『Magical Charming!』レビュー

たぶん俺が今までやった中で一番ヤバいギャルゲー

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昔からギャルゲーが、お姫様みたいなアホな硬派ヅラの連中から疑いの目で見られ、見下されてきた最大の理由はこれだ。こいつはゲームとは言えない。

俺もゲームとは思ってない。せいぜい音声付きの読み物だ。何度も言ってるが、海外の連中が日本のエロゲームについて語るときに使う言葉は全部 Visual Novels だ。日本のオタクが真面目な顔で「今月もエロゲーやってる」と言ってる横で、海外の連中は What are you reading? と言ってる。もちろんギャルゲーってやつは本質的にどんどん小説化していて、作画やストーリー、音楽、エロ要素、はては初回特典だけで金を取る商業製品になってしまった。開発コストもそんなに高くないから、小さな同人サークルがギャルゲー会社から始めることも多い。どことなく中国の若者の起業って感じがする。

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だが、昔はそんなもんじゃなかった。

一番古いギャルゲーはときめきメモリアルみたいなデート展開で、それ自体は確かにゲームだった。ゲームの重点は恋愛、女の子と恋愛する、ゲームの中で女の子と恋愛する目標を達成する。エロゲーム方面でも脱衣麻雀みたいな感じで、つまり遊びの要素があった。たぶんその後 RPG の台頭でこういうゲームは市場を失い、人設を売る小説化へ一直線。それでも初期のギャルゲーには、できるだけこれを「ゲーム」に感じさせようという要素が残っていた。たとえば 2003 年の Alcot の処女作 Clover Hearts は、ルートごとに分岐してアイテムを回収、最後にゲームのメイン画面のジグソーパズルを解放するコレクション要素があった。あと昔のギャルゲーは選択肢がとにかく多かった。そもそも AVG 寄りで、行動によって物語の行方を決めるのは AVG の定番手段だ。今でも欧米の AVG はその原則に従ってる。とはいえ向こうはもう画面やら 3D のリアルな場景やら、VR 技術と簡単なアクションまで組み合わせて競ってる……日本のギャルゲーはといえば、描かれる女の子が可愛くて、おっぱいが大きくて、エロが露骨になった以外、システムはゲーム性の面でほぼ進歩してない。むしろ大きく後退してる。大量の選択肢は消え、ほぼ一つの選択肢で物語の行方が決まる。おまけに「一本道」のゲームまである。選択肢が一つもないなんて、もうゲームとは言えねえ……

それでも日本のギャルゲー界は毎年アニメと同じく衰退を叫びながら、毎月新作を出し続けている。まともな会社のゲームだけでも山ほどあるし、純エロ産物は言うまでもない。仙台エリがラジオ番組で「旦那が結婚後もエロゲーをやってたらどう思うか」と聞かれて、これを AV と一緒に論じてた。エロゲーをゲームとして扱うのはおろか、小説として物語を読むのだってマイノリティの中のマイノリティだ。結局のところ、口に出せない趣味になってしまった。お見合いで女の子に「何が好きか」と聞かれて、俺は「日本のアニメを見るのが好き」としか言えなかった。そしたら「何の番組を追ってるの」と聞かれて、俺は一つも見てねえ……まさか「エロゲーが好き」とは言えないだろ……

結局、日本の今のエロゲーには正しい発展の方向があるべきだといつも思う。潔く小説になってゲーム界から出ていくか、ちゃんと娯楽性を高めるか。娯楽性を高めるやつもいないわけじゃない。閃光十字軍 / 花姫、それに以前 PSP や PSV で出たダンガンロンパや Fortissimo シリーズなんかはそうだ。だがどれも大した特色は見えない。明確な方向性がない……閃光十字軍は戦闘が爽快だが、それなら RPG にしたらいいだろ。ダンガンロンパの推理はやや牽強付会だが、逆転裁判なんかが既にあるし、これ自体も別に目新しくない。Fortissimo はスキルを叫ぶのがやたら気持ちいいが、システム自体が四不像で面白くもない。攻略を見ないと難しすぎて、見るとバカバカしくなる。誠意が感じられない。結局は迷走してる。

