『星恋*ティンクル』レビュー
ティンクルに星恋の永遠
時々思うことがある。日本の脚本家がアニメやゲームの原案を手掛けるとき、あいつら書きに書いてるうちに量産してるんじゃないかって。
…………いや、脚本家が生み出すものって、どう見てもワンパターンじゃね? って言いたいわけ。
例えばルルーシュ、例えばギルティクラウン、例えば革命機、例えば最新の……なんだっけ? カバネリ?
別に大河内一楼を悪く言うつもりはない、あの人ベスト脚本賞取ってるし。そうじゃなくて、ギャルゲーの話。脚本家がいくつものゲームを書くと、「同じ手口を使い回す」問題があるんじゃないかってこと。
実はかなり前から気づいてた。例えばゆずソフトのサノバウィッチの椎葉√と、その後に発売された鯨神のティアスティラのリル√はかなり被ってた。これが籐太の仕業かは知らないし、偶然かもしれない。でも「腕のある脚本」なら「臨機応変にできず一つのルートしか書けない」なんてことはないはずだろ。それじゃあまりにも手詰まりすぎる。
だけどな……星恋*ティンクルに関しては……もう何と言っていいか……

先に言っておく。梱枝りこの絵は好きだ。学☆王もMagical Charming!も、彼女が描く女の子は特に可愛いと思ってた。とりわけ細くて小柄なところがいい。だから星恋*ティンクルは早くから注目してたし、プロモも早かった。脚本のなかひろが書いた作品を調べると、妹のセイイキや学校のセイイキシリーズもあれば、星空のメモリアやアストラエアの白き永遠もある。どれも評価は悪くない。抜きゲーであってもそんなに酷くはない……だから期待はかなり高かった。絵柄は間違いないし、脚本が死ななければアストラエアの白き永遠みたいに書けば少なくとも評判は悪くならないだろうと……
で、体験版が出て顔面に直撃。製品版が出て、TRUE ENDまでやって、また顔面直撃。
まさかまさか、この会社が良い手札をわざわざ腐らせるとは思わなかった。

まず絵柄。みんな知ってる通り、萌え豚の「萌え」への追求は「ツンデレ的」な「疑似エロの際どいライン」みたいなもんだ。正確かは分からんが、流行った「萌え系作品」で、最初から肉を売るためだけに出てきた作品は一つもない。
オタクは可愛い女の子を見て萌え死ぬこともできるし、脳内でその子がどうやってオタクに脚を開くか妄想したり、同人誌で肉便器に調教される姿を想像したりもする……だが公式作品ではちゃんと服を着て、簡単に下着を見せちゃいけない。たまにパンツがチラッと見えるのがせいぜいのラインだ。
つまり、オタクは脳内でその子を一万回レイプしてもいいが、表向きは清純無垢でなきゃいけない。そうして初めて、他人に「何見てるの?」と聞かれたとき「愛と友情だよ」と真顔で答えられる。頭の中はエロまみれなのに……
だからほら、ゆずソフトのゲームはどう作ってる? 通常会話は真面目すぎるくらい真面目。肉を売るにしても乱暴には売らない。全体の流れはごく普通の王道だ。多少逸脱してるのは天色*アイルノーツくらいで、あの作品は確かに評価低かったし……
だが星恋*ティンクルはどうだ? 企画が仙台大媽に頭を蹴られたとしか思えない。「肉を売れば売るほどプレイヤーは興奮するに違いない」と単純に考えたんだろう。
だから体験版でめちゃくちゃ気まずかった。妹の服はほぼ透明で乳首はっきり見える。普通こんなのは特典パッチで提供されるもんだが、このゲームはデフォでそれ。会話中も妹が完全に裸みたいな感じで、実際家ではよく服を着ずに乳を揺らして走り回ってる……
気まずい、マジで気まずい!

