JD Tab を使ってみた
あるタブレットをめぐる奇妙な旅
先日、ふと思い立ってタブレットを買いたくなった。ただ、条件がちょっと特殊で:
- とにかく安いこと
- Type C 端子があること
- 画面はできれば 4:3 比率。ゲームはしないので、読書と動画視聴に使う
- スピーカーの外放音がいいこと
- 広告は少ないほどいい。できれば無広告か、素の Android が入ること
- 8 インチ
実際、この条件を満たすタブレットがないわけではない。閑魚に大量に出回っている小米平板2や3シリーズとか。でもあれは何度も魔改造された電子ゴミだ……
そんな中で見つけたのが、とんでもない製品だった:JD Tab。かつて京東(JD.com)が販売していたタブレットだ:
- 4:3 の高品質スクリーン
- Flyme OS で広告なし
- 8 インチサイズ
- Harman Kardon の外放スピーカー
- Type C 充電
- 閑魚で200元ちょっと、新品
やばい、新品じゃん。電子ゴミよりよっぽどいいだろ? というわけで勢いで1台買ってしまった。これが一連の冒険の始まりになるとは思ってもみなかった。
ほどなくして、山東省から届いた。シュリンクは完璧で、確かに新品っぽく見える。

しかし、開けてみて思わず笑ってしまった。フィルムは貼られたままなのに、「初回起動」の案内がまったく出ない。システムはすでにアクティベート済みで、アプリの中には「抖音(TikTok)」まである。
このタブレット、2016年かそれ以前の製品だったはずだが、その頃に TikTok なんてあったか?
この時点で、少なくとも一度は開封されて再シュリンクされたものだと確信した。ただ、価格を考えれば、本体の状態に文句はないし、何も言わなかった。
だが、しばらく使っていると問題に気づいた。なんと画面下部に横一帯、タッチが反応しない領域があるのだ。
安物買いのなんとやら、早速やらかした。すぐに閑魚の出品者に連絡すると、相手はあっさり「新品と交換します」と言ってきた。なので古い方は郵送で返品し、返金を申請。そして店から新しいものを注文した。店の元のアカウントでは再取引できなくなっていたので、新しいアカウントを教えてもらい、そこから購入した。
そして2日後、交換品が届いた。
今回は警戒して確認した……が、シュリンクは完璧……フィルムも貼られたまま……開けても初回起動のアクティベートがない……そしてデスクトップにはやはり TikTok のアプリがある……
まあ、このロットは出所が微妙なんだろう。だからこうなっているんだ。幸い交換品はタッチが正常だったので、いじり始めることにした。
届いた時点では flyme 5.2 という古代の OS だった。使えなくはないが、Google フレームワークがないので何をするにも面倒で、少しいじったがとても慣れない。

そこで、素の Android を焼けないかと調べ始めた。すると本当に見つかった。この JD Tab は海外でも発売されていて、名前が Alfawise Tab に変わっていた。ハードウェアはまったく同じで、Alfawise Tab の ROM を手に入れて JD Tab に入れれば、素のシステムを焼ける。Android 6.0 とはいえ、FlymeOS よりマシだ。
そして実際に Alfawise Tab のファームウェアを見つけた。MediaTek の面倒なフラッシュ手順も調べて、一通りやってみると、焼けた。本当に素の Android だ。
それから意気揚々と色々なソフトを入れ始め、ぐちゃぐちゃになったのを片付けて、メルカリ(Taobao)で安い水凝膜も買った。保護ケースが手に入らないので、背面にスタンドまで貼り付けた。さあ、これで本格的に使うぞ、と。

