『しゅがてん!』レビュー
サンタクロースが幼女を犯したら何年服役するのか?
みんな知ってると思うけど、俺は萌え豚じゃない。
とはいえ、それでも俺は萌え豚に憧れていた。もう何年も前の話だが、当時は本気で萌え豚を目指していた。
その頃はまだアニメを見ていたんだよ。当時話題になった作品といえば、やっぱり『K-On』だろ。あの頃のニコニコのトップは筋肉兄貴だらけで、動画見るなら Acfun しかなかった。でも Acfun の MAD コーナーはどこもけいおん!の MAD ばかりで、『Cagayake!GIRLS』の MAD だけでもう溢れ返ってて、全然追いつけなかったわ……聞きすぎて歌えるようになったし、あの曲に「我が Kon!」って書き込んでる連中を見てると、なんかよく分からなかった……
分からないのには理由がある。俺は『K-On』をちゃんと見たんだよ。でも最後まで見られなかった。
同じ感想の人は多いと思う。話はダラダラ、テンポは遅い、会話はアホみたいだし、わざとらしい萌えがとにかく多い……
そう、とにかく多い。会話が面白くないから萌えで誤魔化してるレベルだ。けどこのアニメも欠点ばかりじゃない。光ってるのは楽器研究みたいな作画で、「繊細」と言ってもいい出来。曲も確かにいいのが多い。ただそれはアニメとは関係なく、作曲者の手柄だ。
俺には『K-On』という萌え豚向けの一皿は食べきれなかった。まあ大半の人は食えるんだろうけど、BBM みたいにな。
「流行ればみんな便乗する」のは天朝だけの特許じゃない。日本も同じだ。だから『K-On』が流行ると、パクリみたいな作品が次々出てきた。それから今に至るまで、時代がどう変わろうと「萌え豚」向けの作品は存在し続けてるし、後を絶たない。中には俺も見たものもある。面白いと感じたからだが、よくよく考えれば面白い理由は作品自体が面白いから(大半はギャグ漫画)で、「萌え」とはあまり関係ない。萌えを売りにしてる作品は、何年経っても本質は当時の『K-On』と変わらない……
話はダラダラ、テンポは遅い……ただ進歩はある。会話はそこまでアホじゃなくなったし、わざとらしい萌え要素もそこまで酷くない。
要するに「萌え豚」作品も進化したってことか?
最近のそこそこ流行ってる「萌え豚」作品といえば、まず挙がるのは『ご注文はうさぎですか?』だろ。日本語の原題は「ご注文はうさぎですか?」で、中国語だと普通「点兔」に縮める。日本人が言う「ごちうさ」より短いと思う……
信じるかどうか知らんが、俺は「点兔」を最後まで見たことがない。一話見てもハマらなかった。過去の『K-On』よりかなり進化してて、受け入れやすい部分も多い。ただ俺も今は怠けてて、こういうお決まりの展開は正直つまらん。見る気が起きない。
こういう作品を「萌え系日常アニメ」と形容する人がいる。要はメインの話がなく、毎日日常を繰り返す。日常も数パターンしかなく、ちょっとしたネタで喋って、各キャラが小芝居をやる。非 ACG で表すなら「シットコム」みたいなもんだろ。
「点兔」がどれだけ流行ってるか、正直知らん。ただ「点兔」の薄い本は多いとだけ知ってる。薄い本が多いのは流行ってる証拠の裏返しかもしれん。
「点兔」の薄い本を描く人で有名人が何人かいる。XX蜜桃とかいう奴を除けば、しらたまくらいだろ。しかもしらたま本人も「点兔」関連の原画に参加してるらしいから、ちょっと「公式要素」もある……
もちろんしらたまは漫画家じゃない。エロゲーも描いてる。例の『恋×シンアイ彼女』の他に、今月発売された『しゅがてん!』だ。
『しゅがてん!』というゲームは……設定を見ただけでどんな話か分かるタイプだ。北欧風の架空の街にあるスイーツ店、そこで働くロリ美少女、少女たちの日常、そこにしらたまの画風。見ただけで「萌え豚の日常アニメ」っぽい感じがしないか?
もちろん、お前は甘すぎる。


おっと、この CG は忘れてくれ。このゲームには設定があるんだ。核心は「妖精の夜」。
この街では毎年 12 月 20 日過ぎのある夜が「妖精の夜」で、その夜には空に不思議な現象が現れ、願いも叶う。ヒロインの氷織とめるは「妖精の夜」に男……つまり主人公を拾う。

