『Amenity's Life』レビュー

誰もシリアスなんて求めてない

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日本のことを抗日戦争と蒼井そら・松島楓先生のレベルでしか知らない連中が日本に抱く印象といえば、「変態」「思考回路がぶっ飛んでる」「プレイが多様」「歪んでる」とか、まあそんなところだろう。

この手の見方も理解はできる。だってほら、少なくとも中国大陸で目にする日本の社会ニュースといえば、足フェチがコーラ片手に他人の足を30分舐めたとか、耳かき専門のマッサージ店とか、奇妙奇天烈なサービスとか、見た目は完全に無意味なのに妙に気持ち悪いオタク用オナホとか、女の大便を専門に食べるとか、聖水を飲むとか、もうキリがない……

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本来、日本は道徳的抑制が非常に厳しい国のはずなのに、そういうものがあるからこそ、発散の場は逆に開放的になるわけだ……

とはいえ、他の地域だって歪んでないわけじゃない。大陸の社会ニュースを漁ってみれば、歪んだ例は少なくない。俺の知り合いの中学の女子同級生なんか、朋友圈で「鄭州の大通りで純血の『足フェチ』に遭遇して、丁寧に足を撮らせてほしいと頼まれた」って書いてた。しかもキスしたいとも言われたとか……で、その同級生はOKしたらしい。

これが本当の「歪み」や「変態」なのかは分からんが、言いたいのは、社会の常識から外れた連中なんて世界中どこにでもいるってことだ。ただ日本がそれを進んでスポットライトの下に引っ張り出してるだけ。

「オタク」と「ACG」文化は最初から「色情」の沼にハマってるように見える。内容の大半は性にまつわるものだ。もっとも、そんなもんを見てる連中に性経験があるわけでもないんだが……だから他人からの印象も良くなるはずがない。同級生が俺を他人に紹介するとき、気を利かせたつもりで「この子のことは気にしないで、二次元だから君らには興味ないの」と補足したときの、あの何とも言えない気まずさよ……

ACG文化が生んだもっとぶっ飛んだ発想のおかげで、日本には「萌化」と「娘化」という面白い趣味がある。女の子が見つからないなら、身の回りのモノを女の子にしてしまえと。電車が女の子になれば、電車に乗るときはまるで女の子の身体の中に入った気分になれる。万年筆が女の子になれば、ペンを握るときはまるで女の子の細い指を揉んでいる気分になれる……コーラが女の子になれば、ペットボトルを揉むときはまるで黒タイツを撫でている気分になれる。ポカリスエットが女の子になれば、君が……ああもういい。

だからAnimeだろうがComicだろうがGameだろうが(まあACGって言葉を日本人が作ったわけじゃないし、向こうはマンガでComicなんて使わないけど)、「モノが娘化して主人公になる」ゲームは必ずある。特にGalgameではな。俺は草泥馬の娘化も見たし、クジラの娘化も、ロボットの娘化も、カメラの娘化も、電車の娘化も、妖刀の娘化も見てきた。人間じゃない鬼や神なんてもちろん、動物やら何やらもな……だから今さら「あるゲームのヒロインがスマホの娘化です」と言われても、これっぽっちも驚かない。

いや、驚くどころか、むしろ当然だろと思う。俺は毎日自分のスマホを30分撫でてるんだが、もしかして心の底ではもうスマホを女の子だと思ってるんじゃないか?

