『円交少女 ~陸上部ゆっきーの場合~』レビュー
十三号天使
高校の頃、聞いた話がある。うちの学校の隣のクラスに、金をもらって他人とセックスする女の子がいるらしい、と。
「ほら、あの子だよ」 当時の隣の席のやつが、隣のクラスの女の子の後ろ姿を指差して、以前俺に語っていたこの「学校の秘密」の主役を教えてくれた。
正直に言うと、その子の顔は後で見たことがある。可愛くはない。唇が厚くて、でも痩せていて、肌は白くて、ポニーテールで、よく笑っていた。
俺が一番感じたのは、こいつがそんなことをするなんて信じられない、ということだった。
彼女についての噂は絶えなかった。よく男子が俺にこんなことを言ってきた。
「うちの学校、校番がいるんだぜ」
「誰だよ」
「あの………………小雪だよ」
何度も聞くうちに、俺も少し興味が湧いた。
「なんであいつがそうだって分かるんだ……」
「見たやつがいるんだよ」
「何を見たんだ」
「夜、教室で、男と、やってるとこ」
「でも……」俺は疑問を口にした。「本当に金もらってやってるのか、確かなのか?」
「絶対そうだろ……」相手も困惑し始めた。「ほら、あいつがよく買うもの、あんなに……いいものだし」
そう言われて初めて、あの子が確かに金回りが良さそうだと気づいた。当時高1の生徒なのに、もうソニー・エリクソンの中堅スマホを使っていた。
でもそれだけでどうにかなるわけじゃない……しかも、教室で誰かとやってるのを見たという話も、俺はいくつも違うバージョンを聞いていて、誰が見たのかも確認できないし、中には矛盾した話もあった……
翌年、クラス替えで俺は理系を選び、あの子と同じクラスになった……
彼女についてもう少し分かった。そして、想像と全く違うことが分かった。どう見ても、彼女はそんなやつには見えなかったし、そんなことをする時間なんてどこにもなさそうだった……
なぜなら、勉強ができすぎる……しかも……ずっと本を読んで勉強していて、外で遊び回るような気配が全くなかった……
それでも彼女の噂は声が小さくなっただけで、消えはしなかった。
みんな遠くから彼女の後ろ姿を見て、あの女はビッチだと憤っていた。
「もし本当に……その、あれなら……金持って行って一度やってもらえば……分かるだろ」
この提案に誰も応じなかった。噂を流す連中は相変わらず女の子の後ろ姿を見て罵っていたが、俺はその目に少しの悔しさを見た。
時々思う。彼らも彼女が売春婦だとは信じていないんじゃないか。でも噂があるから期待してしまって、むしろ彼女と関係を持ちたいと思っているんじゃないか、と。
高三になってもクラスは変わらなかったが、彼女についての噂は完全に消えた。噂が自然に消えたのか、それとも別の理由かは分からない。でもあの男子たちの狼のような目は忘れられない。その目には……欲望が溢れていた。
「女とセックスするのを嫌う男はいない。もし目の前の女で勃たないなら、それはお前がその女を嫌っているだけで、女が嫌いなわけじゃない」
高校の時、クラスの「黄品源」と呼ばれていた呉君が、こんな意味深なことを言った。今でもこの言葉は正しいと思う。
でも逆は成り立つのか? 女も男と同じように、あんな欲望に満ちた目を持つものなのか?
「考えてみろよ……ベッドに縛られて、自分よりはるかに強い男に押さえつけられて動けなくされて、そいつのでかいのを体に突っ込まれたら、どんな気分だ」
俺はかつて、一緒にWorld of Warcraftをやっていたギルドの既婚女性に、こんな質問をぶつけたことがある。
想像してみて、めちゃくちゃ怖かった……そして気づいた。これ、どこかおかしい……
「違うだろ? 俺は男だぞ、なんで別の男に突っ込まれなきゃいけないんだ?」
「女が嫌いな男に無理やり関係を強要されるとき、その侵犯される感覚は性別とは関係ないんだよ」
確かに一理ある……押さえつけられること自体がすでに侵犯される側になることで、許可なく他人に自分の体に入られることは、おそらくより大きな尊厳の喪失をもたらす。
もし本当に金で体を売る女の子がいるなら、不確かな別の何かが体に入ってくることに直面するとき、それはさらに大きな恐怖とプレッシャーをもたらすんだろうな……
自分を完全に捨てて、尊厳を諦めない限りは。
中学の頃は体を売って金に換える話はまだ噂に過ぎなかったが、大人になってからの方がそういう話はむしろ激しくなった。海天盛筵、5chの寝取られスレ、ダゲールの旗、各種出会い系アプリの隆盛。生々しい事例の数々は、社会に本当に体を売って金を得る女の子がいることを示している。
そういう子に一番近づいたのは、恋愛を求めて誰とでも寝るようになった女の子を知った時だ。でも今はもう結婚している。しかも彼女はヤリモクだっただけで……体を売ったわけじゃない。
体を売ることは、ほぼ尊厳を売ることと同じ。人間が生きていく上で尊厳が一番大事だと俺はずっと思っている。本当にどうしようもなくて、最後の資本を売って金を得るしかないなら、それは仕方なくやることなんだろう。
「テレビも映画も雑誌も、こんな話ばかりやってる。 ホテルで働くのは現実に追い詰められてのこと。 やむにやまれぬ事情や家計のためで、 そんなことをしたがる女の子なんていないと信じてる」
『十三号天使』は曲名で、ラッパーのMC Hotdog、分かりやすく言えば「哈狗帮」と言った方が通じる人の歌だ。この言葉はまさにこの曲から来ている。
歌は援助交際をするホステスの、社会における現実と状況を描いている。面白いのは、「援助交際」という言葉の起源が日本にあることだ。
「援助交際」の本来の字義通りなら、女の子が金を得るために年上の人と交際することを選ぶだけ。字面に性取引の意味はないが、世の中にタダの昼飯はない。結局消費されるのは、女の子の青春と体だ。
「援助交際」の項目を眺めながら社会の暗さを嘆こうとしていた時、あるニュースが目を引いた。タイトルはもう覚えていないが、たぶんAV女優の引退後の仕事についての話で、内容は今でも覚えている。
「ほとんどのAV女優は、一度豊かな生活を手に入れると、努力して働いてようやく得られる給料との落差を受け入れにくくなる」
頭に浮かんだのは、X(旧Twitter)にいたパパ活女子たち。毎日の投稿は華やかな生活がほとんどで、自慢しながらパパの太っ腹を称え、自分が性取引をしているかについては口を閉ざしている。後にニュースで報じられて、初めてそういう知られざる事情が分かった。
そして分かったことがある。この世界には本当に尊厳を売って金を得ようとする人がいる、と。怠け者の彼女たちは、他の何かを払おうとしないから……
俺がそういうことを……理解しているレベルは……たぶんこの程度だ。でも最近あるゲームをやって、もしかしたらもう少し多くの問題を説明できるかもしれない。
ゲームの名前は『円交少女』、サブタイトルは「~陸上部ゆっきーの場合~」。最初は円交が日本語の援交の言い方かと思ったが、ただの面白い当て字だった。ゲームは抜きゲー会社frillの今年の新作で、この会社のゲームは一応俺もやったことがある。あの「聖娼女」だ。常識的に考えれば、抜きゲー、しかも援交女子を主役にした抜きゲーは、普通のエロ小説と同じように、売って、喋って、それで終わりのはずだ。
でもこのゲームは全然違う……まさかのちゃんとしたストーリーだった……