じゃあ、ギャルゲーにふさわしい正しい発展方向とは何なのか?俺に聞くのか?分からん。

この問題には長く悩まされてきた。ギャルゲーはキャラとストーリーが主体のものだからだ。たいていのゲームにはキャラとストーリーがあり、AVG 寄りの欧米ゲームには戦闘があり、戦闘が多ければ ACT、ターン制戦闘が多ければ RPG になる。文字 AVG で何ができるかは定義しにくい。だが、ないわけでもない。この前ツッコんだ Lump Of Sugar、糖塊社だ。

糖塊社の以前のゲームをいくつか触ったことがある。正直、システムはよくできていて、筋が通ってるように見える。だがストーリーがクソほどバカで、そのせいでシステムも楽しめない。当時もツッコんだ。なんで大金かけてこのシステムを作るんだ、そのぶんお前のバカなストーリーを直せよと。おまけに運命線上のφと恋想リレーションと続けて、ストーリーじゃなくシステムに力を入れようとする。何が糖塊社をそこまでこだわらせているのか。

そこで糖塊社の過去作を漁り始めたら、『Magical Charming!』というゲームが目に飛び込んできた。批評空間で 80 点だった。古いゲームが批評空間で 80 点、しかも廃萌ゲーで。これは大勢が 80 前後の評価をしたという意味だ。ゆずソフトのゲームですら、ブサイクなオタクどもが「いいぞいいぞ」と持ち上げるときでも、5pb とその亡霊だの KID とその亡霊だの、あるいはホワイトアルバムみたいなクソゲー政治正確の前提を考えて、70 点しかくれない。お前は廃萌で、大作じゃなくて、萌えキャラを売ってるだけだから 70 点くらいだろ、と。それが 80 点を取った。これはただ事じゃない証拠だ。

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だが周知の通り、この世には三大当てにならないものがある。

  • Head-Fi の外人
  • 5ch のソニー信者
  • 批評空間の日本人

それでも、このゲームは試す価値があるんじゃないか……


設定はすごくありきたり。主人公が魔法学院に拉致られる。魔法学院は魔法が使える者しか通えない場所で、この世界では女性しか魔法を使えない。主人公は唯一の魔法を使える男性で、非常に珍しいから強制的に通わされる。

主人公を拉致ったのは学院が属する国の姫で、学院は浮遊する小島にある。姫曰く、魔法を使う者はみな心に大きな願望を抱えていて満たされないから魔法を覚える。主人公は珍しい男性だから、きっと大きな願望があるはずだ、でなきゃ魔法使いになれない、と。で、何が欲しいのかと聞かれる。

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主人公は考えて言う。彼女が欲しい!

学院の姫オリエッタが言う。よし、じゃあ急いで女を探せ。女を見つけて願望が叶えば、お前の魔法は解けて人間界に帰れる、この魔法学院にいる必要はなくなる。

そうして物語が始まる。主人公は学院で唯一の男として、女を口説く日々を送る。

ここでゲームのシステムの話。このゲームにはカードシステムがある。各ヒロインや NPC との会話で出たキーワード、場所だの機能だの魔法だのがカードとして記録される。「キーワード」みたいなもんだ。カードには色属性があり、等級もある。C カード、R カード、SR カード(お察しの通り SSR はない)。

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だがこのカード、何ができるのか。ゲーム内では魔法使いはカードを使って魔法を唱えると言うが、ゲーム中ではカードは何もできない。会話のときの選択肢として使われるだけだ。

毎日、主人公は誰に会うかを選ぶ。会う相手のカードを選び、その人とイベントを起こす。イベント中にいろんなカードを手に入れ、手に入れたカードはこの先のイベントで使われる。必ず正しく使うこと。

ここで言っておくと、多くの場所でカードには連鎖がある。たとえばオリエッタとデートして、後半に「どこにデートに行く?」と聞かれる。もし以前に彼女と会話していなければ、彼女が行きたい場所を知らない。するとこのカード選択には正解がなくなる。なぜなら前の会話でオリエッタが「水族館に行きたい」と言ったとき、お前は「水族館」のカードを手に入れているからだ。