そこで新しい問題に気づいた……
この端末、「睡死(スリープデス)」するのだ。
長時間スタンバイした後、画面が黒くなり、二度と復帰しない。電源長押しも効かない。解決策は、適当に電源ボタンを連打して運試しするか、PC につないで DFU モードに入れてファームを焼き直すか。
最初は素のシステムの問題だと思って、一通りいじった末に FlymeOS に戻した。2日使って確かに睡死しない。喜んでいたところに……
また睡死した。FlymeOS でも素の Android でも、この問題は起きるらしい。
そこでネットで調べると、多くの海外ユーザーも睡死に悩まされていた。交換に出した人、ファームを焼き直して解決した人、しばらくしたら自然に治った人、そしてこんなトンデモ解決策を書いた人もいた:
本体を開けて、電池を抜けばいい。
試してみることにした。このタブレットは接着剤だらけのものよりはるかに分解が簡単で、ネジを外して画面をこじ開けるだけだ。
だが、気合を入れて分解しようとしたところでやらかした。画面にヒビが入っているのが見えたのだ……

画面が割れたならもう後には引けない。そのまま分解した。電池を外して挿し直しても、やはり起動しない。解決策はやはりファームを焼き直すしかない。
正直、ちょっと絶望した。200元ちょっとで買ったタブレットが、ひとしきりいじった末に画面まで割れて、まるでドブに捨てた金だ。
だが、ここでちょっとした転機が訪れた。閑魚で JD Tab のジャンク品を売っている人を偶然見つけたのだ。画面パネルとマザーボードのみで、電池なし、90元。
値段交渉の末、50元の着払いで取引成立。
届いたジャンク品と比べてみると、いろいろな違いが見えてきた。
- ジャンク品の JD Tab は純粋な「京東(JD)品」らしく、内部の作りが俺が買った JD Tab と大きく異なる
- ジャンク品のスピーカーは俺のより大きく、確かに「Harman Kardon」のラベルがある。俺のにはない
- ジャンク品のマザーボードにはスポンジや緩衝材、シールドがより多く付いている。俺のにはない
その「ジャンク品」に俺のタブレットの電池を接続すると、無事に起動した。

システムに入ってみて気づいた。この「ジャンク品」の前の持ち主は、マルチ商法(ネズミ講)にハマったおばさんだったらしく、各種のマルチ商法の集会に参加した動画や写真、録音が大量に残っていた。彼女は本当に自分が金持ちになれると信じていたようだ。このタブレットはマルチ商法組織から配られたものか、あるいは彼女が自費で「学習用」に買ったものか。前者の可能性が高いと思う。
タブレット内の最後の日付は2017年。このおばさんがその後どうなったのか、マルチ商法の魔の手から逃れられたのかは分からない。その会社は今も生きているらしい。
ジャンク品の画面は無事だったが、なぜか保護フィルムの代わりにプラスチックのテープが貼られていて、剥がして掃除するのにかなり時間がかかった。最後にまたメルカリで買ったフィルムを貼り、「ジャンク品」の画面とマザーボード、それに後から買った電池を組み立てた。素のシステムを焼いて、ようやくそこそこ使えるタブレットになった。
しかも、このタブレットはもう睡死しない。睡死の原因はやはりハードウェアにあったのだ。スピーカーの音もより大きくなった。
お金を無駄にしない原則に従い、外した割れた画面とマザーボードなどの一式の JD Tab を、また閑魚に出品した。値段は90元、マザーボードしか使えない、部品取り用にどうぞと説明を付けた。
2日もしないうちに、ある人が買っていった。値切られて70元になった。
そしてさらにドラマチックなことに、これを買っていったのは、俺にタブレットを売った人のサブアカウントだった。つまり、最初の返品交換の時に俺に「この ID から買ってくれ」と言ってきた、あの ID だ。
彼が俺と取引したことを覚えていなかったのか、何なのか。とにかく、この取引は成立した。
そして今なら分かる。いわゆる「新品の JD Tab」がどこから来たのか。おそらく回収した不良品を簡単に修理・組み立てして、リファビッシュしたものだ。
そして俺が受け取った、あのマルチ商法のおばさん由来のタブレットこそ、本当の当時の「京東タブレット」の代表例だったのだ。
とにかく、この JD Tab タブレットをめぐる奇妙な旅にも、ようやく終止符が打たれた。

そうそう、このタブレットはなかなか使い勝手がいい。ただ、今回の経験を踏まえると、閑魚で買うのはおすすめしない。
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