Linuxで『異環』を起動する方法と、それについての感想

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「二次元GTA」を自称する『異環』が配信開始されたので、暇だったのもあって真っ先に触ってみた。もちろんこのゲームは基本Windows向けで、ROG ALLY Xでもそれなりに動く。中設定なら50fps前後は確保できるはずだ。

じゃあLinuxではどうするのか。いろいろ試した結果、遊べることが判明した。しかもなかなか調子がいい。

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ゲームをやるならやはり互換レイヤーだ。『異環』のようなゲームは各種の暗号化技術が使われているので、こうした用途に特化したProtonの亜種としてdwprotonというものがある。

https://dawn.wine/dawn-winery/dwproton

Releaseページから対応するバイナリパッケージをダウンロードできる。個人的にはBottlesというフロントエンドでコンテナを動かすのがおすすめだ。flatpak版のほうが面倒が少なくていい。ダウンロードしたものをそのまま所定のパスに置けばいい。

/.var/app/com.usebottles.bottles/data/bottles/runners

同じようにこのrunnerをSteamに入れることもできる。SteamOSでもdwprotonで動くのは確認済みだ。公式サイトからダウンロードしたexeインストーラーを直接実行して、手順通りにインストールすれば完了する。SteamOSの場合はインストール後にショートカットのパスを修正する必要がある。

Screenshot From 2026-05-25 13-45-00.png

ここで大きな罠がある。『異環』のPC版インストーラーは、デフォルトでコンピュータの2番目のドライブ、つまりCドライブではなくDドライブにインストールしようとする。これがSteamOSだと厄介で、Steam Deckや類似の携帯機ではDドライブがTFカードになっていることが多い。よく確認せずにインストールすると、読み込み速度が激遅のTFカードにゲームが入ってしまい、体験が直に悪くなる。ここは要注意だ。

インストールが終われば起動できる。コントローラーも基本設定もサポートされているが、互換レイヤー経由だとFSRなどの対応は少ない。それでも遊べるには遊べる。Ayn Loki MAX 6800U、SteamDeck、ThinkPad Arc140Tの内蔵GPUノートで動かしてみたが、基本は滑らかで、1080pの中低設定なら50フレーム超えは問題ない。携帯機なら720Pでエフェクトを高めにするのがおすすめだ。

最後にこのゲームへの感想を。

以前『原神』をやってみたことがある。正直あれはなかなか良いゲームだ。一番評価しているのはドラゴンスパイン(龍脊雪山)で、ここは珍しく「シングルゲーム」っぽい探索マップになっている。一方で最大の不満は、いわゆる「大世界がスカスカ」なことと、資源獲得が退屈すぎることだ。中でも一番理解できないのが「すり抜け」だ。「天井」の仕組みがあるのに、なぜそこで一度すり抜けさせるのか。しかも「すり抜け」を不合理だと言う人はいないし、誰も疑問に思っていない。多くの人がガチャで金光を見た瞬間、狂ったギャンブラーのように「すり抜けるな」と祈っているのに、なぜすり抜けが必要なのかを問う人はいない。天井回数が増えるのは受け入れられるし、高めの定額価格を設定するのも受け入れられる。だが、その中間に「すり抜け」を挟む理由は何なのか。

これは「ギャンブラー心理」を利用したゲームだと思うしかない。好きなキャラを引くとき、最初にすり抜けたら「次は確定だから」と自分を慰めて、課金して次を引く。そのまま課金が続くわけだ。

このすり抜け方式は、後続の二次元ゲーにも影響を与え、みんなが当たり前に受け入れる奇妙な「業界標準」になってしまった。これは異常だ。

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だから『異環』が好きかどうかは別として、このゲームが率先して「すり抜け」を拒否したことを支持すべきだと思う。自分のお気に入りゲームの売上に影響するとか言って皮肉ったり文句を言ったりするのは違う。お前がそれを支持することは、お前が今遊んでいるゲームにも恩恵をもたらす。それに僕はずっと、売上厨が理解できない。過激なファンダムの販売数厨と同じで、搾取されて金を稼がれているのに、お前は喜んでいるのか?

次に、二次元ゲー界隈の競争激化に伴い、多くのゲームの設計がどんどん「シングル化」している。従来の「キャラを育成して深淵を周回して星を取る」というお決まりの遊び方とは違い、『鳴潮』『終末地』から『異環』へと、ゲーム内容はより面白い遊びを取り入れるようになってきた。高速戦闘を掘り下げたり、電線を引いてインフラを築いたり、オープンワールドの大都市を舞台にしたりと、プレイヤーがゲーム内でできることは増えている。ただ周回するだけではない。『異環』は細部にもかなり気を配っていて、遊びのアイデアの統合や会話の小技など、ぶらぶら歩いているだけでも楽しめる。

シナリオについては、年月の経過とともに「古参オタク」には人権がないらしい。『異環』は典型的な旧来の日本式二次元スタイルで、電波系の会話、口癖付きの復読機キャラ、漫画的なカメラワークなど、四コマ漫画の万事屋依頼みたいな話を作りたかったのが見て取れる。だが新しい世代の二次元ゲープレイヤーはこういう内容をまったく理解していない。彼らは「二次元ゲー」を卡通レンダリング風の伝統的なゲームとしか捉えておらず、シナリオでは「重苦しい」「大きなのが来る」といった宏大な語りのほうが受け入れられるらしい。日常的な話には「頭が弱い」「うるさい」「うざい」と感じる……。

この手のシナリオを頭が弱いと思うなら、大半の日常系学園ものエロゲーのシナリオだってそれと大差ないか、もっと酷い。世代の差としか言いようがないが、『異環』の制作陣が筋金入りの古参オタクなのはよく分かる。

最後に一番興味があるのは『異環』の開発パイプラインだ。GeekBayが案件動画で語っていたが、『異環』の大地図制作は「シムシティ」的な自社エンジンを使っていて、ドラッグ操作でAIによって都市の街並みを素早く作り、その後人間が細部を詰める。他にも『異環』の多くのサブシステムにAI支援の姿が見える。絵、看板、映画、一部ミニゲームのランダムルールなどだ。そしてAIを使っていることで反発の声も上がっている。

かつては僕もAIの産物が大嫌いだった。だが今はもっとオープンだ。銃器と同じで、AIに罪はない。悪いのはAIを使う人間だ。AIを正しく使って作業効率を大幅に上げ、遊ぶゲームのバージョン更新や新コンテンツを早く届けるほうが、延々と続く「磨き上げ」や「延期」よりよほど意味がある。

『黒神話:悟空』のプロデューサーのゲームに対する姿勢を思い出す。完成は完璧に勝る、と。時にはAIの力で自分のアイデアを素早く形にして、人に遊んでもらう。バグは多いだろうが、少しずつ直せばいい。面白ければ新しいモードにもなる。こうした対話を保つ、アジャイル開発っぽい作り方が、このゲームをより面白くしていると感じる。

ニコニコの小賢しい連中が『無限大』のほうが上だ、すごい、優れていると言い続けているが、問題はそこだ。お前、遊んだのか?


この記事は『異環』の配信開始から数日で書いたものだが、今はSteamにも出るらしいのでもう少し楽になるかもしれない。ただ、国服を遊ぶならこの方法がまだ必要だろう。

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