『恋剣乙女 / ~再燃~』レビュー

モバイルバッテリー救世記

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『恋剣乙女』はかなり前に落としたんだけど、話が普通すぎるって聞いてたから放置してた。最近になって志村由美先生が声優を引退するって知って……

そういえば『恋剣乙女』には井ノ上花の CV もあったなと思い出して、急いで引っ張り出してきた。

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で、このゲームはどうだったかというと……予想通り、かなり普通。でも光るものがないわけじゃない。

ちなみに『恋剣乙女』には『恋剣乙女~再燃~』という FD があって、個人的には絶対セットでやるべきだと思う。本編だけだと話が中途半端に終わるからな……

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舞台は架空の世界。「導力」という力が存在し、それを持つ少年少女たちが学校で導力の訓練や開発を行う。

入学時、主人公は導力レベル SSS と評価される。同類の中でも珍しい高レベルだ。しかし、主人公には能力がない。

つまり、導力のレベルは高いけどスキルがない。MP と HP は長いのに攻撃力は 1-5、魔法も一切使えない農民みたいなものだ……

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それでも主人公は学校でそれなりの人と知り合う。安国茜、神代透子、幼馴染の染谷柚あたりだ。ちょうど学校で競技大会が開かれることになり、導力保持者が自分の導力を武器に具現化して戦う。安国茜は興味津々だが、参加は三人一組で、導力評価が SA 以上でなければならない。ちなみに S には SA、SB、SC の区別があり、安国茜は S の中で下のほう。だからチームも組めない。他の連中は SB(そう、SB)か SC ばかりで、SA レベルなんて相手にしたくないらしい。そんな中、隣の学校のお嬢様イヴがやってくる。安国茜とは幼い頃からの知り合いで、レベルは SC。ずっと自分と互角だと思っていた安国茜が SA しかないと知って挑発し、チームを連れて競技場で待つと言い放つ。

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とはいえ挑発されても、安国茜はチームが組めない。SC 以上の神代透子が加入を承諾してくれたが、あと一人足りない。

主人公も加入を考えたが、神代透子も安国茜も先生も、評価レベルは高いだけで何もできない主人公が戦ったら死人が出ると反対する。

そしてチーム登録締切の最終日、安国茜はまだチームを組めていない。彼女は諦めて、来年にしようかと思う。競技大会は毎年あるし。しかし主人公は安国茜の目から悔しさと失望を読み取り、一人で走り出して、安国茜に破られた申込用紙を拾い、貼り合わせて自分の名前を書いて提出する。

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安国茜はそれを知って嬉しい反面、心配する。何しろ主人公は何もできない。3 対 3 の戦いに連れて行っても足手まとい以前に、主人公自身が殴られやすい。考えた末、レベルが高い神代透子が主人公を守り、安国茜が連携して 2 対 3 で戦う。主人公はとにかく生き残るだけでいい。

この戦法は格下相手ならともかく、まともなチームには通用しない。

だからグループリーグの最後で限界が来る。神代透子は狙われて倒され、主人公は無視され(役に立たないから)、安国茜もまずい。

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土壇場で、主人公は安国茜の前に立ちはだかり、抱きしめて一撃を代わりに受けようとする。すると安国茜の能力が暴走し、炎が競技場全体を飲み込み、相手を瞬殺しただけでなく会場も破壊する。

その後、調査で主人公の能力がついに判明する。彼の能力は他人の能力を SSS レベルまで引き上げることだった。だから安国茜の炎が爆発的に強まったのだ。

能力がバレて、主人公のチームはさらに進む。競技場で入学時の不良グループのチームと当たり、主人公の能力で相手を倒す。そして最後にイヴのチームと対戦し、苦戦の末に勝利する。

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実は勝利後、本編の話は終わる。あとは選択肢でヒロインのルートに入り、告白してエッチして終わり……俺は神代透子を選んだ(井ノ上花がいるからな)。透子ルートでは、彼女がなぜ自分の能力を嫌っているかが明かされる。元々の能力は言葉を具現化するもので、それでうっかり人を傷つけてしまった。その後、ある理由(幼い頃の安国茜が関係している)で能力が今の氷の能力に置き換わり、それ以来「導力」そのものが嫌いになったのだ。

