恋愛0キロメートル:ドタバタだけど温かいGirl's Song

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本来は真っ先に『朝色』をプレイしていたのだが、途中で放り出して『君と私とエデンの林檎』に手を出してしまった……さらにその後、Pockies Wili に『恋愛0キロメートル』を勧められて、そのままダウンロードして遊び始めた……

正直に言うと、このゲームはかなり前に琉璃神社で見かけたことがある。ただ、あらすじを見た瞬間に抜きゲー臭がすごくて、それで落とさなかった。でも実際にプレイし終えてみると……何と言うか、複雑な気持ちだ。

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端的に言うと、このゲームは俺が長年持っていたシナリオの評価基準をひっくり返した。(以下、かなりネタバレ)

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『恋愛0キロメートル』のシナリオは非常にシンプルで乱暴、いきなり主人公と隣の家の女の子を交換してハーレム劇を展開するというものだ。キャラデザについては、乃来亜以外は基本的に非科学的としか言いようがない。だって胸が大きすぎる……マジで大きすぎる……やりすぎだろ、冬瓜みたいな胸の女性なんて現実で見たことない。逆に作中のモブキャラは驚くほどまともで、例えば鬼瓦部長や氷室屋なんかはそうだ。制作側は「巨乳の奴だけが攻略ヒロイン」とでも思っているのか、それとも巨乳好きのプレイヤーを複雑な悪意でからかっているのか、とにかく……キャラデザの面ではパッとしない。だが乃来亜が一番まともな見た目なのに、制作側は彼女に大量の顔芸を割り当てていて、特にあの淫笑み顔は完全に畏縮させる感じで、どんな雰囲気もぶち壊してくれる。まあ見慣れると結構クセになるんだけどな。

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CVの選択にもたっぷりの悪意が込められていて、清水愛は節操を捨てまくり、榊原ゆいと桐谷華はなんと男声の逆串に回され、さらにぶっ飛んでいるのは小野涼子と岡嶋妙が担当したキャラがちょうど得意分野と逆になっていること。岡嶋妙の桂言葉のような軟妹に向いた声線が、瀬名愛理と同じ声線のツンデレに充てられ、ツンデレ声線をうまく扱える小野涼子が桂言葉みたいな軟妹を演じている。最初はCV表が逆に書かれているんじゃないかと思ったほどだ。ただ吉田真弓が演じる毒舌妹は、ましろ色の赤毛の特徴をちゃんと受け継いでいて、まあOKと言える。

ゲームの演出面は正直「ひどい」の一言。まずBGMの数が少なすぎる。おまけに場面転換のたびにBGMが途切れて最初から流れ直す。しかも肝心なところで場面転換が頻繁すぎて、BGMのリズムなんて全然掴めない。まだ数フレーズも話してないのに、もうBGMが変わってる。こういうのは他のゲームでもよくある。たとえば『初雪桜』とか、めちゃくちゃ唐突。ゲームエンジンの問題なのか演出の問題なのか分からないけど、比べて『隙間桜と嘘の都市』のBGMはもう最高で、最後のピアノ曲はきっちり最後まで途切れずに演奏されて、見事にストーリーを盛り上げてくれた。

ゲームのキャラデザはいまいちだし、演出もいまいち。じゃあ予算はどこに消えたのか?はっきり言おう、背景だ!ゲームの空や川辺の背景画はもう「かっこいい」なんて言葉じゃ足りないレベルで、でかい画像を配布してほしい、デスクトップにしたい!って本気で思う。ていうか、もうその大画像を壁紙にしてるのを見た気がする!そのときはこのゲームのだと気づかなかっただけ……

最後にゲームのシナリオだが、正直に言うとほぼ深みはゼロ。日常系のギャグばかりで、ツッコミに笑い、とにかく笑いが止まらない。下ネタ全開の笑いも盛りだくさんで、そのギャグセンスはかなりのもの。もはや銀魂レベルと言っていい。特に清水愛CVの乃来亜はシナリオの笑いを生み出すエンジンそのもので、彼女が出てくるシーンはほぼ確実に腹筋がちょっと痛くなる……

