどころか、『アルカナ・アルケミア』は「糖塊社」が最近出した中で最高のゲームだと言ってもいいし、自分の年間ゲームランキングにも入るレベルだ。

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もちろん、これはシナリオが斬新だという意味ではない。予想通り、物語はいたって王道だ。科学技術が発達した現代において、伝統的な「錬金術」はほとんど認められていない。古い錬金術の家系を受け継ぐお姉さん「瑠璃」は、今も錬金術の材料や設計図を売る店を営んでいるが、商売はさっぱりだ。

そこで錬金術への関心を呼び戻し、家業も立て直そうと、瑠璃は錬金術で一発デカいことをやることにした。すごいものを錬成して宣伝に使おうというわけだ。ところがさんざん苦労してもろくに進展せず、挙げ句の果てに主人公がポケットに入れていた石を錬金の釜に放り込んでしまい、そこから思いもよらない効果が生まれて、獣耳の女の子が錬成されてしまった。

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人造人間として生まれたこの獣耳の女の子は「フィーネ」と名付けられた。名前は彼女自身が口にしていた声に由来する。ネタとしては成功したものの、「人体錬成」自体が禁忌の術なので、瑠璃は声を大にしては言えず、フィーネをそのまま住まわせることにした。

そしてフィーネの錬成は、かなりの部分が主人公の持っていたあの石に関係している。その石はどこから来たのか。実は主人公は子供の頃に重い病気を患い、錬金術で作った薬で命をつないでいたが、完治はしなかった。その後、主人公は山に分け入り、誤って精霊の家に迷い込んだ。精霊は錬金術に精通していて、主人公を哀れに思い、自分の体を原料にしてまで主人公のために新しい肉体を錬成し、魂をその新しい体に注ぎ込んだ。おかげで主人公の病気はすっかり治った。

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そしてその聖母のような精霊は、肉体を消散させ、魂を宝石に変えて主人公のポケットに現れたのだった。

もうお察しの通り、主人公がその石をもう一度錬金の釜に戻したのは、元の精霊をもう一度錬成し直しただけのこと。フィーネのルートはそういう物語だ。

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他のキャラのルートも特に変わったところはなく、多かれ少なかれ錬金術と関係している。瑠璃のルートはニューメディアを使い、インフルエンサーの力で錬金術を広めて成果を出す話。学校で錬金術に詳しい彩良先輩の話は、幼い頃の親友——とても可愛がっていたペットの遊び相手——を錬金術で復活させたいというもの。錬金術をどうしても学びたい後輩の葉音の話は、妹の奇妙な病を治す薬を錬成したいというものだ。

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なのでこのゲームのシナリオは、どう見ても「普通」としか言いようがない。超展開もなければ宏大な叙事もなく、「哲学」的な議論もない。なのに、一人のキャラが一人でゲーム全体の質を救っている……

それが「春若葉音」というキャラだ。

彼女の魅力は完全にキャラの演技——日常会話と声優の芝居——から来ていて、個別ルートの物語とはあまり関係がない。葉音の造形はあまりに完成されていて、すぐにゲームの中でこの「ツンデレ」「守銭奴」でありながら他人を思いやり、時にはとても頼りになり、どう見ても可愛い小さな女の子に惹かれてしまう。彼女のルートには、往年の全盛期の Alcot や SMEE の味があって、本当に久しぶりの感覚だ。

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個人的には歩サラのファンでもないのだが、このキャラでの彼女の演技は完璧と言っていい。近年、昔のように二次元キャラと恋愛したいと思わせてくれるギャルゲーはほとんどなかったが、葉音がそれをやってのけた。

『アルカナ・アルケミア』はゲーム全体としては可もなく不可もなく、どちらかといえば Lump of Sugar の通常の量産ライン作品といったところだが、「春若葉音」の演技がゲーム全体のプレイ体験を直接押し上げていて、多くの人にこのゲームを勧めたいとすら思う。錬金術でも獣耳娘でもなく、葉音との会話が心ときめく感覚をくれるのだ。

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そして葉音の強い感染力のおかげで、他のキャラの物語もそれほど不自然に見えなくなり、ゲーム全体によりおとぎ話的な色彩を与えている。時に「錬金」を扱う作品に必要なのはむっちりした太ももではなく、言葉や振る舞いから可愛さがにじみ出る女の子であり、そういう子がいれば「錬金術」の存在も信じたくなるものだ。

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