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だが、スマホ娘化という設定を出したのがHookだとなると、話はちょっと意味深になる……Hookの下にはSMEEやAsa Projectなど、別ブランドでゲームを出してる会社がある。そして2016年に出した作品はどれもこれも盛大にコケたと俺は思ってる。階段ガールもあの三角恋愛も後退だ。だから今回Hookが出したゲームが型破りなのも、心情は複雑にならざるを得ない。

Hookに対する俺の印象はまあ、なんというか。女の子っぽい?伝統的?出てくるゲームの大半は「ヒロインが可愛い」「純愛シナリオ」「学園恋愛」みたいな感じで、絵師の層に力を入れて、シナリオは適当にテンプレを書けばいい。心の弱いオタクがゲームの中のヒロインを妻と呼ぶのに向いてる。

ところが今回、Hookが2016年の最後に出した『Amenity’s Life』で、俺は受精……いや受驚した。

受精……いや受驚した理由は二つ。一つは画風。おいおい、これがHookだって?マジでSMEEの連中が描いたんじゃないのか?以前のHookのゲームとは大違いだ。前の絵師がみんな辞めたのか?それともAlcotに引き抜かれたのか?SMEEが2016年に出したアレよりはマシに見えるけど、以前のHookの画風からはあまりにも遠い……

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二つ目に受驚した……いや受驚した(ったくこのクソ鼻血入力変換が)のはゲームのストーリーだ。いきなり主人公の家の家電が全部女の子になったという設定で、その前提で楽しい生活が始まる。こんなデタラメな設定は普通同人サークルがやるもんだろ。老舗のHookがなんでこんなことに手を出した?やっぱり型破りじゃないか!

そういうわけで、このゲームをやるときは「Hookとその他のブランドはオワコン」という気持ちで臨んだ。で、終わってみたら、見事に顔を引っ叩かれた……

このゲームの出来は予想を超えている。というか大大大いに超えている。以前のHookのスタイルとは全然合ってないけど、むしろSMEEのラベルを貼るべきだよな。


ゲームの話は紹介の通り。ある日目覚めると、自分のスマホが女の子になっていた。続いて家の椅子、オーブン、救急箱、体温計、掃除ロボット……が次々と女の子になる。

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女の子になったのはそれだけじゃない。学校の黒板消しまで女の子になってる……

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主人公はポカンとしながらも、黙ってこの設定を受け入れるしかない。そこから楽しい生活が始まる。

そう、楽しい生活だ。このゲームのテーマは「楽しさ」。Amenityという言葉はむしろ「快適にサービスされる」という意味合いで、「主人公が娘化した掃除ロボやスマホやオーブンに気持ちよく仕えられる」ように見えるが、ゲーム自体の重点はそこじゃない。

展開は典型的なSMEEのパターン。章+小ネタで、小ネタの質は高い。下ネタはあるが、SMEEほどLowじゃない。章が終わると選択肢が出て、ヒロインかサブキャラの章を選ぶ。選ぶたびにハートが増えて、ハートが満タンになればルートに入れる。

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発売はHookだが、内容はどう見てもSMEEのパターン。ただHookも自分の持ち味を忘れていない。まずは内蔵BBSシステム。これはHookの過去作にもあった学校内の掲示板で、A島とか2chとかK島みたいな場所だ。中のチャットがめちゃくちゃ面白い。

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内容の大部分はゲームの進行と関係している。たとえば主人公と親友が教室で真面目な顔して下ネタを言えば、BBSでは「あの二人キモい」と誰かが書き込む。先生が授業中にキレれば、BBSでは「先生マジでバカ」とか。さらに主人公とスマホの麻帆(まほ、スマホのスマホ)につけられたあだ名なんかも横から見えて、インタラクティブ性が高い。いや、以前のHookのゲームにもこのシステムはあったけど、Hookのゲーム自体の会話が薄っぺらくて、このシステムのツッコミが持つ破壊力が出しきれてなかったんだよな……

小ネタが強力でも、それを演じるCVの力も必要だ。

『Amenity’s Life』のCV陣の演技は本当に出色だ。

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スマホの麻帆のCVは萌花ちょこ。『サクラノ詩』のヒロインの一人のような、滅多に聞けない静かな声線で、スマホの萌え度が急上昇。もっとも大半の時間はスマホだとは思えないけど……充電器の電気を食べるのが好きで甘いから(……)とか言い出すのを除けば。

