『クローバー図書館の住人たち/クローバー図書館の住人たち II』レビュー

箱庭の少女は王子様の夢を見る

広告

小さい頃、誰もが童話を読んでいた。

面白いのは、童話では主人公がたいてい女の子だということ。内容も、弱い女の子と彼女を守る王子様の物語が多い。

広告

男の子は読んだあと、王子様になって自分のお姫様を守りたいと思う。

女の子は読んだあと、お姫様になって自分を守ってくれる王子様を探したいと思う。

記憶に残っている童話を思い出してみたが、意外なことに性別による偏りはほとんどなかった。つまり、男の子も女の子も同じ物語を読み、異世界への探求をし、何世代にもわたり語り継がれる王子と姫の物語に触れていたのだ。

だが時は流れ、男の子も女の子も大人になった。かつて聴いた童話は嘘だと、暗黙のうちに受け入れているのかもしれない。ほとんどの男は守るべき姫など信じていなし、ほとんどの女も王子が助けに来る夢を見なくなった。

過去に読んだ童話を振り返ると、思わず苦笑してしまう。懐かしさなのか、それともかつてこんなものを信じていた自分がおかしいと思っているのか。

それでも童話は止まらない。王子と姫の物語を語り続け、聴きたいと思う人のために残っている。

选区_766.png

『クローバー図書館の住人たち』はMIOが開発した少女向け恋愛ゲーム。少女向けなので攻略対象は全員男性だが、物語自体は男と女の恋愛であり、違和感はそれほどない。それよりもこのゲームは、一般的なギャルゲーには少ない童話的なロマンに溢れている。

『クローバー図書館の住人たち』の物語は、一人ぼっちの女主・相川千紘が就職活動中に図書館司書の求人を見つけるところから始まる。彼女は昔から本が好きだったため、その熱意でクローバー図書館の管理人となり、管理の仕事を始める。

screenshot.49.jpg

仕事を始めてすぐ、女主は図書館に様々な人物がいることに気づく。もちろん全員男性で、絵を描く者、料理をする者、物知りな者、ロマンチストなど、さすが攻略対象といった面々だ。しかしすぐに、彼らが昼間は姿を見せず、夜も部屋の中だけで活動していることにも気づく。

さらに女主は、以前の司書が長続きしなかったことを知る。そしてある夜、図書館に存在する「住人」たちが、自分たちは人間ではなく、この図書館にある本が人の形になったものだと正直に打ち明ける。

つまり図書館のイケメンたちの能力がバラバラなのは、絵を描く者は美術書、料理をする者は料理本から生まれたからだ。

女主はそれを聞いても気にせず、人間になった本たちもいい人たちだと思い、引き続き図書館で本の世話をする。その後、予算不足の危機や本が傷つく危機など様々な出来事が起きるが、女主の熱意に助けられて乗り越えていく。

screenshot.45.jpg

クローバー図書館にはいくつか神秘的な場所がある。まず図書館の三階の部屋は開かない。それから図書館には黒猫がいて、この猫は昔からの住人らしい。女主はなぜ猫がここにいるのかわからないが、特に邪魔にもならないので放置している。三階の部屋も気にせず、自分の仕事を真面目にこなす。

ここから男性たちを攻略できるのだが、パターンは簡単で、みんな本なので、攻略したい相手と会う回数を増やすだけでいい。結末も付き合ってキスするだけ。選択肢には地雷もいくつかあり、間違えると女主は図書館を去り、他の会社で働き続け、ここでのことを忘れてしまう。

screenshot.153.jpg

特筆すべきは、『クローバー図書館の住人たち』が分割されたゲームだということ。一作目では最初の三人しか攻略できず、二作目で残りの三人と、最終的なTRUE ENDが解放される。

両作でシステムやその他に変化はほとんどなく、むしろ一つのゲームを無理やり分割しただけだと私は思っている。

二作目のOP2が始まる瞬間、物語は「司書とイケメン」の日常から「神秘の図書館の秘密解明」へと変わる。OP2以降、女主は図書館に元からいる黒猫から鍵を渡され、その鍵は三階の部屋を開けるものではないかと推測する。

screenshot.164.jpg

女主は好奇心もあって、黒猫が部屋を調べろと示唆しているのだろうと考え、三階の部屋へ行く。そこには白い本、何も書かれていない本があった。この本も人の形になることができ、幸葉という少女になる。幸葉は自分が図書館の主宰だが、本質は本、それも始まりの本だと語る。図書館は彼女から始まり、彼女は幼い頃から部屋にこもって外に出ず、体が弱く病がちだったため、両親が本を与え、彼女は図書館にこもって外に出なかった。やがて死ぬと幸葉自身も本になり、三階にこもって読みたい本を読んでいたのだ。

