Acer Chromebook C720 に Ubuntu を入れてみた作業ログ
Acer Chromebook C720 は Chromebook なので、当然ながら中身は Chrome OS だ。
Chrome OS 自体は別に悪くない。ただ、ひとつは俺が Firefox ユーザーだということ、もうひとつは Chrome OS が初回起動時にネット接続を要求してアクティベートを挟んでくること。
アクティベートは ChromeCast のときと同じで、VPN を噛ませて抜けたんだが、そのせいで Google アカウントをロックされて「ログイン IP が異常」とか言われた。もういい、もういいよ、そんなのいじる気も起きないので、さっさと消して Linux を入れることにした。

Chromebook にフル Linux を入れるのは別に珍しい話じゃない。Chroot でシステムごとシームレスに切り替える手法もあれば、俺みたいに Chrome OS を問答無用で潰して入れ直す手法もある。前者と後者は使用感として大差ない。単に俺に潔癖と強迫観念があるだけだ。
ArchLinux の Wiki には C720 への Linux インストールについて詳しい解説がある。まずは開発者モードを有効にして、その開発者モードのコマンドラインから Legacy BIOS サポートを有効にする。
# crossystem dev_boot_usb=1 dev_boot_legacy=1
有効にすると、起動のたびに Ctrl + L を押せば BIOS に入って SSD か USB からブートできるようになる。インストールも同じ要領で、起動ディスクを作って起動すればあとは入れるだけだ。
標準の C720 はストレージが 16GB しかないが、筐体を開けて mSATA の SSD を換装するのは簡単だ。安い 64GB のを買ってくれば十分。分解動画は Youtube にいくらでも転がっているので、見よう見まねでやればいい。
ディストリビューションは Elementary OS、Fedora、Debian を試した。最初のは別に悪くないんだが、ウィンドウマネージャがどうにも馴染まない。Fedora はとにかく不安定で、Gnome-shell が1分近く固まることもあった。性能的な限界だろう。Debian は面倒すぎる。ドライバを全部やり直さなきゃいけないし、入れてみたら結局 Gnome-hell で Fedora と大差ない。最終的に Ubuntu に落ち着いた。Unity は小さい画面の使い切りとしては優秀だ。
Ubuntu Linux のインストール自体は普通のノート PC と変わらない。4.0 以降のカーネルのディストリビューションなら、入れ終わればドライバも全部通る。ただし、タッチパッドがすこぶる使いにくく、画面は白っぽく、音量調節にも少し問題があることに気づく。
まずタッチパッドのドライバ。Chrome OS は土台が Linux でありながら Synaptics ドライバではなく独自のものを使っている。そこで誰かが Chrome OS 側のタッチパッドドライバを抽出して一般の Linux ディストリビューション向けに再ビルドし、Chrome OS 下と同じ絹のような滑らかさを実現した。
プロジェクトの場所はこちら:https://github.com/hugegreenbug/xf86-input-cmt ページ下部に PPA が用意されているが、PPA をそのまま入れても意味がない。カーネルにパッチを当てる必要がある。
カーネルパッチは Github のドキュメントを参照してもいいし、誰かが用意したスクリプトを使ってもいい。このスクリプトも当然ながら VPN が要る。Ubuntu Linux なら、自分のディストリビューションが LTS 14.04.2 でないことを確認しろ。このバージョンだとカーネル名が kernel 3.19 -utpotic みたいな名前になっていて、スクリプト側には UT 代号のサフィックスが書かれていない。そのせいで bash のディレクトリ名判定が失敗し、CD コマンドが実行できなくなる。コンパイルを成功させるにはいちいち書き換える必要がある。
スクリプトは以下の通り:
wget http://goo.gl/kz917j
bash kz917j
その後、設定ファイルを作る:/usr/share/X11/xorg.conf.d/50-cros-touchpad.conf
Section "InputClass"
Identifier "touchpad peppy cyapa"
MatchIsTouchpad "on"
MatchDevicePath "/dev/input/event*"
MatchProduct "cyapa"
Option "FingerLow" "15"
Option "FingerHigh" "15"
EndSection
詳しい設定手順はこちら:
https://www.reddit.com/r/chrubuntu/comments/20b7np/acer_c720_trackpad_with_ported_chrome_driver/
これでタッチパッドが使えるようになる。ついでに reddit には各種問題の修復方法が詳しく載っている。どれも難しくはないが、とにかく面倒だ:
http://www.reddit.com/r/chrubuntu/comments/1rsxkd/list_of_fixes_for_xubuntu_1310_on_the_acer_c720
そんなわけで、みんな時間は貴重だ。こんな面倒なことをわざわざやる気はしない。そこで大緑虫(hugegreenbug)なる達人が C720 向けの各 Linux ディストリビューションのバカチョン版を用意してくれている。インストールするだけでパッチ作業の大部分を省ける。拍手を送ろう:
Ubuntu 14.04: https://www.distroshare.com/distros/get/12 Xubuntu 14.04: https://www.distroshare.com/distros/get/14 Lubuntu 14.04: https://www.distroshare.com/distros/get/16
まだ足りないならもっとある https://www.distroshare.com/distros/category/16/
システムは全部 64bit だ。C720 はメモリ 2GB しかないのに、と思うかもしれないが、Ubuntu Wiki によれば:
Unless you have specific reasons to choose 32-bit, we recommend 64-bit to utilise the full capacity of your hardware.
C720 の CPU は Celeron シリーズだが、性能は悪くないし 64bit にも対応している。

Ubuntu Wiki の言う通り、ハードウェアサポートやドライバの問題、その他特別な事情がない限り、64bit でもう問題はない。少なくとも Linux に関してはそうだ。
俺が入れたのは Ubuntu Linux 14.04 で、デフォルトで 3.19 カーネルに更新されていた。中国語の言語パックを入れてからは問題ない。だがそれでも、使用感を大きく損なう要素がひとつ残っている。画面だ。
Acer C720 は 1366X768 の TN パネルを積んでいる。NTSC 色域は 43% しかないが、それでも果物屋の MBA 11 とだいたい同じレベルだ。果物屋が我慢できるなら C720 もそこまで酷くはないはずだ。そこで色調整ファイルを探すことにした。
するとある達人が自分のスパイダー測色器で ICC ファイルを作ってくれていた。適用すると明らかに色が落ち着いた。
https://github.com/jquagga/AcerC720/blob/master/N116BGE.icc
そんなこんなでだいたい片付いたあと、C720 の出来には満足している。バッテリーは余裕で7時間持つし、軽くて薄いし、画面もそこまで辛くない。気が向けば開けてアップグレードもできる。キーボードの手感は MacBook Air に近くて悪くない。右上に Del ボタンがなくて電源ボタンしかないレイアウトを除けばな。あ、そうそう、C720 の Wi-Fi はデュアルバンドだがこれがまたクソで、ダウンロード中によく固まる。ただし Web 閲覧には全く影響がない。不思議だ。
C720 は蓋を閉じたときのスリープランプも正常に動く。これは意外だった。

というわけで、600元で拾ってきた持ち歩き用 Linux 端末ノートの話だった。概ね満足している。少なくとも MBA 11 や NMB(New Macbook)を買うよりはるかに安い。
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