『QUINTUPLE☆SPLASH!』レビュー

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エロゲをいくつかやっていると、どうしてもシナリオの話になる。脚本の組み立て方といえば、大体二つの方向性がある。

一つはサスペンスやギャンブルで攻める方向。大きな事件を起こして、大きなカタルシスを用意する。序盤にすごい謎を敷いて、最後にすごい展開と超展開を置く。 もう一つは、ごく普通の学園恋愛日常もの。人生や勉強、部活との小さな摩擦があって、それを解決してエンディングへ、という流れだ。

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個人的には前者が好きだ。でも、大きな事件は誰にでも扱えるわけじゃない。誰よりも速く走ればいいってもんでもない。サスペンスや超展開には、それ相応の脚本力が必要で、展開のテンポ、伏線の張り方、ルート間の配置、どれも密接に絡んでいる。一歩間違えれば全部が狂う。この手の作品で転んでいる人は多い。虎の絵を描こうとして犬になるパターン、あるいは話自体は悪くないのに描写力が足りなくて、謎が機能せず、何がなんだか分からないまま、せっかくの設定と物語が台無しになるパターン。

逆に二つ目ははるかに簡単だ。少なくとも適当に書いても大きな破綻はしない。二つ目のタイプでも素晴らしい話は書けるが、それは日常生活の面白さを見つけられるネタ師であることが前提だ。たとえばゆきこいめるとや大図書館の羊飼いは後者の中でもうまくやっている方だ。とはいえ、二つ目のタイプをクソに書くのもなかなか難しい。謎で綱渡りをするより、日常ものの方がよほど安定している。むしろ日常系のゲームはシナリオへの要求はもう高くない。キャラデザとCVの演技を見ている人の方が多いかもしれない。

ゲームに限らず、アニメも大体このリズムだ。シナリオで食わせるものもあれば、日常で食わせるものもある。そして前者をうまくやるのがどれだけ難しいかは見ての通りだ。艦これが超展開をやって「クソ」と言われ、ごちうさが日常萌えで「癒し」と言われる。設定の差はそれほど大きくない。ただ選んだ脚本の路線が違うだけだ。

当然、一部のゲーム会社は超展開の脚本がうまくいかなかったら、これに懲りて、日常路線に逃げて安定を取ろうとする。たとえばParasolの『QUINTUPLE☆SPLASH!』だ。

Parasolの前作はあの晴のちきっと菜の花びよりだった。今見ても物語が完全に受け入れられないわけではないが、描写のあちこちでキャラが分裂しているのが露骨すぎるし、意味不明な箇所も多い。脚本家の思考回路と同期できる人なら良作に感じるだろうが、俺のようにどうしても脚本家の考えが理解できない人間には、ただのドロドロ劇にしか見えない。ともかくあの作品は売れ行きは芳しくなかったらしいが、音楽は好評だった……

で、Parasolは教訓にしたのか、新作ではあの種村に企画を頼まず、安定を選んだ。学園水泳部の日常を新作の設定にして、画師と名の通ったCVをたくさん連れてきた。超展開は狙わず、素直に萌えを売っていればリスクは少ない。

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正直、画師の名前を覚えるのは面倒だ。今作の大量の画師リストの中で覚えているのはゆき恵、そう、cabbitのいくつかの作品の画師だ。CVは結構知っている。卯衣に、小鳥居夕花に、波奈束風景……とか。ゲームの話は本当にしたくない。というか語ることがない。俺が見た中で最も短い、同人会社会社のゲームの物語だ。主人公は冒頭で学校が前の女子校と合併したと言い、合併後に新しい寮に来る。寮には当然主人公以外全員女の子。新しい学校には水泳部があって、主人公は水泳部の管理を任され、寮の女の子と新しく知り合った女の子を全部部員として引っ張ってくる。

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そしてある日、外で泳ぐときに誰と遊ぶかを選び、選んだ子を攻略する。攻略後の内容も特別なものはない。告白してイチャイチャして、サクッとエッチして、日常を少しだけ描いて、エンディング……

日常パートはごく普通。悪くもなく、突出もしない普通で、何も印象に残らなかった。ヒロインと言えるのは卯衣が演じた巫女の子くらいか。ゲームの人設でもセンターにいて、登場も最後で、専用のシナリオもある。主人公が最初に人工呼吸で彼女を助けたのを、彼女がセクハラと勘違いする(実際セクハラだが)とか、最後は体が弱いことが分かって、努力して水泳大会で優勝して記録を破って、ルートは終わり。

ゲームはシナリオを全く重視していないようだ。CGは多い。次々と差し込まれる。SDCGもあれば通常CGもある。Parasolの宣伝を見ても、物語が面白いかどうかは気にしていないのが分かる。これだけ日常的でシンプルなら、言うこともない。彼らが売りにしているのは人設の画師、音楽、CVだ。シナリオは短いが、各ヒロインのEDにそれぞれ個別の曲を用意している。確かにそうだよな、このゲームの売りはそこだ。

シナリオロックはない。そもそもロックする必要もない。日常の話にネタもない。「四コマ漫画」タイプのギャルゲーとも言えない。こういう日常萌えはアニメでよくある。『チャンネルA』というアニメを思い出した。リズムが似ている。ただ、このシナリオの長さはギャルゲーとしては短すぎる。面白いネタを増やし、話を長くして、最後の水泳大会にちょっとした山場でも作れば、「何も言わずに突然終わった」という感じにはならなかっただろう。

最後にゲームのOPを思い出す。「一人の美少女、五人の美少女」。共通ルートと合わせると、本当に増員している感じだ……AmazonでゲームのOST兼キャラソンCDもすぐに出るのを見ると、Parasolのこのゲームの企画は、ロリと水着と音楽と人設さえあれば、他はどうでもいいのかもしれない。

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