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つまりゲーム中の選択肢はすべてカードで、多くのカードは会話で手に入れる。前の会話がうまく進んでいなければ、後の会話で選ぶカードがない。ゲームには HP システムもある。左側の鼓動がそれだ。いくつかのキー選択肢があり、正解なら HP が増え、間違えると HP が減って選び直せる。HP が 0 になると Game Over。

もうこのゲーム、ちょっと面白いと思っただろ?俺もだ。もうcreativeだと感じた。このゲームは四人の女の子を攻略できる。学院の姫オリエッタ、主人公の妹の夏本諷歌、幼馴染で男装して学校に付き添う葉山秋音、先輩の白神姫百合。攻略の仕方は伝統的なゲームとほぼ同じで、誰を攻略したいかで毎日その人に会いに行く。だがそんなに単純じゃない。各ルートでヒロインは主人公に連続して質問してくる。デートはどこ?何を食べる?彼女をどう思う?などなど。だがこれらの質問は突然降って湧いたものじゃない。前因後果がある。会話をちゃんと読んでいれば、ヒロインは以前に自分の好みを話している。無意識であれ意識的であれ、ちゃんと読んでいなければカードを逃し、わけのわからない HP を失って、バカを見る。

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ゲーム中の主人公は自分の恋愛観を強調する。「段階的に一歩ずつ」というやつで、願望が何だったかは忘れたが、恋愛は知り合いから、理解し合い、愛し合い、告白し、付き合うまで、途中を飛ばしてはいけない、一歩ずつ進まねばならない、と。特筆すべきはこれがゲームの選択肢の参考にもなっていること。何度か「いきなりヒロインにキスするか」という選択肢が出て、興奮してキスのカードを選ぶと、そのまま Bad End まっしぐらだ。

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各人の攻略は選択肢が多くて面倒に見えるが、「前にちゃんと言ってくれてる」のがこのゲームの大きな特色だ。そう、すべての選択肢は前に多少なりとも明確に示唆されている。ちゃんと読まず、ちゃんと考えなければ、それは自分のミスだ。

ヒロイン攻略以外にカード収集要素もある。毎日ヒロインに会う以外に、先生に会って質問することもできる。先生は真面目に自分の知ってる魔法学科の内容を説明してくれて、中には魔法カードをくれる人もいる。ゲームには四本のヒロインルートがあり、各ヒロインを攻略し終えると Steady Mode が解放される。ある女の子と恋人になり、ゲームのテーマボイスがその子になり、その子と何日恋人をやったか記録される。そう、時間は現実時間で、毎日ゲームを開いてチェックインできる。それだけじゃない。特定の祝日になると、ゲーム内の恋人が特別イベントを起こす。バレンタインデーならバレンタインの話が増え、付き合って 30 日なら一ヶ月記念の話が出る。話の後には確率でカードがもらえる。マジでcreativeだ。

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カード収集要素が多く見えるが、恋愛ストーリー自体もなかなかいい。波乱万丈とは言えないが、堅実に甘い。小さな伏線もあり、回収が巧い。ヒロインの描写もとても可愛く、女方視点も多い。何より、恋愛ストーリーが実用的だ。

そう、実用的。女の子を口説くコツがいろいろ書いてある。デートでは必ず彼女が前に言った行き先を覚えておくこと、デートでは彼女の好みをよく見ること。ゲームには自称恋愛导师の先生もいて、毎日デート前に彼女のカードを選んで相談できる。カードを刷る以外に人生経験も得られる。小さな分岐も多く、小カードを回収できる。分岐には悪趣味やおふざけの結末もある。ホモエンド、性転換エンド、主人公がチンピラになってヒロインの使い魔になるエンドとか。これだけ見ても、軽くて可愛い恋愛小品として十分よくできている。むしろ期待以上だ。

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公式はやたらこのカードシステムがすごいと強調するが、俺は気にしてなかった。最初からコレクター向けで……何の役にも立たないと思ってた。ゲーム内ではカードについていろいろ設定があり、先生が授業でカードの属性、R C SR の違い、カードの魔力計算、カードで使い魔を召喚する魔力相克なんかを説明する。もちろん全部設定上のたわごとだ。最後まで聞くとカードを一枚くれる。要するにカードを集めるだけで、ギャルゲーで 100% 既読を目指す連中と同じ、強迫観念を満たすだけ……