主人公は屋根から落ちたと言い、目覚めると記憶を失っていて、自分が誰か全く思い出せない。氷織とめるは紅茶とスイーツの店を営んでいて、Volfork とかいう名前だったか。ただ氷織はそこで居候していて、店長はめるの祖父。祖父は腰が悪くて入院中で、スイーツ店で菓子を作れるのは祖父だけ。祖父がいなくなると店は開けない。主人公が試しにやると、なんと適当に作っても凄いスイーツができる。めるは大喜びで「お店が再開できる!」と。こうして主人公はこのスイーツ店の料理人になった。
面白いのは、主人公が自分が誰か思い出せないのに焦ってもいないこと。めるは「妖精の夜に見つけたんだから妖精の化身か、神様がくれた救世主だ」と言う。しかし氷織は全く信じず、めると言い争い、大声で「この世界に奇跡も妖精もない!」と叫ぶ。当然主人公が妖精だとも信じない。さらに主人公に自分が誰か思い出させようとし、自ら調査までする。

調査は成果を出す。主人公が落ちた時の服のポケットから名刺が見つかった。とある事務所の名刺で、名前は「山田九郎」。氷織はその事務所に電話し、「やまだ」という人がいるか聞く。事務所は「いない」と答える。氷織はさらに「そちらは何をやってるんですか?」と聞くと、事務所は……「ああ、手伝いですよ」。詳細は言わない……
氷織は仕方なく主人公の連絡先が見つからないと言い、名刺は他人のものかもしれないと考える。考えても仕方ないので、主人公をここに残して料理人にすることに。主人公のスイーツの腕前はめるの祖父にも認められ、店の再開の日常が始まる。

その後は誰のルートに行くか選べる。氷織、める、そして街に来てまたスイーツ店を開こうとする外国人「ショコラ」……おっと「ショコラ」だ。三人攻略すると最終の TRUE END が解放される。
ゲーム唯一のメインの話を重点的に。氷織ルートに行くと、後半、理由は忘れたが、氷織の行動が怪しいのに気づく。午後に出かけ、夜中に帰り、足に泥がついている。帰った氷織は様子がおかしく、めるに「今夜はきっと妖精の夜だから見に行こう」と言う。外に出ると本当にあり、空にはダイヤのような氷晶が舞っている。

主人公はある時好奇心で氷織を尾行する。彼女は郊外の小さな建物に行き、屋上で雪を燃やして大量の水蒸気を作り、燃やし終えると帰っていく。するとその夜、「妖精の夜」が現れる。まるで「妖精の夜」を氷織が作っているかのようだ。
問い詰めると氷織は認める。いわゆる「妖精の夜」は自分が作っていた。だから最初から「妖精と奇跡」なんて信じなかった。そもそも自分で作ってた代物だ。

氷織によると、この街には元々「妖精の夜」があった。毎年 12 月 20 日過ぎの夜、ダイヤのような氷晶が舞う。しかし氷織の両親がこの街に来て工場を建てたところ、郊外に工場を建ててから……「妖精の夜」の現象が消えた……
そう、消えた。街の住民は不安になり、氷織の父も不安になった。自分が元凶だろうと。そこで研究を重ね、ついに工場のある場所、つまり郊外で雪を燃やして水蒸気を作れば、夜に「妖精の夜」が再現されることを突き止める。
ここも伏線がある。共通ルートでこの架空の街の地理と気候を説明するが、要は人工雹だ。
こうして自分の罪を償うため、氷織の父と氷織は毎年「妖精の夜」が来そうな時に自分たちで雪を燃やし、人工の「妖精の夜」を作る。街の住民を失望させたくないからだ。しかし自分自身は失望し始める。何しろ奇跡も妖精もなく、全部偽物だから。
氷織の最後は、当然「人工的な介入のない妖精の夜」の到来。彼女の心のわだかまりの一部が解け、少しずつ奇跡を信じ始める。

ここまで来れば分かるだろ。「妖精の夜」はあの架空の街の特殊な地理環境が生む雹の結晶現象、あるいは雪が舞う現象にすぎない。ただ氷織の家が工場を建てて風水をぶち壊したせいで、自分たちで人工降雪して罪滅ぼしするしかない。
そしてこのゲーム唯一の謎は一つだけ。主人公は誰なのか?
最後の TRUE END は短いが答えを教えてくれる。
ゲーム中、ずっと主人公の身元を知っていそうな女性がいる。しかし誰が聞いても言わない。犬の散歩ばかりしてる森都あいらだ。最後の TRUE END で彼女がようやく言う。主人公の名前は「山田九郎」。ポイントは「山田」の発音で、普通の「やまだくろう」ではなく「サンタクロース」だ。

