『ましろ色シンフォニー REMAKE FHD SANA EDITION』レビュー

一回(不要)必要なリメイクだったのか

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なんとなく覚えている。たぶん11年前の夜のことだ。当時の俺はまだ純粋な二次元の童貞だった。

アニメ『ましろ色シンフォニー』を最後まで追いかけて見ていた。当時アニメを追っていた大半の童貞オタクと同じように、赤毛の最後の泣き顔がすべての始まりだった。

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そしてアニメの最後には、赤毛の攻略ルートが追加されたPSP版ゲームが発売されるという告知があった。当時の俺はPSPを持っていたが、日本語はあまり分からず、今の多くの人と同じように翻訳を待つしかなかった。

そうして待つこと2年。

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2012年、『ましろ色シンフォニー PSP』の翻訳版がリリースされた。冬の夜だった。俺は携帯ゲーム機を手に取り、攻略を始めた。

ゲームの共通ルートはかなり長かったのを覚えている。赤毛のルートは美羽先輩ルートの最後にあり、しかも赤毛のルートはとにかく長い。カレンダーが10月から始まって、一日一日を経て翌年の2月まで進む。そのスパンは約5か月。さらに中国語版の読解速度でプレイしても合計8時間近くかかった。そのボリュームにはかなり度肝を抜かれた。

一番印象に残っているのは赤毛ルートの選択肢だ。翻訳チームが親切にも直接印を付けてくれていて、しかも括弧書きで「ここを選べ」と添えてあった。

赤毛ルートが終わり、EDがゆっくりと流れ出したとき、外はもう明るくなっていた。ギャルゲーを徹夜でクリアしたのはあれが初めてだった。その後、俺は今読むとどう見ても中二病でバカ丸出しのゲームレビューまで書いた。あまりにもバカすぎて、今では見る気にもならない。

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その後、もう一人の追加ヒロイン「小野宮結月」のルートも攻略した。正直に言うと、彼女の話は赤毛よりずっと良かった。ただ赤毛の人気が高すぎて、ルートの期間も長すぎたせいで、どうしても忘れられない。特にあの夜のことは。

そして11年ぶりに、俺はまたある夜、この『ましろ色シンフォニー REMAKE FHD SANA EDITION』をクリアした。今回は夜明けまでは待たなかったが、それでも久しく失っていた感動を与えてくれた。

その感動はゲームに向けたものかもしれないし、11年前の自分自身に向けたものかもしれない。当時の自分は童貞オタクだったが、まだ若かった。今の自分は人生の夢や純粋さを少し失ってしまっている。

話をゲームに戻そう。今回パレットは非常図々しく『ましろ色シンフォニー REMAKE FHD』を発表した。つまり名作『ましろ色シンフォニー』のHDリメイク版だ。正直、俺はリメイク版を見すぎていて、『ましろ色シンフォニー』はとっくにリメイクされていたんじゃないかという錯覚まで起きていた。そして同時に発表されたのが、もう一つ理解できないバージョン『ましろ色シンフォニー REMAKE FHD SANA EDITION』。名前の通り、赤毛専用ルートが追加されたものだ。

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理解できないのは、容量優先のPSP版ですら、原作の全ヒロインノルートを収録した上でさらに2人の新ヒロインの攻略シナリオを追加できていたという点だ。内容的な完全性と統一を実現していた。それなのに何年も後のリメイク版では、それぞれのヒロイルートを分けて売る必要があるのか。金儲けのため以外に理由が思いつかない。

さらにバカなのは、PSP版で追加された「小野宮結月」のルートも消えていることだ。ゲーム全体の物語の中で、彼女はまるで最初から存在しなかったかのようだ。田口宏子さんを呼べなくなったのか、それともLGBT嫌いのオタクに不人気だからか。

で、今回のリメイクはいったい何を「リメイク」したのか。

まずは画面だ。FHDにアップグレードされた。具体的にどうやったのかは、みんな薄々分かっているだろう。waifu2xがなければ、いわゆる「リメイク版」の半分以上はプレイできなかったはずだ。

特筆すべきはオリジナルHD版『ましろ色シンフォニー REMAKE FHD』について。画面解像度を1600x1200から1920x1080にアップグレード……アスペクト比まで変わってる気がする。これって本当にアップグレードなのか? トリミングなんじゃないか? 一方、赤毛の『ましろ色シンフォニー REMAKE FHD SANA EDITION』はなかなか興味深い。おそらくPSP版の画面から直接アップグレードしたものだ……アスペクト比もほぼ同じだし。

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もう一つは「SANA版」に赤毛のPSP版HCGが追加されたこと。ご存知の通りPSP版は全年齢なのでR18は無理だったが、PC版に逆移植すればそんな制限はない。

さらにシナリオを微調整したと称して、アニメ版の物語と一致させている。『ましろ色シンフォニー』のアニメ版が先輩ルートを直接進むのは良いアイデアとは思わないが、当時は赤毛版のPSPを売るためだったので理解もできる。しかしこれだけ年が経って、また同じ手で赤毛を売り直すのはさすがにバカすぎる。どこが具体的に修正されたのかも分からない。原作の細かいところはとっくに忘れているからな。