screenshot.160.jpg

幸葉は女主を見て露骨に軽蔑し、司書ならさっさと本を集めてここを充実させろ、自分も本を読み続ける必要があると不満をあらわにする。女主は耐えて仕事を続け、本を集めるが、それでも遅いと言われる。やがて幸葉は女主の遅い集め方にますます不満を募らせる。ある日、女主は幸葉と美術書の男主の会話を耳にする。幸葉が女主に何かしようとしており、美術書の男主が拒否すると、幸葉は怒る。

「なんであいつの味方をするの?前はこんなじゃなかった!」

それを聞いた女主はなぜか辛くなる。実は美術書に好意を持っていたし、美術書も女主に少し好意がある。守ってくれるのは嬉しいが、美術書と幸葉が親しげなのを見て少し嫉妬する。

screenshot.172.jpg

やがて女主は美術書に守られることが増え、幸葉に近づくなと警告される。幸葉は危険だと。二人は少し恋愛関係になる。

そして幸葉はついに女主に最後通牒を突きつける。自分は白紙の本で、他人の本を読み続けて視野を広げる必要があり、司書の募集はそのための仕事だった。今の女主の速度では足りないので、本に変えると言う。

女主は驚く。「本に?」

「ええ、前の司書にしたようにね」と幸葉は驚くべきことを言う。

以前の司書たちは皆、幸葉によって本にされ、永遠にここに残されていたのだ。幸葉が手を下そうとした時、美術書がまた現れて女主を守る。

「前は司書を本にするのを手伝ってくれたのに、今はなんで他人を助けるの!」幸葉はさらに怒る。

screenshot.171.jpg

「とにかく、彼女に手を出すな」美術書は守り続ける(当たり前だ、彼のルートだから)。

幸葉は捨て台詞を吐いたあと、突然諦める。そういうことだから、女主は好きにここにいればいい、出て行くなら出て行け、と。

女主は奇妙に感じるが、幸葉は絶対的な悪意があるわけではないと気づき、そのまま残る。

ここでルートロックがある。一周目なら女主は美術書の幻の男性と恋愛して結末を迎え、二周目ならTRUE ENDが解放される。

TRUE ENDでは、ある日幸葉が女主に、もっと知りたくないかと尋ねる。

screenshot.175.jpg

その後は驚くべき展開。幸葉と女主は一緒に三階へ行き、ひと騒動のあと、図書館の黒猫が突然しゃべり出す。

screenshot.177.jpg

screenshot.178.jpg

黒猫は突然大きくなり、恐ろしい姿になる。黒猫は、幸葉が本を読み続ける必要があるのは自分の仕業だと言う。幸葉が読むというより、黒猫が幸葉を通じて本を読み、人の魂を集めているのだ、云々。

screenshot.179.jpg

最後はもちろん、女主と男主たちが心を一つにし、幸葉の口撃に合わせて暴れる黒猫を退治する。

解放された幸葉は黒猫を抱き、転生を選んで図書館を去る。残されたのは女主と、男の子に変身できる本たち。

screenshot.180.jpg

ゲームは結末を迎える。


『クローバー図書館の住人たち』の内容は80%が恋愛、20%が終章の物語。最初に謎めいた設定を出したからには最後に回収する必要がある。物語は恋愛話のためのもので、幸葉の登場も最終ボスである黒猫も、神秘の図書館の設定に説明を与えるためのもの。大きな波乱はなく、超展開でもない。最終結果も女主が救われることを売りにしている。

私は女性向けゲームが初めてではない。百合やBLもやったことがある。それでも『クローバー図書館の住人たち』は違う感想を与えてくれた。まず画風が良く、偏りがなく、男性も女性も等しく可愛い。女主の服装や髪型はドンピシャで好みだ。少女向けだからか、言葉遣いや会話がとても上品。女主の話し方はとてもとてもとてもとてもとても清楚で物静かで可愛い。CVがないのが惜しい。私が読んでも脳内で軟らかい声が再生される。もちろん攻略対象の男性の言葉も優しく、多くは女の子が夢見る「世界一の彼氏」レベル。いつも優しく、女主が危険な時は前に出て守り、危険ならなりふり構わず救い出し、告白の時は照れて言い切れない……などなど。男性向けエロゲーの男主が暇さえあればエロ本を読み、開口一番パンツの話をするようなことは女性向けには存在しないとよくわかる。これが両者の大きな隔たりだ。