製品版では体験版の「妹が露出狂でたまらん」という声を受けてか、オンオフのオプションが付いた。デフォはオフ。だがそれでも妹の露出狂設定は変わらず、後半には叔母も出てくる。叔母は主人公の家に住んでいて、これまた露出狂……メイド服では乳首が出るし、適当なCGでも恥丘が露出。パンツ見せが一番まともなCGってどういうことだ。巫女服ですら乳首が浮く始末……
このゲーム、CGを見るたび気まずくなる。自分をどう位置づけてるのか分からん。「愛と友情」の萌え系作品なのか、「巨乳を犯す」萌え抜きゲーなのか。正直、廃萌え作品なら通常パートを面白くして、抜き要素は18禁タペストリーでも売ればいい。二兎を追う? 無理に決まってる。萌え抜きゲーとは何か? 少なくともハーレム設定からだろ? 妹天国を見ろよ、あれが基準だ。このゲームは少なくとも「物語を語りたい」んだから、無理に肉売りに寄せるな。寄せた結果がこれだ。全員露出狂みたいで、特に可哀想な妹は全然萌えない。穹妹と比べたらGFW三個分は差がある。萌え豚に金を払わせたいなら、まずキャラを可愛く描け。乳を大きくして服を減らすんじゃねえ、相場を分かってるのか!
絵柄の気まずさが梱枝りこの名を完全に無駄にした。で、物語は? なかなか良い作品を書いてきたなかひろは? このゲームの話はどうなんだ?
正直に言うと、ゲームの枠組みは悪くない。だが悪くなくても意味がない。

ゲームは最初、主人公・群雲景と妹・群雲そらが小さな町に引っ越してくるところから始まる。冒頭はヨスガノソラにそっくりで、汽車で来る。その後、主人公は町の人々と知り合う。巫女兼生徒会長の織紙珠希、学校の保健室の先生の妹・花々見咲良、そして島の研究所所長の娘・鳴瀬川凪。
やがて主人公は知る。この町には三つの名家があり、家系に遺伝する「神力」がある。「勇」「仁」「知」——勇気、読心、治癒などの超能力だ。個人√はこれらの能力に関わる。花々見咲良は治癒、巫女の織紙珠希は読心、主人公は勇気の能力……妹にも能力はあるが普段は使わない。
ここで主人公の出生の話。主人公の祖母はこの町の出身で三名家の一つだったが、家同士の婚姻は禁忌(二つの能力者が結ばれると不幸を招くらしい)。祖母は規則を破って別の家の者と駆け落ちし、村を追放され、姓を変えた。それが主人公の姓で、子孫である主人公と妹にも能力がある。

この設定に意味はあるのか? ない。ただ、町の三名家が天の「ナギ」という星を崇拝し、毎年祭りを開いて祝福していることを説明したいだけ。その星が祝福をもたらし超能力を与えたと信じている……
だがこの祝福の祭りには規則があり、村内だけで行い、外部の者は入れず、外部に知らせてもいけない。ヒロインの一人・鳴瀬川凪はそれに反対し、祝うならもっと大きく、多くの人に知ってもらおうとする。当然反対される。
他の脇役√を終えると鳴瀬川凪√が解放される。√内で鳴瀬川凪は強引に活動部を作り、祭りを企画して参加者を増やそうとする。同時に、母親があの星を研究しており、星が死にかけている、祝わないと間に合わないと言う。最後に活動は成功し、劇を上演することになる。劇の内容は町の「閉鎖的な祭り」を風刺するもので、鳴瀬川凪の母親に反対されるが最終的に認められる。
劇は好評だったが意味はない。鳴瀬川凪はよく夢を見る。地球を見下ろし、宇宙にいるような夢。劇の後、鳴瀬川凪は主人公に告白し、自分は消えると言う。そしてある夜、海辺で主人公が一瞬目を離した隙に、鳴瀬川凪はいなくなる……

まるごと消えた。最初からいなかったかのように。
そこで鳴瀬川凪の母親が真実を語る。鳴瀬川凪は実の娘ではなく、ある日誰かが置いていった養女だ。流産した直後、神秘的な人物が現れ、天から来たような姿で女児を抱いてきた。女児はナギといい、この町が崇める星座と同じ名前だったので、日本語の「凪」と名付けた。
そして物語は続き、どんどん爆発する。
鳴瀬川凪は宇宙人だった。宇宙人の星が滅び、難民が宇宙船で地球へ逃げてきたが、到着間際に故障。宇宙人の夫婦は娘をAI搭載の宇宙船に託す。宇宙船は人型となり、船内の娘を投影で地球の日本の町に送り、自分も幻影となって、その幻の赤ん坊を地球の女性科学者——鳴瀬川凪の母親——に託した。

