『恋する気持ちのかさねかた』レビュー

押しの強い会長に恋をした

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ギャルゲーをたくさんやっていると、いつしか法則めいたものが見えてくる。

たとえば多くのギャルゲーの恋愛描写はだいたい同じだ。ヒロインが主人公に好意を抱いても、それは心の内に溜め込まれるだけ。言い出そうとするたびに主人公はとぼけ、ヒロインは奥ゆかしく構え、主人公は相変わらずうろちょろする。そして特定のイベントが訪れて、主人公は自分がヒロインを愛していることに気づき、告白し、デートし、エッチして、END。

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この流れはかなり王道だし、別に悪くもない。だが塩味の豆腐脳がうまくても、五仁入り月餅が美味くても、毎年毎月毎日食っていればさすがに飽きる。そこで一部のエロゲーメーカーは、いろんな奇抜な仕掛けを始めた。ヒロインが人間じゃなくて神様だったり、ヒロインが虐殺されたり、設定が未来だったり過去だったり、こうタイムスリップしたり、ああ未来を変えたり。

そんなことを繰り返すうち、Girl and Love Game の略であるギャルゲーという言葉も、だんだん名前負けするようになった。海外勢がいつもこれを Visual Novel と呼ぶのも無理はない。実際、物語そのものが小説と化している作品もある。なのにそういう作品でさえ、パッケージには18禁ゲームのシールが貼られ、ただ集客のために、いかにも場違いな「恋愛要素」を無理やり詰め込み、詰め込みながらエロシーンも入れて、少しでも多くのプレイヤー、少なくともシナリオなんか気にせず抜きたいだけの連中に、売上をちょっとでも貢献してもらおうと願っている。

おかしな話だ。理屈からいえば、でかい面白い物語を作りたいなら物語を核にすべきだし、抜きたい連中のために作るなら最初から即ハメのゲームにしたほうが、よほど的確な顧客ターゲティングになる。しかしエロゲー業界はそうなっていないらしい。全年齢版を出そうものなら相当な勇気がいるし、多くのゲームは18禁版を売ったあとにコンシューマー向け全年齢版を移植して小金を稼ぐ。全年齢版だけを出せるメーカーはごくわずかで、かつて挑んだところはみんな死んだ。残っているのは特殊な層と圧倒的人気に支えられた数社だけだ。

どう解釈すればいいのか。エロゲーをやる人間の舌が肥えて、いきなりエロゲーを渡されても「低俗だ」と思うし、そんなものをやってる自分自身にも醜さを感じる、ということでもある。人間、面子というものがある。公の場で自分は変態色情狂だと認める奴はそう多くない。だが三国志みたいなシナリオに、周瑜と小喬の全裸ベッドシーンをスパイス程度に入れておけば、むしろ受けはいい。たとえそのベッドシーンで勃たなくてもだ。

言い換えれば、エロゲーはシナリオも音楽も絵も質が高くなければならず、同時にエロ要素も必須。たとえその比率がごく小さくても、絶対に必要。これはもう原則の問題らしい。

そんな奇妙な方向性の中でギャルゲーをやっていると、妙な感覚に陥る。設定は違えど、筋書きはどれも大同小異。あるいは本筋は面白くても、恋愛に話が及ぶと最初に言った死んだテンプレに戻ってしまう。メーカーもその部分の単調さや退屈さをあまり気にしない。今のプレイヤーが好きなのは超展開と、一目見て興味を引く設定、そして非常に華やかで可愛い絵柄、さらには有名な超展開ライター。恋愛パートなんてどうでもいい。しかも多くの人がこの流れに「物語性の豊かさ」という面白い解釈までつけている。

しかし物語偏重のこういう作り方を突き詰めていくと、メーカー側も自分たちがまだ若くて単純、時には幼稚だと気づかないのだろうか。エロゲーを愛するオタクの口撃力と、うるさいクソ野郎ぶりは、開発者や企画よりはるかに上だ。新しい設定が増えるほど完璧な着地が難しくなり、超展開が増えるほどオタクの敏感な神経に触れる。ゲームの物語がどうであれ、オタクの気に食わなければ、さっさと「地雷」のレッテルを貼られて批判される。