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もちろんこのゲームの見どころは多い。とりあえず甘い恋愛ストーリー、選択肢に HP があって間違えると減るだけでも先に褒めていい。カード?形を変えた選択肢にすぎない。

だがすぐに……現実に顔を引っ叩かれた。

前に何を言ったか覚えてるか?このゲーム、難所にぶつかったとき、ふと振り返ると「前にちゃんと言ってくれてた」ことに愕然とする。

四人のヒロインルートをクリアし、各ヒロインの恋愛 END 後の SR カードを集めた後、このゲームにはまだ True End があると気づいた。信じられない。廃萌恋愛ゲームに True End があるなんて。

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True End への入り方は簡単。もう一周して、一週目で服を脱ぐ場面で、ヒロインに見せる恋愛 END の SR カードを選ぶ。そこで主人公はまだ告白してないのに、告白後の ED カードを出して矛盾が生じる。

ヒロインは驚く。付き合ってもいないのに、なぜこのカードを知っているのか、と。主人公は他のヒロインにも会い、それぞれの恋愛結末の SR カードを見せるが、理解されない……

ヒロインたちもこの SR カードの記憶を得て、主人公と恋愛した物語を思い出す。だがここで矛盾する。そんなことがどうして起きた?並行世界?別の世界線?

学院の姫オリエッタは怪しいと思い、自分でカードを作って主人公に使い、もっと早い記憶を呼び覚まそうとする。

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そこでゲームは回想シーンに入る。だがこの回想、はっきり言って説明が下手くそだ。回想の中で主人公は姫オリエッタに召喚された使い魔で、姫オリエッタはずっと魔法訓練を受けている。この魔法学院の小島は魔力不足ですぐ崩れる、新しい姫が王位を継いで魔力で小島を支えねばならない…… その後いろいろめちゃくちゃなことが起き、主人公はわけもわからず魔力を失って消滅する……

そして第二の回想。今度は主人公は死なず、逆に誰も主人公を知らず、オリエッタのそばには顔の見えない別の女がいる。

回想が終わり、実は多くの謎が残される。物語が続くと思うか?違う、このクソゲーはここから本編を始めるんだ。

何の本編かというと、問答ステージ。ヒロインが回想に出てきた人物たちの関係、回想の主人公がなぜ使い魔なのか、なぜ召喚されたのか……などを次々と聞いてくる。

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回答はカードで。カードの回答を間違えると HP が減り、HP が尽きるとゲームオーバー。気をつけてください。

何を思い浮かべた?読解問題だろ!

回想は完全に一つの読み物で、最後に先生が出題して、回想で何が語られたか、何が暗示されたかを聞いてくる……さらに厄介なのは問題に地雷があって、明らかにミスリードの設問もあり、思いっきり引っかけられる。

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たとえば最後に導き出される顔の見えない女は今の国王かもしれない、国王の眷属は誰か、普通なら姫オリエッタだ。眷属でなきゃ、なんで教育を受けて王位を継ぐのか、と。

答えは間違い。正解はあの三人の先生だった。以前の会話で、先生はみな国王の使い魔で、使い魔は眷属だと語られていた……

おれは!@)(#×……@#()¥×@……#¥、昔の英語の試験で長文読解の設問に殺された気分だ。だが仕方ない。ゲーム内では確かに言っていた。俺がちゃんと読んでなかった……

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ちなみにここでは二択も出て、穴埋めさせる。「XX」を「xx」に、両方選んで初めて答えが提出される。これで HP を半分持ってかれた。ずっと最初のが正解だと思ってた。

運よく読解ステージを抜けられれば、今の世界は主人公がループした世界で、時間の魔法カードを使って何度もリセットしたことが分かる。主人公は最初確かに使い魔として召喚されたが、もともとは人間だ。この小島は確かに魔力が失われ、魔法の泉が枯れて小島が落ちる。姫オリエッタ自身が泉に入って人柱となり小島を支えるはずだった。だが最終的に誰が行ったのか?

