『プトリカ 1st cut:The Reason She Must Perish』レビュー

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ルクルというシナリオライターは、Galgame市場の中でちょっと異質な存在だと思っている。他の作品がまだ表面的でステレオタイプな二次元恋愛にこだわっている頃から、ルクルは演劇風の文章と演出で、ひと味違う見せ方をしてきた。「中二病哲学」だの「暗くて重い話」だの「テンプレ通りの校庭告白」だのに固まりきったGalgameのシナリオ業界に、一種の次元の違う一撃を食らわせたわけだ。

『紙の上の魔法使い』『水葬銀貨のイストリア』『空に刻んだパラレログラム』、そして『冥契のルペルカリア』を経て、ルクルは長いこと新作を出していない。サボっているからだと言う人もいるが、自分はそうは思わない。彼の一連の語りを追いかけたり、ちゃんとプレイしたことがある人なら、ルクルの得意な叙事の三本柱はすぐにまとめられるはずだ。矛盾だらけの悲惨な宿命、臆病な主人公と、長い時間をかけてその耳元で悪魔の囁きを続ける敵役、そして天才を造形して凡人が彼の前に抱く劣等感を描くこと。だから『冥契のルペルカリア』はすでに集大成なんだよ。ルクルが出し切れるものを全部詰め込んだ作品で、この作品の中に他の作品の影をいくつも見ることができる。自分はしばしば、ルクルは『冥契のルペルカリア』を書き終えたあと燃え尽きてしまったんじゃないかと思う。

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もちろん、冗談めかして言えば「ネタ切れ」だ。

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瀋陽大街第一定律に従えば、人は金がなくてもいいが、ネタがなくてはいけない。優れたシナリオライターならこんな限界に縛られるべきじゃなく、時代に合わせてより多くのアイデアと発想を持ち、自分を突破する勇気を持つべきだ。でも明らかに、今のルクルにその力はない。ルクルの作品が注目されるのは、容赦ない「刀」展開のせいだとか、あるいはタッグを組む絵師のどんどんポストモダンになっていく画風のせいだと言う人が多いけれど、本当の原動力は音楽のめとにあると思う。彼女のあのスタイルだけが、ルクルの「演劇風」の雰囲気を極限まで盛り上げられるんだ。

話を戻して、今回取り上げるゲームそのものについて。

『プトリカ 1st cut:The Reason She Must Perish』は、ルクルが利益だけを狙って出した純粋な商業作品だ。もちろん、これまでのGalgameが「商品」じゃなかったと言いたいわけじゃない。あれらには多かれ少なかれ、シナリオライター自身のこだわりや表現欲があった。それに対してこの作品は、ただ金を稼ぐためだけに作られている。

ルクルは早い段階で、自分が海外市場でなかなかウケていることに気づいたらしく、新作を企画する段階で当然のように海外市場、とりわけ中国大陸市場への媚びへと走った。だから彼はWeiboを開設し、Bilibiliのアカウントも作り、そこでネタ好きな連中を引き寄せ、絵師は心をやられて引きこもり、中国語圏インターネットの威力を思い知ったあと、また静かになった。でも少なくともゲームは簡体字中国語を引っさげて発売された。

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本作のストーリーは相変わらずの味だ。ルクルは自分がいちばん古臭い快適ゾーン、中世、宝石、人形、宿命、悲劇……に戻ってきた。そこに何度見たかわからない既視感まみれの演劇風スタイルが合わさる。感想は「まあまあ」しか出てこない。しかも本作のタイトルに「1st cut」とある通り、分巻販売はもう確定で、次の巻がいつ出るのかもわからないし、出た頃に自分が第一卷のストーリーを覚えているかもわからない。このスタイルが本当に好きなら、ルクルの初期作品を見るほうがおすすめだ。少なくともあっちにはもっと完全な物語がある。

本作の音楽は相変わらずめとが手がけているが、これまでと比べて明らかに気合が入っていない感じがする。正直に言えば、端材を寄せ集めて間に合わせたような印象だ。ネタ好きな連中が最もよく話題にする画風については、自分は特に文句はない。絵師は何年も前にこの道に踏み出しているんだから、好みはともかく、結局は本人のスタイルだ。昔みたいに他人の真似をしているよりはずっとマシだ。それに正直、この画風はストーリーとある程度合っている。相乗効果と言っていい。

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本作のストーリーは、さっき言った通り「ネタ切れ」だ。はっきり言えば、この『プトリカ 1st cut』はルクル色満載のテンプレートな物語で、ファンが本人より上手く真似できるやつ、つまり「ルクル文体模倣コンテストでルクル本人が二位に甘んじる」レベルだ。演劇風の会話、日本人が憧れる固定観念的な中世背景、そして「魔法」だの「魔女」だのといった要素。「魔女狩り」のような背景が少しばかりの衝撃を与えるかもしれないとしても、このゲームにはそれ以外何も残っていない。「宿命」「魔女」「復讐」「暴走」程度のものだ。ルクル以前の問題じゃなく、大手ブランドはともかく、十数年前に『11 eyes』というゲームがあって、その背景でもう似たようなことをやっている。ましてやこのゲームは全然話が広がっておらず、まだ1st cutで、2nd cutも3rd cutもあるに決まっている。final cutsceneまで何回cutを重ねるのかは、ゲーム企画とシナリオライターの個人の計画と良心次第だ。