だから時々、エロゲーメーカーの企画担当が不憫に思えてくる。「ヒロインには最後ハッピーエンドを、でもシナリオは波乱万丈の超展開を、ヒロインをすんなり幸せにしちゃいけない、でもヒロインを傷つけるとオタクの敏感な神経に触れる」——難しすぎるだろ。

当たり前だ。あのブサイクなオタクどもの世話をするのは元々難しい。オタクの扱いが簡単なら、彼らだって彼女の一人や二人できてる。

だから多くのメーカーは泥沼にはまっていく。次々と新企画を立てて新鮮な設定を追い求めながら、その新鮮な設定の皮の下では妙に保守的で、レトロで平坦な物語を書く。序盤の展開が良くても、最後は緊急回収する。人は殺されれば死ぬし、大きな騒ぎを起こしたら、初回限定版を買いに店まで走るオタクどもが誰より速く逃げるなんて期待できないからだ。

ますます多くのメーカーがこの「設定の渦」に沈む中、伝統的な「学園恋愛もの」を作り続けるメーカーもある。ああ、そうだ。今やどのギャルゲーも「学園恋愛もの」と言えるし、多くの人も、そして僕もそれに飽きている。「学校統合」「転校生」「生徒会長選挙」「部室の廃部」なんてクソ要素はもう見たくないと、いつしか思っていた。

それでも時々、驚かされる。考えが変わることもある。わりとありきたりな話でも、書き方を変え、CVを適切に選び、ちょうどいい絵柄を合わせれば、同じように大きな殺傷力を持つ。

『恋する気持ちのかさねかた』は音符社 ensemble が今月リリースした新作だ。実は ensemble というメーカーはなかなか面白い。シナリオはどうも昔から得意ではない。「男の娘」一本、「お嬢様」一本のリズムで量産を続けている。太ももの内側で考えても、こんな調子でシナリオに期待できるわけがないと分かる。だが残念ながら、このメーカーの作品はいつも絵柄が非常に華美で、そこが ensemble の誇りであり売りでもある。

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だから『恋する気持ちのかさねかた』の絵柄もご覧の通り、めちゃくちゃ綺麗だ。もちろん見覚えがあるかもしれない。中の一人の絵師は先月の『恋×シンアイ彼女』の唯一の原画担当で、同じ顔がまた出てくるので、どうしてもそういう印象を受ける。

ゲームタイトルはあの『冴えない彼女の育てかた』のパクリっぽくて、意味は「恋の気持ちの重なり方」。ゲームのOPに出てくるような赤い糸からすると、この「恋の気持ちの重なり」は男女の縁を暗喩しているのだろう。

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設定はベタベタ。二つの学校が統合する(日本は毎日統合して最後は国全体で高校一つにすればいい)。統合後の学校は多くの問題を抱え、二つの生徒会はどうするのか、生徒同士の付き合い方とか。統合の理由はクソで、二つの学校の学院長が結婚するからだ。

しかも一方の学院長は主人公の兄で、もう一方は女、つまり主人公の兄の彼女、婚約者だ。物語は統合から始まり、主人公は見知らぬ陸上部の女子部員に出会い、別の学校の後輩に出会い、別の学校の生徒会長に出会い、さらに今の生徒会長と自分の妹も加わり、攻略ヒロインが揃う。ゲームはそうやってのんびり始まる。

最初はこのゲーム、退屈で白湯みたいなもんだと思っていた。絵柄が良すぎるから適当に流し見するつもりで始めた。だがすぐに一人のキャラが目に留まった。別の学校の生徒会長、鏑木由希江。秋野花が声を当てたヒロインだ。

気になったのは彼女のある仕草のせいだ。

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最近この指を口元に近づける仕草が大好きなので、このキャラに一目惚れした。同じ仕草のキャラは他にもいる。たとえばこれ。