姫の妹だ。姫には妹がいると言っていた(前に言ってたが、お前も俺と同じで気づかなかっただろ)。姫の妹は姉のために小島の魔法の源となり、小島の存在を支えている。島の学院の三人の先生は姫の妹の使い魔で、専門に教え、魔法学院の運営を維持している。

そもそも世界には常に魔法に目覚める者がいて、送られてきて学び、卒業すると魔法は消え、無事に帰っていく。この小島がなければ多くの人が魔法を制御できず世界が混乱する(共通ルートでも言ってた。先生が授業で魔法制御と魔法抑制を説明していた。誰が聞くかよ、俺もでたらめだと思ってた)。妹はこの魔法学校が必要だと信じ、自分を犠牲にして小島を支えている。

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だがオリエッタは思い出す。魔法の源を枯れさせないには、死人は必要ない。誰かが中に浸かっていればいい。だから妹はまだ島の下の泉に浸かっているかもしれない。姫オリエッタは妹を救うつもりだ。

もちろん妹を救うのは簡単じゃない。三人の先生が使い魔として妨害してくる。最初の先生が飛び出してきた。この先生は授業で使い魔召喚を教えていた。案の定、使い魔を召喚して使い魔対戦を挑んでくる。

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使い魔対戦は簡単。風系は土系に、水系は火系に、火系は風系に強い。これ、あの先生が共通ルートの授業で言ってた!!!だが誰が気にするかよ、俺も放屁だと思ってた!

何?カードにペットカードがない?

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バカだろ!戻ってカードを刷れ!

四人のヒロイン攻略ルートで、告白前の日に独立して抽選できる分岐があり、毎回 30% の確率でペットカードが召喚される。だがこれは単機ゲームで、ソシャゲじゃない。Save And Load で何度でも抽選できる。30% の確率で俺は 5 回も刷ってやっと出た。マジで。俺はソシャゲは引退したほうがいいかもしれん。

二周目に戻ってペットカードを揃えれば、このペット対戦の先生に挑める。属性相克で勝てる。

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その後、二人目の先生との対戦はしりとり。先生が最初の文字の発音を出す。たとえば「さ」なら、カードの頭の読みがそれのを探す。たとえばさいふ(財布)。

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だが、この先生が最後に「ば」を出してくる。まだカードがない。

何を思い出した?True End に入る前にヒロインが言っていた。主人公は五つの可能性の結末を探す必要がある。だが俺は四つの攻略可能性の結末しかやってない。もう一つは何だ?

バッドエンドだ!!

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戻ってわざわざ Bad End を進むと、Bad End で主人公は孤独に一生を終え、独立した悲惨な ED もある。Bad End 後に Bad End カードを手に入れる。

だから「ば」で始まるカードもできた。ばっどえんど、バッドエンド。

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二人目のボス突破。

そして三人目のボス、魔導天秤。

「魔導天秤」って何?バカだろ。日常共通ルートの授業で先生が言ってた。お前も俺と同じで聞いてない……

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各カードには C R SR の属性があり、属性には基礎値がある。カードの性質(場所、人物、動作、心情)が倍値を表す。

カードの魔力は属性値×倍値。具体的な数値は先生が授業で話していた。聞いてない?攻略を見ろ。

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先生はランダムに 9 つの技を出し、各技に魔力値が対応する。先生が技を出したら、手元のカードで先生の技の魔力値と同じ数値を作り、必殺技神魔討撃を使う。

これで両辺の数値が等しくなり、そのターン成功。三ターン連続成功でボス戦勝利。

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つまり先生が数字を出してくる。たとえば 31。手元に 5 や 6 や 3 のカードがあって、それを組み合わせて合計 31 にする。もちろん SR R C の計算値は自分で探す必要がある……

どうしてもバカなら……攻略を参考にしろ。各攻略に技に対応するカードセットがあるから、その通りにやればいい。もちろん自分で計算するのも楽しい。どこかのボードゲームの遊び方を流用したんじゃないかと疑ってる。