screenshot.168.jpg

ゲームの大半は女主がイケメンたちの間で立ち回る内容。彼らは設定上本が変化したもので、女主も司書なので、「いかに一冊一冊の本に優しく接するか」を問う選択肢が多い。選択肢はかなり多く、本を大切に扱えば好感度が上がる。イケメンとの会話も少女心に満ちている。少女が恋愛に向き合う時は本当に淫ら……おっと、隠微だ。雷の時は男の背中に隠れるか、お姫様抱っこされた時は胸に寄り添うべきか、男が告白しようとして言葉に詰まった時は話に沿って言わせるべきか、男たちがいた部屋をきれいに片付けるべきか、自分の身だしなみを一番良く見せるべきか……などなど。真の主人公として男性CV陣も豪華で、浪川大輔、花江夏樹、小西克幸など。CVの演技もなかなか良い。浪川大輔はベテランで、声はPersona 4の主人公に近く、強い既視感がある。

エンディングは多く、各キャラにNormal End、True End、Bad Endがあり、女主が図書館を去り何も残らない最悪のEnd、女主が図書館で男たちに囲まれるハーレムEndもある。前述の通りゲームは一作目と二作目に分かれているが、実際は乱暴な分割だ。面白いのは二作目で新OPに変わり、最終ボスと関連する幸葉の登場を告げる点。だがシステム画面など本質は何も変わらない。

screenshot.156.jpg

音楽も特徴で、OP1もOP2もとても良い。特にOP2はアニメーション効果も相まって、男性向けエロゲーのOPを爆発的に蹴散らしている。もちろん音楽の話でBGMではない。このゲームのBGMは、不快な意味で最高だ。

なぜか。初めてこのゲームをやるなら、『蜥蜴の尻尾切り』をやったことがなければ影響はないだろう。あの猟奇ゲームをやったことがあるなら、『クローバー図書館の住人たち』と『蜥蜴の尻尾切り』のBGMの少なくとも半分が同じだと気づく。

そう、同じなのだ。清純な少女ゲームと、手が血まみれになる猟奇ゲームが同じBGMを使っている。

screenshot.99.jpg

日常BGMを聴いた時は「マジかよ」と思った。頭の中は切り落とされた手でいっぱいだ。

調べると、『蜥蜴の尻尾切り』の開発会社cycletと『クローバー図書館の住人たち』の開発会社MIOは同じcyc-soft系列。cyc-softはすごくて、男性向けも女性向けも百合向けも作っている……つまり同じ会社だからBGMの使い回しも普通……

でもそんな乱暴な使い回しはダメだろ?

まあ、猟奇ゲームをやる人が少女ゲームをやるとは思わないだろう。私がたまたま出くわしただけだ。


ところで、『クローバー図書館の住人たち』は少女向けとして、本物の女性ベテランプレイヤーにはあまり好かれていないようだ。白湯すぎると。

確かに、本物の女性向けBL大作に比べれば、恋愛は純粋すぎるし、言葉も整いすぎ、スタイルも童話的。このゲームは清茶のようなスタイルで、長くもなく言葉も簡単。ゆっくり味わうのに向いている。最終結末も慌てず、衝撃的な刺激はない。多くのベテラン腐女子が期待する「男主と男主の間」の何かは描かれず、全体としては少女が不思議な図書館に迷い込む冒険物語に近い。

screenshot.157.jpg

考えてみればその通り。タイトルからして童話風で、ゲーム自体も童話風。女性向けに振っていても、女主は善良で勤勉、ベッドにこもって傲慢に甘えるお姫様病などない。「完璧な姫が完璧な王子に出会う」ような展開だ。

しかし現代社会では、大人の男性も女性も童話を信じる人は少ない。

男性はエロゲーで女の子に発情し、女性はBLでイケメンに発情する。

人間の本能は双方に溢れている。汚れた私たちには時々、純粋な物語が必要だ。それがロマンをもたらし、自分を取り戻させてくれるかもしれない。

「閉ざされた空間にさまよう少女は皆、王子様が自分を救い出す夢を見ている」

screenshot.130.jpg

まさに私のタイトル通り:箱庭の少女は王子様の夢を見る。箱庭の少女が王子様を夢見る。

これは性別に関係ない。時には純粋さとロマンが必要だ。王子を待つ少女も、少女を救いたい王子も。

少なくとも、童話を聴き、信じることは悪くないと思う。

本家 plumz.me でこの記事にコメントする

コメントは中国語の本家サイトで受け付けています。このミラーは閲覧専用です。

目次