『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか』レビュー
お兄ちゃん、キッスの準備はまだですかってマジでいつまでキスさせんの!
『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか』が発表されたときから、妙に見覚えがあるなと思ってた。まずタイトル。もう『お兄ちゃん、右手の使用を禁止します』と構文がまるっきり同じ。調べてみたら企画は同一人物、絵師も同じ人が混ざってるし、声優もかなり被ってる。違うのはブランドだけ。確かGaletteの妹シリーズ……おっと、家族シリーズの次回作は『お兄ちゃんティーチャー』だったはずなのに、こっちの『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか』のブランドはTinkle Position。そう、このブランド名、カタカナで読むとチンボとそう変わらない。実際ブランドのシンボルは黄色い笑顔のチンポだ。このゲームの宣伝と設定には既視感しかなかったし、例の欧尼酱ティーチャーの頭なでなで設定と同じノリでキス設定をぶち込んできてる。だから興味本位で遊んだんだ。設定や内容に惹かれたわけじゃない。信じてくれ。

で、このゲームはどうだったか。正直に言うと、遊んでるうちに自分の人生について考え始めた。
設定はシンプルというか、もう乱暴すぎるくらい単純。冒頭でいきなり主人公の名前は「お兄ちゃん」だと言われる。そう、主人公には名前すらない。設定で主人公の呼び方を変えることはできるけど、ゲーム内ではみんながお兄ちゃんと呼ぶ。主人公の母親までお兄ちゃんと呼ぶ。ちなみに母親はキス狂いで、毎日チュッチュしてる。そんな母親の影響か、主人公と妹たちも毎日キスしまくり。朝起きたら一人ずつ、出かける前に一人ずつ、帰ってきたら一人ずつ、寝る前にもキス、飯の前にもキス。つまり主人公と妹たちの日常は延々とキスキスキスキスキス。ゲームのOPの歌詞の通り、キスが終わらない。
もちろんタイトルがもう答えを出してる。このゲームの売りはキス。しかも色々なパターンがあるんだ。

Tinkle Positionは宣伝の時点で、このゲームはタブレットで遊ぶのがおすすめだと公言していた。なぜかというと、妹にキスするシーンでは画面に映る妹の口元をタップしてキスを再現する必要があるからだ。意味深に「タップさえできればOK」と言い、さらにキスの動画デモまで撮って公開した。そばにはブランドのイメージキャラクター、黄色いチンポが笑顔で揺れている。このゲームには他にも何か遊び方があるのか、画面に触れて反応すれば何でもいいのか、指でもいいなら他の身体の部位でもいいよな……とでも言いたげだ。

深読みするな。自分の口でキスしてもいいと言いたかっただけだ。あのマスコットみたいなものを画面に押し当てろという意味では断じてない。
全体として見ると、これは醜いシスコンのための没入感重視ゲームだ。ゲーム内は妹しか出てこないし、妹はみんな主人公を兄と呼ぶ。主人公の存在感は空気レベルまで削られている。毎日妹とキスの練習をして、しかもその練習には自分で参加する必要がある。画面越しに自分の名前を付けられた男が気持ちよくなるのを見ているだけじゃダメだ。
本来ならそうなるはずだった……
しかし昔の人は言った。何事にも限度がある、と。
『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか』はやりすぎた。
まず、ほぼストーリーがない。毎日主人公が起きて妹といちゃいちゃするだけ。学校に行く話もなければ、基本的な掛け合いすらない。妹が起きてキスをねだる、キスする。飯を食うのにキスをねだる、キスする。トイレに行こうとしてキスをねだる、キスする。以下同文…………

最初は「うおおおお」と叫びながら画面を舐めるかもしれない。だがすぐに気づく。このゲームは5分に1回はキスさせてくる。しかも妹は4人いて、一人も欠かせない。2回キスさせられる妹もいる。こんなクソみたいな高頻度で、お前は本当に毎回自分で参加するつもりか?
一番アホらしいのは、このゲームのすべての選択肢がキスで実装されていること。しかもめちゃくちゃ分かりにくい。20回以上キスして、ようやくキスで相手を選べることに気づいた。だが時すでに遅し。気づいたときにはとっくにルートに入っていて、相手を変えるタイミングはなかった。

この件について、自分でも驚くほど何も感じなかった。ギャルゲーで誰のルートに入ったか分からないまま進んでいて、**何も感じない!**これが普通なわけだ。何しろ『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか』では、4人の妹の誰を選んでも同じ。会話はみんなワンパターンで、たまに表情が違うくらい。他の印象は全部同じ……まあ、キスの仕方も少しは違うけど、違いなんて分からない。同質化がひどすぎて、ルートを進めた後でも妹たちの名前を覚えられなかった。公式サイトを見たら妹たちにも名字はあった。だが名字なんか何の意味もない。ゲーム内で言及されたかどうかすら覚えていない……
唯一、性格が作られていて個性があるように見えるヒロインははは。つまりこの子……

正直、最初は従妹か何かだと思った。ははという名前も、ただの名前だろうと深く考えなかった。蛤でも街を歩けるんだから、蛤々という名前の妹がいても別にいい。ところが会話が急に転がり始め、さっきまで主人公をお兄ちゃんと呼んでいたロリが、自分は主人公の母親だと言い出した……
うわ、マジか……まず驚いた。
そしてこの母親が攻略対象じゃないと知って、またうわってなった。
つまりこのゲーム、ストーリーは退屈で爆発するレベル、キャラ設定に特徴は皆無、キスは延々と続く、唯一印象に残ったヒロインは母親なのに直接ヤれない。企画は出てきてフロイトに謝れ!

この「うっかり迷い込んだヒロインのルート」に入った後も、ストーリーは終わらなかった。延々と続く日常の中で毎日キス。タブレットで遊んでいる身としては、画面をタップする位置をもう中央に固定している。突然「キスの位置が違うからBAD END」とか言われたらたまらないからな。でも気になる。このゲーム、一体何回キスすれば終わるんだ……というわけで攻略を見てみた……

うわマジか。この主人公、こんな頻度でキスしてたら唇が外翻しねえか?しかもプレイヤーまで主人公のテンポに合わせてキスさせられるのか。ふざけてるだろ。画面タップで指が折れるかと思ったわ!
初期の『お兄ちゃん、右手の使用を禁止します』にはまだギャグ要素があったし、後の『お兄ちゃんティーチャー』にはキャラごとに違う萌えポイントがあった。だがこの『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか』に残っているのは延々とキスさせることだけ。ストーリーも覚えていない。俺のようなシスコン……おっと、好きで「シスコン」という現象を研究している者としては、プレイヤーをバカにしたこの手抜きな姿勢が許せるか?しかも主人公の存在感は低すぎるし、「I Love My Sister’s」なんて服を着てる。これ、文法的に病句だろ。見ててすごく不快だ!

「平均して毎日10回以上のキス」で妹と幸せになり、しかも妹が「自分だけを抱くのは寂しくないの」とか言ってるのを見て、ふと怒りが悲しみに変わった。
怒りは潮のように湧き出る。だが悲しみは川を逆流する。このゲームを遊ぶ俺は、まさに俺の人生だ。

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