『グリザイアの旋律』レビュー

灰色の旋律

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人生の多くのことは予測できない。そういうのは自分一人の奮闘だけじゃどうにもならなくて、結局は歴史の行程次第なところがある。

物事はどれも突然起きる。たとえばだ、お前が一人のオタクだったとする。そこへ突然、新しいお見合い相手を紹介すると告げられる。

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気づけばその相手とは以前会ったことがある。

さらに突然なのは、相手が「前回はいい感じだったから、続けたい」と言い出したことだ。

突然はまだ終わらない。相手のSNSを覗けばリア充オーラ全開で、ほぼ毎日遊び歩いている。こんな性格の人間が自分と関わりを持つはずがない……

だが、これがまた「突然」なんだよな……「挨拶だけして帰ろう」くらいの気持ちで話してみたら、相手もACG好きで……しかも内心ずっと家に引きこもっていたいタイプだと自分で言う。

そこで会話の空気が突然楽しくなって、相手が「意外と色々できるんだね」と感心したあたりで、このままうまくいけば徐々に脱団できるかも、なんて思ったりもする。

ところが、突然はこの後に控えていた。会って、飯を食って、楽しく何日か話した後、相手は自分を振った。

「あなたはどこもいいと思う。ただちょっとオタクすぎる。オタクじゃなければ絶対に独身じゃないよ」

そこで首をかしげる。オタクは性格であって、別に悪いことでもないだろう?

「主にね、二人に共通の話題がないのよ」

共通の話題がないなら、さっきまで何を話してたんだ……。姫みたいな脳みそお花畑の精神病なら精神に問題ありと言えるし、コーラみたいな肥満オタクなら太りすぎと言える。でも共通の話題って、一体どういう意味なんだ……

そうこうしているうちに、物事は突然終わった。

突然の出来事の裏には必ず必然がある、と言う人もいる。だが多くのゲームの男女主人公の訴えによれば、世界は理不尽だ。昔は信じなかったが、今は少し信じている。

突然の出来事が必ずしも必然から来るとは限らない。必然の出来事は必ず起きる。そして突然の現れ方というのは、必然の出来事を、お前が想像もつかないやり方で顔面に投げつけてくるだけのことだ。十分に目を回させるくらいにはな。

灰色の果実の最後のDLC拡張シナリオ、グリザイアの旋律。当初は果つることなき未来ヨリというゲームの初回特典としてダウンロードコードが付属するだけ、とされていた。しかしゲームのダウンロードが開放されて半年経っても、ネット上には放流されない……

そして俺が絶望していたところへ、突然このゲームが他のDLCと同じようにSteamに登場すると発表された……発売日は2016年。

2016年もそろそろ終わりそうだというのに、このゲームはまだ動きがない。そんな中、暇つぶしにページを更新していたら、突然売り出された……

あまりにも突然だ。

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グリザイアの旋律はグリザイアの有閑&グリザイアの残光の二作と同じ性質で、小型DLC、番外編だ。ただグリザイアの残光はまだ本編で語られなかったことを多少は扱っていたのに対し、グリザイアの旋律はグリザイアの有閑と同じく、単なる新しい物語で、本筋とはあまり関係ない。

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グリザイアの旋律の設定はもうはっきり書かれている。風見雄二が外部派遣としてアメリカへ行き、9歳のロリのボディガードになる。ただこのロリ自身が守られるかどうかはあまり重視されておらず、任務を割り振った指揮官も「護衛に失敗したら、そのまま任務失敗と宣告して帰ってくればいい」と言う。まあ死んだら死んだで、どうでもいいということだろう。

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頑固な雄二は護衛任務の受諾を選ぶ。最初はロリも雄二をうざったく思っていたが、最後には雄二が失敗して、ロリは連れ去られてしまう。

このゲームが本筋と多少なりとも意味的につながるとしたら、任務失敗に直面した雄二のこの言葉だろう。

「俺は風見雄二という人間としては失敗を受け入れられる。だが、師匠(日下部麻子)から受け継いだこのコードネーム9029としては、失敗は許されない」

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この短編全体から見えてくるのは、雄二の師匠(麻子)に対する憧憬、眷恋、そして懐かしさだ。麻子の任務は一度も失敗したことがない。麻子のコードネームを受け継いだ雄二は、そのコードネームに「任務失敗」という汚名を着せるわけにはいかない。

結局ロリは救出され、雄二は困難な任務をやり遂げた後で、ただ「師匠がいたら、師匠の方が上手くやっただろう」と言うだけだった。

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本編をプレイした人なら、雄二の麻子への感情がわかるかもしれない。ゲームの中で雄二がそのロリに「俺の師匠の麻子は俺を救った。俺がお前を救ったのと同じようにな」と言っていたのを覚えている。

ゲームのシナリオはなかなか良い。もっと長く、詳しく書けば一本のルートとして成立しただろう。だが明らかにグリザイアの旋律はDLCに過ぎず、物語は三時間もかからずに見終わる。ゲームには三枚のカードが集められ、一つは「天音の旋律」、一つは「一姫の旋律」、そしてもう一つは……ええと……「JBの旋律」だ。

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おそらくこれで「灰色の果実」三部作に三つのDLCを加えたものが完全に完結するのだろう。来年には「灰色シリーズ」の新作が出るが、それは全年齢向けで、灰色の果実のあの学校の設定を背負った全く新しいゲームに過ぎない。

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ちなみにこのゲームも全年齢向けだ。ヒロインのCVは秋月愛莉の人だが、ゲームのキャラはまだ9歳なんだよな……三年起步、最高死刑、忘れるなよ。

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