そして新しいUIに、新しいOPとED。おばさんになりかけた赤毛のCVを引っ張り出して単独で特別バージョンを歌わせるあたり、金儲けへの執念はたいしたものだ。

少なくともこのゲームをプレイする前は、ずっと金儲けだと思っていた。実際にプレイしている間も、その先入観が変わることはなかった。

ゲーム内容は10数年前と何も変わっていない。懐かしいシナリオ、懐かしいBGM、懐かしいシーン、そして懐かしいキャラクターたち……

特に赤毛ルートの懐かしい選択肢の分岐に入ると、すべてが元のままだ。ゲームにはあの「前世代ギャルゲーの粗さ」が満ちている。例えばバランスの悪い人物立ち絵や、古臭さ満点の毎日のカレンダー。こういうのは今のギャルゲーではほとんど見かけない。

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HCGが始まったあたりで思わず笑ってしまった。HCGは新規追加なのだが、同じ絵師が描いているにもかかわらず、画風と彩色の違いが大きすぎる。片方は原始人、片方は三体人みたいな落差がはっきりと分かる。しかも制作陣はさらに一ネタ仕込んできた。『9-nine-』シリーズの動的HCGを追加してきたのだ。どうやらパレットは全作に動的HCGを導入するつもりらしい。発想自体は悪くないが、出てくる効果はとても奇妙だ。白黒映画を見ている最中に突然フルカラー3Dのグレア効果が入ってきたような感じ。しかもこの動的HCGは『9-nine-』シリーズと同じ過ちを犯している。短すぎるのだ。ほんの2、3シーンだけ動的で、他は静止画のままだ。抜きにこだわる層には寸止めのように感じるだろう。

あそうそう、オリジナル版にも動的HCGが追加された。1枚絵に動きを付けただけのものだ……逆に抜く気をそがれる美しさがある。

しかし物事は不思議なものだ。何年ぶりかにこのゲームをクリアして、意外と悪くないと思った。特に今のギャルゲー市場の環境では、これは優れた作品になり得る。

例えば恋愛描写。今の「突然発情」なストーリー構成から見ると、まさに次元の違う強さだ。画風は粗いが、余計な新CGを除けば統一感は高く、「ヒロインごとに画風が違いすぎる」という気まずい状況はない。キャラクターの立ち絵の動きは非常に豊かで、演出上さまざまな想像力あふれる画面を見せてくれる。向かい合っての会話、空から降ってくる演出、遠近感のある距離感など、今のギャルゲーでは失われているものだ。

作中の携帯電話CGも業界随一だ。画面のインターフェース上に直接メール情報を表示する。今のように無理やりショボいHTCの携帯UIを立ち上げて、絆創膏のようにLineの会話を貼り付けるよりずっと良い。

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CV陣は前世代の中堅どころが揃っている。その戦闘力の高さは言うまでもない。ただ赤毛がこの中でCVの演技が一番下手なのにこんなにファンが多いのだから、他の連中の凄さは推して知るべしだ。BGMのスタイルも統一されていて、ちょっとした電子ピアノで作られた円舞曲風の雰囲気。曲名はすべて「花」に関係していて、制作面では間違いなく手をかけている。さらに驚くのは、このゲームのBGMには人の声のコーラスが入っていることだ。そう、わざわざ人声をゲームのBGMに入れて、ゆっくりと吟じさせてコーラスにしている。

今のギャルゲーのBGMにこんな待遇があるか? 家にこもってDAWで3トラックのピアノ曲を作ればゲームBGMになると思ってないか?

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しかももっと驚くのは、俺が挙げたこれらの長所は今回の「リメイク」とは何の関係もなく、ゲーム自体が元々持っていたものだということ。今の視点で見ると、当時の『ましろ色シンフォニー』の制作コストは驚くべきものだった(今と比べれば)。特に赤毛のシナリオルート。約5か月にわたる恋愛シナリオを毎日カレンダーをめくって見せるギャルゲーを、今の時代に探すのはほぼ不可能だ。そこまでできるのは極致と言える。

これが一番悩ましいところだ。これほど作り込まれたゲームなら、もう一度「リメイク」する価値はある。同じ基準で全面的にリニューアルすれば、今の手抜きとマンネリが横行するギャルゲー市場に再び次元の違う衝撃を与えるはずだ。

しかし明らかに、今のパレットにはそんな金はない。だから一方的にアニメやHCGを少し追加しただけ。しかも俺から見れば逆効果で、いっそ古いゲームをそのままの味で売り出した方がよほど良かった。

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だから今回の『ましろ色シンフォニー REMAKE FHD』とこの『SANA EDITION』のリメイクは、個人的にはまったく不要だと思う。むしろ後退ですらある。だが『ましろ色シンフォニー』というゲーム自体は、10年以上経った今でも味わい直す価値がある。

新作として見ても、依然として最強クラスだ。もっと皮肉なのは、10年以上前のゲームが今でも色あせず、むしろ多くの部分で遥かに先行しているということ。これはつまり、ギャルゲー業界は実は進歩しておらず、むしろ後退しているということではないだろうか?

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