『アイドル魔法少女ちるちるみちる 前篇/后篇』レビュー
アイドル魔法少女ちるちるみちる
『アイドル魔法少女ちるちるみちる』はグリザイアの果実と迷宮・楽園のスピンオフ。名前を見れば分かる通り、同じ世界観と設定を使った魔法少女の萌えゲーにすぎない。
それでも分からんというなら、まあ『Fate』本編と『プリズマ☆イリヤ』の関係みたいなものだ。
ネットでの評価は高くない。ざっくり分けるとこんな声が多い。
1、シナリオが陳腐で既視感がひどい。しかも抜けない。 2、プレイ時間が短い上に上下巻に分かれてる。しかも抜けない。 3、OPとEDの使い回しが多くて明らかに手抜き。しかも抜けない。 4、二本分の値段で高すぎる。しかも抜けない。 5、抜けない
なので一応弁明しておくと、このゲームはかなり良い。面白い。抜きたいならDave教授のオナニーチャンネルにでも行ってくれ。
シナリオはプリズマ☆イリヤと驚くほど似ている。ああ……脚本家がわざとやったのかもしれない。みちるが魔法少女、風見一姫がもう一人の魔法少女という設定で、二人の魔法少女にそれぞれ淫獣がつき、契約して七原罪の怪物と戦う。七原罪の怪物のコインを集め終えたら願いが叶う、という流れだ。

一姫の願いは当然、風見雄二の病気が治ること。みちるには特に願いらしいものはない。
魔法少女の出鱈目シナリオのはずなのに、エンディングで妙に真面目な展開が来て、しかもちょっと感動させられる。
そして最後は予想通り、というか。魔法少女もので、しかもW主人公の魔法少女ものなら核は百合だ。よりによってグリザイア三部作のスピンオフで百合をやらかすあたり、全年龄なのも納得である。

シナリオの構成にはアニメの表現形式が使われている。つまり各章はアニメでいう一話。その話の冒頭にOP、終わりにED、さらに次回予告と前回のあらすじまでつく。もちろんスキップできるが、俺みたいに全部見てもいい。ゲーム自体それほど長くないしな。
このアニメ的表现形式は星橋みたいな単なる見せかけじゃなく、ガチのアニメ構成だ。ゲーム全体でアニメ十二話分(実際は十三話、途中に2分だけの回が一本ある)、どの回も中身が濃い。この脚本を本当にアニメ化したら尺が合うのか、むしろ元々アニメ用の脚本だったんじゃないかと疑いたくなる。
大まかな剧情は本当に語ることもない。笑い路線一直線で、みちるの萌えと周囲のツッコミ、無節操なノリを極限まで突き抜けさせている。前に『グリザイアの果実』の感想で書いたが、あの作品は共通ルートが長すぎてツッコミも多すぎるから、独立したゲームにできると。だから『アイドル魔法少女ちるちるみちる』が作られたわけで、しかもグリザイアシリーズの暗い作風を完全にひっくり返して、純粋なギャグ&ツッコミ路線に振り切っている。黒歴史を抱えたキャラがこのパラレルワールドでは完全に楽しそうな少女になっているのを見ると、やはり少し嬉しくなる。

もやっとするのは主人公?(たぶん)風見雄二の性格が変わっていること。『ちるちるみちる』では雄二が暗い過去を経験しておらず、姉に手のひらで大事に育てられた結果……クソガキになった。
どれくらいクソガキかというと、もう本当にクソガキで、姉が苦労して手に入れた治療薬を「マズいから飲みたくない」と床にぶちまける始末。頭に来た一姫がスポンジで吸い取って絞り、無理やり雄二の口に流し込んでどうにか飲ませたという有様だ。

まあ全体として、このゲームのシナリオは本当に面白い。ギャグ作品として十分に完成度が高い。ネットでダメだの何だの言われているのは、まあ金儲けのにおいがするとか、背景とCGの使い回し、立ち絵の使い回し、あの落書きみたいなSDCGとか、そういう点が引っかかっているんだろう。もっと多いのは、シナリオが暗いはずだと思ってたらめちゃくちゃ娯楽寄りだった、というパターン。
一番多いのは抜けると思ったら抜けなかった、というやつだ……。
抜けないから何だというのか。果実も迷宮も楽園も、抜くところは十分すぎるほどあっただろう。明るい気持ちでギャグシナリオを見て笑うほうが、オナニーで暇を潰すより健康的で前向きじゃないか?

最後に、公式にはぜひ『アイドル魔法少女ちるちるみちる』をアニメ化してほしい。あまりにもアニメ向きだし、作ればプリズマ☆イリヤに負けない出来になるはずだ……
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