実のところ、純粋な「商業」ゲームとしてなら、ストーリーについて自分は文句はない。金を稼ぐために生き残る、流れ作業の物語を出して、ファンも買うし、作者も小金を稼いで生活を改善する。悪いことじゃない。でもここでどうしても触れなきゃいけないのが、このゲームの最も抽象的で、最も耐え難い欠点だ。それはゲームの音・画・シナリオ表現を除いた、ゲーム「そのもの」の問題だ。

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要するに、このゲームの性能最適化、マジでひどすぎだろ。

自分のGalgame人生の中で、いわゆるバグの多いGalgameに出くわしたことは少なくない。でも「性能問題」で強い印象を残されたものは数えるほどだ。一部の日本の小規模スタジオが性急にUnityでGalgameを開発して、ゲームのリソース消費が跳ね上がることはあるけれど、まだ許容範囲内だ。以前『はるかかなた』というゲームがあって、何年も前にいち早く未成熟なElectronをエンジンに採用してGalgameを開発した。そこら中にあるメモリリークで、会社は一年間修正し続けても直しきれなかった。ゲームはほぼ必ず20分ほど動かすとメモリが爆発してクラッシュし、バージョン番号は十数回も飛び、最後には公式もこのゲームを見放して、プレイヤーに自己適応で動かしてもらうしかなくなった。

エンジン選びを間違えた『はるかかなた』と比べても、『プトリカ 1st cut』の最適化の酷さはさらに一段上のレベルにある。本作は斬新にも純粋な64bitの新エンジン、Light.vnを採用し、GPUアクセラレーションに全面的に対応している。理屈から言えばもっと良いパフォーマンスが得られるはずなのに、制作陣のスキルが低すぎるせいで、もっと深刻な結果を招いている。ゲームは執拗にGPUとVRAMを食い尽くし、同時にメモリにも多大な負荷をかける。推測だが、画像出力のテクスチャ圧縮をまったくやっていないのだろう。しかも制作側は演出効果を高めるためか、得意げに「手作り爆弾」みたいな特殊効果を大量に追加している。気まずい燃え盛る炎だの、メインメニューであれだけ何回も回るボタンだの、ありとあらゆる超高解像度の画像テクスチャだの。

でもこれらは全部「刀の柄に良い鋼を使った」ようなものだ。画面効果は本来ゲームの演出を強化するはずなのに、本作はまるで小学生がアニメーション効果を覚えたてに作ったPowerPointみたいで、「単独フェードアウト」だの「飛び込み・飛び出し」だの、かっこよく見えるけど実際ほぼ役に立たない特殊効果にこだわっている。なのにゲーム本体の立ち絵は相変わらず静止画だし、対話演出にもまともな絵コンテすらない。合理的でシンプルなズームでさえ雰囲気を作れていない。あれだけのシステムリソースを無駄に使って、メニューの回転のためだけって、あまりにも抽象的すぎる。

後に制作側はゲームのリソース消費が大きすぎることに気づいたのか、「演出簡略化」オプションを緊急追加したが、効果はやはりほとんど感じられない。ゲーム制作におけるいい加減さと経験不足がよくわかる。ましてやゲーム内の多言語表示バグ、そして自分がいくら見ても理解できない三つの「代替解像度」については言うまでもない。

そういえば、ゲームが簡体字中国語を引っさげて発売されたのは確かだが、翻訳の質は言葉にできない。濃厚な翻訳調はともかく、文字の欠落や抜けもともかく、脇役の女の子は本当に「花を摘みに行く」のであって「トイレに行く」のではないのか?

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実際のところ、『プトリカ 1st cut』が今の出来になっているのはまだマシな結果だ。発売前に、ルクルはboothで自分の古い同人ゲーム『クリアレイン』、別名『紙の上の魔法使い』の原型のリメイク版を期間限定で販売した。使ったのは今のこのLight.vnエンジンを改良したもので、練習台と見ていい。そのバージョンではゲームの挙動もここまで抽象的ではなく、演出効果も比較的素朴だった。『プトリカ 1st cut』を新エンジンの力で一鳴驚かせたかったのか、不必要な特殊効果を入れすぎて、こんな逆効果になったのだろう。

まとめると、『プトリカ 1st cut』は客観的に見て優れたゲームではない。ありきたりで不完全なストーリー、普通の原画と音楽、そしてGalgameカテゴリでは珍しいほど酷い性能最適化。この価格を考えると、ルクルにこれまでの分の金を払いたいのでなければ、買って遊ぶ価値はない。似たようなルクルのスタイルが好きなら、『ファタモルガーナの館』という別のゲームのほうが試す価値があるかもしれない。


良い点:

  • 簡体字中国語で同時発売
  • 非伝統的な語り口(演劇風)で、ルクルの味がある
  • めとと垌叶がいる(好きなら)

悪い点:

  • ゲームの性能最適化が極端に酷い

  • バグが多い

  • 話が短く、ルクルのこれまでの作品ほどの深みがない

  • 高すぎる

  • 垌叶がいる(嫌いなら)

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