つまり町で毎日見ているナギという輝く星は宇宙船の光で、瞬くのは宇宙船が地球へ投影しているから。投影しなければ鳴瀬川凪は存在しない。
なぜ町に超能力があるのか? 宇宙船が投影する際に一部の人々に放射線を浴びせたから。ゲームによく出てくる幻のようなロリは宇宙船そのもので、時々鳴瀬川凪を守る。

なぜ鳴瀬川凪は消えたのか? 宇宙船が壊れたから(電池切れだったか忘れた)。鳴瀬川凪の本体は船内で眠っており、地上の彼女は幻影に過ぎない。

最後は主人公が宇宙へ行き、本当の鳴瀬川凪を救い出す。二人は大気圏を突破して地球に戻り、夫婦生活を送る。
そしてあの星(宇宙船)も消え、町の超能力もなくなる。
だからゲームの「ナギに祝福を」のナギはヒロイン自身。ヒロインこそ天の星の代表で、ある意味タイトルは嘘をついていない。
どうだ、この枠組みは悪くないだろ? ただプレイ中……どこかで見たような気がしてならなかった。
能力者、宇宙人の幻影、宇宙探査、能力の伝染……そして町の科学研究所、研究所の母親の能力者娘……
何を思い出す?
これってまんまアストラエアの白き永遠の劣化版じゃねえか? ゆきゆきは火星の石が幻化した存在、鳴瀬川凪も宇宙人。月ヶ咲は雪による能力の伝染、この町は宇宙船の放射線による伝染。個人√のキャラ設定もアストラエアの白き永遠と似ている。妹もずっと独り言とベタベタ、織紙珠希のツンデレは橘落葉にそっくり、花々見咲良のポジションはコロナと同じ……具体的に説明するのは難しいが、両方プレイして比べれば分かる。設定も人物も雰囲気も、基本ワンパターンだ。

もちろん全部同じではない。日常パートの多くはアストラエアの白き永遠より劣っていて、ほとんどセイイキシリーズ並み。セイイキシリーズが悪いとは言わない、あれは抜きゲーと割り切ってるから、そこで少しマシな話を書けば驚きになる。だが星恋*ティンクルは「非抜き」と謳っておきながらセイイキシリーズと同じで、しかも強引な肉売り立絵とCGが加わるから、偽物のゲームをプレイしたような錯覚に陥る。

しかも個人√の大半がバカみたいに酷い。会長√では主人公が能力者として会長の能力と結合すると自分が不幸になる展開で、すぐ「デスノート」状態。妹√はダラダラ長いが、花々見咲良√は異常に短く、しかも意味不明。突然主人公の子供時代の幻影が出てくる……

音楽は特別なものはなく、標準的なエロゲーBGM。演出もアストラエアの白き永遠に劣る。特筆すべきはNormal ED。
脇で聞いても分かる、Normal EDは新田恵海が歌っている。だがゲームには作曲、編曲、ギター、キーボード、ドラムはクレジットされているのに、Vocalだけ書かれていない。どうやら『素人図鑑07』が新田恵海を坑めて「著名」すら消してしまったらしい……0.5秒だけ心疼、残りは明日心疼するために取っておく。
总之、星恋*ティンクルは一流の絵師、悪くない脚本の枠組み、悪くないCV陣を揃え、まさに天時地利人和……
なのに全部台無しにしてこの有様。評価のしようがない。おそらく2017年開幕の地雷だろう。そういえば去年の開幕最初のゲームも地雷だった……しかも秋野花、仙台大媽、後藤麻衣が声を当ててた。
ああ、宿命なのか?
結局、星恋*ティンクルはアストラエアの白き永遠の拙いパターンコピーで、しかもコピーが下手な劣化版。ある意味、名前を変えて『ティンクルに星恋の永遠』にした方がしっくりくる。
コメントは中国語の本家サイトで受け付けています。このミラーは閲覧専用です。