これはゲーム内の SR カードが本当に役に立つということも教えてくれる……飾りじゃない。

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三回目のボス戦が終われば、その後はもう大した難所はない。選択肢は相変わらず大量に出るけど、大半はデフォルトでOK。間違えてHPを削られても、空になるまで削られることはない。最後のストーリーは、主人公が魔法を消滅させる道を選ぶというもの。魔法導そのものが人間の記憶を吸い上げて魔法として還元する仕組みで、人間は延々と記憶を捧げ続け、泉はそれを吸い続ける。最終的に主人公は姉妹と共に泉ごと破壊し、全身の魔法カードを叩き壊し、姉妹を救い出す。魔法に悩まされてきた人々も解放され、一行は墜落寸前の島を飛空艇で脱出、大逃亡を果たす。

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そして主人公たちは人間の世界へ戻り、魔法なんてものはもう存在しない、穏やかな暮らしを送る。

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ゲーム終了。


最初に言ったこと、覚えてる? Galgameとして正しい発展の方向性とは何か、って話。

『Magical Charming!』はその答えをちゃんと見せてくれたと思う。

文字AVGの娯楽性って、戦闘を求めることじゃなくて、文字そのものに回帰することにある……「読解問題」みたいな方式にカード収集を組み合わせるだけでも、十分な楽しさが得られるとは思わなかった。適度なランダム要素と固定された問題の解答、それが融合して、正真正銘のアドベンチャーゲームの感触が生まれる。

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しかも文字AVGには変種がたくさんある。カードバトル、しりとり的な文字遊び、そして最後の魔導天秤。Galgameのゲーム性はボードゲーム的な遊びと全然組み合わせられるんだよ。『Magical Charming!』はまさにそれをやっている。日常パートでカードを集め、最終戦でその集めた材料を使い切る。無駄が一切ない。よく考えれば、どんなAVGも構成は同じだ。欧米の3D AVGだって、手がかりや鍵を集めて最後の扉を開くプロセスから逃れられない。

ただ、この方式をやったゲームは他にもある。『ダンガンロンパ』だ。

『ダンガンロンパ』の日常パートと非日常パートの組み合わせ。片方でボケ倒して、片方で証拠を集めて言弾を構築し、発射して戦闘に入る。『Magical Charming!』の形式とまるっきり同じだ。『ダンガンロンパ』の反響を見る限り、なかなか良さそうだ。

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でも言わせてもらう。『ダンガンロンパ』は『Magical Charming!』に負けてる。

『Magical Charming!』の本質は恋愛AVGだ。恋愛部分も十分に作り込まれていると言った。個別√の甘々さは言うまでもなく、恋愛指南の人生経験、恋人になった後のチェックインSteady Modeシステム、これ自体がもうヤバいだろ! 一方『ダンガンロンパ』は、適当にその辺のシーンを調査しまくれば回収できてしまう。最後の言弾発射も、何回か試せばいいだけのモード。『Magical Charming!』の面白さには全然及ばない。

そしてシナリオも、『ダンガンロンパ』はさんざんツッコまれてきた。ガチの信者以外、あの裏の無理やりな話に合理性があるなんて思わない。所詮はミニゲームの寄せ集めだ。だから『ダンガンロンパ3』は学級裁判を放棄して、いきなり斬り捨てて純アニメにしたんだろう。

わかってる、恋愛ゲームは顔で決まるゲームだ。『Magical Charming!』の大殺器は梱枝りこ。これが『ダンガンロンパ』のあの死んだ目より良いに決まってるだろ。

方向性としては『ダンガンロンパ』と『Magical Charming!』は同じかもしれない。でもこの点で、『Magical Charming!』は然るべきレベルに達している。『ダンガンロンパ』はもう節操なく金を巻き上げてファンを沼らせ始めてる。

