Clockworkpi Devterm を使ってみた
眠れないことが永遠の痛み:Clockworkpi Devterm 使用レポート
Devterm は Clockworkpi のポータブルコンピュータで、そのデザインは史上初のパーソナルコンピュータ TRS-80 に由来する。もちろん1:1ではなく、縮小版だ。
具体的なスペックは公式サイトにも書いてあるので、自分で見てほしい。
ここでは私が買ったモデルの構成を簡単に挙げておく。A06コアの上位版で、実体はRK3399、4G RAMとBluetooth・無線対応が標準で、このデバイスで買える最高峰だ。
ちなみにこのデバイスのコアはDDR2-SODIMM 200 Pinsのインターフェースでモジュール式に挿し込まれている。つまり他の互換コアに自分で交換できるということだ。「Banana Pi」や「Orange Pi」のようなものに対応できるか公式に聞いたことがあるが、YesともNoとも言わず、公式デバイスのシステム互換性しか提供しない、という答えだった。要するに「動くかもしれないが、ドライバの問題は公式は関知しない」という意味だろう。

これを買った理由もかなり衝動的で、持ち運べる文字入力デバイスが欲しかったのだ。できれば両手で持てるやつ。ミニWindowsノートでも実現できると言われるかもしれないが、あれはCooolじゃない。DevtermほどCooolなものはない。だから勢いでメルカリで1600元の未開封・最上位版を買ってしまった。
届いたら自分で組み立てる必要がある。組み立て後の質感は悪くない。全部プラスチックだが、そのぶんレトロな機械っぽい感じが出ている。
起動はTFカードのみ。デフォルトはArmbianの魔改造版で、デスクトップ環境はxfce4、ログイン画面はlightdmだ。
しばらく使ってみて、メインの文字入力マシンとして何本か記事も書いたので、簡単な感想を述べよう:
1、性能は予想よりずっと良い デフォルトのArmbianは2コアを無効にしているが、付属のGearBoxで有効化できる。有効化してテストしたところ、性能はなかなかのもので、少なくとも予想よりずっと良い。FirefoxでもTelegramでも問題なく動くし、Box64でWindowsのソフトをエミュレートすることもできる。StarCraft 1を試したら普通に動いた。しかもビデオ入力にも対応しているので、臨時のサブ機としても使える。
2、キーボードの打鍵感は慣れれば許容範囲 タイピング用なのだからキーボードの話は避けられない。Devtermのキーボードはクソだという声が多いが、実際に触ってみると確かに褒められたものではないものの、完全に受け入れられないわけではない。両手持ちで指で入力しても許容範囲だ。主な問題はボタンが小さいことよりも、戻りの感触が少し妙なこと。それも慣れの問題で、少なくとも私は慣れた。
デフォルトのトラックボールは確かに変で、公式サイトからファームウェアをダウンロードして更新すると大きく改善する。このトラックボールはBlackBerryのものと同型で、eBayで買って自分で交換することもでき、それでも打感はかなり良くなる。
本体はバッテリー駆動でType-C充電に対応するが、PD充電は使えない。キーボードがDebugモードに入ってしまい、システム起動後にキーボードのファームウェアを焼き直して復元する必要がある。
3、細長い画面と感熱プリンタ Devtermの画面アスペクト比は奇妙だが、ターミナル操作と文字入力が目的ならむしろ利点だ。この比率は文字表示や各種ターミナル入力に向いていて、調整すればとても快適に使える。この比率自体が旧型機への「オマージュ」でもある。この画面でゲームを遊ぶこともできるが、もちろん両側の黒帯はやや広い。

Devtermには感熱プリンタが内蔵されていて、ちゃんと使える。Amazonで各種印刷紙が買えるのもこのマシンの面白いところだ。
4、最大の欠点はスリープできないこと 実際に使っている間は不満はなかった。タイピングもスムーズだ。しかし最大の障害は、本体がスリープに対応していないことだった。RK3399はAndroidデバイスではスリープ対応のものもあるが、それはクローズドなファームウェアで実現している話。Linuxではオープンソースのサポートが整っておらず、Pinebook Proから今のDevtermに至るまで解決していない。
DevtermにはRaspberry Pi 4のコアも換装できるが、残念ながらRaspberry Pi自体がスリープを全くサポートしていない。Raspberry Pi 5で改善されるかもしれないが、それを語るのはまだ早い。
スリープがないということは、Devtermを使うときに一般的なタブレットやスマホのように、取り出してすぐタイピングし、終わったらしまっておく、というわけにはいかないということ。毎回電源を入れ直す必要がある。最適化を重ねて起動時間を約20秒まで縮めたが、それでもスリープには及ばない。これがDevtermを手放した理由だ。

まとめ: 実はDevtermはかなり気に入っていた。見た目も良く、拡張性も高く、しかもcooolだ。感熱印刷紙を別に買い、3Dプリントの保護パネルまで特注した。しかしスリープできないという一点だけで、この製品の使用シーンは大きく減り、実用的な「持ち歩きPC」から「おもちゃ」に成り下がってしまった。
DevtermのようなARMポータブルPCプロジェクトには他にもいくつか触れてきたが、ほとんどが「スタンバイ」と「スリープ」を軽視している。コストの問題なのか技術的な限界なのかはわからないが、今後同様のプロジェクトにはこの点を重視してほしい。Devtermはクールだが、現状はフィギュア兼おもちゃでしかない。
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