物語はヒロインゆっきーの視点から始まる。ゆっきーは孤独な女の子で、成績も良く、陸上部のかつてのエースだったが、体の事情で陸上を諦めた……
ゆっきーに友達はほとんどいない。唯一親しかったのは、中学の時に知り合ったまこという女の子だけ。
まこはとても不器用な子で、勉強もできず、存在感もなく、よく無視されたりいじめられたりしていた。中学卒業後、まことはゆっきーは別の学校に入り、新しい学校でゆっきーは異常なほど寂しさを感じていた。ある日、ゆっきーはまこを思い出す。ゆっきーにとって、まこは唯一の友達だったのかもしれない。でもLINEでまこを見つけて、ゆっきーは少し驚いた……
今のまこは髪も染めていて、よくX(旧Twitter)で惚気ていた。
ゆっきーは何かの手段でまことは連絡を取り、会うことになったが、まこの暮らしぶりはあまり良くなかった。
さらに驚いたのは、まこの彼氏というのがキャバクラのホストで……しかもまこは彼氏に多額の借金をしていて、返済のために援交をしているのだった……
ゆっきーはしばらく受け入れられなかったが、それ以上にまこを不憫に思った。
二度目の再会の時、まこはついに追い詰められた。一日で30万円用意できなければ殺されると。そしてまこを援交相手にしていた男が、色っぽい目でゆっきーを見て、瞬時に30万の値をつけた……
まこの懇願する目を見て、ゆっきーは自分の絶望と退屈な生活を思い出し、最初の一歩を踏み出した。

そこからの展開は普通の抜きゲーと同じだ。体を売ることは一回やれば二回目もある。しかもゆっきーのような社会経験ゼロのやつは、いろんな男に騙されて翻弄される。写真を騙し取られたり、使用済みの服を騙し取られたり。唯一の親友まこもゆっきーを助けられず、二人で一緒に援交までする。ゆっきーもここでどんどん深みにはまっていく。物語の後半、特にまこが「一緒に円交てしょう」と言った時、俺はもうまこの違和感に気づいていた。まこはゆっきーが自分のために体を売り続けることに全く罪悪感を示さず、むしろ次々と新しい仕事をゆっきーに紹介していた……
完全に俺がポン引きになった気分なんだが?
それでもゆっきーはまことの友情のためにその仕事を続け、やがて援交が学校の教師にバレて脅され、さらに他の生徒にもバレて、また脅される。
その間もまこは絶えずゆっきーに新しい客を紹介している。

