OpenMediaVaultでNASを組む
HP N40Lが逝った。しかもよりによって保証期間が過ぎたところで。しかもケースが変態仕様で修理も不可能、残った10台のHDDを眺めてため息をつくしかなかった。しばらく考えて、どうせなら自分で組むかという気になった。メルカリで激安のH61マザー、激安のCeleron 1610、そして激安の産業用ラックケース、合計400元。これに前に買ったパチSSDとHBAカード、家に余ってたサイズのクーラーとガラクタのケースファンをかき集めれば、だいたい揃う。
組み立ての過程は端折る。産業用ケースはHDDベイが10個あって、さらに増設もできる。一発で点灯したのはよかったが、点灯後に10台中2台のHDDが死んでることに気づいた。残ったのはWestern Digital Blueの500GBが4台と、Seagateの普通の7200rpm 1TBが4台。
最初はRAIDを組もうと思っていた。RAIDを組まないと、例の上級者連中から「情弱乙w」と笑われるからだ。ところがReddit(r/visualnovels)で経験者に聞いてみると、口を揃えて「お前のところは家庭用のダウンロードマシンだろ、世界の機密資料でもDLしてるわけじゃあるまいし、AV見て消すだけの用途にRAIDが要るか」と言われた。挙句、RAIDなんてハイエンドのフルセットでも揃えない限り手を出すな、ディスクが落ちたら目も当てられん、やるとしてもRAID1で十分だのblah blah blah。目から鱗が落ちた気分だった。ノートPCもデスクトップもRAIDなんて組んでないが、中のデータは別にどうってことない。装備が伴わないのにイキる必要はない。というわけで、単純にHDDを束ねる方針にした。
ところが後日、暇つぶしに見ていたらRAIDの中にRAIDを入れてそのまた中にRAIDを入れるRAID10を実現した人がいて、これがなかなか面白い。RAID10は二層までしか無理だと思い込んでいたが、何層でもいけるらしい。手元の500GB×4と1TB×4を見て、どうせ遊びだし500GBを2台ずつ束ねてRAID10を組んでみるか、と。データはDLして整理したらBlu-rayに焼いて保存してるし、飛んだら飛んだでいいや。
もちろん公式の場や大事なデータがあるならこの方式はおすすめしない。もっと専門的な方法を使うべきだ。
OSはFreeNASとOpenMediaVaultで迷った。以前N40LでOMVを入れたとき、インストールディスクのカーネルが古すぎてNICすら認識しなかったのだ。ところがWikiを見ると、開発者自身インストールディスクなんて使っておらず、全員Debianを手動で入れてOMVのリポジトリを追加している。OMVならパチSSDに単独で入れられるが、FreeNASだとシステムをUSBメモリに書き込んで起動し、SSDはZFSのキャッシュに回すことになる。実際に試すと後者の速度は前者と大差なく、前者はキャッシュを手動で拡張できる。それ以上にOMVはDebianベースなのでできることが多い。VirtualBoxでVMを立てるのもFreeNASよりはるかに楽だ。FreeNASのJailで実装されたVMは接続のたびにめんどくさすぎてかなわん。
だらだら数日かけて設定して、だいたい片付いた。手順はWikiに書いてあるので、遭遇した問題だけ書く。
1, 必ずDebian 7.5でインストールすること。UnstableやSidはダメ。OMVのリポジトリが対応していない。
2, Debian 7.5にOMVを入れる方法はWikiを参照していいが、バージョン番号をkralizecに変えるのを忘れずに。これはWikiにも書いてない。
3, OMVのRAID管理はmdadmベースだ。WebのGUIから簡単にRAIDを作れるが、作成済みのRAID一覧が更新されないことがたまにある。再起動するか、SSHで入ってコマンドラインから作るか。後者を勧める。もちろん慣れてないなら前者で。
4, OMVを入れたら再起動が必要だが、最初の再起動後はSSHサービスが止まっている。Linuxの起動ファイルにSSH起動を書き足したり、コマンドラインからSSHを有効化しようとしたりしないこと。正しいやり方はWeb管理画面にログインして、サービスからSSHを有効にする。OMVが完全に管轄しているからだ。
5, OMVにはExtras.orgという追加リポジトリがあり、ググれば出てくる。プラグインが大量に入っていて、NAS専用にビルドされた3.14カーネルなんかもある。導入推奨。
6, OMVのプラグイン導入は要するにapt-get installだ。しかもWeb画面がしょっちゅう応答しなくなるので、SSHで入って自分で入れたほうが確実だと思う。
7, mdadmでRAID10を作るのにそれほど時間はかからなかった。500GB×2でミラーを2組作り、そのミラー2組でストライプを1本。次にそのストライプと、1TB×4から作ったミラー2組でもう1本ストライプを組む。最終的な使用可能容量は3TB(2.7TB)。
8, VirtualBoxプラグインを入れるとHeadersがデフォルトでは入らない。SSHで手動インストールする。
9, OMVを最初に組んだあと妙な問題が出た。LAN内のギガビットコピーが40MB/sで安定するだけならまだしも、起動から2日でコピー速度が500KB/sまで落ちる。おまけにいつでも書き込みは20MB/sしか出ず、SSHでローカルからテストすると問題ない。さんざん考えた末、20元のIntelデュアルポートギガビットNICが犯人だと判明。このNIC、FreeNASではDNSアドレスを覚えられないわ、OMVでもIPを手動で設定しないと起動しないわで、ろくでもない代物だった。そこで50元のintel82574Lの国産NICに換装したら速度が正常化、ピークで90MB/s出る。NASとしては十分だ。
10, 最初の設定後に深刻なディスク落ちが発生した。G+でKayaと話して電源じゃないかという結論に至り、単路12Vの全漢400Wの安電源を購入。交換したら解決した。予算が200元ほど増えた。
11, 地味に大事なのがHDDの冷却だ。産業用ケースにはHDD位置にファンスロットが1つあるのでファンを突っ込み、ファン前面の開口部には防塵ネットを貼った。ケースの継ぎ目など共振しそうな場所には制振テープを追加。おかげでNAS全体の音はそれほど大きくない。
12, 現在NASは快調で、プラグインにもいろいろ遊びがあるがまだ試していない。VirtualBoxでVMをいくつか入れてリモート接続しているくらいだ。DAAPやDLNAは積みたいゲームが多すぎてやる気が出ない。まあWin8タブレットからDLNAの動画を直接見つけて再生するのは問題なくできる。
全体として、Debian 7.5ベースで入れるならOMVはFreeNASより使いやすい。近いうちに会社のファイルサーバーを更新する予定で、これもOMVを積もうかと考えている。実現する機能は単純なSamba共有だけだし、OMVで十分。何か問題が出たらまた追記する。
最後にNASをやりたい人へ。自分で組むか、Synologyか完成品を買え。HP N40LやN54Lみたいな代物は信頼できない。もっと悪いのは、一度壊れたらただの文鎮になることだ。部品も見つからないし、マザーも専用設計でほぼ詰み。割に合わない。
パチRAID10、たぶん落ちないだろう(たぶん)

開発中のOMV 1.0を使っているが、安定性に問題はない。

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