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続いて本編の内容は FD『恋剣乙女~再燃~』のコトナ討伐編。競技大会が終わって平穏な日常。そこに学校近くに奇妙な建物が出現したという噂が立つ。主人公が探索すると、中に白髪の少女がいた。少女は名前も記憶もない。主人公は少女にヒビキと名付け、一緒に遊び、学校に通い、生活する。ヒビキも嬉しそうだが、謎はつきまとう。ヒビキとは誰なのか。導力テストではヒビキのエネルギーは異常に大きい。学校の歴史の授業で、先生が「導力」の由来は竜族コトナが人類に与えたものだと説明する。しかし竜族コトナは人類に敗れた。ヒビキはその辺の知識をやたら詳しく知っていて、自分からコトナと人類の物語を語り出す。でも自分でもなぜ知っているのかわからない。そしてある日、ヒビキは練習試合をしている学生を見て、自分も武器を召喚しようとする。するととんでもないものが出た。黒い剣と、もう一人の自分の人格。もう一人の人格は凶暴極まりなく、ヒビキも覚醒し、自分がコトナの化身であることに気づく。

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主人公たちはコトナが現世に現れ、しかも小さな女の子だと理解できず受け入れられない。ヒビキという名のコトナと対話を試みるが、何度も門前払い。そしてヒビキはある日の模擬戦で傷つき、コトナはヒビキの善良な人格を捨て、完全に人類と手を切る。学校を去り、自分の領域へ戻る。

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最終的には主人公たちがコトナをぶっ飛ばし、導力の創始者を再び封印して世界は平和になる。

コトナとの対決には面白い要素もある。主人公の能力は他人の能力強化だが、ここで詳細が明かされる。主人公曰く、自分は充電池のようなもので、他人に給電するだけでなく、他人から充電もできる。コトナの強大な導力は最終的に主人公に充電され、主人公がこの巨竜を倒すのだ。

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というわけで二本分を語ったが、結局主人公の SSS 級の能力ってただのモバイルバッテリーじゃねえか!そうだろ?


『恋剣乙女』は確かにいたって普通。立絵はいまいち、CG はまあまあ。一勝一敗で相殺。OP は Fripside で最高。処女剣の曲はゲームやってなくても聞いたことあるだろ。でも BGM は普通。また一勝一敗で相殺。本編の話は中途半端(練習試合で終わるってどういう展開だよ)。でも FD のコトナ討伐編で補完されて完結。これも一勝一敗で相殺。後半のシナリオは失速するが、OP 前、特に安国茜が大会に出たいのにチームが組めないもどかしさは妙にうまく描けている。一勝一敗でまた相殺。ゲーム時間は短めで、おかげで退屈はしない。CV は安国茜が中村繪里子の珍しい男勝りな声、他のキャラの CV も豪華。志村由美の演技は確かに柔らかいが台詞が少ない。キャラ自体がクールだからな。

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だから一勝一敗を相殺すれば、このゲームは長所が短所を上回る……シナリオにもう少し起伏があればな。今の話は設定と OP を見ただけで展開が読める。そして終わってみるとほぼ予想通り。このゲームの「退屈」さはそうやって生まれるんだろうな。

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確かにそうだ。どこがいいとも言えないし、どこが悪いとも言えない。ギャルゲーとしてはよくできたほうだ。今は地雷だらけだから、クソゲーを踏まないだけマシ。

でもこのゲームの方向性は後に出た『1/7 の魔法使い』ってゲームにそっくりだ。同じ子会社かペーパーカンパニーが出したのか、あるいは後者が真似したのか。設定も内容もスタイルも似すぎている。OP まで同じ Fripside。ただ『1/7 の魔法使い』は『恋剣乙女』より出来が悪い。後者は演出にすら力を入れていない……

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もちろん後者の設定が陳腐すぎるってのもある。主人公がまるっきり桐ヶ谷和人だし。それに比べれば、充電バッテリー主人公が世界を救うほうがまだ新しみがあっていいだろ?

あ、そうそう。このゲームは志村由美目当てでやったのに、全編通して彼女の話はほとんど出てこなかったな……やっぱり別に思い出記事を書いたほうがよさそうだ:

『さようなら、井ノ上花』

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