この頃にはゆっきーにも辞める気持ちが出てきていたが、それでも嫌々ながら体で金を返し続ける。しかもここでゲームは面白い描写を入れてくる……ゆっきーが援交で主導権を握り始めるのだ……
どう言えばいいか、もう援交の時に別の自分を演じることを覚えていて、少しドSにすらなっていて、学校の別の生徒に脅されても、逆に楽しむような心境になっていた。
欲望を求める男は最も脆いと言うし、男性器を掌握できる女は男を翻弄できる。どうやら本当のようだ。
ゆっきーは、何人かの男を喜ばせるだけで大量の金がすぐ手に入る、これって実はいいじゃん、とさえ気づき始め、少し楽しみにすらなっていた。
幸い、最後にゆっきーが卒業する時、新しい陸上部の先生と再会し、先生の言葉に啓発されて、ついに完全に足を洗うことを決意する……
もちろん足を洗う前に、まこに誘われて最後の援交をすることになる。しかも複数プレイ、直視できない。
最後にゆっきーは無事卒業し、自分を脅していた教師も他のことで露見してクビになり、もうゆっきーを脅かす者はいなくなった。
本来なら、物語はここで終われば良かった。でもゲームの最後にどんでん返しが来る。
まこは彼氏とキャバクラでパーティーを開き、まこは誇らしげに、ゆっきーのおかげで自分と彼氏はキャバクラのポン引きのトップになれた、と言う……
つまり最初から全部が詐欺で、ゆっきーはまことに連絡を取った瞬間から、相手の獲物になっていたのだ。自分が友情だと思っていたものは、相手にとって金に換えるための道具に過ぎなかった……

「お前の……親友だろ? なんで援交させたんだ?」
まこの彼氏も見かねて、思わず問いかける。
まこの答えは意味深だった。ゆっきーは寂しいから……そして今のゆっきーは、たぶん簡単に金が入る生活に慣れてしまっているから……
「将来、ゆっきーがまた寂しくなった時、また俺のところに戻ってくるかもしれない……」
まこはそう言い残し、ゆっきーはもう過去には戻れないことを示した……

どう言えばいいか……
このゲーム、どう見ても抜きゲーなのに、わざわざこんな胸糞悪い要素を入れてくる……本当に……聖娼女と同じく、円交少女にも暗いものがたくさん詰め込まれている。描き方は浅いが、とても現実的だ。テンポが速いのも理解できる。何せ抜きゲーで、みんな早く抜きたいのに、20時間も日常パートをやられたら、抜く頃にはすっかり冷めてしまう。でも最後の結末は意外だった。途中で俺も気づいてはいたが、まこの彼氏がポン引きだということだけを推測していただけで、本当の黒幕がまこだったとは。時々おかしいと思う。社会の現実に近いものを、抜きゲーを通してしか見られないなんて。まともな作品はおとぎ話すぎるのかもしれない。
実はゲームのシナリオには語られていない重要な内容がある。まこの本音、そしてまこがパコになるまでの日々に、一体何があったのか。
幸い、ゲームのEDである茶太の歌うNullが、その答えを教えてくれた。
この曲全体が、まこが堕ちる前の姿を映しているのかもしれない。何もできない女の子が、こんな姿でしか社会に堕ちていけず、社会の暗部の一員となり、やがてそれを楽しむようになり、同時に自分の苦しみも喜びも友人と分かち合った。
ゲーム全体を振り返ると、正直シナリオはそんなに厳密とは言えないし、抜きゲーのサービス的な痕跡も明らかだ(当たり前だが)。でも抜きゲーの中では珍しく、現実に寄り添った物語を語ろうとした独特な存在ではある。同時に社会の残酷さ、そして多くの女の子のやりきれなさも教えてくれる。
この世界には確かに体を売って金に換える女の子がいて、金を払って女の子の体を買う男もいる。
男はそういう女性に対して、ゲームの客がゆっきーに向き合うように、一方で無理やり侵犯しながら、侵犯するうちに彼女に屈服させられていく。
また高校時代のあの男子たちと、よく男子たちに後ろ姿を指差されて売春婦と罵られていた女の子を思い出す。
男子たちは女の子を下品で卑しいと罵りながら、心の中ではこの女を征服したいと憧れている。
「需給バランス 責任は人々が皆ポルノの弓矢を持つ猟師にあるのか 標的は天使 十三号天使 いつになったら欲望のジャングルの食物連鎖から消えられるのか?」
時々思う。ヤリモクより、値段がはっきりした売買の方がむしろ合理的で、少なくとも何も持たない女性に生き残るチャンスを与えている、と。
今思えば、そうでもないのかもしれない。
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