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たとえばこれ。

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などなど……

だから僕は脱走した野良犬のように、まっすぐ「別の学校の生徒会長」のルートに飛び込んだ。そしてルートは思ったよりずっと面白かった。

主人公とこの別の学校の生徒会長が出会ったのは、隣人になった瞬間から。ある日、主人公はうっかり由希江が窓辺で着替えているのを見てしまう。あいにく由希江も主人公に気づく。理屈でいえば女方は悲鳴を上げるはずだが、我らが由希江大会長は平然と、「見たいなら好きに見れば」という態度。

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それからの日々、由希江会長はわざとらしい方法で毎日のように主人公に着替えをチラ見させ、さらには仕事を手伝わせ、その仕事中もわざと体を触ったりサービスしたりする。

統合相手の生徒会長として公の場では確かに上品で礼儀正しく、話し方も教養がある。だから主人公は毎朝窓の向こうで着替える由希江を前に心が浮き立ちながら罪悪感に苛まれる。相手は無邪気なだけなのに、自分が考えすぎなのではないかと。

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由希江は主人公の前で「お姉ちゃん」と名乗る。つまり彼の年上のお姉ちゃんだ。ここでCV秋野花に触れないわけにはいかない。正直、これまで秋野花はものすごく多くのキャラを演じてきたが、僕が認めたのは最初の鯨とこの由希江だけだ。このお姉ちゃんの声質がキャラを完全に活かしている。上品さの中に優しさが混ざり、成熟の中に少しの誘いがついてくる。「このお姉ちゃんは本当にこの世界に存在する」と思わせる。秋野花の他の細い裏声より、どれだけいいか分からない。

実はここまで進んで一つの考えが浮かんだ。女性からの逆アプローチはよくあるが、由希江のこの逆アプローチは完全にプロ級だ。

「まさか主人公に自分を押し倒させるよう誘惑してるんじゃ……」

すぐに物語は僕の予想に近づいていく。生徒会は、統合後に新しい生徒会を再選挙することに。元の二校からそれぞれ代表を選び、総選挙を行い、最后由希江が自分の学校の代表として最後の選挙に臨む。

選挙は楽ではない。だから由希江は主人公に助けを求める。その助けの最中、主人公の家に来た由希江は落ち着かない。ある時は胸元を開けて谷間を見せ、ある時は服を汚して風呂に入り、バスタオル一枚で主人公と談笑する。主人公はもう我慢できない。そして神摔倒——そう、見間違いじゃない、女性の神摔倒だ。新鮮で面白い。ここでほぼ確信した。由希江はわざと主人公を色気で誘惑している。残念ながら由希江の計画は毎回、主人公の妹に偶然邪魔される。だがゲーム内の主人公も気づいていた。いつの間にか頭の中は由希江だらけになっていると。

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最後に関係が決まるのはとても自然だった。由希江が冗談めかして主人公に言う。「もし、もしもの話だけど、彼女を探す必要があったら……私、どう?」

主人公は承諾し、二人は恋人になる。

恋人になってからの由希江の攻勢はさらに強まる。主人公を下着の買い物に連れ出し、デートし、あちこち走る。主人公はこのお姉ちゃんに弄ばれる完全な童貞のようで、由希江お姉ちゃんに翻弄されっぱなしだ。

だが生徒会選挙も忙しく、主人公と由希江のデートもそう頻繁ではない。ある日、主人公は家の前でUSBメモリを見つける。家に持ち帰ってPCに挿すと、由希江が主人公宛に録画した動画だった。

「最近生徒会が忙しいけど……お姉ちゃんとのデートもま~~~す~~~ま~~~す~~~減ってるよね。お姉ちゃん、あ~~~ん~~~ま~~~り~~~嬉しくないよ」

ひとしきり愚痴ったあと、動画の内容は一転、由希江が主人公の名前を呼びながらオナニーする自撮り動画になる。

映像が刺激すぎて、主人公は思わず勃起して抜こうとする。抜こうとした瞬間、由希江が主人公の部屋の押し入れから飛び出し、彼を掴んだ。

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「あ~~やっぱり本当にシコってたんだ、エッチだね~」

その後、主人公は真面目な顔で由希江に問い詰める。なんでこんなことをするのか、このUSBを他人に拾われたらどうするのか。それに由希江がこんなに大胆なのは、淫乱だからなのか。

