『ナツイロココロログ』レビュー
基本的に、キャラが可愛いだけで面白くないとは言わない……はずなんだけどな
自分は「キャラ設定」ってやつにあまり食いつかない方だと思ってた。
つまり、キャラが可愛いかどうかは外見の設定だけで決まるもんじゃないし、絵師だけでも決まらない。CVとシナリオ、物語での経験が積み重なってこそ、その人物が具体化するんだと思う。
だから、一枚絵の女の子を見て「俺、いける(抜ける)」と叫ぶような醜い行為は基本的にしない。
それに「萌え豚」という集団がずっとよく分からなかった。理由は前述の通りで、作品の女の子が可愛いかどうかは見た目だけじゃなく、彼女の経験や話し方、全部ひっくるめて初めて血の通った女の子になるんだから。
顔で判断される世界だけど、顔だけじゃダメでしょ……
そう思ってた。
だから『ナツイロココロログ』を見たときも、普通のキャラ萌え飼料向け作品としか捉えてなかった。女の子は可愛いけどシナリオは空洞、性格はクソ、ハーレム傾向丸出しで、わけ分からんまま終わる……そんなゲームだろうと。
実際……まあその通りだった……少なくとも客観的にはそう。あ、でも完全にそうとも言い切れないかも。

『ナツイロココロログ』の設定はすごくシンプルで乱暴。主人公が学校の先輩が立ち上げた「パソコン研究部」に入る。研究部の内容は部室でゲームをする……コンピュータとソフト開発の研究という名目で。でもすぐに部は廃部の危機。電気を使ってゲームするだけで成果がないからだ。そこで補導の先生とその弟の助けを借りて、「恋愛シミュレーション」のVRソフトを研究成果として開発することになる。このVRソフトってのが……まあ、あれだ、一群が仮想現実世界に入ってチャットするだけのやつ。
ただ先生は嘘をついた。「パソコン研究部」に参加する女の子たちに、主人公の容姿と性格を100%クローンしたAIキャラを設定したから、このやつで恋愛シミュレーションをテストしてくれと。しかも主人公はこのテストには参加しないと伝えた。一方で先生は主人公をVR世界に誘い、その「自分そっくりのAIキャラ」を演じさせる……

つまり、女の子たちがVR世界で主人公に似たAIのNPCだと思っているのは実は主人公本人で、それを知っているのは先生と主人公だけ。
この設定のおかげで展開はクソ簡単。主人公はVRと現実のギャップを通して、部員の女の子たちの性格傾向や内面を簡単に見抜いてしまう。この「恋愛シミュレーション」に参加する部員は先輩の綺新、後輩の小都音、妹の鈴、そして同級生で幼馴染の久遠。予想通り、どの女の子もVR世界でAIだと思い込んでいる主人公にベタベタしてきて、主人公はまるでハーレム状態。

ルート分岐も乱暴。ある日先生が主人公に聞く。「恋愛シミュレーションの次の段階ではヒロインを一人だけ残してテストを続ける。誰を選ぶ?」
選んだやつがそのままルートになる……ルートに入れば進むうちに告白して終わってパコパコ。
『ナツイロココロログ』にTRUE ENDはない。各ルートは独立していて、大きな波乱もない。でもOPには幼馴染の久遠がメインっぽい情報がたくさん出てくる。実際その通りだった。

久遠のルートは、ずっと主人公のことが好きなのにツンデレで言い出せない、その葛藤が描かれる。VR世界の久遠は主人公に対して少し大胆で、現実ではもっと保守的。久遠は大金持ちの令嬢で、母親は早くに亡くなっていて、子供の頃に主人公と遊んで、それから再会した。彼女の主人公への感情はわりとストレートで純粋。他のゲームのいわゆるツンデレほど深くなくて、久遠のツンデレはむしろ可愛さが勝ってる。VR世界で久遠が突然AI主人公にデートを申し込んだり含蓄のある告白をしたりして、主人公は少し罪悪感を覚える。久遠はAIと話してるだけだと思ってたから。でも久遠はすぐに言い当てた。このAI主人公が本人だってずっと前から知ってたと。理由は主人公が子供の頃に久遠を守って首にケガをしたことがあって、よくある動作があるんだけど、それはAIにはできないから。
そんな細部まで観察するとは、さすが幼馴染。

その後の展開は順調に見えた。主人公が久遠に告白し、二人は付き合い始める。ある日久遠の誕生日に、主人公は久遠の好きな石のネックレスを作ってもらってプレゼントする。久遠は大喜び。でも久遠の父親がそれを見て主人公に聞く。「お前が送ったネックレスの石が何を意味するか知ってるか?」
「何を意味するんですか?」
「忠誠と永結同心、つまり生涯の伴侶の選択だ」久遠の父親は主人公を値踏みしながら言う。「久遠を妻にする気はあるか?」
ここまで来たら主人公が何を言うべきか、尻の穴で考えても分かる。そして我らが偉大な主人公の言葉は:
「あ……結婚の意味だとは知りませんでした……それに結婚は、俺にはまだ早いかな………………」

久遠の父親はそれを聞いて、もう顔全体がオスパンダをヤったような表情。俺も聞いててメスパンダをヤったような表情になった。このクソ野郎、義父が娘を好きかどうか、幸せにする気はあるかと聞いてるのに、将来結婚するか分からない、まだ早い……だと。俺が義父なら杖でこのバカ男主の尿道を突いて、爪切りで亀頭に菊のレリーフを彫ってやるわ!
ゲーム内の久遠の父親も多くは語らず、ただ背を向けて立ち去り、久遠に「あいつは信頼できない、お見合いを用意する」と告げる。
久遠は父親の反対を悲しむだけで、何も反抗せず、黙って受け入れる。主人公の電話にも出ないし、相手にもしない。