『恋愛0キロメートル』の移植展開がやたら活発で、まずPSPでファンディスクが出て、田村ゆかりと阿澄佳奈がCVの新キャラが追加され、氷室屋と桐谷華が演じる弟も攻略対象になった。さらには近々PSVに移植されるという噂まで流れていて、ただ今回は新キャラの有無は明かされていない。まあこういう構造のゲームなら、攻略対象を数人増やすのは全然難しくない。おまけに一部のキャラはすでにルートの口が用意されていて、たとえば夕空ルートと氷室屋ルートの分岐がそれぞれ双子の姉妹のルートに対応していたり、ゲーム本編で「ファンディスク出して攻略ルート増やすとかするんじゃね?」と自分でツッコんでいたりして、「ツッコミどころを先に全部吐き出されるとこっちが無言になるわ」という気分になる。

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これまでの俺の各種ギャルゲー評価に照らせば、『恋愛0キロメートル』は心の中でかなり低い点数になるはずだった。ストーリーなんてほぼないし、音楽も普通、演出もぶっ飛んでるし、おまけに怖い顔芸まである。

だが……なぜだろう?プレイし終わったあと、『ご注文はうさぎですか?』を見たときのような萌え豚に吐き気を催す感じもなければ、京アニ顔を見て萌えまくられながらも冷静に「これ萌え以外なんもないだろ」と脱力する感じもない。むしろ………………とてもほっこりする感じ?

ヒロイン几乎全員が主人公への好感度は満タンで、幼なじみに至っては告白了承済みの状態。なのに、なぜか自分は感動してしまう……明らかに陳腐すぎるシナリオ、雑すぎる作り、耳に障る音楽、そして奇妙すぎるキャラデザの作品なのに。

それに比べて、同じ時期に遊んでいた『朝色』はあらゆる面でハイレベルな作品だったのに、なぜか全然続けられなかった……この二作品の間に挟まれた俺は、自己矛盾に陥ってしまった。

よく考えてみると、その理由はたぶん……『恋愛0キロメートル』が自分なりのスタイルを打ち出していたからだろう……もともと最初からギャグ恋愛作品として位置づけられていたから……だから最初から気取った高尚なものを追い求めることをきっぱり諦めて、そういうのをとことん突き詰めた。同時に、家庭の中の温かさや女の子たちの賑やかさの描写に、ある種のリアリティが表れている。

ガールズトークってどんなものなんだろう? 女の子が無駄話に花を咲かせてる場面なら見たことがあるんだけど……実は……『恋愛0キロメートル』の中と、大して変わらない。ぺちゃくちゃと、目的もなく、それなのに止まらない。

家庭ってどんなものなんだろう? 高尚な作品みたいに、家庭の中で「君を大切に思っている」「君は僕にとって大事だ」なんて言う奴は実際いない。ほとんどは気楽な空気の中でじゃれ合ったり喧嘩したりして、それでもお互いの絆を断ち切れないものだ。

幼馴染の片思いってどんな感じなんだろう?すべて分かっているのに、自分からは絶対に最初に言い出さない。ただひたすらに相手へサインを送り続けて、早く気づいてほしいと願う……。同時に相手の鈍さや煮え切らなさに悶々として、相手が積極的に来てくれれば嬉しくなり、無意識に一度拒まれただけでも腹が立つ。

『恋愛0キロメートル』は、いろんな意味で「大丈夫かこれ」って感じの作品だけど、実際に遊んでみると……面白いし、なんか温かい。深みがないと言う人もいるだろう。でも、俺たちが過ごしてる毎日だって、同じように平坦で、これっぽっちも深みなんてないじゃないか。

脚本作者の中に女性がいるのかは知らないが、『恋愛0キロメートル』は女の子の可愛さを描くのが独特で魅力的だ。プレイし終わったあと、恋愛したくなるような感覚すらあった。

『朝色』と『恋愛0キロメートル』のどちらを勧めるかと聞かれたら、たぶん後者を推す。いわゆる深みってやつは、必ずしもゲームの出来の良さを意味しない。良作かどうかなんて、自分の心が動かされるかどうかに聞けばいい……

ゲーム中の茶太の挿入歌『Girls song』の歌詞の通り、

回る回る世界の中心で // 世界の中心でぐるぐる回って キミに出会えた奇跡 // キミと出会えた奇跡の中で ほら見て、走り出した未来が // ほら見て、走り出した未来が ここにあるの、Girl’s song // ここにあるの、少女の歌

http://www.xiami.com/song/1771709672

たぶん……こういう少女趣味全開の作風に、自分は感動したんだろうな……『恋愛0キロメートル』はそんな、ふざけ合いもありつつ、温かさも失わない少女の歌だ。

最後に……PSP版はもうダウンロード済み。桐谷華、男の子役でも同じように推すからな!

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