『恋する夏のラストリゾート』レビュー
微妙な逆バケツ効果:恋する夏のラストリゾート
文学青年にこんな言葉がある。「人生には一度、思い立ったらすぐ旅に出るべきだ。荷物を背負ってそのまま旅路につき、都会の喧騒から離れて心の平穏を求める」と。
実際、この言葉はなかなか理にかなっている。遠出しても、あれこれ計画やら考慮やらで本来の楽しみを失ってしまうことはよくある。だからこそ、何も気にせず一度旅に出るのは、確かに人のストレスを発散させてくれる。
でも残念ながら、俺は旅行が好きじゃない……
おっと、正しくは天朝を旅行中、と言うべきか。
観光が嫌いな理由をたどると、子供の頃のトラウマに行き着く。もう忘れていたことなのに、この前クソみたいなマッチングアプリの女と話していて思い出してしまった。
小学生の頃、父が職場の旅行団に混ざって長島へ連れて行ってくれた。あ、いや、正確には「リゾートで休暇」と言うべきか。
もちろんその頃の俺は海を見たことがなかった。長島って地名はどことなく日本の名前っぽいけど、実際は山東省のほうだ。最初はすごくテンション上がってたけど、すぐにその興奮は拷問に変わった。
我々は列車で行ったので、鄭州から列車で山東省へ向かい、さらに海岸まで辿り着くだけで二日以上の体力を消耗した。二日は短くはないが、列車の中に缲り付けというのは事実上の軟禁だ。食事はインスタント麺頼み、寝台にエアコンもなく、絶え間ない揺れでとにかく退屈、そしてヘトヘトになった。ようやく長島に着いてみると、当時のその場所には何もなく、ただ小さな島々が集まった群島で、海があり、木があり、山があり、アパートがある、それだけだった……
初日から山登りに連れて行かれた。島で山登りって奇妙に思えるかもしれないが、ガイド曰くそこは絶景らしい……
山頂まで登りきると、誰かが教えてくれた。遠くの山に向かって叫べば、少しは気分が楽になるよ、と。
「この~~野郎~~~~」
俺は長島にある、今では名前も思い出せない遠くの山に向かって叫んだ。
「ふ~~ざ~~け~~る~~な~~」
山の向こう側が迷いなく応答を返してきて、それが余計に俺を苛立たせた。
本来なら世間から隔絶されたような小島に来ればロマンチックで心地いいはずなのに、残念ながら着いて二日もしないうちに天気が崩れた。外では波が吠えていて、俺たちはアパートに籠もってトランプをするしかない。しかも俺は闘地主(ドゥディージュー)のルールを知らないから、もっと退屈なテレビを見るだけ。テレビはチャンネルが二つしかなくて、その時期はニュース番組の女性キャスターを見るだけで勃ってしまうほどだった。そして最終日、空は晴れて、海辺を少し歩いた。特にこれといった感慨はなかった。それと同時に、父が帰るぞと言った。
最初に「帰る」と聞いたときはけっこう興奮した。ようやくこの悪夢から抜け出せると思ったからだ。だがすぐに思い出した。帰るにはまた列車に乗らなければならないということを。
鄭州駅で最後に降り立ったとき、自分がどんな状態だったかはよく覚えていない。ただ、当時の感想を一言で言うなら、もう二度と旅行なんかするもんか、だった。
実を言うと、あれからというもの、俺は一度も旅行していない。たとえ今の旅行環境が当時より少しマシになっていたとしても、だ。
多くの人が、旅行は最高のストレス解消法だと言う。仕事から離れ、誰も自分のことを知らない場所へ行き、未知の領域を探り、雄大な山河を眺める——確かにリラックスできる。
しかし俺の目には、今の観光は人混みの中で火鍋を煮込んでるだけにしか見えない。
もちろん、最近は仕事の都合で、短いながら一応旅行と言えなくもない外出を何度かしている。ただ行き先は貧困県で、県内には山があった。その山の頂上で、長島のときにガイドが言っていた言葉を思い出した。仕事で気分が塞いでいたこともあり、もう一度試すことにした。
ただ今回は、子どもの頃みたいにマヌケな真似はしない。相手の名前もちゃんと書く。
「主~~任~~」、周りに誰もいないのを確認して、安心して叫んだ。「お前~~は~~~バ~~カ~~だ~~な~~」
遠くの山はすぐに応えてくれた。ただ、答えがちょっとおかしかった……
“ご~~主~~人~~様~~は~~バ~~カ~~な~~ご主~~人~~様~~ご主~~人~~様~~は~~豚~~バ~~カ~~ご主~~人~~様~~豚~~ご主~~人~~様~~は~~~あ~~~な~~~た~~~は~~~バ~~カ~~な~~ご主~~人~~様~~”
反響が多すぎて音が重なり合っていたが、それでも地聴の良い俺には甚大なダメージを与えた。
だから、旅行やストレス解消なんてものはもう信じない。どんな遠くの島へ行こうが、孤独な山頂へ行こうが、手に入るのはガラクタばかりだ。とはいえ、それがギャルゲー会社が「島リゾート」を題材にゲームを作るのを妨げるわけではない。