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時々思うんだ。『Magical Charming!』のあの難易度高めでミスリードな読解問題の選択肢、あれは明らかに作り手が知恵を絞ってる。プレイヤーが何を選ぶか分かっていて、わざと溝に落とそうとしてくる。そして煙幕選択肢がいくつか続いた後、急にすごく簡単な問題が出てくる。サービス問題に見えるけど、疑い深くなってるとさらに罠にハマる。作り手の心臓の抉り方よ。ゲームのカードシステムにも微妙な連鎖があって、カードAを手に入れないとカードBが手に入らない。カードAの入手方法はカードCを獲得したときにヒントが来る。こういう細部がそこら中にある。最大の伏線は先生の授業で話した内容で、大半の人は日常の雑談だと思って飛ばす。でもあれこそが最後のボス戦の鍵なんだ。誰が想像する? ボス戦で右手も左手も分からなくなったとき、あの「先生の授業で言っただろ、話聞いてなかったのか」というお馴染みの忠告を思い出すんだよ。

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だから『Magical Charming!』に関して言えば、明確な弱点はほとんど見当たらない。明らかにビジュアルノベルなんかじゃなく、これはGameだ。Galgameだ。日本人が長年叫んできて、すでに名前だけになってしまった「恋愛AVG」だ。業界の希望を見た気がする。やっぱりちゃんと戦えるものを作れる人はいるんだなって。面白いのは、このゲームもR18なのに、R18の内容はキャラを攻略して付き合った後の日記の中にある。元の恋愛攻略の甘さを壊さず、主人公の「恋愛階段理論」に背かない純愛感情も裏切らず、しかもHCGが見たい人の面倒まで見ている。拍手喝采ものだ。

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ただ、こういうゲームには明確な天敵がいる。攻略情報だ……攻略を見てそれに従ったら、このゲームの楽しさの80%は失われる。

ちなみに、ゲームの音楽も大きな見どころだ。BGMは非常に的確で、リズム感と悠々とした情緒が共存している。OPは中毒性があるし、ED2にはNETAまである。随所に作り手の小細工が感じられる、さすがに気合の入った作品だ。CVも全員の芝居がしっかりしている。特にヒロインの愛理サクラ、声が可愛くてキャラ立ちも鮮明。残念ながらこのCV、その後ゲームにあまり出なくなってしまった。そうじゃなきゃ秋野花の出番なんてなかったと思う。

『Magical Charming!』をプレイしてから、思わず感慨にふける。これは俺がこれまでにプレイした中で、最もヤバいGalgameかもしれない。

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ランダムな独立カード収集システムがあり、恋人の毎日チェックインシステムがあり、特定の祝日には特殊イベントがあり、ガチャでSRを引ける。恋愛ストーリーから人生経験をもらい、告白は甘く、音楽は良い、絵柄は可愛く、ヒロインは最高。最後には戦闘と神展開まである。システムは錯綜しているけど、噛み合っている…………

要素が多くて、あるもの全部ある。言った通り、明確な弱点はない。

一番大事なのは、その中で楽しさを得られること。この「楽しさ」はゲームとしての楽しさであって、ストーリーの会話が面白いから得られる「楽しさ」じゃない。

『Magical Charming!』はGameだ。2013年に発売されたGameだ。同年2013年に発売された天色*アイルノーツと比べてみろ。同じ萌え系ゲームだが、あれは……

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このゲームを今年のなんとかいう「廃萌」ゲーと比べても、あの廃萌ゲーどもはやっぱり……

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今になって、Lump of Sugarがその後の作品でなぜあんなに執着して自社システムを強化していたのか、一瞬で理解できた。彼らはずっとこの路線を突き進んでいたんだ……自分のゲームを「本当のAVG」にしたかった。単なるエロの擦り寄りビジュアルノベルじゃなく。

残念ながら、AVGはシナリオの強度に支えられてこそ成り立つ。『Magical Charming!』の恋愛ストーリー自体は良くて、伏線も絶妙だった。でもそれは続く『運命線上のφ』や『恋想リレーション』では発揮できなかった。あの二作のシステムは本当にヤバいと思うんだけど……

だから糖塊社もシステムを諦めた……そして伝統的なゲーム作りに戻った。今年の游魂2がそうだ。

もしかしたら糖塊社も諦めてないかもしれない。次の作品に期待してもいいかな?

これが最後にプレイするヤバいゲームになりませんように。

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