「サンタクロース」って何? Santa Claus って分かるだろ。主人公は他でもない、サンタクロースなんだよ。
最後に主人公の事務所の女性助手も言う。「彼はいつも誰かの幸せのために忙しくしてて、何百年も出かけることもあるから慣れてる。今また記憶を失ったなら、思い出すまで待てばいい」と。

ゲームはそこで終わる……
正直、これ以上説明する必要もない。主人公はどう現れた? 屋根から落ちて記憶を失い、ポケットに名刺があった。それは自分のもので、「山田」の発音が普通じゃないだけ……主人公は「サンタクロース」のような存在で、誰かの幸せを見守る神様みたいなもの。だからスイーツ店を手伝い、より多くの人に幸せを届けた。
正直に言うと、このゲームは氷織と最後の TRUE END ルートが繋がって一つの話になるくらいで、他はメインの話とあまり関係ない。でもそれはゲームが悪いという意味じゃない。話のテンポはさっき言った通り……「萌え豚の日常アニメ」で、毎日同じ会話と日常を繰り返す。

そういう話が悪いわけじゃない。逆にキャラ造形は非常に成功している。氷織の大人びた部分、めるの天真爛漫さ、ショコラの素直で聞き分けの良さ、そして毎日店にケーキを食べに来るのに痩せたい村崎小町。個人的にはむしろ村崎小町が好きだ。造形がリアルで、甘い物を食べたいのに太るのが怖い心理がよく描けてる。もちろん俺が毎日ダイエットしてるからじゃない。断じて違う。

BGM は問題ない。OP も凄くいい。画風は……画風に文句つけられるのか? しかもこのゲームは非常に健全で、HCG 以外にわざとらしい色気は一切ない。18X のエロゲーなのに抑えてる。HCG 以外で見えるのは可愛い女の子だけ。共通ルートどころか、個別ルートの HCG 前まで、俺は何も見てない。ちくびも、パンツも、まんこも、ちんぽも、ぜったいりょういきもない。これ本当にエロゲーかと疑う時もある……

とはいえ HCG はあるし、かなり大胆……効果音(石鹸をこするみたいで嘘っぽい)もあれば、尻の穴も、SM もある……HCG が出たら全部スキップする俺には、そんなの知ったことじゃないが。
CV の演技は予想をはるかに超えてる。杏子御津の最高の役の一つで間違いない。違和感ゼロだし、昔のわざとらしい萌えの硬さもない。石原舞もそこまで嫌じゃなくなったし、藤咲ウサは言うまでもない。鈴谷まやも很棒だ。要するに CV はキャラの可愛さを素直に感じさせてくれて、画風とよく合ってる。

脚本は明らかに話のテンポを意図的に抑えている。「萌え豚アニメの日常回」のテンポに寄せていて、日常描写でキャラを立て、肝心な時だけ伏線を回収する。しかも主人公の存在感を極端に削っていて、HCG を消したら百合ゲーだと思うかも。これもまたいい。可愛いキャラが好きなら「とても心地いい」と感じるだろ。ゲーム全体のスタイルは統一されていて、BGM の名前まで「今日はパンケーキに決まりだね!」「街角のドーナツ屋さん」で甘い香りがする。画風も合ってる。正直、ここまで統一感のあるゲームは今なかなかない。

で、このゲームはどうかというと、基本的に「欠点なし」のゲームだと思う。画風は優秀、BGM は突出、音楽も良好、話は……起伏は大きくないかもしれないが、メインの話もあり、伏線の説明もある。テンポは多くの萌え豚が好きな「日常アニメ」に限りなく近い。「萌え豚」ならみんな好きだろ。しかも日本で 7000 円くらいで売ってる。業界の良心と言えるだろ?
俺は萌え豚じゃない。でもこのゲームは多くの人の萌え豚の扉を開ける。

「Welcome to Moe World!」
萌え豚に憧れ、萌え豚アニメを見る萌え豚と予備萌え豚たちにこのゲームを勧める:しゅがてん!

そうだ! 大事なことを忘れてた。主人公がサンタクロースなら、サンタクロースが幼女を犯したら何年服役するんだ?
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