そこで由希江は白状する。統合初日に主人公を見て一目惚れした。着替えを偶然見られ、自分のことで照れる主人公を見て異常に興奮した。その後の偶然やサービスは全部自分が意図的にやったことで、主人公を落とし、自分に惚れさせるためだった。

「最初はもっとあなたと話したかった。でもあなたは女の子に興味なさそうに見えた。でも着替えを見て照れるあなたを見て、ちょっと嬉しかった。ああ、やっぱり健全な男の子なんだって」

要するに、清純な童貞の主人公が由希江お姉ちゃんに落とされたのだ。

その後二人は初体験を迎え、由希江はどんどん大胆になる。自分の初めてを主人公にカメラで録画して記念に撮ってほしいとまで言い出す。主人公は童貞なのに異様に猛々しく、毎回5、6回はできる。由希江は手すりを掴みシーツを引き裂く。その後二人のプレイは増え、学校で目隠ししたり、小型家電を持って街に出たり。大胆な由希江は完全に搾り取り機で、主人公は昼間に体力が尽きて倒れてしまうことも。

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「どうしたの?いつもは三回できるのに、今回は二回でダメなの?」このセリフを見てマジで驚いた……

二人は仲睦まじいが、最後の生徒会長選挙がやってくる。由希江は女強人の顔に戻り、選挙で良い演説をし、主人公との関係まで公表する。未来の夫との縁が、自分が元生徒会長として別の学校に嫁ぐ契機になると語り、大きな拍手を浴びる。

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しかし何の役にも立たず、最後は元の生徒会長が勝利。由希江はただの顧問になる。

「暇にもいいところがあるよね、いろんなことができるし」そう言いながら、由希江はまた主人公を部屋の隅に連れ込む……

物語はそうやって結末を迎える。

どう言えばいいか……この話は抜きゲーみたいな感じがするが、僕にはよりリアルで興奮する満足感がある。この感覚をもたらしているのはエロ小説的なスタイルではなく、「お姉ちゃんによる逆攻略」が生む刺激だと断言できる。由希江のCVの演技が完璧すぎて、秋野花にこんな声があるとは知らなかった。あの奥ゆかしさに少しの色気が混ざる感じは形容しがたく、大胆なお姉ちゃんの本質を十分に体現しているとしか言いようがない。

ルートのシナリオは実は全然長くない。由希江ルートの真面目な内容はほんの少しで、他は日常会話ばかり。会話も大半が由希江による主人公への段階的な攻略で、しかもこの逆アプローチが全然わざとらしくなく、絶妙に調整されている。

「体は女の最大の武器」

この言葉をどこで見たか忘れたが、由希江ルートではこれが遺憾なく発揮されているとしか言えない。

普通の抜きゲーや他のエロ小説と違い、由希江ルートの声が主導する少し侵略的で新鮮な感覚は前例がない。

もちろん残念ながら、このゲームは由希江ルート以外は全部いつものままだ……

いつものとは何か。昔ながらのギャルゲーがあるべき姿だ。主人公が後輩を落とし、妹を落とし、あれを落としこれを落とし、相変わらず土臭い展開。要するに、このゲームは由希江だけが戦え、他はダメだ。

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ゲームのキャッチコピーは「最初で最後の恋」だが、納得だ。僕にとってはこのルート一本で十分。この話の展開は時々、中学時代に読んだ都市恋愛小説を思い出させる。あれはエロ小説ではないが、どれもいろんな形で際どい球を投げ、男女の描写はほのかで距離があり、想像を大きく膨らませてくれる。それでいて現実生活から遠すぎる感じはしない。

そうそう、由希江ルートから受ける印象はまさにこれだ……もし今のネット小説にこんな内容があれば……

きっと『押しの強い会長に恋をした』とでも呼ばれるだろう。

大胆な生徒会長の先輩が、清純な童貞のイケメンを誘惑する。なかなかいいじゃないか……

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