島リゾートもののギャルゲーって実は結構あって、しかも人気ジャンルでもある。まず世界観が狭いから、適当に話を作っても破綻しにくい。それに島と聞けば誰だってまずビーチに水着って連想するわけで、サービスカットを売り込むのも楽だしな。
なので、砂浜水着をテーマにした『恋する夏のラストリゾート』も当然ちょっと夏っぽい感じを醸し出してくれる。正直に言うと、このゲームの設定はかなり普通だ。観光客に「本当のくつろぎと癒やしを感じてもらう」ためのリゾートを作りたい女将が、ウェイトレスやコック、そして肉体労働者を雇い、自分のリゾートの開業に向けて努力する。主人公はただ金に困った大学生で、あちこちでアルバイトを探し回り、最後にはヒロインの助けを借りて、彼女の「偽の彼氏」という身分でコネ入社してこのリゾートで働き金を稼ぎ、そして最終的にはここで働くウェイトレスと付き合うという話だ。ここでのバイト代は一日25000円、マジで天国のような仕事じゃねえか。しかし不思議なことに、主人公はずいぶん長く働いても、このリゾートにはまったく客がいないことに気づく。女将に聞いても正面から答えず、逆に主人公と各ウェイトレスに三章を約束させ、毎日個別に女将へ日報を提出するよう求める。日報の内容には仕事の観察もあれば、個人的な心情日記のようなものもある。

実はゲーム序盤は、主人公がなぜこの島にバイトに来たのかを紹介するだけの、ごく普通で平坦な展開。本当の引っかけは、リゾートで働く人がこんなに多くて給料も高いのに、客が一人もいない、という時点で現れる。
男主はとても疑問に思った。なぜだ?
実は俺も不思議に思ってるんだよな、なぜ?
こういう設定、完全に探偵ドラマでよくある島の環境設定だよね?

一般的なギャルゲーのお約束なら、この老板娘の裏にはとんでもない展開が隠れているはずだ。殺し合いが始まって学級裁判かもしれない?ここが富豪に囲われた淫乱マンションだと発覚するかもしれない?ここが実は誰かを飼育するための場所だと判明するかもしれない?
だが、ゲームは妙な答えを返してきた。それが、女将さん自身に欠けている自信だった。
女将はこのリゾートを何とかしたいと考えている。しかし本当に優れたリゾートなら、人は楽しさとくつろぎ、そして癒やしを感じられるはずだ。だから今のリゾートに女将はあまり満足しておらず、自分ではリラックスや癒やしの効果など出せないと思っている。完璧主義の彼女は、精神状態に多かれ少なかれ問題を抱えた女の子たちを厳選し、スタッフとしてここに連れてきた。彼女たちはストレスを抱えすぎていたり、内向的すぎたり、心が乱れていたり、自分を制御できなかったりする。仕事を割り振りながら、毎日自分の感情を報告するよう求め、そんな彼女たちを観察して、癒やしやくつろぎを得られたかどうかを見ている。
時には、女将自身もそれで大きなプレッシャーを抱え、女性従業員に当たることもある。

「うちのリゾートが本当に癒やしになるなら、この子たちだって自然と癒やされるはずよ」――それがオーナーの考えだったわけだが、実はオーナー自身が強迫観念にどっぷり浸かっている。ここに来てようやく分かった。これ、オーナールートの伏線だわ。
女将が完璧主義すぎてリゾートがいつまで経ってもオープンできない、という理屈は分かるし、聞いてるとそれっぽくも聞こえる。
だが、さすがにこれは強引すぎないか?
俺に言わせりゃこんなクソ設定、最初から要らねえんだよ。さっさとバイトして、恋するところは恋して、ヤるところはヤればいい。仮に女将が店をうまくやれる自信がなくても、開店後いくらでもこのフラグは回収できる。女将ルートの伏線のためにわざわざこんなもんをぶち込む必要なんて微塵もない。だが、この一幕がなくなったら、このゲームには何も残らねえんだよな。

『恋する夏のラストリゾート』のゲームボリュームは決して短くない。主人公とヒロインが最初に互いを知るところから、ここへ働きに来て、最初は偽の恋人同士を演じ、やがて本当の関係が露呈し、正式に付き合うことを決め、付き合った後のあれこれのイチャイチャまで——長い恋愛線がこのゲームの恋愛の甘さを保証している。そしてヒロイン Umi の CV 中島沙樹も非常に輝いていて、女の子のかわいさを見事に余すところなく表現している。