主人公はどうにもならず久遠のところへ行くが、会えたのは父親だけ。久遠の父親は主人公に言う。久遠は自分の娘だ、幸せになってほしい。もうお見合いを用意した、相手は久遠にふさわしい人間だ。最後に久遠の父親は主人公に聞く。「久遠を幸せにできるか?」
主人公は少し考えて……
家に帰った…… 家に帰った…… 帰った…… た……
家に帰った主人公はベッドに寝転がってパンダにヤられたような表情で、久遠がお見合いに抵抗して最後のチャンスをくれるんじゃないかと妄想している。
最後のチャンスがあるとすれば、それは主人公がクマにヤられるチャンスだけだろ。こんなバカ男主見たことねえ。
なぜ久遠が娘としてそこまで父親に従うのか?子供の頃、父親と母親が結婚した後、母親は体が弱くて一時は子供を産めないと言われていた。それでも久遠の母親は久遠を産み、そのすぐ後に体の弱さで亡くなった。久遠はずっと自分の誕生が父親の愛する人を奪ったと思っていて、父親を悲しませたくない。父親が自分の恋を認めないなら、従おうと。

しかし久遠の父親は正しいと思う。クマにヤられたようなバカ男主は遠くで死んでた方がいい。
久遠は部屋で苦しみ、学校に行かず、体調不良だと言う。主人公はというと、街を走り回り、VRをうろつき、一人足りないことに気づいてやっと異常だと感じる。そして一日、二日、三日経っても、主人公はまだ「久遠への自分の気持ちを確認」しようとしている。てめえ告白もしたし二回もパコパコしたのに、まだ気持ちを確認するって、お前はヤリモクか?義父に娘を娶る気はあるかと聞かれて早いと言い、幸せにできるかと聞かれて背を向けて逃げた。この神クソ男主には呆れるわ。
最後の展開はお決まり。主人公は家で何日も考えた末にやっと確認する:自分は久遠を愛している!(てめえ、それに何日もかかるのか、先にパコってから恋かよ
確認した後、主人公は久遠のところへ行く。そして久遠の父親という障害と対峙する準備をする(てめえ、相手は全然邪魔してねえよ、お前がバカなだけだろ
久遠の父親に会った主人公は、久遠を娶って幸せにすると言う。久遠の父親はすぐに同意した。(見ろよこの義父、男主みたいなクズでももらってくれるんだぜ
最後は久遠が父親と亡き母親の祝福を受けて、幸せに主人公と暮らす。

久遠のルート以外はちょっと普通だけど、まあ許せる範囲。妹の鈴のルートは普通の告白とイチャイチャ(しかも妹の初エッチで血が出ない、深く突き詰める価値あり)。先輩のはCVが既視感ありすぎてやってない。まあ単純に久遠のルートだけで十分その意味はあった。あのバカ男主がいなければもっと良かったけど。少なくとも娘と父親、母親の間の偉大な愛が見られた。
『ナツイロココロログ』のストーリーは面白いとは言えない。少なくとも共同ルートはそう。毎日白湯みたいな会話で、キャラの会話も単調。BGMも共同ルート部分は退屈で、単なる電子音、安っぽいやつ。CVは先輩以外知らない。妹のCVは音声作品で有名な野上菜月らしい。聞いてみると確かにそうだけど、特別な感じはしない。野上菜月の声は音声界では珍しいかもしれないが、ギャルゲーの吹き替えでは普通なんだろう。

そんな全方位白湯みたいなゲームなのに、久遠のルートを終えた後、自分では気づかずにアホみたいに楽しみながらクリアしてた……ストーリーや音楽、CVの細部について考えるのは、クリア後トイレに座ってから思い出した。
「なんでこんなことが?」
異常だ……
でもすぐに気づいた……共同ルートをやってる時、俺は萌え豚になっていたんだ。

このゲームの絵柄がドンピシャ。女の子が細くて華奢で可愛い。特に久遠の八重歯がツボ。この「キャラ造形だけで生まれる恐ろしい力場」の効果で他の要素を無視してしまう。ゲーム内の久遠が可愛く振る舞うのを見てるだけで大きな満足感。おかげで白湯ストーリーも甘く感じ、退屈な電子音も天籁に聞こえ、最後の久遠の親への愛も心に響いた。あの男主が突然バカをやらかして現実に引き戻されなければ、ずっと酔いしれてたかも。
この効果が実証されたのは妹ルート。妹のキャラは特に琴線に触れなかったから、このゲームは絵柄以外……何もないと徐々に気づいた。特に他のルートが久遠線ほど豊かでないと、不満が強くなる。
この時、「萌え豚」の状態が分かった気がした……

「萌え豚」の目には萌える女の子しか映ってない。他はどうでもいい。女の子が笑いかけてくれればそれだけで大きな満足。画面の久遠を見ている俺のように。
だから『ナツイロココロログ』は俺にとって評価が難しい。間違いなく顔で食ってるゲーム。他の面は業界平均以下だけど、減点要素ではない。純粋無毒、バカ男主を除けば。
そして俺はギャルゲーシナリオ派として、普通はキャラが可愛いだけで面白くないとは言わない。

今回は例外として言わせてもらう……もちろん、この絵柄が好きなら、だけど……(可愛いは正義、嫌いなやつはいないだろ、それともお前はゲイか?)
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