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ヒロインの王子藤堂望希のCVはくすはらゆい(石原舞)。特筆すべきは、くすはらゆいが今回はあの使い古された声線じゃなく、やや中性的な声を使っていること。ったく、初めて聞いたわ……石原舞ってあの声しか出せないのかと思ってた……

一番の注目キャラは主人公の親友の妹、香山菜瑠。CVは上原あおい(深田愛衣)。ゲーム中で一番表情豊かで、ギャグパートの半分を支えている。そしてツンデレとして、シナリオのエンジン役をしっかり担っている。妹が出てくれば必ず面白いことが起きる。最初の共通ルートから最後の交際まで、ずっと軽い雰囲気で進む。

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実はこのゲームのメインストーリーについて言うことは何もない……軽くて、楽しくて、おかしくて、余計なものがない。

そう、余計なものがない。それがこのゲームの出色なところだ。

他の「擬人化」ゲームをやったことがあるなら、どれも同じ奇妙な罠にハマっていることに気づくはずだ。擬人化の設定を合理的に説明しようとする。

擬人化の理由を説明し、擬人化した後どう恋に落ちるかを説明し、おまけに擬人化した後どうやって子供を作るかまで説明しようとする。そのせいでゲームの後半は非常に気まずい状況になる。ギャグで始まって、悲劇の涙で終わる……このパターンが好きな人もいるだろうが、あまりにもシリアスすぎる。合理的で厳密な話が必要なときもあるが、ギャグやってるのに無理やり厳密さに寄せるのは、どっちつかずじゃないか?

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『Amenity’s Life』について言えば、一言で済む。説明なんかすんな、黙ってギャグやってろ。

『Amenity’s Life』は最初から家電が擬人化したと告げて、その前提で楽しいギャグ生活が始まる。周りの人間もみんなその設定をあっさり受け入れ、設定について深く掘り下げず、シナリオの重点を会話とギャグに置く。しかもギャグの質は低くない。CVの演技も今年のSMEEのアレを圧倒してる。四コマギャグ漫画に近いレベルで、さらにBBSが控えている。こんなゲームをやって不快になるほうが難しい。

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CVの演技のおかげで、ほとんどのキャラが個性的だ。幼馴染は節操なし、スマホの麻帆は可愛く純粋、親友の妹は根っからのツンデレ。ゲームが表現すべきものを完全に表現している。いや、予想以上だ。告白後も軽いラブコメ路線を貫き、一つのスタイルを最後まで貫徹している。今の日本で各種Galgameのシナリオが無理やりシリアス路線に寄せていく状況の中で、このゲームは本当に珍しい。

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だから今となっては気まずい。去年Asa Projectはギャグ路線に三角関係とより多くの恋愛感情を混ぜようとして、つまらなくなった。SMEEはギャグ路線に純愛の初恋の段階的な感情を加えようとして、やっぱり後半が気まずくなった。

逆にHookSoftは他のクソみたいな内容を全部削って、ギャグと軽さだけを残し、一つのゲームに集中した。「ああ、そうこれだよ」と思わせる。

もちろん、その「味」はHookの味じゃなく、SMEEやAsa Projectの味に近い。でも誰が気にする?どうせ同じ親会社だ。

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今思うと、Hookという兄貴分が、二人の弟分が出した中途半端なゲームに気まずさを感じて、自ら出陣し、弟に「どうあるべきか」を教えている喜劇的な光景に見える。

これで分かるだろ。エロゲーが軽快な路線を行くなら、とことん行け。コメディなのに最後に無理やり大層な理屈をこねるのは、頭おかしいのか?

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人生はすでにこんなに厳しい。生活はすでにこんなに苦しい。夜も更けて静まり返り、星空を見上げ、いくつもの外皮を脱ぎ捨てて本当の自分をさらけ出し、生命の根に触れた後、憂鬱な生命のエキスを排出する。その短い聖賢の時間に、俺たちは真剣に考える……

それ以外は、Why so serious?どうしてそんなにシリアスにならなきゃいけない?楽しいほうがいいんじゃないか。

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