でも恋愛ルート以外は、日常パートがとにかく…………退屈すぎる。
一般的なギャルゲーの日常パートには小ネタがいくつか入るものだが、このゲームにはほぼない。普通のガールズトーク、そしておはよう、こんにちは、こんばんは、朝飯、昼飯、晩飯、ふふっじゃあね風呂入るね、という流れだけ。一日二日ならまだしも、何日も続くと眠くなる。脚本家が退屈させまいとわざと勿体ぶって引っ張る気持ちも分かるが、その引っ張り方があまりに大きすぎて、最後まで行っても別に盛り上がらない。

攻略可能なヒロインは結構多いみたいだ。ヒロインのUmi、リゾートで働く他の女の子たちにもルートがあるし、老板娘にだってルートがあるはず。たとえ本編になくても、続編のFDにはあるだろう。そう思うのは、俺がUmiルートしか進んでいないからだ。何しろ彼女のルートこそがゲームの正統派。最初の出会いから、偽の恋人関係を演じ、最後にはそれが本当になり、バイトが終わって島を離れ、思い出を残して男主と結ばれる——正常な恋愛物語なら、こう展開するのが確かに正しい。そんなメインの筋立てなのに、男主がいきなり島で心変わりして、ましてや老板娘に手を出したりしたら、どう見ても不自然すぎる。
このゲームは評価に困る。というのも、これといった問題がないんだ。絵は良好、CVも普通、音楽はゲームの方向性に合ってる。特にDucaのOP太陽とキミとは、フラダンス風の夏の海を感じさせるのに十分で、ゲーム全体のOSTもそのスタイルを貫いてる。シナリオは……あのミステリー要素は正直退屈だけど、クソ展開を食わされるわけでもないし、これ以上文句をつける余地もない。
でも、このゲームにはどうしても「ちょっと良い」と思える感じが持てなかった。しかも批評空間でのこのゲームの位置づけには、なおさら首をかしげてしまう:

『恋する夏のラストリゾート』は真っ先に「抜きゲー」とレッテルを貼られた。要は抜きゲーってことなんだが、俺から言わせりゃこのゲーム、どう見ても抜きゲーには見えない。何しろ、もっと抜けるゲームなんていくらでもある。戀愛少女与笨舞台しかり、星织梦想未来しかり、大图书馆的牧羊人しかり、挙げ句の果てには魔女聚餐まで、実用度で言えばどれもこのゲームより上だ。『恋する夏のラストリゾート』はパコパコする時にホワイトフラッシュすら入らないし、ましてや「ズチュパチ」みたいな効果音なんて以ての外。なのにどうして抜きゲー扱いされるんだろうな?
後から考えてみれば、このゲームはグラフィックも音楽もCVもシナリオも、これといった欠点はないんだけど、逆にこれといった見どころもない。ギャルゲーの波の中では、見どころがなければほぼ売りが失われる。神展開があれば当然神ゲーになれるし、たとえクソゲーでも進んで食う奴はいる。アニメのCharlotteみたいなもんで、クソを捏ね上げても話題にはできるんだよ。

結局、この『恋する夏のラストリゾート』は神ゲーでもなければクソゲーでもない。シナリオが悪いと言いたくても恋愛パートはちゃんと甘いし、凡作だと言いたくても、あのどうでもいい置き手紙的な伏線を除けばどの面でも短所が見当たらない。なによりもなによりも大事なのは、絵柄もいいし音楽もいい。ただ、悪いのは絵師が無名で、編曲者もさほど有名じゃないことだ。一言でいえば、議論のネタもツッコミどころもない。そのせいで多くの萌え豚評論家はお手上げ状態なのだ。
最後にようやくこいつの見どころを見つけた。このゲームのP具合、俺の見間違いじゃなければ3Pどころか、全裸の乱交まである。
海辺だし、無人島だし、女ばかりで男が少ないし……しかもエロゲーマーだし……こういう展開はちょっと考えればすぐ作れるネタで、それがこのゲームで唯一売りに出せる売り物になってしまった。
「樽の理論」という言葉があって、物事の短所がそのレベルを決めるという。だが『恋する夏のラストリゾート』の場合、短所はどれも同じ長さで、ただ「多P」だけが唯一ひときわ長く突き出た板になっている。
ゲームを評価するときは、「逆木桶効果」を使ってみるのも時にはありだ。
「お前はもう抜きゲーって呼ぶわ!」エロゲーレビュアー連中は『恋する夏のラストリゾート』にレッテルを貼り、ほっと一息ついた。これで自分たちの輝かしいエロゲーレビュー人生に、濃厚な新キャリアを一つ書き加えられる。今後は5chの厨房どもを前にしても、さらに面目が立つというわけだ。
だがあのゲームがこんな風に雑に定義されてしまうのは、やっぱり気まずい。
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